4月30日(火)

たまには児童書で大海赫「ランドセルは魔女」、純文学で柳美里「タイル」読了。
感想がたまってきたな。ネタ作り。ネタ作り。
とりあえずは1冊だけアップしておきましょう。残り3冊は順次ということで。明日は会社だが何を読もうかなあ。(本当は少年小説体系の1巻が涙香の「山と水」でストップしてしまっているのだが)

絶壁 多岐川恭 毎日新聞社

著者の本では入手困難なような気がするジュブナイル。これは川口さんからお借りしました。ありがとうございました。
刑事の姫野は伊豆地方の大川原市へ向かっていた。そこの市長が命を狙われているという。姫野は思い当たるふしがあった。数ヶ月前に死んだ男が、死ぬ間際に発した言葉がひっかかっていたのだ。市長は何故か現地の警察の介入を拒んでおり、姫野は途中でひょんなことから拾った助手の沼田を従え、護衛にあたることになった。しかし脅迫状の投げ込みや、果ては市長本人が怪しい男に襲われるといった事件が連続して発生する。市長の娘、圭子は友達の夏樹とともに素人探偵を買って出ることにした。
ジュブナイルだけあってわかりやすくすっきりまとまった作品になっている。中学生が素人探偵で事件にかかわってくるのもお約束。謎の解明自体はまあどうということもないものだが、最後のシーンには少しびっくり。てっきり「濡れた心」のような終わらせ方をするのかと思ったら、ジュブナイルだからかな?あと犯人像ははっきり言って不自然だと思うのだが・・。とはいえ、今読んでも結構気楽に楽しめる面白いのは確かで、戦争犯罪がからんでいるところはさすがに年代を感じざるを得ないのだが、まずまず読んで損の無い作品である。

買った古本。
dミニミニSF傑作展 アシモフ編 講談社 頼まれ物。
魔界からきた親友 学研オカルトノベルス きっと読まないよな気がする。
ベッドより愛をこめて 胡桃沢耕史 ケイブンシャ文庫
殺しは惨く、美しく 同 ピンク秘密諜報員シリーズの3と5。
娼年 石田衣良 集英社 これってミステリーじゃないの?
都立水商 室積光 小学館
ポジオリ教授の事件簿 T・S・ストリブリング 翔永社
出生率0 大石圭 河出文庫
塔の物語 井上雅彦編 角川ホラー文庫
d異形の愛 キャサリン・ダン ペヨトル工房
d36000キロの墜死 谷甲州 講談社 半額だが珍しかったのでつい。
永久帰還装置 神林長平 朝日ソノラマ

買った新刊。
仮想世界の優しい奇跡 早見裕司 富士見ミステリー文庫 

数えてみたら買った本のうち新刊は雑誌等も合わせて16冊でした。買った本の約1割が新刊のようです。新刊だけで考えれば冊数少ないですねえ。もっと買っている人が世の中にはたくさんいらっしゃいます。ところでSFセミナーではハヤカワJシリーズのサイン本が売られるらしい。いいなあ。

(今日買った本:13冊 今月買った本:141冊 今年買った本:634冊)

4月29日(月)
「ムーチョ・モージョ」の残りちょっぴりを読んだ後、「絶壁」多岐川恭と「赤い傘」大西赤人を読了。日本人作家は読みやすいねえ。まあジュブナイルと薄っぺらいショートショート集だからな。これで明日明後日の日記のネタは確保されたようなもんだ。

ムーチョ・モージョ ジョー・R・ランズデール 角川文庫
喧嘩っ早くて正義感の強い、おしゃべりな白人ハップと、怒りっぽいゲイの黒人レナードのコンビが活躍するシリーズ第二作。
ストーリーはこんな感じである。レナードは叔父のチェスターが死んだことを知らされ、遺産の相続を受ける。それは叔父の家であり、貸し金庫の中の謎の物たちであった。期限切れのクーポン券多数に、「ドラキュラ」のペーパーバック。二人は首をひねるが、叔父の頭がどうかしていたんだろうということにし、荒れた家の修理にかかるが、二人はとんでもないものを見つけてしまう。床から出てきたのはトランクに詰め込まれた子供の死体であった。叔父が殺人を犯したのか?どうしても信じられないレナードはハップを説得し独自で調査を開始する。
ランズデールはバットマンの短編しか読んでおらず、あっちはかなり危ないホラーだったような覚えがあるのだが、こっちは予想と違ってアメリカの人種問題に関する暗い部分を色濃く含んだ、社会派のハードボイルドと言っても良いような作品であった。重いテーマに比較すると軽妙な会話体と活劇が展開する作品であるが、登場人物たちはかなり魅力的である。面白い作品ではあるが、エンターテイメントとしてはテーマがちょっと重いかもしれない。自分の抱いていた著者のイメージとはかなり肌合いの異なる作品ではあった。


届いた本
メキメキえんぴつ 大海赫 小峰書店
ファンゴリア14,15,16,17  15だけダブり。セットだったので、仕方なかろう。

買った古本。
幽界森娘異聞 笙野頼子 講談社
マスグレイヴ館の島 柄刀一 原書房
電脳祈祷師 邪雷幻悩 東野司 学研
図像学入門 荒俣宏 集英社文庫 このシリーズも何を持っていないかわかんなくなってきた。
風水先生レイラインを行く 荒俣宏 集英社文庫
おにごっこ 山下定 ハルキホラー文庫 飯野文彦のが見つかんないんだよな。(新刊で買えよ)
ホームズ贋作展覧会下 河出文庫
枕草子の謎 藤本泉 徳間文庫 
スウィート・ブラッド 高瀬美恵 祥伝社文庫
リバティ・ランドの鐘 秋山完 ソノラマ文庫
俺に撃たせろ! 火浦功 徳間デュアル文庫
吉備真備陰陽変 片桐樹童 学研M文庫
ブルキナ・ファソの夜 櫻沢順 角川ホラー文庫
やさしく殺して 胡桃沢耕史 ケイブンシャ文庫 イヤーン・フラミンゴ1冊発見。全部ではないが、文庫・新書になっているとは思わなんだ。

(今日買った本:19冊 今月買った本:128冊 今年買った本:621冊)

4月28日(日)

世田谷文学館の「山田風太郎展」へ。同行したのは川口@白梅軒さん、いわい@夢現半球さん、無謀松@無謀松の一生の不覚さん、月うさぎ@月のうさぎさん、小林文庫オーナー@小林文庫さんの計5人。数ヶ月前に横溝正史関連の展覧会で同行したメンバーとほぼ同じである。(というか、いつも大体決まっていたりするのだが) 内容的には前回はほとんど常設展に毛が生えた程度だったのだが、今回はちょっと気合が入っていて、原稿や身の回りの品以外にも創作ノートや、取材ノート、日記、スケッチなどが多数展示されていた。恥ずかしい話でぼくは著者の作品を数作しか読んでいないのだが、愛好家の方にはきっとたまらないものだろう。ぼくも作品を読みたくなったので、近いうちに読もうと思う。展示品の中には著者関連として乱歩の貼雑年譜や中井英夫の日記ノートなどがあり、特に後者はちょっと意外だったのと、昔からのファンだったので嬉しかった。図録も展示品の紹介以外にも皆川博子さんのエッセイほかが収録されており、充実。とりあえずファンの人にはお勧めであろう。
その後はお茶を飲んだり、居酒屋いって時間を過ごす。最近同行の士と話す機会が無くストレスがたまっていたので、満喫。皆さんまた遊んでください。川口さんには多岐川恭の「絶壁」をお借りした。というわけでランズデイルはまだ読み終わらず。

買った本
山田風太郎展図録
川口さんに購入しておいていただいたもの
十三角関係 山田風太郎 光文社文庫

(今日買った本:2冊 今月買った本:109冊 今年買った本:602冊)

4月27日(土)

休日出勤。
帰りに町田のブックオフへ行って買い物。
スカイ・ウェブを突破せよ 荒神伊火流 ナポレオン文庫
魔道騎士アリアン 同
銀河を駆ける少女 同
シャランドの嵐 同 数日前より故あって探していた本。全5冊なのであと1冊。
蛍女 藤崎慎吾 朝日ソノラマ
アイスマン ジョー・R・ランズデイル 早川書房
エイリアン・クリック 森山清隆 カッパノベルス
ヘルメス落ちてくる地獄 ジョン・バクスター 角川書店 野田昌弘訳。持っているかもしれない。
真闇の園 黒岩研 幻冬舎
ぬかるんでから 佐藤哲也 文藝春秋
カタリ伝 島村匠 中央公論社
気まぐれスターダスト 星新一 出版芸術社
火群の館 春口裕子 新潮社

(今日買った本:14冊 今月買った本:107冊 今年買った本:600冊)

4月26日(金)

届いた本。
絶対絶命 フレデリック・ダール 三笠書房 小口天地見返しに蔵印とあるからT蔵書かと思ったが、違った。あれほどひどくはないけれど、似たようなことする人がいるんだね。でもこっちは函も奥付もあるし、いいやって感じ。
歌謡 日本不思議物語集成 現代思潮社 ひさしぶりに1冊。加藤郁乎編訳である。一応太平記と能はあるので、あと判明しているのはあと4冊。しかしごてごてして読もうという気を起こさせない本だ。

(今日買った本:2冊 今月買った本:93冊 今年買った本:586冊)

4月25日(木)

危険な空間 マーガレット・マーヒー 岩波書店
リアル(現実的)なもの、超自然を扱ったものとかなりの著作が翻訳されているニュージーランドの作家の作品であるが、これは後者で、こんな話。
主人公のアンシアは両親が海で行方不明になり、親戚の家へ引き取られている。その家には従姉妹のフローラがおり、いままでと家風の異なる家でアンシアは居心地の悪さを感じていた。そんな中、夢でヴィリディアンという世界に足を踏み入れる。そこはその家に昔住んでいて若くして逝ったグリフ叔父の想像の世界であった。これは単なる夢の中だけなのか。しかし、次第にその世界は、現実の世界に侵犯し始めることになる。一方そんなアンシアに危険を感じたフローラは意を決して、その家を改造したライオネルおじいさんの幽霊とともに、シンシアを助けに行く。
超自然的な部分と家族とは何かを描く部分を、無理なく融合させたジュブナイルとして良くできた作品であろう。ただしひねくれ者の自分は、後者の部分がどうしてもあからさまに説教臭く、また予定調和的に感じてしまったため、今いちのれなかった。作品は良く出来ていると思うので素直な人向け。


買った本。
SFマガジン6月号 北原さんの連載でイヤーン・フラミンゴが胡桃沢名義で再刊されていることを知ったので、探してみようと思う。
ミステリマガジン6月号 

(今日買った本:2冊 今月買った本:91冊 今年買った本:584冊)

4月24日(水)

今日は遅かったので寄り道なし。したがって書くことなし。

マーガレット・マーヒーの「危険な空間」読了。

ランズデイルを読み始めるが、これは時間がかかりそうな気がするなあ。

「あなたまミステリ掲示板」がつながらなくて不便。愛用していたのになあ。まあ日常的には決まったところしか見ないので、まあいいのだが。

(今日買った本:0冊 今月買った本:89冊 今年買った本:582冊)

4月23日(火)

本の感想など書いてみましょう。

妖かしの宴 水木しげる監修 PHP文庫
どこが水木しげる監修なのかさっぱりわからないが、「わらべ唄の呪い」という副題が示すように、童謡をインスパイアしたホラーアンソロジー。新津きよみ以外読んだことが無い人ばっかりだったので、どんなもんかとさほど期待は持たずに読んだが、良いほうに裏切られた。
郵便屋さん(新津きよみ) タイムカプセルに入っているはずの死んだ女友達の手紙が消えた。まあどうということない普通の作品。
花いちもんめ(矢島誠) これも発想がありきたりで、サプライズが無い。結末をちょこっといじってホラーにしてみましたという、最近では篠田秀幸のハルキホラー文庫の作品でも感じたことだが、怪奇の血を持たないミステリー作家の方がホラーを書いてみましたという印象が残った。
たこ凧あがれ(西谷史) ここに出てくる架空の「とむらい凧」という設定が面白い。ややとっ散らかっているが、まあまあ。
蛍こい(樋口明雄) 大人向けの冒険小説を多く執筆している著者だけに、集中ではエンターテイメントとして抜きに出た筆力を感じた。さすが冒険小説の書き手である。クーンツタイプの長編ホラーなどを書いたら、面白いものを書いてくれそうだ。
やまたのおろち(水木しげる) 旧作まんがの再録。久々に読んだけど、さすが。ちょっと枚数が短いのが残念。
ひらいた ひらいた(藤水名子) 中国物を多く書いている印象があるのだが、それを髣髴とさせるパチンコ奇談で、どことなく神仙譚との血縁を感じる。ホラーとは言えないと思うが、ひねった奇妙な味の短編として評価したい。
籠女(高瀬美恵) 「うぶめ」ならぬ「かごめ」である。刑事を登場させ、ミステリーチックな味わいを見せながら、幕切れではぞっとさせてこれぞ短編怪奇小説という見事な切れ味。ジュブナイル作家という印象があるが、この人の本も読まなきゃね。
今年の牡丹(加門七海) 結構買っているのだが、読むのは初めて。どこか赤江瀑を意識したような舞台設定と登場人物と展開。正直オリジナリティは今ひとつ感じないのだが、出来としてはまあまあ。オマージュなのかな?もともとこういう作風なのかな?
通りゃんせ(霜島ケイ) 日本家屋を舞台にしていて、雰囲気はどこか「真夜中の檻」を思わせる。(古い日本家屋は怖いのだ) 最後はひねっていて(ちゃんと伏線もひいてある)おっと思わせる。ただその辺はとても巧いと思うのだが、一人称で書いているので冷静に考えるとちょっとそれはないんじゃないの?って感じがしないでもない。
ずいずいずっころばし(秋月達郎) 予定調和のテレビドラマ風作品で平凡。高瀬美恵の作品とは正反対で余韻が残らない。こちらが期待している怪奇小説とはちょっと異なる。童謡の解釈には面白さは感じるものの、全体的にはいまひとつ。
全体を見渡してみると、童謡を文字通りに解釈せず、消化した上で物語りに仕立てたものがやはり面白いように思う。集中ではやはり高瀬美恵、樋口明雄に軍配を上げたいが、藤水名子もアンソロジーのテーマを逆手に取った諧謔味ある作品で捨てがたい。
読了後kashibaさんの感想を見て、同じところと異なるところがあって面白かった。人の感想と見比べるとやはり面白い。藤水名子の評価は正反対ですな。


(今日買った本:0冊 今月買った本:89冊 今年買った本:582冊)

4月22日(月)

久々に早く会社を出る。といっても9時近かったけど。

lain 小中千昭 ソニーマガジン
アニメの原作というかシナリオ集。ゲームともタイアップしているらしい。良く分からないけど。本作品は基本的に映像作品だから、シナリオとして単体で評価するのは間違いだと思うが、アニメは見る気がないので本書を読んだだけの感想である。
作品としては現実(リアルワールド)とネットワークの仮想世界(ワイヤード)との抗争で、ワイヤードがリアルワールドを侵食していく様を描いている。発想そのものは今となっては独創性は感じられないが、それでも何かと話題の掲示板とかを見るにつけ、現実に目に見えないネット世界というのは存在しているのを最近感じているので、今の問題であることを思い出させてくれる。そこは匿名性が強く(誰もが誰にもなれる)、いわゆる現実の世界とは厳然とした壁がある。そこに現実世界の自分を投影する人もいれば(ぼくはそうだ)、そうでない人もいる。インターネットは世界をつなぐと共に、今まで存在していた人間関係の境界線すらも破壊してしまうことがあるように思う。ぼくは古い人間なので、あくまでも人間とは現実に存在する人間としてつきあいたい。ちなみに少々ナルシスティックな匂いもする注釈は、映像を見ていない人間には不要な部分が多い。やはりあくまでも映像を見て評価するべきだろう。いろいろ考えましたが映像を見ていない人は読むことはない本でした。


突然、ある本を探したくなりブックオフに寄るが、なし。

読書は「妖しの宴」(PHP文庫)。

(今日買った本:0冊 今月買った本:89冊 今年買った本:582冊)

4月21日(日)

いつになく早く更新してみる。
ブックオフ等に寄るが買うものなし。

買った本。
ユリイカ メルヴィル特集 前にも一回特集されたことがあったような気もする。(持っているかもしれないが、ユリイカに関してはとびとびで気が向くと買うのでさっぱりわからん) 本邦初訳短編や全著作解題があって資料的価値も高い。でも全著作解題にブックガイドが無いのがユリイカらしい。調べた結果、確実ではないけれども長編は国書刊行会のメルヴィル全集で、短編は国書刊行会のゴシック叢書2冊で読めるようである。(今回ユリイカ収録の小品は除く) ただ「アリス狩り」で触れられていた小説家になる前に書かれたという小品はどこかに収録されているのだろうか?評論や詩の収録はどうなんだろう。今度家で調べなくちゃ。そんなことしてないでさっさと読めばいいんだけどね。でもメルヴィルの小説を読むには思い切りがいるからなあ。で、どうでもいいけど、なんで高山宏氏はいつもサングラスにアロハシャツみたいなの着ているんだろう。格好なんてどうでもいいのですが、都立大学でもこんな格好で講義をされているんでしょうか。素朴な疑問を感じてしまいました。

臨時増刊の「指輪物語」も出ていたが、これも今度買おうと思う。指輪物語そのものは(全部読んでいるけれども)好みじゃないが、その背景や陸続と類似作品が生み出されたことには興味があるからだ。
ところで安田ママさんの日記を見て、もしかしたらと気がついたことがひとつ。ママさんは「指輪物語」の登場人物に感情移入されてかなり楽しんで読まれているように受け取ったけれども、ぼくは読書において登場人物(キャラクター)に感情移入することをあまりしない、というかできない。そこがもしかするとハイファンタジーが苦手な要因かもしれないと思った。ファンタジーは遍歴の物語であり、一種のイニシエーションとも言えるように思うのだが、それは登場人物と一緒にその世界を遍歴し、体験しないと面白さが伝わってこないのではないか。ぼくは感情移入しないから(できないから)、観察者的視点でしか(冷めた視点でしか)物語を読むことしかできず、面白さが今ひとつ伝わらず苦手と思ってしまうのかもしれない。あ、冒険小説もちょっぴり苦手だったりするのももしかしてそういうことなのか?うーむ、なんかそれってすごい不幸なことのような気がするぞ。できないものは仕方ないけど。あ、だから怪奇小説や幻想小説が好きなのか?あれはあんまり感情移入しないような気がするもんな。

lain 小中千昭 読了。

(今日買った本:1冊 今月買った本:89冊 今年買った本:582冊)

4月20日(土)

アリス狩り 高山宏 青土社
著者の最初の本。3部構成で、第一部がルイス・キャロル、第二部がメルヴィル、第三部がホームズおよび推理小説について書いたものが集められている。第一部は文庫解説が冒頭に来ているため、わかりやすく、ルイス・キャロル(というかドジスン教授)に対する考察と、それが投影された作品である「アリス」等について書かれている。これを読むと翻訳では分からない部分(英文におけるテキストの構造等)などが伺え、アリスはやはり原文で読まなくては本当の意味では理解できないのだなと思う。これは翻訳する側の方にも難題であろう。福島正実や矢川澄子等の優れた翻訳者の方が訳されているが、フィネガンズウェイクで柳瀬氏が見せた超訳とでも言うべき技が無いと難しいね。
第二部のメルヴィルについては頭の悪い自分には少々難しく、うすらぼんやりとしかわからなかった。でもメルヴィルは読みたくなったな。丁度ユリイカでも特集されているし。(ユリイカ買おうかな)
第三部はホームズと推理小説に関する考察。最近この部分と他のミステリに関する考察を集めたものが文庫で刊行され、そのタイトルになった「殺す・集める・読む」が収録されているが、一応全体の一貫した流れがあるので、本書で読むことの価値もあると思う。これはさすがにエンターテイメントの考察であるので、親しみやすく分かりやすい。併録の童謡殺人に関する考察はやや枚数不足の感もあるが、いずれにしてもいわゆるミステリー分野内部からの考察ではなく、英文学、英国文化からの考察として面白いものであろう。
(自分には)難しいところもあるけれども、図版豊富で面白かった。ホームズも面白かったけれども、特にキャロルのところが面白かったな。


買った古本。
d俳優 井上雅彦編 廣済堂文庫 すでに何を持っているのかわからない。やはり持っていた。「宇宙生物ゾーン」がもっていないらしい。
dトロピカル 同 手持ちを探すのも面倒なので、読んで即処分しなきゃ。
よみがえる拳銃 カート・キャノン ハヤカワミステリ文庫
神は銃弾 B・テラン 文春文庫
明治必殺 楠木誠一郎 祥伝社
d翳ある墓標 鮎川哲也 立風ノベルス

これから小中千昭の「lain」を読みます。

(今日買った本:6冊 今月買った本:88冊 今年買った本:581冊)

4月19日(金)

帰りが遅すぎて本屋もあいてませんでしたので、何も買わず。ヘビーな一週間であった。

届いた本だけ。
ファンゴリア No9 集めようと画策中のホラー雑誌。高く買うつもりはないけれど。
ゆうれいがいなかったころ 岩本敏男 偕成社 「幻想文学」児童文学特集の紹介で見て以来(20年近い?)長年の探求本。嬉しいなあ。
ジャン・パウル三本立 ジャン・パウル 近代文藝社 本邦初訳の小品3つを収録した本。自費出版かもしれないけどあなどれないなあ。
売り出す 多岐川恭 東京文藝社 多岐川2冊はオークション落札。競ったのでかなり高くなっちゃった。まあ仕方が無い。
無頼の十字路 多岐川恭 桃源社 いよいよ残り9冊でマジックらしくなってきた。まだ桃源社が5冊もあるよ。
植草甚一研究 晶文社 スクラップブック別巻 まあまあの値段だったので購入。でも何を持っているのか確認するのが先決だと思うぞ。

(今日買った本:6冊 今月買った本:82冊 今年買った本:575冊)

4月18日(木)

「アリス狩り」読書継続中。

購入した本。
少年探偵王 光文社文庫 品川駅の本屋でやっと発見。これは安い。ぜひ続巻を出していただきたいものです。売れるかどうかが心配だけど、この本近所では売り切れていたからやっぱり売れているんじゃないのかなあ?だめかなあ。ぼくは新刊で買いますよ。

買った古本。
d空中楼閣を盗め D・E・ウェストレイク ハヤカワミステリ文庫
dやとわれた男 D・E・ウェストレイク ハヤカワミステリ文庫 うーむ、両方ともダブりであったか。
バカなヤツらは皆殺し ヴィルジニ・デパ 原書房
狼は瞑らない 樋口明雄 ハルキノベルス
ロスト・ガールズ アンドリュー・バイパー 早川書房
セカンド・エンジェル フィリップ・カー 徳間書店
ダイヤモンド・エイジ ニール・スティーブンスン 早川書房
ドン・イシドロ・パロディ六つの難事件 ボルヘス&カサーレス 岩波書店

(今日買った本:9冊 今月買った本:76冊 今年買った本:569冊)

4月17日(水)

これを書いているのは日曜日の朝なのだが、あとで書く日記に意味があるのかしらん。

砂の王 古川日出男 ログアウト冒険文庫
一部で「アラビアの夜の種族」が話題の著者の処女出版。著作を全部持っているのに、この本から読み始めるところが我ながらひねくれている。ウィーザードリィ外伝という副題が示す通り、ゲーム小説の体裁を取っている。ぼくはゲームはやらない人間なので、ゲームに対してどうこうは良くわからないのだけど、ともかくはファンタジーとしてなかなか面白かった。過去にベニー松山や牧野修のゲームノベライズは読んだことがあるのだが、本書は特にゲームの枠組みだけを借りて自分の世界を語ろうとしている方向性を強く感じた。ダンジョンの探索や敵との戦いなど、ゲーム小説の構成として避けて通れない部分はあるのだが、(そこでストーリーがある程度規定されてしまうのが残念といえば残念だが仕方が無い)、それを差し引いても面白さは十二分に伝わる。キャラクターも良くて、これで独自の小説世界を作ったら、どんなだろうと期待が膨らむ。掲載誌の廃刊で続きが書かれずに終わってしまったのは残念であるが、ゲームに関心が無い人でも読んで損は無い作品だと思う。(ただし途中で作品が終わっていることを我慢できない人は読まない方がいいかも。続きがかかれる可能性はまずないから) ベニー松山氏はこの本の後の展開を本人から聞いて知っていたそうだが、どんなだったんだろうなあ。

購入した古本
夜明けのブギーポップ 上遠野浩平 電撃文庫
シガレット・ヴァルキリー 吉川良太郎 徳間デュアル文庫
大赤斑追撃 林譲治 徳間デュアル文庫

(今日買った本:3冊 今月買った本:67冊 今年買った本:560冊)

4月16日(火)

買った本。
水谷準集 ちくま文庫 光文社文庫のジュブナイルアンソロジーが見つかんない。
驚いたのが、山田風太郎の「十三角関係」が初版に戻っていたこと。前に見たときは重版だったし、帯には「今月の新刊」の文字がないので初回配本時のものから変わっているのは確かなのだ。また差し替えたのか?でもそうすると初版は倉庫にでも残っていたというわけか?うーん、不思議だ。

また驚いたのがハヤカワ文庫から出た「ローラーボール」。映画化のためらしいが、今更文庫になるとはねえ。ちなみにこの本はSF、幻想系の短編が大半を占めていて、しかも面白かったので(単にぼくの好みだけなのかもしれないが)、お勧めである。手持ちは焼けあ激しいので、文庫で買いなおそうかな。

エニックスの津原泰水編集のアンソロジーが文庫になったのも驚いた。これは文庫にならんだろうと思っていたのだが。最初の2冊は新刊で買っていてちょっと複雑な気分だけれでも、積読のままの自分が悪い。

(今日買った本:1冊 今月買った本:64冊 今年買った本:557冊)

4月15日(月)
西武も惨敗を喫して書くことがないのである。

さすがに高山宏の本は読み飛ばすわけにもいかず、短い通勤電車での読書時間でも集中できないとなかなか読み進めない。早く読み終わらないと本もでかいし、困っちゃうなあ。
「砂の王」の感想はまた今度ということで。

「指輪物語」が売れているようで喜ばしい。ぼくの好みではないけれども、凡百のファンタジーは足元にも及ばない世界構築がなされているのでその価値は大いに認めるものである。やはり言語の創造から始めるところが、本職とはいえ並ではない。何にしても「指輪」でさえ、面白いと思えないのぢゃ、ハイファンタジーを面白いと思う感性が、ぼくには欠けているとしか言いようがない。ちなみにエンデの「はてしない物語」では色分けされた活字で印刷された前半で、本の中の世界が現実世界に侵入してくるところがメチャクチャ面白かったのに、後半異世界にいってからはすごく退屈であった。だから「はてしない」は前半だけ大好きだということになってしまったんだ。

本自体は先月よりは買ってますな。

(今日買った本:0冊 今月買った本:63冊 今年買った本:556冊)

4月14日(日)
今週も忙しい予定だが、できるだけ毎日日記を更新したいものである。
買った本は無いが、bk1から昨日とどいた新本の報告。
丹生都比売  梨木香歩 原生林
エンジェルエンジェルエンジェル 梨木香歩 原生林 ちょっと古めの本だけれども、この2冊は本屋でも古本屋でもみない。
ウサギの本 松浦寿輝 新書館
夢の狩人  ニール・ゲイマン インターブックス 最近まで存在を知らなかったストーカー賞受賞作。絵物語。コミックスだけれども、「サンドマン」が欲しいな。
ダブル  久綱さざれ 学研 ムー伝記大賞入選作品。

砂の王 古川日出男 は読了し、アリス狩り 高山宏 青土社を読むことにする。

芳年冥府彷徨 島村匠 文藝春秋
ホラー文庫に書いているというのが主な理由で注目している著者のデビュー作にして松本清張賞受賞作。
そもそもこの松本清張賞というのが、広義のミステリーだけではなく時代小説をもその対象にしているのが他のミステリー系文学賞とは一線を画しているところであろう。審査員にも白石一郎らが名を連ねている。本書も血みどろの浮世絵で知られる月岡芳年を主人公に据えた時代小説であるが、浮世絵の題材の選び方としては異端であろう芳年を主人公に据えているというところが、自分としてはとりあえず嬉しくなる。物語は黒頭巾の男が浪人風の男を殺すところを偶然目撃した芳年が、殺意というものに取り付かれ、黒頭巾の男を追うという構成になっており、広義のミステリーとはいえるかもしれない。月岡芳年の生涯の史実がどれだけ盛り込まれているのかはわからないが、藝術を追求することによって殺意にも取り付かれることになる主人公の芳年の造形を始めとして、なかなか読み応えのあるものとなっている。本書は芳年という実在の浮世絵師があっての小説ではあるが、その作品世界を巧に小説世界に溶け込ませることに成功した面白い小説で、この本を読むと芳年に興味を持つこと請け合いであるが、その作品に簡単には触れられないのは少々残念ではある。佳作。

自分の読んだ本をwebで検索するのが好きなのだけど、本書に関しては新しい割に感想が少ない。あまり読まれてないんかな?ネットだけのことなのかな?芳年の絵が浮かぶ浮かばないでちょっと感想に違いが出るかもしれんけど、小説としても面白いんだけどねえ。なんかちょっと残念な感じ。

(今日買った本:5冊 今月買った本:63冊 今年買った本:556冊)

4月13日(土)
神奈川古書会館展に行く。古書展に行くのはずいぶん久々のような気がする。会場に森さんにいてびっくりすると共に、こりゃ期待できんわいと思ってしまう今日この頃。
ミス・ブロウディの青春 ミュリエル・スパーク 筑摩書房 100円で買えたのはラッキー。欲しかったんだ。
怖い食卓 北宋社 人食小説アンソロジーだが、持っている気がしてならない。
大衆文学全集33 国枝史郎集 平凡社 持っている気がしてならない。
歌舞伎ダイジェスト 戸板康二 暮らしの手帖 歌舞伎の有名作をダイジェストしたもの。基礎知識用として購入。100円だし。
別役実の世界 新評社 
創元推理8 どの号を持っているか早く確認しなきゃなあ。
安部晴明 「闇」の伝承 小松和彦 桜桃書房
明治「空想小説」コレクション 横田順彌 PHP 買い逃していたもの。
dSFアニメ大全集 奇想天外社 別冊奇想天外 わあ、やっちまった。
必携ミステリー手帖 蝸牛社 どうでもいい本である。
三角館の恐怖 江戸川乱歩 講談社 生頼範義表紙のもの。函がついて300円だったから。
大江戸奇怪草子 花房孝典編著 三五館
龍之介地獄変 小沢章友 新潮社
DZ 小笠原慧 角川書店 最近横溝正史賞づいている。これは署名いり。

bk1から注文の残り本が届いたが、リストアップは明日ということで。

この二日間は久々に本をたくさん買った気がしました。家が悲惨なのでゴールデンウィークはちょっと本を処分するようにしようと決意。

(今日買った本:14冊 今月買った本:58冊 今年買った本:551冊)

4月12日(金)

届いた本
ある大使の死 コールズ 新潮文庫
幻想文学館4 悪夢のような異常な話 くもん出版 あと5巻だ。高く買うつもりは無いけれども。振込み代入れても定価以下だからいいや。
小説劇場  エロ雑誌だけれども「女はナメろ 男はバラせ」という島久平の短めの長編が掲載されている。
話すどくろの謎 R・アーサー 偕成社 結構冊数出ているみたいだけど、一回も見たこと無いなあ。
ウィザードリィ小説アンソロジー JICC出版局 よしださんに教えてもらった佐山アキラ名義の馳星周作品狙い。自力発見はあきらめる。
血染のパイプ  甲賀三郎 改造文庫第二部第196篇 改造社 2500円という値段は高いのか安いのか。

買った本。久々に古本屋数件。
T・R・Y 井上尚登 角川書店
視る男 モラヴィア 早川書房
ある日どこかで リチャード・マシスン 創元推理文庫 新刊で買おうと思っていたら古本屋で見つけちゃいました。申し訳ないことです。
チェーンレター 青沼静也 角川書店
なぎらツイスター 戸梶圭太 角川書店
長い腕 川崎草志 角川書店 
幻視者 ドン・パスマン 早川書房 持っているかも。
脱線の箱 澁澤龍彦文学館3 筑摩書房 これで無事12冊揃いました。
d関根弘お伽噺集 創土社 なんとなく。
化蝶記 皆川博子 読売新聞社 持っているかも。
ワン・オブ・アス マイケル・マーシャル・スミス ソニーマガジンス 持っているかも。
死弦琴妖變 加門七海 富士見書房 
演じられた白い夜 近藤史恵 実業之日本社
クロック商会 フリードリヒ・グラウザー 作品社 3冊揃いました。

「芳年冥界彷徨」 読了。次は「砂の王」を読むことにします。

誕生日で1つ歳を取りました。
大森さんの日記をたまたま見たときに「読まない本は買わない。読んだ本は処分する。読まない本も処分する。」とあって、そうだよなあ、とうなる。誕生日に当たってあと一生のうちそれだけ本を読めるかを考えると、こんなに本を買ってもしょうがないよなあ、と実感するのでした。

(今日買った本:20冊 今月買った本:44冊 今年買った本:537冊)

4月11日(木)
買った本は1冊。
砂絵呪縛(前) 土師清二 中公文庫 間違えて後編を2冊持っているのだが、今日も買うとき良く分からなくて怖かった。

日記を見返して書いていないことにきづいたが、大熊さんからいただいた本があったのでした。ありがとうございます。たまにちょっとづつ読んでます。
日課 一日三枚以上(1) 眉村卓 自費出版のショートショート。第一期10冊が完結。残りも早く買わなきゃね。

最近とみに短くなってきた日記でした。
届いている本が少しあるが、そちらはまとめて。

(今日買った本:2冊(いただき本含む) 今月買った本:24冊 今年買った本:517冊)

4月10日(水)
途中で買った本1冊。
黄泉のうさぎ 小柳玲子 花神社 「夢人館」の編集をやっている人の散文詩。

フリスク デニス・クーパー ペヨトル工房
ゲイ小説。自らをモデルにした要素を含また観念的な小説かと思いきや(そういうところもあるが)、血みどろのエロティシズムに彩られた殺戮を描いた章などもあって、難しいやらすさまじいやら忙しい。どうにもこうにも単純な精神の持ち主の自分には理解しにくいところもあって、楽しんだとはいいがたい。風間賢二氏の解説を読むと、ポストモダンの凄い小説のようであるが、いまいちピンとこなかった。キャシー・アッカーを髣髴とするが、あっちもぼくにはピンとこなかったからなあ。ポストモダンはぼくのレベルでは難しいらしい。(大体ポストモダンってなあに?) 感想にも紹介にもなっていない一文でした。まだ著者の本は2冊積読があるんだけど、読めるかしらん。

(今日買った本:1冊 今月買った本:22冊 今年買った本:515冊)

4月9日(火)

最近まとめ書きが多い日記です。読んでいるのは島村匠ですけれど、時間がなくてまだ1/4です。本を読む時間をくれ〜。

ということで今日はお終いです。

明日も遅いので読了、買書も無いでしょう。更新も無いかもしれません。ためるとつらいんだけどね。

(今日買った本:0冊 今月買った本:21冊 今年買った本:514冊)

4月8日(月)

残業で疲れた身体をひきずってブックオフへ。
時の果てのフェブラリー 山本弘 デュアル文庫 当時雑誌の書評で結構誉められていたので買ってはあるんだけど。大幅加筆だとねえ。
奇妙な味の菜館 阿刀田高編 角川ホラー文庫
ヤポニカ・タペストリー 久間十義 河出書房新社 持っているかも。出口王仁三郎がモデルなんだね。
中空 鳥飼否宇 角川書店 妙に定価が安いなあ。例の昆虫探偵でとても気になっているんだよね。

秘密 東野圭吾 文藝春秋
スキーバスの事故で妻と娘が重症を負った。妻はやがて息をひきとるが、植物人間になる恐れのあった娘は命を取り留める。しかし気が付いた娘の意識は妻のものであった。
異常な状況下におかれた主人公の夫の心情がとてもよく書かれていて、長丁場の本も一気に読める。娘に対する愛情、妻に対する愛情。やりきれない状況への怒り。そして最後に明かされるタイトルの意味。発想的には(ラストもふくめて)驚きは無いものの、そのアイディアを生かす小説作りの巧さはさすがであると思った。この人の本を読むのは始めてであるが、他の本もぜひ読もう。多くの人が誉めていて、ミステリーベストにも選出されているけれど、これなら理解できる。でもこれってミステリーじゃないんじゃないの?SFもしくはファンタジーだと思うんだけどなあ。どうなんでしょ?(まあ実際はジャンル分けなどどうでも良くて、大切なのはその本が楽しめるかどうかなんだけどね)とにかく読んで満足の1冊でした。なお読んだのは単行本ですが、文庫では皆川博子さんが解説を
書いておりました。(解説だけ立ち読みしました)

デニス・クーパー「フリスク」読了。

(今日買った本:4冊 今月買った本:21冊 今年買った本:514冊)

4月7日(日)

買った古本。
星は昴 谷甲州 ハヤカワ文庫JA 持っているかも。
九つの殺人メルヘン 鯨統一郎 カッパノベルス
奇蹟への旅 ミシェル・トゥルニエ パロル舎 「オリエントの星の物語」のジュブナイル版。持っているかも。
冒険者たち 斎藤敦夫 岩波少年文庫
墨攻 酒見賢一 新潮文庫
危険な愛に目覚めて 栗本薫編 集英社文庫 収録されているのは小松左京や筒井康隆、赤江瀑など好みの作家が多い。

なんて素敵なジャパネスク 氷室冴子 コバルト文庫
平安時代を舞台にしたラブコメディ。まあ活字で書かれた少女漫画ですな。細かいことは気にしてもしかたがないしね。これ以上書くことないんですけど・・。

「秘密」 東野圭吾 読了。

(今日買った本:6冊 今月買った本:17冊 今年買った本:510冊)

4月6日(土)

休日出勤。土曜日だというのに朝から晩まで仕事。とほほのほ。

帰りに本屋で買う。
鮎川哲也名作選 河出文庫 幻想譚などが1/3含まれるとある。そうかあ。

そういやユリイカはメルヴィルの特集で欲しいけれど、1300円もするのか。雑誌は買ってもぱらぱら見ておしまいになりそうだからな。(というか雑誌はいつも大体そうなんだけどさ)

MYSCONのところをぱらっと見たのだけど、某葉山さんが良く見るサイトに拙HPをあげていただいていたのに気が付いて驚く。葉山さんにそんなことを言われるのはもったいないおばけが出そうである。

読書は「変身」東野圭吾です。涙香は全然進まなくなっちゃった。

(今日買った本:1冊 今月買った本:11冊 今年買った本:504冊)

4月5日(金)

なんて素敵にジャパネスク 読了

買った古本
日本妖怪大全 水木しげる 講談社α文庫

後宮小説 酒見賢一 新潮社
栄えある第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。中国の後宮(皇帝の娼妓を集めた王宮で中国各地から様々な階層の女性を集め嫡子を産ませることを目的とする)を舞台にした小説で、どちらかというとホラ話という感じであり、飄々としたユーモアが横溢した作品。ただし著者は中国哲学専攻のせいか、かなり本当らしく書いてあるため、ぼくのような中国の歴史に疎い人間には全て本当のような気がしてこないでもない。
本書は指輪物語に代表される既成のファンタジーの概念からはおよそかけ離れた作品ではあるが、アングロサクソンの考えた世界だけがファンタジーでもあるまい。付録の選考経過を読んでいても、各選考委員はファンタジーの概念からはずれた作品をこそ選ぼうとしているふしが伺える。登場人物も非常に良く書けていて魅力があり、第一回にふさわしい、いろいろな意味で面白い小説である。読んでいない人には、お勧め。


(今日買った本:1冊 今月買った本:10冊 今年買った本:503冊)

4月4日(木)
火曜日に買った気がするが、忘れてました。
アラビアンナイト殺人事件 ジョン・ディクスン・カー ポケミス
ヴェイスの盲点 野尻抱介 富士見ファンタジア文庫
ベクフットの虜 野尻抱介 富士見ファンタジア文庫

(今日買った本:3冊 今月買った本:9冊 今年買った本:502冊)

4月3日(水)

昼間渋谷を通ったので、bk1にふられた雑誌を購入
幻想文学63号

書棚を見ると欲しい本がやっぱりいっぱい。特に海外文学系で、たくさん欲しい本が出ているなあ。ラシュディとかポウイスとか。あと筑摩から牧野信一全集(全8巻!)が出ていたのにはびっくり仰天。何故筑摩書房はこんなに全集を気が狂ったように連発できるのだ?またつぶれるんじゃないかといらぬ心配をしてしまう。牧野信一は人文書院の旧版を持っているのだが、新版ほしいな。童話20編くらい新収録されているらしいし。あと野溝七生子短編全集も発見。そういえばどっかで話題に出ていたな。これで立風の作品集は不要になっちゃったなあ。まああっちは装丁が良いので持っていても良いとは思うが。

後宮小説は読み終わったので、「なんて素敵なジャパネスク」(まずは1冊だけ)を読むことにする。

bk1から古川日出男氏の短編のテキストが届いた。ああ、良かった。でも「アラビアの夜の種族」の後日談らしい。うーむ、読めないじゃん。最初に「砂の王」から読もうと思っていたんだけどなあ。

忙しくて本読む時間がないっす。たまには9時前に会社を出たいよ。

(今日買った本:1冊 今月買った本:6冊 今年買った本:499冊)

4月2日(火)

感想のみ。

快傑ゾロ ジョンストン・マッカレー 創元推理文庫
庶民の味方、快傑ゾロ。それはアメリカ版鼠小僧次郎吉。悪党から金を奪い、貧乏な庶民に分け与える義賊。まことに古典的なヒーローである。ストーリーは快傑ゾロが美女を巡って悪代官を懲らしめる話であり、登場人物を日本人に置き換えればテレビの時代劇にすることも十分可能。典型的なフォームミュラーフィクションなのでなんとも形容のしようが無いが、読んでもいいけど得るものはあまり無いというのが正直なところ。無粋なぼくにはいまひとつでした。ロマンス小説でもあるので、そっちに脚光を当てて、映画にするという企画はわからないでもない。まあ映画は見てないから、どんなんかわかんないけれど。

(今日買った本:0冊 今月買った本:5冊 今年買った本:498冊)

4月1日(月)

昨日bk1に注文して夜のうちに届いて驚いた本。
想師 灰崎抗 学研
アビシニアン 古川日出男 幻冬舎 一度も本屋で見たことが無いと思っていたのだが、背表紙を見るとどっかで見たような・・。それにしても「「アラビアの夜の種族」の売り切れでフェアが終わってしまっていたのだが、おまけの短編のテキストはもらえるんかなあ。

石川さんから届きました。
妖星伝2,3,4 半村良 講談社文庫 いつも申し訳ありません。今月から来月にかけてでも読もうと思います。

最初佐賀潜の「黒い頭脳集団」を取り出して20ページほど眼を通して、全く読む気が起きず投げ出してしまう。趣味の読書なんだから読む気が最初からしないものを読もうとするものじゃない。kashibaさんが買っていたので、つられて買った本が何冊かあるけれど、きっともう読まないと思う。読まずに処分するのは気が引けるものの、基本路線としては買った本は読むつもりなので、読む気が無い本はあっても仕方が無い。ということで佐賀潜の本は基本的には処分してしまおうと思う。いつか読みたくなることがあったら、その時はまた探せば良い。現時点でもっと読みたい本は無数にあるんだから。早く処分する本をまとめなきゃなあ。
で、気を取り直して酒見賢一の「後宮小説」を読むことにする。

ラヴクラフト全集1 国書刊行会
再読。でもほとんど覚えていないので初読とあまり変わらない。得しているような、損をしているような。以下収録作品とコメント。
洞窟に潜むもの タイトルそのままの話だねえ。でも洞窟という舞台はラブクラフトの世界を感じる。15歳の時の作品。
錬金術師 優等生的な怪奇小説という感じ。
奥津城 納骨堂の奥に潜むもの。後年のラブクラフトを彷彿とする。
デイゴン 早くもクトゥルー神話の萌芽を感じる。ダゴンの方がとおりがいい気もするけど。
北極星 夢の世界を描くファンタジー。「ナコト写本」登場。
眠りの壁を超えて 夢の世界というよりは霊界を描いたようだ。「霊訓」とかを彷彿とする。
忘却 散文詩的ファンタジー。なにやらダンセイニのよう。
ファン・ロメロの変容 正統的なクトゥルー神話的作品。炭坑の陥没した奈落から聞こえてくる鼓動。音への恐怖。
白い帆船 帆船での夢幻的航海と訪れる世界を描く寓話的作品。
サーナスの災厄 架空世界を神話的に描いた作品。
ランドルフ・カーターの証言 墓所を暴いて奈落へ下っていく恐怖。
怪老人 謎の老人を描く怪奇小説の掌編。
木魅 解説の矢野浩三郎氏はホーソーン的と表現している寓話的作品。ラブクラフトらしくはないな。
ウルサーの猫 ウルサーでは猫を殺してはいけないという言い伝えがある。その理由は?猫怪談。
海底の神殿 遭難したUボートの船長が遭遇する海底の怪異。個人的にはクトゥルー神話への萌芽が最も強く見られると思う。
アーサー・ジャーミン卿の秘密 類人猿ネタ。これもパルプホラーっぽい作品。
古い通りの物語 ラヴクラフトらしさは全く無いのだが個人的には集中、一番気に入った。街を主人公にした幻想小説。
光の都セレファイス 夢の世界を描いた作品。
向う側 マッドサイエンティストもの。発明品により向う側の世界を覗いてしまう。
ナイアーラソテップ 散文詩的作品。
一枚の絵 アーカム近くの古い家で出会う怪異。1冊の本の挿絵が怪異の中心を導く。
忘却の彼方へ 夢の世界を描いた散文詩的作品。
廃都 狂気の詩人登場。伝説の廃都で出会う怪異。クトゥルー神話に連なるであろう。
流離の王子イノラン 寓話的ファンタジー。
月沼 呪われた沼を開拓しようとした男に降りかかる怪異。ラストが一枚の絵のようである。
アウトサイダー 平井呈一訳を再録。自伝的な小説であろうか。
異形の神々の峰 神々を描いた作品。これもなにやらダンセイニ的。
エーリッヒ・ツァンの音楽 正統的な怪奇小説。
幼児期作品4編 まあ貴重ではあるけれど。
ラヴクラフト=テキストにおける諸問題(S・T・ヨシ) 刊行されたラヴクラフト作品のテキストの問題点を追及。
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(サミュエル・ラヴマン) 親交があった詩人による怪奇作家の肖像。

初期の作品ということで短い作品が多いし、後年のイメージとは程遠い作品も数多く見受けられる。しかしその中で全てではないものの、比較的多くの作品において基調をなしているのは、やはり恐怖の感覚。それも暗闇、特に洞窟等に対するものだ。また一方ではそれとは反対に夢をそのまま小説にしたような作品も散見され、ここには恐怖よりも憧憬が感じられるものもある。いずれもどこか幼児的な、と言って悪ければプリミティヴな感性を感じさせる作品群だ。文体は時に、いつもながらの装飾詞過多に流れてしまい、いささか疲れる場合もあるし、おせじにも小説がうまいとは言えないであろう。それでも多くの人をひきつけるのはやはりその作品が著者ラヴクラフトの内面からにじみ出てきた作品であるからではなかろうか。恐怖にしても憧憬にしても本物であり、作者の肉声である。そんなことが感じられるのだ。
乱歩は「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」と言い、自らの内面を文章として表し怪奇幻想短編をものした。海の向うではラブクラフトが夢の世界との交感を作品として遺した。ぼくはこの二人にどこか共通なものを感じてしまうのだ。しかし乱歩は探偵小説の大家としてその後の人生を送ったのに対し、ラブクラフトは夢の世界が恐怖に取って代わり自らの現実を侵食し始めてしまったように思う。伝記的な事実には基づかないあくまでも感覚的な感想になってしまうが、読んでいてそんなことを思った。感想おしまい。

(今日買った本:5冊(いただき本含む) 今月買った本:5冊 今年買った本:498冊)