昔、昔・・・かなり昔。友人と二人で北海道ツーリングをしたときの一話です。
北海道は知床半島。時期は初夏、たしか七月上旬です。さすがに北海道の東端だけあって、陽がさせばそこそこ暖かいけれど、少し曇るとかなり肌寒い、そんな場所です。
最初に目指したのは「知床五湖」です。オンシーズンにはまだ早く、人影はまばらでシンと静まりかえった雰囲気が最高です。ただ、あまりにも自然が濃く「熊注意!」の標識にも十分に信憑性が感じられました。
さて、本命は【カムイワッカ・湯滝】です。知床五湖から、さらに12Km程奥地に入っていきます。知床五湖までは舗装されていますが、その先はダート道です(その当時は)。ヨーロピアンタイプのバイクで、ダート道を12Km・・・これはさすがにキツカッタ!
滝全体が温泉だと友人に教えられましたが、正直言って半信半疑でした。
いよいよ目的地、確かに滝はあります。でも周りを見渡しても人っ子一人いないし、駐車場もなければ売店もありません。本当にここでいいのか?どーする?・・・と悩んでいると、滝の上のほうから水着姿の人が降りてきて「上のほうは暖かいヨ」と教えてくれました。しょーがない、と思いつつ滝を登る決心をします。ただ、周りに着替えるような場所は無く岩陰で水着に着替えるしかありません。それに荷物も置いていくほかなく、盗まれないことを祈るばかりです。
温かさを求めて上を目指します。滝を流れている水そのものが丁度いい湯加減になっているわけではなく、滝壷の中で水とお湯が混ざり合って温度が調節されます。丁度いい湯加減&大きさの滝壷を見つけて、どっぷりと温泉気分に浸ります。
天気は快晴!眼下にはオホーツク海!ちょっとぬるめの滝壷温泉・・・時が経つのを忘れます。
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温かさを求めて上流へ | 右上に見える湯煙が、源泉です |
至福の時が得られました。遠い昔のことだけれども、今でも鮮明に記憶しています。再度訪れたいという思いは強いのだけれど、もし駐車場や売店があったりしたら・・・二度と訪れないのが正解なのかも知れません。
何もなくていいんです・・・不便でいいんです・・・
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