9月30日(日)
この前から「さして重要でない一日」を再読したいと思ったので実家に行ったついでに探したが、出てこない。処分したのかな。読んだのがだいぶ前だから、その可能性もある。つくづく管理が悪いなと思う。処分したかどうかもわからないんだもの。反省・・しても事態は変わらん。
この間文庫版見たとき迷ったんだよな。きっと今度見つけたら買うでしょう。で、積んでおいて再読しないうちにどっかいっちゃうんだろうなあ、きっと。ぶつぶつ。

今日は本屋へはいかず。SFM、HMMを買わなきゃ。HMMの今月号は2500円もするらしい。

届いていた本だけ。
あなたが好きです 樹下太郎 ワールドフォトプレス これでM18ですね。多岐川はミステリーだけだし仮だけどM19。もしかするとM18かもしんない。なんにせよMじゃないね。こんなに多くては。おーかわさんがリストをのっけていたので(意外に数が多いのね)、に影響され西東登も、といきたいところだけれども、「阿蘇惨劇道路」がいまひとつだったので今いちのれない。藤村正太は読んでないけど、読む前からなんとなくのれない。何か読んで面白かったら集めるかもしれないけど。つーか、本当はSF作家の著作を集めなきゃいけないんだよね。前から言っているのだけど。読まなくなっちゃったし、買わなくなっちゃったからなあ、最近。いかんいかん。でもまた買い始めると冊数増えちゃうな。清水義範も初期の作品は全部読んでいるか持っているかしているのだけど(多分処分しちゃったのもあるけど)、200冊近く著作あるみたいだし。辻真先の世界だね。そういえば辻真先も読まなきゃなあ。株式学園シリーズの2巻読んでからずいぶんたっちゃった。樹下太郎のコメントで何をこんなに書いているんでしょうか。
メカニズムNo1 黒井千次 三笠書房 初期作品は幻想的な作品がある著者であるが、長編は青春小説とかもあるので、油断できません。
時の鎖 黒井千次 新潮社
眼の中の町 黒井千次 河出書房新社

結局購入冊数が100冊を超えましたが、オーストリアに3冊置き去りにしてきたので、気分的には100冊は超えていないな。ちなみに去年を振り返るとこの冊数はGWくらいにカウントされているので、去年の約半分ということになります。去年は一体なんだったんでしょうか。(誰に聞いている?)

今月のぼやき日記でした。

多和田葉子は読みかけのまま放り出しっぱなし。五百万ドルの迷宮は面白くなってきました。

(今日買った本4冊 今月買った本:102冊 今年買った本:2238冊)

9月28日(金)〜29日(土)
帰国の徒につく。なんとか成田に無事帰着しほっとする。こんなご時世なので無事であればそれで安心。本は結局3冊しか置いてこれず。(何を目的にしているのだか) 目論見通りにはいかないものだ。読んでいるのはロス・トーマスの「五百万ドルの迷宮」。なかなかのれない。

というわけで明日からは通常どおり更新をいたします。(その予定です)

(今日買った本20冊 今月買った本:98冊 今年買った本:2234冊)

9月27日(木)
終日自由行動。家人の希望でオペラ座でオペラを見ることになり、時間が無くなってしまう。結局見ることができたのは美術史博物館、シュテファン大聖堂、王宮等。印象に残るのは国立図書館でたまたまやっていた17〜19世紀の博物図鑑の展示と、絵ではブリューゲルの「バベルの塔」、アルチンボルト数点、ルーベンスの「メデューサの首」等。ちなみに国立図書館は圧巻で天井まで届く革背表紙の海にはそれだけの宝が隠されているのやら。なにせ王宮の蔵書だからね。銀器とか死ぬほどあって、栄華のほどと、旧時代の王宮の権力がうかがえるものであった。またエリザベートの写真等もあり、興味深い。本当はベルベデーレ宮殿の上宮でクリムトの「接吻」とか風景画(どんなんだ?)とかも見たかったなあ。オペラは「シチリア島の夕べの祈り」。音楽は編成が多いので迫力があるものの、舞台がオペラ座がもともとそうなのかは知らないが、たいそう地味で、少々がっかり。高い席しか残っていなかったので、ボックス席で見たのだが、各席に英語表示されるパネルがあり、それがなければ始まって30分で寝ていたに違いない。とはいえ、休憩含め3時間30分のもおよぶ時間は長く、最後の2幕はうとうと。話のたねにはいいけど、やっぱり自分にはあわない。どこがおもしろいのかわからないもの。好きな人には悪いけど。
ところでオーストリアは物価が(特に飲食費等の生活費)が安い。町としては都会の(といっても小さいのだが)ウィーンよりも、ザルツブルグが気に入った。またこれるかどうかはわからないけれども、なんとなくグレーな(これは旅行中ぐずついていた天気のせいかもしれないが)暗い印象がある国はまた訪れてみたいと思った。

1冊読了。
孤独の歌声 天童荒太 新潮文庫
天童荒太名義の最初の作品。初体験。高村薫等を輩出した新潮サスペンスミステリー大賞の作品。主な登場人物は3人。<おれ>音楽活動を続ける潤平と、<私>警察の強行犯所属の刑事風希、<彼>犯人の男。この3人の視点で交互に、コンビニ強盗をサイドにすえて女性誘拐監禁殺人事件を中心に物語がつづられていく。この作品は<孤独>という言葉がテーマであり、前に読んだマーティンの作品と同様、ミステリーというよりはミステリーの味付けをした普通の文学作品という趣がある。もっともこれはミステリーという舞台にしたからこそ、テーマが十分に生きたのであり、逆にいえばこれこそが作者の考えるミステリーなのかもしれない。まあ文学作品なんてものは、作品の価値そのもので評価すべきもので、恣意的なジャンル分けなんか本当はどうでもいいのではあるが。とにかくあらすじは書かないけれども、久々に時間を忘れて作品世界に没頭して読みふけった作品であった。これまたマーティンと同じように自分の好みの作品とはちょっと違うのであるが、未読の方には一読をお勧めしたい傑作であることは間違いないところであろうと思う。なお解説によると文庫は初出の単行本からかなり加筆修正が施されているようだ。これは感触がどの程度異なっているのかちょっと興味がある。でも単行本って見たことないんですけど。
なお余談ではあるが、作品中で犯人が愛聴する曲は明記されていないが、岡村孝子の「夢をあきらめないで」である。自分も結構好きな歌なんですけど。まあ批判的に引用されているわけではないのだけれども、犯人の歪んだ人物造形の重要なポイントにはなっていてなんとも複雑な気分。でもある意味この小説も、癒しというか励ましというかある種のメッセージをこめられているという意味では、感触が似ているような気もします。まあ余談ですがね。とにかくこれは他の作品も読まなきゃね。

9月26日(水)
ドナウ川クルーズを経て、最終目的地のウィーンへ。ドナウ川クルーズは少々寒かったものの、1時間あまりの行程で、メルク、シュピッツ、デュルシュタインと周り、ますます気持ちの良いものであった。天気はあいにくの曇りで、快晴であったらさぞかし爽快なものであったろう。昼食はウィナーシュニッツェル(ウィーン風カツレツ)で、おいしかった。午後はウィーンの観光で、シェーンブルン宮殿を見学し、ベルベデーレ宮殿の庭園を見学した後、街中をバスで回る。宮殿はハプスブルグ家の夏の宮殿で、庭園などかなり広く、ベルサイユ宮殿に対抗して作られただけあって、壮大なもの。夜はホテルで食事をとる。魚のムニエルで普通。ただホテルがウィーンのはずれで、地下鉄の終点からバスで15分、バスが1時間に1本という、とてつもないところだった。

9月25日(火)
朝ザルツブルグを出て、ザルツカマングート観光。先ず最初はモント湖畔。サウンドオブミュージックで誰かと誰かが結婚するシーンで使われたという黄色い教区教会を見るが、映画に関心が無いので、誰やねんそれという感じ。その後移動してシャーフベルグ山へ登山鉄道で登る。気分は「世界の車窓から」。あまり高くない山であるが、山頂は雲で全然視界が利かず、今ひとつ。昼食はザンクト・ヴォルフガング湖畔で鱒料理。まあ普通。午後は、ハルシュタット湖畔を散策したが、どこにも入らなかったこともあって今ひとつ印象に残らず。そのまま宿泊地のザルツカマングート地区の町へ。夕飯はホテルでチキン。これまた普通。

1冊読了。
嘘、そして沈黙 デイヴィッド・マーティン 扶桑社ミステリー
「このミス」にも選ばれたサイコミステリー。企業家のジョナサン・ガイエタンの家にフィリップという男が忍び込むところから物語りは始まる。翌日ジョナサンは死体で発見された。警察は自殺という判断を下すが、署長は妻のメアリーの態度に違和感を覚え、かつて「嘘発見器」の異名をとったテディ・キャメル警部に捜査を命じる。自殺かそれとも他の何者かの仕業か。キャメルは秘書のジョジョ等にも聞き込むうち、ある仮説を得る。それは悲劇的な物語であった。
原題は「Lie to me」。タイトルが物語るように、「嘘」という言葉が物語りの中心にある。嘘というのは悪いことか、真実をつきつめることだけが、本当の善であるのか。著者はその答えを求めて物語を語りつづける。「サイコホラー」というにはあまりに痛い物語。ケッチャムのようなどろどろとした作品かと思っていたが、かなり文学的な香気のある作品であった。エンターテイメントのカタルシスには欠けるきらいはあるし、自分の好みの作品ではないが、好悪の基準を超えてその価値は十分認められるものであると思う。好みではないが傑作。

9月24日(月)
ザルツブルグ見学。午前中は団体行動でモーツァルトの生家、旧市街、ミラベル宮殿、などを見学。昼食はティローラー・グレステル(肉、ジャガイモ、たまねぎ炒め)で、付け合せをメインにしたようで少々寂しい。デザートはザルツブルガーノッケルというお菓子で、メレンゲを固めたような感じで、面白い。午後は自由行動だったのでバスにのってヘルブルン宮殿へ。ここは水力を利用した仕掛けものがたくさんあり、楽しいところであった。特に113人の自動人形が動く「仕掛け劇場」がすごい。また町では丁度祭りをやっていて、ホットドッグなど食べて楽しむ。ホットドッグは模擬店?のおばちゃんがワイルドに作ったものでとても美味。パンとソーセージ二本を焼いて挟んだだけのものだが、ジャガイモペーストと、マスタードとチリペッパーをたっぷりつけて、スパイシー。ソーセージは本場だから当然としても、今まで食べたホットドッグではダントツにおいしいものだった。広場には移動遊園地などもあり、レトロな雰囲気。夜はホーエンザルツブルグ城塞でのコンサートに行く。編成が少なくて、迫力に欠ける代わりに聞きやすく、あまりに聞きやすくて後半寝てしまった。なおザルツブルグは中心を流れるザルツァッハ川の水が緑で旧市街の建物の屋根も緑が多く、町自体が緑の町という感じでたいそう気に入った。スコットランドのエジンバラも大好きなのだが、なんとなく似た感じもする。なにはともあれもう一度ゆっくり訪れたいと思わせる町であった。なおサウンドオブミュージックの舞台としても有名らしいが、それ自体あまり好きではないのでそちらはどうでも宜しい。本日も引き続きザルツブルグ箔。

9月23日(日)
旅行の内容であるが、簡単に備忘録的に書いておく。天気は出掛けにインターネットで見ると、全体的に天気が悪い。気温は日本の11月くらいだろうか。旅行で最初に訪れたのはインスブルック。王宮、凱旋門、黄金の小屋根等を見学。王宮にはハプスブルグ家の調度品やタペストリーが並ぶ。昼食はチロル地方の郷土料理らしいが、とくにどうということはない。ただこちらも寒い地方は塩気が強いらしく、全体的にしょっぱい。午後はアルプバッハを訪れる。誤解を恐れずに言えば軽井沢のような町だ。「オーストリアで一番美しい村」と言われているらしい。なかなか雰囲気がある。町を出ると今日の宿泊地であるザルツブルグへ。夕飯はホテルでバイキング。これもどうということはなし。
実は数日前にあえてどうでも良いダブり本を買ったのは、読了後に置いてくるため。前回の旅行ではなくしちゃうと困る本とか持っていって気になったから、今回はあえてどうなっても良い本を用意したわけだ。冊数が多いのは勢いで買ってしまったからであるが、どこにでもある本というのは、逆に言えばはずれの可能性も少ないわけで、限られた時間にちょこちょこ読むには宜しかろうという次第。
まずは1冊読了。本も置いてきてしまったので、感想も簡単に。

死の接吻 アイラ・レヴィン ハヤカワミステリ文庫
「ドロシイ」「エレン」「マリオン」の3章に別れ、主人公の青年が企業家の遺産を狙って殺人を続ける様を描く名作?といわれる作品。著者の作品は「ローズマリーの赤ちゃん」しか読んでいないが、期待して読み始めた。
青年が殺人を決意するに到る1章。そして1章では1人称で明らかにしていなかった青年の正体を数人の青年を登場させて探偵小説的に展開させる2章。そして結末へ向けてサスペンスあふれる戦いを描く3章と、青年の心の動きを克明に追っていて、発表後50年近い現在も全く古びていないのはさすが。ただし古びてはいない反面、残念ながら多様な作品のあふれる現在となってはあまり新しいところが感じられないのは致し方ないところであるが、むしろ50年たったエンターテイメントが現役として通用するところを誉めるべきであろう。企業家が銅の精製というところだけは時代を感じさせるが、基本的に風俗的な描写があまりないところも時代を感じさせない要素になっている。現在の目から見れば準傑作、時代を考えれば大傑作という感じだろうか。読んで損の無い楽しめる作品である。

9月22日(土)
今日からオーストリア旅行である。
この日記も帰国後に書いているから記憶違いなどあるやもしれぬ。
電車に乗り遅れそうになり冷や冷や。
フランス経由のミュンヘン着で、ミュンヘン近郊のガルミッシュパルテンキルヘンへ宿泊。

とりあえずは順番から言って既読の本の感想を書いておく。といっても忘れかけているのだが。
富江Replay 飯田文彦 原作伊藤潤二 ソノラマノベルス
マンガを映画化した作品の小説化らしい。原作のマンガも漫画家の方も全然知らないので予備知識なし。
主人公の女子高校生の由美は、突然行方をくらました父親を探していた。勤務先の病院へ赴くが、その行方は杳として知れない。そして病院では以前とは雰囲気ががらりと変わり果て、患者数も激減しすさんでいた。また以前よりしっていた医師の立花はなにかにとりつかれたようになり、由美の目の前で病院の屋上から飛び降りて命を絶ってしまう。そんな中、由美は自らの入院中に姿をくらました友人を探している文仁と知り合い、謎を追いかけ始める。文仁の友人は見つかったものの、「トミエ」という謎の言葉を残し、発狂してしまった。また死んだ立花医師から託されたノートには謎の言葉の羅列と、やはりトミエの文字が・・。「トミエ」の正体とは?
まあある意味ジュブナイルなので、特に期待はしていなかったのだが、内容としてはまあまあ楽しめ、グロテスクな描写もまんがや、映画ではどうなっていたんだろうなあと思わせる。ただ全体的にマンガや映画という比較的ビジュアルな媒体を原作としているせいか、イメージだけで組み立てたようなところがあり、「トミエ」の正体には説明では釈然としないものがあって、また終わらせ方も少々安っぽいような気もしないでもない。怖くは無いが、そこそこ楽しめることは楽しめるので、怪奇小説が好きな人はお暇な折に読んでも宜しかろうと思う。

9月21日(金)
買い物。ダブり本は故あってのもの。
d五百万ドルの迷宮 ロス・トーマス ミステリアスプレス文庫
d大魔王作戦 ポール・アンダースン ハヤカワ文庫SF
雄呂血 富樫倫太郎 カッパノベルス
台所の戦士たち ジョーン・エイキン ほるぷ出版
サーjナト・グルカ 谷甲州 角川書店 ダブりかもしれない。
葬儀よ、永久につづけ ディヴィッド・ブリル 東京創元社 これもダブりかも。
トランプ・マジック 松田道弘 筑摩書房
にっぽんロビンソン 三田村信行 ポプラ社 ノンフィクション
dガラスの王 本岡類 実業之日本社 やっぱりダブりであったか。
d最大の殺人 佐野洋編 集英社文庫
d嘘、そして沈黙 D・マーティン 扶桑社ミステリー
d死の接吻 アイラ・レヴィン ハヤカワミステリ文庫
ミステリアス・エロティクス 扶桑社ミステリー
d死の蔵書 ジョン・ダニング ハヤカワミステリ文庫
黒い軍旗 山前譲編 飛天文庫
d孤独の歌声 天童荒太 新潮文庫
d羊たちの沈黙 トマス・ハリス 新潮文庫
dステレンジャーズ(上下) D・R・クーンツ 文春文庫
ミザリー S・キング 文春文庫 単行本は装丁凝っていたのにね。

忙しくて読書はできず。目録がぼろぼろ来ているが、見る暇がない。

事情により明日から9月28日(金)まで更新を停止します。

(今日買った本20冊 今月買った本:98冊 今年買った本:2234冊)

9月20日(木)
仁木悦子長編推理小説全集1 仁木悦子 立風書房
長編を2編づつカップリングして、作者の作品ノートを追加して全6巻にまとめたもの。これはその第一巻。恥ずかしながら今まで作者の作品は「穴」という短編集しか読んだことがありませんでした。(これも結構面白かった印象がある)
猫は知っていた
仁木兄弟はそれまで住んでいた部屋を出ざるを得なくなり、孫のピアノの家庭教師を引き受けるという条件付で箱崎医院の一室に下宿することになった。住み始めてすぐ、そこの老婆と患者が一人失踪するという事件がおきた。家を捜索しているうち、庭の防空壕の秘密の通路が発見され、老婆はそこで死体で発見された。一方失踪した行方不明だった患者の方は、何度か電話がかかってきたが、依然として所在は不明である。このふたつの出来事には関連性があるのか?老婆を殺害したのは所在のわからなくなった患者の男の仕業なのか。警察を巻き込んで殺人事件として捜査され、その行方不明の患者は指名手配されるが、杳として行方がしれない。そして数日後、第二の殺人事件が発生する。
乱歩賞受賞作であり、作者の文字通の推理小説処女作。やはり先ず第一にあげられるべきは探偵役の仁木雄太郎、仁木悦子の兄弟の造形であろう。このキャラクターが(特に妹の悦子が)、孤高の探偵役では生まれるべくも無い親しみやすさを生んでいる。そして狂言回しの黒猫に象徴されるような、作品全体に流れる独特の乾いた御伽噺的な雰囲気。殺人事件という陰惨な匂いはほとんど感じられない。とにかく、わかりやすく、パズルがひとつひとつはまっていくことによって絵が完成していくような、そんな推理小説の楽しみを改めて感じさせてくれる長編。誰が読んでもおそらくは楽しめるであろうと想像できるエンターテイメントである。
刺のある樹
仁木兄弟は今度はある金持ちの家の留守をあずかっている。そこには雄太郎の好きなシャボテンがあったからだ。そこに一人の男が雄太郎を訪ねてくる。その男は命を狙われいて、警察へいったが相手にしてくれず、そこで雄太郎を紹介されたというのだ。話を聞いているうちにその男の家に行くことになり、男の留守宅に電話をすると、家のお手伝いから夫人が殺害されたということを知らされる。あわてふためいて家に行くと、そこでは知らされた通り、夫人がミシンのところで扼殺されていたのだった。犯人は命を狙っていたという謎の男なのか。そして調査を進めるうち、第二の殺人が起きる。
一定の限られた舞台の中で事件が発生し、そこで犯人を推理していくという構成はなんとも古典的な感じはするが、前述した通りキャラクターと舞台の雰囲気であまり古めかしい感じはしない。この作品も処女作と同様な構成でパズラーとして楽しめる作品。どちらの作品も面白かったですませたくなるので、感想が書きにくいです。
一部の作品は折に触れ、形を変えて再刊されているけれども、万人に受けそうで、どの作品も常に入手できる状態であっておかしくない作品だ。なんでこんなことになっているんだろうか。素朴に疑問に思ってしまう。



会社ではウィルス騒動未だ消えやらず。全国のPCがやられてルーターも一部切断しているし、感染の危険性を考えてサーバーがほとんど停止しているので、仕事に支障をきたしている。主な感染源は、メールよりもサーバーの共有ディレクトリからのようだ。ネットワークが現在の企業活動にいかに重要な役目を果たしているかが実感される。それにしても感染したホームページを見ただけでやられてしまうようなので、企業だけでなく個人も危ないしはっきり言って怖い。近くの席の後輩のPCが感染したが、エクスプローラまでやられてバックアップも取れない状態。作った人物は相当な高い技術を持っているのだろう。今回はネットというオープンな世界の脆弱性をもろに攻撃された形だが、それにしてももうちょっと違った方面にその技術を生かせばいいのにね。

明日から季節はずれの夏休みです。
多和田葉子の「三人関係」を読もうと思います。

(今日買った本0冊 今月買った本:78冊 今年買った本:2214冊)

9月19日(水)

社内でウィルスが蔓延して大騒ぎ。外出していた自分はセーフだったのだが、怖い世の中になったものだ。ネットワークが使用できないと仕事にならないというのがあらためてわかります。情報テロだな。

出先にBOOK OFFがあったのでチェックしておく。
月の森に、カミよ眠れ 上橋菜穂子 偕成社文庫 ファンタジーの書き手の初期作品。文庫化されていたんだね。
双子幻綺行 森福都 祥伝社 
新世界3rd 長野まゆみ 河出書房新社 あいかわらず買うばかり。
dあきらめのよい相談者 剣持鷹士 東京創元社 失敗でした。ダブりです。

富江Replay 飯田文彦 ソノラマノベルス 読了。

本日で当HPも2周年になりました。ご覧になっていただいている方に対し、深く御礼申しあげます。

西部も南部もサンシャインも結局注文出さずじまい。なんだかな。早稲田くらいは注文出すかな。

(今日買った本4冊 今月買った本:78冊 今年買った本:2214冊)

9月18日(火)
飲み会でした。おしまい。としたいところですが、感想がたまるとつらいので書きましょう。

夜鳥 モーリス・ルヴェル 春陽堂
フランスの作家のコント集。珠玉の作品集とはいえないが、しゃれた味わいの好作品集。田中早苗の個人訳選集。本書は訳書としては最初期で、稀覯本に属する。近年ではルヴェル傑作集が創土社から刊行されているが、これはこの夜鳥や雑誌に掲載された作品を集めた作品集である。邦訳作品とその紹介はもぐらもちさんのHPが詳しいので、下記を参照のこと。
http://homepage1.nifty.com/mole-uni/ex_review/maurice-level.html
本書は黒白さんからお借りした。こんな貴重な本をお借りしていると緊張してしまうので、読了した今は早くお返ししたい。各編短いので作品紹介というのもどうかと思うので軽くコメントのみ。
或る精神異常者 サーカスで自転車曲芸に夢中になる男。ある日その曲芸師からからある秘密を打ち明けられ、男はある考えを抱く。タイトルと作品の内容は自分の目から見るとちょっと合わない気がするが、男の造形が見ものである。
麻酔剤 
麻酔をめぐる悲劇。当時は麻酔というものがまだ完全に確立されていなかったのであろう。まあ普通の作品。
幻想 
二人の乞食の話。タイトルは主人公の乞食の陥るある幻想のこと。結末は悲劇的。哀感あふれる一編。
犬舎 
不倫もの。犯罪の動機は昔も今も変わりは無いということか。最後のクールな残酷さが決め手。
孤独 孤独な男の話。なんとも哀しい話である。
誰? 
ある医師の話。手元にある髑髏にどうも見覚えがある気がしてならない。その髑髏の正体は?
闇と寂寞 
これまた悲しい話。聾唖と盲目の二人の弟と姉の話。哀しすぎる結末。
生さぬ児 
自分の子供に姦夫の面影を見てしまった夫のとった行動。残酷な結末。
碧眼 肺病病みの女が死刑になった恋人に手向ける花を買うために身を任せた男とは。皮肉な結末。
麦畑  
農夫の最後のしらじらしいセリフがわざとらしくて(本当は全然おかしくないのだが)笑ってしまう。
乞食 
これまた皮肉かつ残酷な結末の話。荷馬車の下敷きになった男を見つけた乞食はその男の家に知らせに行くが・・。
青蠅 
グロテスク趣味が前面に押し出されている結末はえぐい。
フェリシテ 
哀しい女の話で、個人的には集中もっとも気に入ったもののひとつ。
ふみたば 
ユーモラスともいえる軽妙な作品。女のエゴを書いている。
暗中の接吻 
これは残酷趣味と悲劇と皮肉が組み合わさった作品である。
ペルゴレーズ街の殺人事件 
あまりにも偶然が強いが、これも皮肉った結末が面白い。
老嬢と猫  
度が過ぎて敬虔な老婆と猫の話。これも結末に強い印象が残る。
小さきもの 
貧困のため子供を捨てざるを得なかった母親の話。
情状酌量 
子供に死刑をまぬがれさせるため、罪をかぶる母親の話。
集金掛 
計画的に公金横領した男の皮肉な結末を描いた軽妙な短編。なんだか読んだことがあるようなアイディア。
父 
母親が息子に残した遺書には驚くべきことがかかれていた。親子の愛情を描く。
十時五十分の急行 
鉄道事故の話。その事故の原因とは。
ピストルの蠱惑 
ピストルを見ているうちにそれを使いたくなってしまう。まずは他人。そして自分?
二人の母親  
病院の事故で二人の母親と一人の息子が残された。一体どっちの息子なのか。
蕩児ミロン 
これもどっかで読んだような話ではあるが、芸術家の意識を描いた好編。
自責 
誤審をしたと悩む判事の話。
誤診 
誤診を行った医師に復讐を企てる男の話。
見開いた眼 
死体が発見された。それは目を見開いていた。原因は?ワンアイディアの作品。
無駄骨 
遺産相続をめぐる話。これもまた皮肉な話だが、どっかで読んだ気がする。
空家 空家と思って入った泥棒の前に男がいた。

結論:おちを取り入れた掌編、ショートショートというイメージでいたのだが、そのような作品もあるものの、存外ウェットな哀感を湛えた作品が多い。その辺が当時の日本人に受けた理由じゃないかとも思う。現代の読者でも十分楽しめると思うし、訳も読みやすく古びた感じはしない。ぜひ作品集を編集刊行して欲しいものだ。それも文庫で。ルヴェルの作品は軽便な文庫で軽やかに読むのがふさわしい。これらの作品のテキストが入手しずらいのは、何とも残念だ。どこかの出版社で刊行されることを切に希望する所以である。

仁木悦子長編小説全集の刺のある樹の方を読了。

(今日買った本0冊 今月買った本:74冊 今年買った本:2210冊)

9月17日(月)
夕べのうちに「夜鳥」は読了。感想は後日。貴重な本をお貸しいただいた黒白さんには感謝の気持ちで一杯です。

本屋で
ジャーロ 光文社
BOOK OFFで
蜘蛛の巣の中で 戸川昌子 青谷舎 このシリーズ出て1年あまりたってさあ買うかと思ったら既に品切れになっていた。とりあえず戸川昌子が買えてよかった。それにしても品切れがあんまり早いんじゃないだろうか。というわけで買い損ねたのでこのシリーズの皆川博子を探しています。
赤い星 クライン・ユーベルシュタイン ダイヤモンド社 赤、白、緑、青で赤だけ(多分)持っていなかった。まあ良しとしておこう。
d白い残像 加納一朗 徳間文庫 手持ちの状態が悪いので。(ネットで買ったのにいまいちだった)
処刑台の祭り 戸川昌子 光文社文庫
華やかなる氷河 戸川昌子 光文社文庫
サイレント・ファイア@ 樋口明雄 ケイブンシャノベルス 特に意味はありません。樋口明雄の本を読んでみようと思いまして。何冊か持っているのだけど、探すのが面倒でね。これは持っていないし。

仁木悦子を読むスピードが急ブレーキ。どうしたことでしょう。

(今日買った本6冊 今月買った本:74冊 今年買った本:2210冊)

9月16日(日)
午後から仕事。帰ってから家人と買い物、ちょっぴり家事とてんてこ舞い。仕事帰りにBOOK OFFともう1軒寄ったのみ。
BOOK OFFは
川端康成全集4巻 新潮社 「浅草紅團」の入っている巻。それはそれで読みたい長編だったのでかさばるけれどもまあまあ善き哉。100円だし。ちなみに受け売りの知識で書いておくと、川端康成には心霊テーマを始めとした幻想的短編が結構あって、「掌の小説」とかは文庫で出ているけれども、多くは埋もれている。そのような短編を読むためには全集がやはり欲しいのであるが、全37巻の全集はそれなりに古書価が高く、一時ほどの値段ではないものの、家族がいる今となってはなかなか手が出ない。まあ1000ページ以上もある川端康成短編全集は持っているので、全部ではないにしてもそれなりの部分は読めるはずではある。(だったら読めばいいのだよ) でもいつかは全集欲しいな。
韓国現代作家13人集 古山高麗雄編 新潮社 アンソロジーで、帯に幻想とか書いてあったから中にはそのような作品もあるのであろうと購入。ちなみに目次に並んでいる作家は誰一人として知らないのであった。
考えろ、丹太! 木島始 理論社 「星のカンタータ」(元版)と同じシリーズの1冊。シリーズの冠はファンタジーになっているが、見たところミステリーのようだ。
原民喜のガリバー旅行記 晶文社 原民喜は全集を持っているので(実際どうかしてるよ)、いらないといえばいらないような気もするが。この人もこれだけではなく、幻想的な作品があるらしい。(だから全集を買ったのだけど)
もう1軒。
與謝野晶子全集12巻 講談社 今となっては川端康成全集よりも古書価が高くなってきている與謝野全集。そのうちのこれは童話が収録されているこの人には「少年少女」というおとぎ話集があって、最近では「金魚のおつかい」というタイトルでそのうちの何割かを収録した本が刊行さえれている。自分もそれを買ったのだけど、いかんせん全部が収録されていないので、不満であった。よもやこの全集の端本が転がっていると思わなんだ。定価の7掛けだからちょっと高かったけれども。「金魚のおつかい」は結果的に読まないうちにいらない本に近くなってしまったが、さすがに川端康成と違って全集は買おうと思わないので、これで與謝野晶子は憑き物がとれたはずだ。多分。
クライブ・バーカーのホラー大全 東洋書林 新刊書店で見る前に発見してしまった。高い本なので少しでも安く買えたのは嬉しいと思ってしまう貧乏性である。なにを隠そうバーカーは多分血の本を1,2冊しか読んでいないはずである。とても面白かったので読もう読もうと思っているのだけど、なかなか果たせないでいる。(といいつつもう10年くらいたっちゃったかな?時間のたつのは早い)

「夜鳥」はもうすぐ読み終わります。

(今日買った本6冊 今月買った本:68冊 今年買った本:2204冊)

9月15日(土)
今日は家人とディズニーランドへ行った。日本は不況だということが信じられなくなるほど景気が良い。食事やお土産でみんなどかどかお金を使っている。オリエンタルランドに不況は無縁なのか。
もう10回前後も来ていると思うが、事情により土日になってしまった。土日は始めてである。とっても混んでいるなあ。ディズニーシーはもっと混んでいるんだろうが。
それにしても必要に迫られてコップとか買ったのだが、紙袋だけで下げる袋に入れてくれないのは持ちにくくてどうにも気に食わない。お金をだせばディズニーカラーイラスト付きの袋は(ばかみたいに高いのだけれど)買えるのだが、そんなものじゃなくても白いビニール袋にでも入れてくれたらいいのに。白いビニール袋なんか3円か5円なんだからどうにも思いやりに欠けるじゃないか。キャラクターを使うとロイヤリティがかかるからお金がかかってしまうのはわかるが、キャラクターを使わないただの袋だけでも用意しておけよ。外観が良くないというのなら、無地のカッパでもおんなじだろ。そっちは売っているんだから。

ネットで購入。まだお金払っていないけど。
殺人契約 青山光二 角川書店 これはジグソーさんだけど、見るのが遅くなって欲しいのは全部売り切れで残念賞でこれだけ注文。
闇の中から  戸川昌子 講談社
大博突 ロス トーマス 立風書房 この2冊はディックさん。ロス・トーマスは今回は間に合った。これでロス・トーマスは5冊。橋詰さんやkashibaさんから譲っていただいたので自力ではやっと2冊目。あと残りは「強盗心理学」と「恐喝」。そのうち入手できるのかしらん。でも入手できるにしろできないにしろ、まず読んだほうがいいよね。

ばたばたして「猫は知っていた」のあとはぱったり読書が進まなくなってしまった。

(今日買った本3冊 今月買った本:62冊 今年買った本:2198冊)

9月14日(金)
閉店時間に間に合ったので駅のBOOK OFFに寄ってみる。頼まれ物もあったし。
贋作ドン・キホーテ(上下) アベリャネーダ ちくま文庫 こういう本はあとで入手するのが難しくなる。
螺旋階段の闇 ルマーチャンド 講談社文庫 珍しく黒背があった。
d暗黒の秘儀 ラブクラフト ソノラマ文庫 珍しくソノラマ海外シリーズがあったので買う。ほとんど反射神経で買っているようなものだ。
d走る家族 黒井千次 集英社文庫 大熊さん用。
d客の多い家 吉田知子 読売新聞社 エッセー集。大熊さん用。
まぼろしの風景画 長谷川修 新潮社 幻想小説も書く純文学作家。「住吉詣で」とか「遥かなる旅」がそれにあたるが、未読。これは短編集だから、そういった作品が含まれている可能性もある。だけど何回もスルーしているから持っている可能性もある。古い本にしては帯つきの美本。
蟻の塔 山田智彦 文藝春秋 中篇3編収録だが、「蜘蛛の館」に収録されていたような作品も混ざっている。

買い物をすると日記が楽だな。

「報復」というのはいやな言葉だ。個人レベルでは許されないことが国家レベルでは許されてしまうのか。

(今日買った本8冊 今月買った本:59冊 今年買った本:2195冊)

9月13日(木)
飲みに行く。帰りが4時では何もできません。翌日の会社の辛いこと辛いこと。

ダンシング・ガールズ マーガレッド・アトウッド 白水社
カナダの作家。「侍女の物語」はいわゆるフェミニズムSFとして知られているが、SFとは何の関係も無い短編集。そもそもこの辺の作家を買ったり読んだりするのは(実際は買うだけであまり読まないけど)、風間賢二氏の影響大である。ここのところあまり読まなくなってしまったが、以前は評論集等を読んでは紹介されている本を追いかけていたものだ。
火星から来た男 タイトルからするとSFのようにも思えるが、全然そんなものではなく、外国(明示はしていないが明らかにベトナム)からきた男につけまわされる女性の話。火星云々は要は理解のできない異文化の人間を象徴しているということだろう。その女性は男につきまとわれながらも、今まで自分を追いかけてくれる男がいなかったにもかかわらずその男が付き纏うので自分に魅力があると思うようになるが、結局その男は相手が誰でも自分の相手をしてくれた女性に対しては次々に付き纏っていることがわかるという話。なかなか意地が悪い。
ベティ ベティとフレッドという隣に住んでいる夫婦。夫にしか興味のない人の良いベティを主人公はベティをつまらない人間として扱う。やがて大人になり夫妻からも離れていた主人公は、フレッドから捨てられたベティと再会したが、やがてベティは病気で死んでしまう。主人公はベティに自分と同じものを見ていたことに気づき、ベティに対する思いを新たにする。
キッチン・ドア 戦争が近づいているという幻想に悩まされるピクルスを作るおばさんの話。戦争が起きたとき自分はどのように対処するのかを悩む。
旅行記者 旅行ルポライターの話。途中で突然飛行機が不時着した描写に変わる。極限状態で現れる自分たちの真実の姿と、普段の姿とのギャップに思いをはせる。そのままストーリーは終了するのだが、幻想なのか現実なのかは判然としない。
訓練 福祉施設でアルバイトをする男の話。主人公は一人の少女に対し、思い入れ世話をするが、結局自分は少女の気持ちをわかってあげられちなかったことに気づく。
ダンシング・ガールス 隣人の謎の男の話。普段姿をあらわさず、何を行っているかはわからないが、突然友人らしき人やダンスガールを部屋に呼び込んで気狂いじみた騒ぎをはじめる。

ストーリーを要約してみたのだが、うまく書き表せないし、感想を書くことも難しい。ストーリー的にはなんとなく読まされてしまうが、どう読むかというパースペクティブがつかめないのだ。はっきりいって面白いとか面白くないとかそういうレベルでも表現することができない。わからなかったというのが正直なところだ。現代文学は難しい。

(今日買った本0冊 今月買った本:51冊 今年買った本:2187冊)

9月12日(水)

それでは昨日書かなかった本の感想を。

ザ・ショック 森真沙子 廣済堂豆たぬきの本
まずは何かの役に立つかもしれないので目次を掲げておく。
緒言 ?と出会うために
第一章 怪奇
最後の客、夢に入ってきた男、閉ざされた部屋、ステキなふとん、真夏のサンタクロース、一つ目の女、いつのまにかドラキュラ、ナメクジ人間、そして誰もいなくなった、怪魚インペディア、ギロチンにだまされたボブ
第二章 怨霊
死ぬまで愛して、真夜中のナイト、よく効くアンマ、小さなパートナー、猫をひいたら、籠を背負った赤ん坊、部屋は知っていた、止まらないエレベーター、永遠の欠番
第三章 予知
魔の時間、近づきつつあるもの、機長は何をみたか、招かれざる出演者、どこかで見た顔、声の主、フィルムが教えた「死の告知」
森真沙子の最初の著作。昭和57年の初版で、「総統の招待者」の2年近く前である。内容はというとストレートな怪談集。といっても各編10ページ程度で、豆たぬきの本だから1ページの字組みも少なく、それぞれ挿絵もあるため、分量は本当に少ない。感想といっても、1編ずつの感想は書けないし、あまり意味があるとも思えないので書かないが、感触としては怪奇小説と実話怪談の中間的な作品といったらいいのだろうか。ただし各編とも怪奇小説のエッセンスは詰まっていて、短いものの意外に楽しめるのではないだろうか。怪奇小説が好きな人なら、疲れたときの箸休めとして読んでも悪くはなかろう。
探している人がいるのかどうかわからないが、手持ちは昭和62年の7版だからそれなりの部数は出ていると思え、著者の本としては比較的見つかりにくいように思えるものの、気長に探せば見つからなくもなかろう。わたしは長いこと探していてどうしても見つからず最初におーかわさんに譲っていただきましたが、その後数ヶ月志手自分でも見つけました。(それっきり見つかんなくなっちゃったけど) 豆たぬきの本がわかっていれば探しやすいのは確かです。要は文庫より小さいサイズです。見つからなかった原因はひとつにはそれが自分にわかっていなかったせいもあると思います。

仁木悦子長編小説全集の1巻を読んでいて、今日は「猫は知っていた」を読みました。面白いなあ。

(今日買った本0冊 今月買った本:51冊 今年買った本:2187冊)

9月11日(火)
会社から帰ってきたら大変な事件が起きていました。
6月にニューヨークへ行った際、世界貿易センタービルの屋上には登ったんですが・・・。
ショックでなんともコメントのしようもありません。
台風ネタでも書こうかと思っていたのですが、このような時にのんきに日記を書く気になどなりません。

「ダンシング・ガールズ」 マーガレット・アトウッド 白水社 読了。

(今日買った本0冊 今月買った本:51冊 今年買った本:2187冊)

9月10日(月)
パラサイトイブ 瀬名秀明 角川書店
第二回日本ホラー小説大賞受賞作。ベストセラーを記録して映画にもなった。SFやホラーを好きな人なら知らない人はいないだろうし、大方の人は読んでいるんじゃないかと思われる。自分はいまごろになって読んでいる。初版は1995年。もう6年も前だ。時間のたつのは早い。今でこそホラーは一般的になっているように思えるが、当時は角川ホラー文庫の出始めで、この賞もかなり戦略的な匂いの感じられるものだった。第一回の受賞作なしというのもなかなかの結果であった。そして第二回で審査員一致で大賞に選ばれた作品がこれだった。
ストーリーは主人公の永島利明の妻、聖美が交通事故に会うところから始まる。しかしその事故は見通しの良い場所で発生しており原因は謎に包まれていた。聖美は即死。永島は悲しみに包まれながらも、何かにつき動かされるように聖美の肝臓の細胞を無理やりに譲り受け、自分の所属する薬学部の研究室で培養を始める。利明はミトコンドリアの研究をしているのだ。細胞の培養に憑かれたようにうちこむ利明。一方、死の直前に腎臓移植のドナーとなることを言い出していた聖美の腎臓は、一人の少女麻理子に移植されることになった。移植手術は無事に終了したものの、悪夢にうなされる麻理子。夢の内容はドナーが腎臓を取り返しに来るというものだった。そして利明の培養は順調に進み、その細胞はEVE1と名づけられ、異常な増殖を示す。
そこらあたりからは怒涛のシーン連続で、リーダビリティも高く読むものを飽きさせない。裏付けに最新のバイオテクノロジーの技術を用いているのでSFともいえると思うが、書き方は完全に怪奇小説だ。ラブクラフトにくらべるとスケールは小さいが、その分リアリティは勝っている。(ただしラブクラフトは著者本人が書いていることを完全に信じている節があり、それは異様な迫力を生み出しているのだが) 突然変異というには(生物そのものの歴史そのものを含むような)あまりにも大きな変化のため、何故それが一人の日本人にしか起きないのか、という疑問はずっと頭から離れなかったが、まあそれは気にすまい。くりだされるヴィジョンに身を任せ、ただそのうねるような迫力あるシーンの連続に酔っていれば良い、そんな小説であった。
あと、読んでいて思ったのは文章のかもし出す迫力だ。この作品は映画になっていて、映画は見ていないので実際のところはわからないのだが、この作品を忠実に映画化するのは難しいのじゃないかと思った。それほど文章でしか表現できない(できそうもない)シーンに満ち満ちている。映像作品はひとつの見方として、監督が脚本を演出し、特撮を始めとした撮影技術等によって総合的な映像をみせる芸術であるといえるように思うが、その場合その技術等に限界があると、その映像には限界が生じてしまうのだ。文章にはそのような事が無い。たとえば作品中に<想像もできない音>という表現があったとする。文章で書くには簡単であとは読む人の想像次第ということになり、具体的な音そのものは浮かばなくても<想像もできない音>という記号によって表現される何らかの音が読むものの心の中に生じる。しかし映像作品ではその音を具体的な音として表現しなければならない。そうするとその音は想像できる音、限定された音になってしまい観客の心の中では<想像できない音>という記号ではあらわせなくなってしまう。そこで文章で表現される作品と映像で表現する作品との決定的な違いが生じてしまうような気がする。映像作品を否定するわけでは無論ないのだけれど、小説も捨てたものじゃない、そんな勇気すらわいてくる作品であった。
もしもまだ読んでいない人がいたら(いないだろうな)、一読をお勧めしたい傑作。

「ザ・ショック」森真沙子 廣済堂豆たぬきの本 読了。
続いて読み始めたのはM・アトウッド「ダンシング・ガールス」。
夜鳥は家でしか読めないからな。残り100ページくらいなのだけど。

台風にもかかわらずアポの途中で買い物。濡れ本にならずに良かった。
プリズム 貫井徳郎 実業之日本社
怒りの菩薩 陳舜臣 集英社文庫
dおとなの推理あそび 山村正夫編 ラッキーと思ったら、がーん。ダブりだ。しかも前のはBで1000円もだしてやがる。
我が青春に殺意あり 梶龍雄 徳間文庫 梶龍雄の文庫って改題が多いんだなあ。いやらしいなあ。
積木の塔 鮎川哲也 読売新聞社 
あと先週買った本の書き忘れ
A・クリスティの贈り物 J・ファインマン 晶文社 

(今日買った本6冊 今月買った本:51冊 今年買った本:2187冊)

9月9日(日)
さして重要なことのない一日。なぜに休みの日はこんなに時間がはやく過ぎ去るのでしょうか。
台風が近づいています。手持ちの本が濡れ本にならぬよう気をつけましょう。
黒白さんにお借りした「夜鳥」を読んでおります。あまりに貴重な本過ぎて、持ち歩くことができません。もしものことがあっても弁償できないもの。それにこういうのはお金の問題ではないし。早くお返ししなければ枕を高くして眠れません。それにしても古い本にしてはずいぶんと状態が良い。いつかは欲しい本ではありますが、読んでしまえば大分憑き物は落ちてしまうのは言うまでもありません。それにしても今回これにあわせて創土社のルヴェル傑作集を見たのだけど、こっちは田中早苗訳以外のも(水谷準訳とか西田政治訳とか)収録されていたんだね。どれも大体新青年のようではあるけれど。ということは「夜鳥」だけ持っていてもだめなんだ。(もっとも「夜鳥」持っている人のほうが、何百分の一だろうけど) 新青年を全部持っていれば良いのかもしれないが。そんな人もこの世に何人もいないだろうし。
ということで、明日は別の本を移動用に持っていかねばならない。何の本にしようかな。濡れてもいい本かな。
「パラサイトイブ」の感想でもと思ったが、また後にしましょう。明日は台風なので早く帰りたいな。アポが二つ入っているのがいやでたまらん。でもやることあるんだよなあ。

某所に「暗いクラブで会おう」の元版を注文したのだが、タッチの差で売り切れ。残念。某所で売っているのは知っているのだが、文庫は持っているので、元版が欲しいので買うという値段としてはちょっと高いから見送っている。そこでは多岐川の未所持の単行本も売っていて、こっちはまあ仕方が無いかなという値段ではあるのだけど、財布が寂しいのでまだ買っていない。売れちゃわないといいなあ。

(今日買った本0冊 今月買った本:45冊 今年買った本:2181冊)

9月8日(土)
故あって家人と外出。
途中抜け出してBOOK OFFへ。
d雪女郎 皆川博子 読売新聞社 ありゃりゃ持っていたみたい。
天の残像 梶川敦子 青弓社 うーん。宗教小説かもしれん。署名とクリスマスカードが入っていた。署名本とか買うことがあるけれど、書名だけならともかく、個人的な関係のありそうな方へのメッセージが入っていたり、手紙がはいっていたりすると、ちょっと引いてしまうな。
いとしい人たち ゴーバル・バルタム 星雲社 シンガポールの作家の短編集。SF・幻想的作品も含まれるとあるけど、本当かね。
夜猫ホテル 舟崎克彦 ウォーカーズ・カンパニー 落田洋子と舟崎克彦の絵本。持っている気もしないでもない。
うちの庭に船がきた 増田みず子 河出書房新社
服部さんの幸福な日 伊井直行 新潮社 この人の本も大体買っている。読んだのは「さして重要でない一日」くらい。内容を忘れているが,まずまず面白かったので再読したい気がないでもない。ま、その前に読んでない本を読んだほうがいいだろうな。
へそまがり 藤原審爾 中央公論社 帯に快男子。(快男児じゃない) 藤原審爾だからそれなりに面白いだろうと思われる。
Bにもちょっと行って見た。
五泊六日 樹下太郎 講談社 何も買わないで出るのもなんなので、これだけ買っておく。まあ許容範囲。さすがにサラリーマン小説に2500円とか出すのは気が引ける。

「パラサイト・イブ」読了。
さてと次は何を読みますか。

(今日買った本8冊 今月買った本:45冊 今年買った本:2181冊)

9月7日(金)
強引に退社してランドマークの閉店間際の有隣堂で買おうと思っていた本を探す。飛鳥高を探すが見当たらない。朝山蜻一も無い。
スリル 片瀬二郎 エニックス
声をきかせて 真崎かや エニックス それにしてもエニックスの本は本屋で見ない。早見さんの本も買おうとは思っているのだけど。
黒蝶 グレアム・マスタートン 早川文庫NV こんなのが出ていてびっくり。思わず衝動買い。怪作「マニトウ」の作者である。最近祥伝社の文庫で短編が収録されていたようだが、単独は久々。もっともセックスの本は翻訳されているが。黒白さんのところへ行った時、そのうち1冊を100円で見かけたが、ぱらぱら見てさすがにこれはいらんと買わなかった。こんなもの探している人がいつのだろうか。
ちなみに今月はS・P・ソムトウ(ソムトウ・スチャリトクル)のホラーも創元から出るようだし、なかなか豊作である。あとは創元にランズデイルの「ドライブイン」とストラウブの「シャドウランド」を一刻も早く出版して欲しいものである。で、この本の解説を見ると来年早々にランズデイルの長編が早川から出るらしい。そいつは楽しみだ。
地元に帰って本屋へ。おっと、山田風太郎が一気に2冊でているぞ。でも財布が寂しいのでとりあえず目的の2冊を買う。
飛鳥高集 河出文庫 すばらしい企画であることは門外漢の自分にもわかる。これにのっている作品を読もうと思ったら、これまではどれだけの運と費用と期間がかかったことだろう。それが新刊書店で1000円あまりで買えるのだから持っていない自分などには本当に嬉しいものだ。
おっと島久平が続刊になっているので、これは「密室の妻」は入るに違いない。4000円も出しているので出る前に読むことにしよう。
真夜中に唄う島 朝山蜻一 扶桑社文庫 これまた嬉しい。身勝手な望みをするならば、雑誌に埋もれているとはいえ、併録が比較的新しい幻影城連載作品になっていたこと。もっと古作品をいれて欲しかった。もっとも作品の質とか総合的に考慮してのことだろうから、本当に身勝手な感想ではある。

ということでどうも新刊書店のほうが欲しい本、買う本があるようである。講談社ノベルスでもメフィスト賞のSFが出ていて興味を惹かれた。

(今日買った本5冊 今月買った本:37冊 今年買った本:2173冊)



9月6日(木)
仕事を早くあげたにもかかわらず飲み会で帰りが遅い。本が読めない。でも「パラサイトイブ」は面白い。

津軽世去れ節 長部日出雄 角川文庫
直木賞を含む短編集。普通は探していた「善意株式会社」を読むのだろうが、あえて一緒に買ったこの本を手に取るのがひねくれものである。
津軽じょんから節 津軽三味線の名人と謳われた3人のうち一人の高山茂平を訪ねる主人公の健作。やがて通っている蕎麦屋の親父がその茂平であることを知る。茂平は三味線を弾いていた昔のことは黙して語ろうとはしない。しかし店に通いつめ手を変え品を変え話しているうちにやがて茂平の重い口も開いていった。
「三味線とはたたくものだ」といったのは木田林松栄という名人らしい。その方法を実践していたのが茂平である。本作では茂平の若い頃のほんの短い間、三味線に憑かれるように家を捨て芸に生きた姿が描かれている。物語中では三味線演奏対決などがあり手に汗握る攻防が繰り広げられるのだ。とにかくその演奏が熱い。津軽三味線は猫の皮ではなく、もっと大きい音がでるように犬の皮をはっているという。ほとんど打楽器ではないか。演奏大会とはまずは最初にどれだけ大きい音が出せるかが競争であり、その後はどれだけ新しい演奏方法を編み出せるかが鍵になるらしい。そして交代で三味線弾きまくり、力尽きたものから舞台を退場していくのだ。茂平は汗だくになり意識を朦朧とさせながらも声を張り上げのどを嗄らし、弦を切りながら強烈な演奏を行い、自分よりはるかに演奏技術に長けたライバルを次々に倒していく。
これを読むとフリージャズのようなものを想像するが、健作が作中で茂平に「半可臭エことをいうもンでねえッ。ジャンズはジャンズ、津軽三味線は津軽三味線だアッ」とどなられるところからして、ちょっと違うのだろうか。自分はあいにく津軽三味線というものを聞いたことが無いので、イメージがわきにくいところもあるのだが、非常に興味が湧いた。演奏の熱さと作者の淡々とした眼のコントラストが鮮やかである。これを読んで津軽三味線を聞きたくならなかったら嘘だ。音楽小説のアンソロジーを編んだらいの一番に巻頭に乗せたい一編である。傑作。
津軽世去れ節 伝説的な三味線弾き「嘉瀬の桃」をジャーナリスティックな筆致で描いた一編。直木賞受賞作。実在の人物のようなのだが、取材をきっちり行って想像力でその隙間を埋めることによってその人物像は生き生きと描かれている。そして芸に生きる男の姿に読むものは心打たれるのである。
津軽十三蜆唄 安男は街で働く会社員。雄太は家をついで漁業を営んでいる。安男はある日人間がいやになったという雄太と東北の一寒村に旅に出た。そこで出会ったのは一人の寂しそうな陰のある女だった、やがてあるきっかけから雄太はその女と話をする機会を得る。雄太はおそらく失恋でもしたのであろう雄太が、調子よく女と知り合いになって親しそうに話しているのを見てあきれた気分になってしまった。しかしまた女に去られた雄太と話しているうちに安男は、雄太の生き方と自分の生き方の違いを感じ、反省をする。ちょっと説教臭いところもある一編。
猫と泥鰌 主人公の桑介は泥鰌の養殖が夢である。兄の田圃から水を引き、貯金をはたいて設備を整えた。桑介は会社の女子社員に自分の夢を告げる。こんなすばらしいビジョンを持っているのだということを見せたかったのだ。しかし女子社員は理解してくれない。やがて会社が倒産の危機にみまわれる。泥鰌の養殖を今の小規模なものではなく、もっと大規模に広げなくては、と桑介は焦るのだった。解説者で書いているように井伏鱒二の短編を思わせる飄々としたユーモアとペーソスを感じさせる一編。
雪のなかの声 東京から生まれ故郷の青森に戻った圭介。その元に東京から取材の記者がやってきた。彼はイタコのお告げといって実の息子を殺した親の風土の持つ背景を調べたいということだった。圭介は反感を感じつつ、自らの原風景とも言える恐山近辺に出向く。そこでは既に本当にイタコと呼ばれるべき人々は姿を消していた。イタコ、つまりは死者の口を代弁するという人達をあつかっているため、幻想的な作品ともなりうる題材であるが、作者は最後まで淡々とした眼を変えることなく、青森の風土、イタコを生んだ土地のことを語っていく。イタコというのはイメージでしか知らないが、ちょっとわかった気がした。
死者からのクイズ ひょんなことから知りあった老人の作った七曜園の謎。その庭は通常知られる作庭法とは全く異なる作りになっていた。そして謎を残したまま老人は亡くなり、主人公の浩平は庭に隠された謎に挑む。最後に明かされる庭の秘密は誠に美しいもので、そのような庭があるのであればぜひ見たいものである。著者の創作であるとしたら、まずは見事な想像力であると言えよう。ただし東京等の都会ではこの庭は絶対に実現できないのは残念である。他愛ないといえばそれまでのような気もするが、最後に明かされる庭の持つ美しさ(想像ではあるが)に感嘆する一編。
津軽地方を中心とした場所を舞台にした作品ばかりで、訛りがごく自然に作中に溶け込み、作品を独特な雰囲気に染めている。作者がその地方出身であるからこそ、できたことであろう。良い作品集である。なおbk1で検索したところでは文春文庫と津軽書房の単行本が取り寄せ可になっている。

(今日買った本0冊 今月買った本:32冊 今年買った本:2168冊)

9月5日(水)
今これを書いているのは土曜日の夜中、というか日曜日の早朝なのだが,3日前の日記に何を書けばいいのか。
やはり本屋の空いている時間には帰れなかったので、書くことがない。
kashibaさんとかよしださんのようにあふれ出るようなに書くことがあればいいんですけどね。
つまんない日常を送っているからなあ。でもそこからネタを見つけてくるのが才能なんです。

そういえば最近物忘れが激しい。人の名前をよく忘れるような気がする。中学校の頃は暗記は意識しなくてもできたんですが、これって脳細胞が老化しているってことなのかな?どんどんばかになっていくような。そうか、それでダブり本ばかり買ってしまうのか。そうかそうに違いない。

本の感想をと思ったが、それは明日の日記(といってもこれから書くのだが)に譲ることにして、水曜日の日記を終わることにしましょう。
(これぢゃ日付をわける意味がないな)

(今日買った本0冊 今月買った本:32冊 今年買った本:2168冊)

9月4日(火)
昨日届いた本を書いてお茶を濁すことにしましょう。
ジパング(上下) 林海象・栗田教行 角川文庫 石川さんに送っていただきました。ありがとうございました。なんだか申し訳ないです。
霧夜物語(第一集)(第二集) 三山晃勢 近代文藝社 探求本でした。近代文藝社の本はなんだか半分自費出版みたいでなかなか見つけにくい。これもずいぶん何年も(10年くらい?)探していたが、やっとネットの古書店で発見。ちなみにノンポシェットから三山晃生名義で出ている「室町夢幻物語」はこの2冊からの抜粋ということがわかりました。

長部日出雄「津軽よされ節」読了。

なんと今ごろ「パラサイトイブ」(しかも昔買った単行本で)読みはじめました。

よしださんの日記に唖然。

(今日買った本4冊 今月買った本:32冊 今年買った本:2168冊)

9月3日(月)
考えてみたら「グッドナイト・モンロー」の感想を書いていませんでした。
というわけで、唐突に本の感想のみ。

グッドナイト・モンロー 北野安騎夫 リイド文庫
短編集。6編収録。
グッドナイト・モンロー モンローの死ぬ間際に残した言葉に隠された意味とは?
蝗の王 刑務所に服役中のチャールズ・マンソンが生きている?噂を調査するために探偵は南部の町へ行く。
レノンを殺った男 ジョン・レノン暗殺に秘められた陰謀とは?
狂える将星 朝鮮戦争で現れたマッカーサーの秘密。
タイタニックという名の宿命 沈没直前のタイタニック号で繰り広げられるスパイ戦に巻き込まれた主人公。
冷たい七面鳥 家出をしてアマチュアロックバンドでヴォーカルをつめる、ジャニス・ジョプリンを髣髴とさせる少女が、ナイフでメッタ刺しにされて殺された。怨恨関係か通り魔か。その少女に好意を抱いていた元バンドマンはやりきれないものを感じて調査に乗り出す。そこに現れたのは少女の姉という清楚な美しい女性だった。姉の話によると少女の家は裕福な何不自由の無い環境だったらしい。にもかかわらず、少女は何故家出をしたのか。一体誰に殺されたのか。
最後の1篇を除いては、歴史上の事件の裏側を想像して書いたもので、短いこともあってまあ小説というより読み物という感じ。特に面白いという感じは無い。ただしオリジナルの最後の一編はなかなか面白かった。展開がある程度読めてしまうところと、短くて書き込みがやや薄いところに少し物足りなさを感じてしまうものの、キャラクターも生き生きと描かれ印象に残った。
ちなみにこの本と同じリイド文庫から出ている「ウィルス・ハンター」は何故か古書店では全然見かけない。惣坂さんにお譲りいただいてやっと読むことができました。ありがとうございました。

(今日買った本0冊 今月買った本:28冊 今年買った本:2164冊)

9月2日(日)
午前中、石井さんに教えてもらった情報で自由が丘のBへ。
虹をつくる男 龍胆寺雄 あまとりあ 1000円は安いだろう。石井さん教えてくれてありがとう。
SFアニメ大全集 別冊奇想天外 マンガとアニメ以外の奇想天外を別冊含めてそろえたのはかれこれ10数年前になるけれど、
SFマンガ大全集part3 別冊奇想天外 アニメとマンガは持っていなくて通番があいていてちょっと気持ち悪かったから。
佐々木マキのナンセンサス世界 思索社 これは嬉しい。各収録作品の初出がのっていないのでわからないが、かなり古い作品も含まれているような気がしないでもない。なにせデビューは「ガロ」だからなあ。俺なんかは三田村信行とのカップリングの印象も強いのだけど。
画狂人ラプソディ 森雅裕 カドカワノベルス まあなんとなく。100円だったし買ったことなかったし。(なんじゃそりゃ)
それから家人とあって再度旅行の打ち合わせ。なかなかきまらない。
夕方からヤボ用で実家へ。ついでによるのはBOOK OFF+アルファ。時間があまり無いのにね。
ヒナギクのお茶の場合 多和田葉子 新潮社 
光と影の誘惑 貫井徳郎 集英社
いつかきた迷路 野火晃 ノーベル書房 短編集
KI.DO.U 杉本蓮 デュアル文庫
海底密室 三雲岳斗 デュアル文庫
恋する犯罪 藤原智美 読売新聞社 これで小説は揃った。でもこの後別のBOOK OFFで帯つきを100円で見てがっかり。でも買わないところはちょっと成長したか?それがふつーだ。
六色金神殺人事件 藤岡真 徳間文庫 最近話題の本。ちょっと探そうかと思ってみたら、あっさり発見。本当は「ゲッペルス」を読むべきなのだが、元版が行方不明で読めません。だからといって出たばかりの文庫を買うというのもねえ。お金ないし。
猫曼魔 図子慧 小学館キャンパス文庫 そういえば全然関係ないけれど、森奈津子そろそろ買おうかと思い始めたら、すっかり見なくなってしまった。
幽霊病院の惨劇 篠田秀幸 ハルキノベルス
私はウサギ ひかわ玲子 中央公論社 デビュー当時に大陸ノベルス読んで以来、読んでいないのが。
ショパンにあきたらミステリー 青柳いずみこ 創元推理文庫
dクイーンの定員W 光文社文庫 やっぱり増補されているという噂なので文庫でそろえたい。(この前東急で単行本買っちゃったけどさ)
と思ったら、がーん、U、Wは持っているじゃんか。誰かいりませんか。いらないか。
ブラックオーク チャールズグラント 祥伝社文庫 うーん。そういえば出たという話を聞いていたが、本屋で見かけなくてすっかり忘れていた。これは買わねばなるまい。
赤い高梁 莫言 徳間書店 買おうとは思っていたのだけどね。
帰宅すると家人の機嫌が悪い。確かに実家に持っていった数より多い本を持って帰ってくるのだから、普通の神経の人なら怒るわな。それに全然減らないで増える一方なのは、単純な引き算なので小学生でもわかるだろう。二日で21冊はないよ。いやんなちゃうなあ。(プーさん調に)

結局読書時間はあまりとれず。

(今日買った本19冊 今月買った本:28冊 今年買った本:2164冊)

9月1日(土)
遅い夏休みに向けて家人と旅行の計画など立てて時間が過ぎる。
途中駅の古書店へ行くが、これといって買いたい物はなし。
夜からは「恐怖の怪」へ金光さんからお誘いを受けての参加。自己紹介で怖い話を披露するという趣向はさもありなんという感じだが、こちとら怪奇小説は好きでも、幽霊とやらにはとんと縁がないもので、適当にお茶を濁す。そこでフクさんに「今年何冊買ったか」とつっこみをいれられたため、本当のことをいったらみんな魂消ていた。あたりまえか。どうも日常生活を送っていると自分の基準で考えがちだが、どうも自分の買う本の量は普通ではないらしい。
途中木原さんに本物の心霊写真を見せていただいたところは、「恐怖の会」という感じであったが、あとは石井さん、初対面のシェヴァイクさんと古本談義をするところは、どこへいっても変わらないいつもの風景。葉山さんからはまたいろいろ裏話を伺ったが、あの葉山さんも最近は忙しくて本をあまり読めないらしい。こちらとしては怒涛の読書日記の再会を望んでいるのだが。石井さんはあいかわらず昼間は古書店周りをしていたらしいが、まいどまいどの熱心さには頭が下がります。お誘いいただいた金光さんもあいかわらず元気で「ペガーナ・ロスト」を販売されていた。まだ70部くらいしか捌けていないらしいので、皆さん買いましょう。松村みね子の復刻とかもお考えのようです。
ちなみに会場は赤坂の「ですぺら」で店主さんは「コーベブックス」「南柯書局」をやられていた渡辺一考さん。「幻想文学」誌でインタビューが掲載された頃よりちょっとお年をめされていましたが、かなりお元気そうで葉山さんとなにか熱心にお話されてました。
電車がなくなりそうだったので、11時半ごろに帰宅。

届いたものだけ。
犯罪旅行 多岐川恭 桃源社 目録より。購入金額の下限を少しあげることにしました。一応自分の中ではM22。
橋詰さんより
密輸人ケックの華麗な手口 R.L.フィシュ 持っていなかったんです。
SFマインド 創刊号  こんな雑誌知りませんでした。商業出版?同人誌?何号まででたの?どなたか教えてください。
星からの帰還 S.レム
太陽肛門 バタイユ
欺しの天才 バーナード クリスティーの評論。検索するとkashibaさんの感想が出てきた。さすがです。
魔女殺人 藤村正太  
easyseekで反応があった本。
画集グランビル 講談社 もう10年くらい探していたので、ちょっと高かったけど、十分血風です。嬉しい!
錆びた髯 飯沢匡 筑摩書房 松本さんが買われてい面白そうだったので,丁度上の本を買った本屋の目録で発見して購入。松本さんによると「こてん古典」で紹介されているらしい。すごいなあ。物知りだなあ。俺なんか1しか読んでいないんだぜ。

読書は長部日出雄の「津軽世去れ節」を読んでます。なかなか面白いな。

(今日買った本9冊 今月買った本:9冊 今年買った本:2145冊)