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天城山シラヌタの池 (鉛筆画・F8号)

シラヌタの池は天城山中の山ふところ深く、万二郎岳の南麓にある周囲200m程の小さな池である。天城山は年間3000ミリ以上の雨量があり、日本の中でも多雨地域と云える。池の周囲の原生林には杉、モミ、カエデが鬱蒼と茂り池の周辺は水面とほヾ同じレベルでじめじめしておりシダやコケ類で覆われる。野鳥のさえずりと渓流の音だけしかない静寂な環境である。そこに生息する静岡県天然記念物のモリアオガエルは晩春になると水面近くに突き出した木の枝に泡に包まれた卵を生む。一週間ほどで卵の塊の中で孵化したオタマジャクシは次々と池の中に落ち元気よく泳ぐ。そのオタマジャクシの落ちる音はこの池で休息する人々に自然の神秘を感じさせてくれる。スケッチに二度程行ったが人影は全くなかった。深山幽谷の世界とでも云えよう。