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人工授精![]()
◆人工授精とは
人工授精はその名前から、非常に人為的に妊娠を操作するような印象を持ちますが、実際はそうではありません。人工授精とは男性に精液を提供してもらい、パートナーの子宮内に注入することをいいます。この治療はおもに精子に問題がある場合、もっと正確に言えば、精子の数が少ない場合や、運動率が低い場合が最も適応となります。正常な男性の場合、精液量は1.5〜4.0ml、精子濃度5000万/ml以上ですから、通常1回あたり7500万〜3億程度の精子が射精されることになります。人工授精を行うためには4000万程度の精子が必要と言われています。精子濃度が1000万/ml以下の場合や、精子の運動率が極端に悪い場合(精子無力症)は、体外受精を考えることになります。
◆人工授精の方法
かつては精液をそのまま子宮に注入するといった簡単なやり方をしていました。現在でもこの方法でおこなっている施設がありますが、この方法では妊娠率がきわめて低く、また精液内には、細菌なども混入している場合がありますし、最近になって精液の中に受精を阻害するような物質があることもわかってきていますので、現在では少なくなってきています。現在おこなわれている方法は、パーコール法といって濃度こうばいで質の良い精子を分離する方法や、スイム・アップ法といって元気のいい精子が精液の上の方に泳いでくる性質を利用して、これを回収する方法などがおこなわれています。
◆女性が原因の場合の人工受精
一方、女性の側に原因があって人工授精が適応になる場合もあります。女性は排卵が近づくと精子を受け入れやすくするために子宮頚管粘液が増加します。この子宮頚管粘液の量が十分でないと、精子はうまく子宮の中に入っていくことができません。人工授精によって精子と卵子の距離を縮め、近道させることで妊娠を期待するわけです。また、女性の体内にパートナーの精子に対する抗体(抗精子抗体)ができてしまう場合も適応になります。これができてしまうと女性の体はパートナーの精子を異物と認識しますから、これを排除しようとします。そして、この反応は膣内でおこるので、バイパスして安全な子宮内に注入しようというものです。抗精子抗体は女性の血液をチェックすればわかります。また、ヒューナーテストの結果が悪い場合も適応になります。この検査はセックスのあとに、女性の子宮の中で精子が運動しているかどうかを頚管粘液を採取することによって調べるものです。この結果がよくないということは、子宮の中の環境と精子の相性がよくないということです。しかしこの検査はタイミングによって、結果が左右されますから、結果が悪い場合には、何回か繰り返しておこなう必要があります。
◆人工授精と体外受精
さらに、男性、女性両方の検査で異常が認められない機能性不妊(原因不明不妊)にも人工授精はおこなわれます。これは精子と卵子の距離を縮める意味もありますし、高度生殖医療に進む前の移行的な治療でもあります。それは、体外受精などの高度生殖医療おこなった場合1回あたり30〜60万の医療費が必要なのに対して、人工授精も健康保険の適応外ですが、1回あたり、1〜3万円程度ですむからです。
人工授精の成否のカギは、どれほど正確に排卵のタイミングにあわせて精子を注入できるかにかかっています。この目的のために、経膣超音波による卵胞の計測に加え、HCGという排卵をおこす注射をして、精子と卵子が「ジャスト ミート」するように工夫します。また、生理開始直後から計画的に排卵誘発剤を使用して排卵を誘導して人工授精をおこなう場合もありますし、さらに、排卵する卵の数が多い方が妊娠しやすいという理由から、HMG-HCG療法を併用しておこなう場合もあります。
人工授精はどこの施設で、どのような症例におこなうかで、その妊娠率は違いますが、全体的には5〜10%とそんなに高いものではありません。このことをあらかじめ知っておくことは必要だと思います。人工授精はその妊娠率の低さから5〜10回おこなって、妊娠に至らない場合、体外受精へのステップアップをすすめる医師が多いようです。しかし、排卵がうまくいっていない可能性や、卵管采のかたちに異常があり、卵管が卵子をうまく取り込めない場合もあり得ます。ここに腹腔鏡検査をおこなう理由があります。ですから、人工授精モ腹腔鏡検査モ体外受精という流れも重要です。
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