第一講 : 自動制御
とは何か?
システム制
御工学の概念や技術が社会に広く使われているのか、
工学系専攻
の人に限らず、理科系全体や文科系の人たちにとっても必要な学問であるのか
の理由が分
かると思います。
製鉄メーカーの圧延工
場、自動車用の高級鋼板の製造。スピード、制御精度、規模のすごさ。
自動車は電子制御の塊と
化している。自動車の開発。高価な試作車か
ら計算機シミュレーションによる代替へ移行。開発期間の短縮。
◆システム制御工学の特徴:シ
ステム制御工学は、横断的な学問、概念指向型学問
I
do not know what I may appear to
the world, but to myself I seem to have been only a boy
playing on the
sea-shore, and diverting myself in now and then finding a
smoother
pebble or a
prettier shell than ordinary, whilst the great ocean of truth lay all
undiscovered before me.
Isaac
Newton
We
know what we are, but know not
what we may be.
William Shakespeare
[前年の問題1]
健康維持は非常に大切であるから、あなたの(バーチャルな)健康維持システムについて、考察してみよ
う。このシステムにおける制御対象はあなたの身体であり、制御目標を健康体とすると、健康維持を危うくする外乱としては、インフルエンザ等の流行や自己の
喫煙習慣もあるかもしれません。
1) このシステムの構成要素
は、どれくらいある(制御対象としての自己の身体、コントローラとしての医者や病院、体温計等のセンサー、薬等のアクチュエータ、・・・)と考えますか?
2) フィードバック制御とし
ては、どようなことが考えられますか?
3) 目標対応のフィードフォ
ワード制御や外乱対応のフィードフォワード制御としては、どのようなことをやる必要があるのでしょうか?
4) あなたの健康状態を知る
(状態推定)ために、何をしますか?
5) このシステムにおける可
制御、可観測とは、具体的に何を意味すると考えられでしょうか?
(前年の問題1の解答)
1) 基本は、制御対象と
しての自己の身体、コントローラとしての医者や病院、身体の状態を知るための体温計・レントゲン・超音波診断器・NRM等のセンサー、薬・体内の免疫系?等のアクチュエータ、インフルエンザ等の流行や自己の
喫煙習慣等の外乱、の五つと考えられる。目標が変動する(健康体の意味が変わる)場合には、目標も入れた6つと考えられる。
明確な目的がシステムの範
囲を明確にする
2) FB制御 ・・・・・・治療、
3) 目標対応のFF制御・・・・・・健康食品等の摂取、 外乱対応のFF制御・・・・・・禁煙、風邪引き予防のマスクの使用
4) 人間ドック等の検診
5) 可制御とは、アクチュ
エータを利用してコントローラが健康維持できる能力を持つことである。可観測とは、センサにより、身体の内部状態がわかることである。
[問題1] (解答提出日は、第二講の
日)
1) 身近なシステムを例にとって、フィードバック制御の例を上げよ。
2) 身近なシステムを例にとって、目標対応のフィードフォワード制御や外乱対応の
フィードフォワード制御の例を上げよ。
3) 身近なシステムを例にとって、可観測性の重要性について記述せよ。
4) 身近なシステムを例にとって、可制御性の重要性について記述せよ。
5) 身近なシステムを例にとって、モデルの重要性について記述せよ。
6) 身近なシステムを例にとって、制御目標(目的)の変動あるいは外部環境の変動
が、制御系設計を困難にする例について記述せよ。