5月31日(金)

今日読んだ「第四の扉」はここまでで120ページほど。

月冠の巫王 たつみや章 講談社
地の掟 月のまなざし たつみや章 講談社
天地のはざま たつみや章 講談社
月神の統べる森で たつみや章 講談社
クリスマスの四人 井上夢人 光文社
後西遊記 秀英書房
獣たちの夜 押井守 富士見書房
センセイの鞄 川上弘美 平凡社
月 アマール・アムダルハミード アーティストハウス
ハイペリオンの没落 ダン・シモンズ 早川書房 これだけ家で見つからなかったので買っちゃいました。きっとダブリ。
シャワールームの女 荒木一郎 徳間文庫 元版を持っているようです。
dおこりっぽいやま 三田村信行 チャイルド この前ネットで買ったばかり・・。

矢川澄子さんの訃報に接し、驚きと動揺を隠せません。今はただ、ご冥福をお祈りするばかりです。

(今日買った本:12冊 今月買った本:146冊 今年買った本:780冊)

5月30日(木)

今日読んだ「第四の扉」50ページ。明日中に読み終わるのは難しいと見た。

大熊さんの掲示板に、奥様がお亡くなりになった眉村さんが書かれた文章が転載されている。
このような文章に対して発すべき言葉が思い浮かびません。
ご冥福をお祈りいたします。

おやすみなさい。

(今日買った本:0冊 今月買った本:134冊 今年買った本:768冊)

5月29日(水)

高畑京一郎「クリス・クロス」読了。

フランス風にさようなら 常盤新平編訳 旺文社文庫

ニューヨーカーに掲載された短編から編者が選んだもの。新書館の「ニューヨーカー・ストーリーズ」の再刊。
こわれた休暇(アルトゥーロ・ヴィヴァンテ) 恐怖小説の味付けもある作品。フィレンツェで会った女と別荘へ行く主人公と、そこでの出来事。
フランス風にさようなら(アーウィン・ショー) 仕事で飛び回る男は久々に帰ったパリで恋人を呼び出したが、態度がおかしい。恋愛小説。
父は闇に想う(ジェロ−ム・ワイドマン) 闇にすわってパイプをふかす父。不思議に想う息子。父と子の心のふれあい。
誰かに話をしなければやりきれなかった男(ジョン・オハラ) タイトルそのままの男の話
電気椅子の甘美な死(ルドウィッグ・ベメルマンズ) 主人公が街で拾った少年は父親が刑務所に入れられているという。それは嘘なのか?
肉体と悪魔(ピーター・ディ・ヴリース) 浮気心を起こした夫と妻の言い争い。
不死なるもの(ロバート・ヘンダースン) 家族小説。としか言いようが無い。家族の皆の葛藤を描く。
大きなマグノリアの木の下で(アラン・シーガー) 少年時代の恋の思い出。さわやかでほろ苦い青春小説。
花嫁(メーヴ・ブレナン) 仕事から逃げ出したくて、たいして好きでもない男の求婚を受け入れた女を描くコント。
街からの贈り物(ジョン・アプダイク) 自分が不在のときに妻の下へ現れた黒人の男。男は金が必要だという。ニューヨークの風景を描く。
ロスと「ニューヨーカー」(アレン・チャーチル) ニューヨーカーの生みの親と雑誌の歴史を解説したもの。
アメリカの小説が好きな人は面白いのかもしれないが、自分には今いちピンとこないというのが事実。どれも掘り下げて対象を描くよりは、故意に表面のみを描いているようなところがある。それは別にニューヨークや都会に住み人々ばかりを描いているというわけでもない。付された解説を読むとニューヨーカー風の小説というのがあるような印象を受けるが、ぼくにはまだパースペクティブがつかめないでいる。どう面白がればいいんでしょうねえ。


立ち止まれば・死 光瀬龍 ソノラマ文庫
緑の侵略者 清水義範 ソノラマ文庫 既読の作品。
野天風呂殺人事件 梶龍雄 TOENノベルス あと6冊です。
摩天楼の身代金 R・ジェサップ 文春文庫
世にも奇妙な物語(小説の特別編) 角川ホラー文庫
世にも奇妙な物語(小説の特別編・再生) 角川ホラー文庫
百足祭 朝松健 光文社文庫 持っている気がしてならない。
殺人勤務医 大石圭 角川ホラー文庫
一休暗夜行 朝松健 光文社文庫
生霊 ささやななえこ・原作 角川ホラー文庫
ラストリーフの伝説 秋山完 ソノラマ文庫
ミルクから逃げろ マーティン・ミラー 青山出版社
赤い預言者 O・S・カード 角川文庫 買っていてもおかしくないのだが、覚えなし。
遺産の方舟 谷口裕貴 徳間デュアル文庫
聖杯伝説 篠田真由美 徳間デュアル文庫
レベリオン 三雲岳斗 電撃文庫
詩人の夢 松村栄子 ハルキ文庫
大密室 新潮文庫 単行本から増補しやがったからなあ。
爆風警察 樋口明雄 ソノラマ文庫NEXT
バトル・インフェルノ ソノラマ文庫NEXT
ピニュルの振り子 野尻抱介 ソノラマ文庫
星の国のアリス 田中啓文 祥伝社文庫
es 高島健一・原作 角川ホラー文庫
ドラゴン・ウィスパー 鳥井架南子 祥伝社文庫
CANDY 鯨統一郎 祥伝社文庫
シャドウ・ファイル/覗く ケイ・フーパー 早川文庫NV
シャドウ・ファイル/潜む ケイ・フーパー 早川文庫NV
シャドウ・ファイル/狩る ケイ・フーパー 早川文庫NV
すばらしき友LINGO ジム・メニック 早川文庫NV

理由はあるのですが、久々にたくさん買った気がします。

明日は本屋へも行きません。更新も無いかもしれません。読了もまず無いでしょう。

(今日買った本:29冊 今月買った本:134冊 今年買った本:768冊)

5月28日(火)

ニューヨーカー掲載短編のアンソロジー「フランス風にさようなら」読了。

SAKURA 山田正紀 徳間ノベルス
ヴィーナスの命題 真木武志 角川書店

本屋で藤沢周平全集の補巻が出ていて、びっくりたまげる。誠意のある出版といえましょう。うーん、買わなきゃならんなあ。筒井康隆全集もそろそろ増補の巻を出して欲しいものだが、新潮社のことだから、出すときは新版とか言って出しちゃうんだろうなあ。そしたら悔しいな。

(今日買った本:2冊 今月買った本:105冊 今年買った本:739冊)

5月27日(月)

風邪引きで調子わる。

グリックの冒険 斎藤惇夫 岩波少年文庫
シマリスのグリックはペットショップから姉のフラックと共に買われてきた。籠からは出してもらえるものの、大きくなり活発になるにつれ家の中が狭くなってきたグリックはハトのポッポーに仲間のいる北の森を教えられる。森を夢見るグリックは、やがてフラックと別れを告げ、仲間の住む森へ帰ろうと決心する。その後、街をうろうろしているときに出会ったドブネズミのガンバと共にクマネズミと戦い、さらにガンバと別れを告げ、途中の動物園で知り合ったのんのんと共に北を目指すのであった。「ぼくたちの家へ帰ろう!」
動物ファンタジーはどうしても動物の思考が人間臭くなってしまい、ぼくにはなかなかのれないのだが、動物冒険ファンタジーとして著名な本書はひねくれものの自分にも面白かった。またドブネズミとクマネズミの戦いはプロレタリアートとブルジョアの戦いのようで、なんだか作者の思想的な方向を伺わせないでもないし、感動のフィナーレを迎えるまでの苦闘の連続は、(少々大げさだが)ちょっとした山岳小説・冒険小説の味わいがある。


妖香 ジョン・ソール ヴィレッジ・プレス
鎌倉XYZの悲劇 梶龍雄 講談社ノベルス 残り「海を見ないで陸を見よう」「青春迷路殺人事件」「女たちの復讐」「野天風呂殺人事件」「男と女の探偵小説」「真夏の夜の黄金殺人」「葉山宝石館の惨劇」の7冊。
獲物 ロス・トーマス 早川書房
愛のひだりがわ 筒井康隆 岩波書店


(今日買った本:4冊 今月買った本:103冊 今年買った本:737冊)

5月26日(日)

用事があって実家へ行くが、家人が一緒なので古本屋には当然のごとく寄れず、ちょっと残念。読み終わった本など持っていくが、また新しい本を持ってきてしまったので、量は変わらない。「ミステリー」を発見したが、思わぬところから「ハイペリオン」が出てきた。こうなったら「没落」を発見して読もうかと思い、書庫をあさるが、予測をつけたところからは見つからず、代わりに本が雪崩を起こして死にそうになった。不安定な積み方はよくありませんな。本も痛むし。

読書時間は取れず「グリックの冒険」を読み終わったのみ。
新刊書店にて買い物は
SFマガジン7月号
ミステリマガジン7月号
小説すばる6月号 安田ママさんのところで知って衝動買い。ホラー特集とか衝動的に買ったりすることがあるんだけど、読んだこと無い。雑誌については実は課題で、買うだけじゃ意味が無いから読もうとも思うのだが、きっかけがつかめない。何でもいいから読み始めてもいいんだけど。載っている小説とか全部を読もうと思わなきゃいいんだろうな。大体連載小説なんか途中で読んでもしょうがないし。それに連載とか短編でもあとで単行本に収録されていると損した気がするし。店頭で見た小林泰二氏の短編集も、買おうとは思うが、書き下ろし以外は競作集とSFマガジン掲載のものだからテキスト的には9割方読める。でも雑誌は現在のところ読まない状態だから、実質的には持っていないのと同じである。これじゃ仕方がないから、やっぱり読もうかな。勢いをつけるためには号数の少ない既に廃刊している雑誌が良いかもしれない。でも雑誌といっても「サバト」とか「オルフェオン」じゃちょっと重いしなあ。NWーSFあたりが良いかしらん。


届いた本
高柳誠詩集 思潮社 当時の既刊詩集を集成したもの。元版を買うと高いので探していたのだが、目録抽選でも縁が無かったもの。黒猫館館長氏が譲ってくださいました。ありがとうございました。詩集の良い読者とはいえませんが、近いうちに挑戦してみたいと思います。

もうちょっと届いている本、ありますが、また今度。

(今日買った本:4冊 今月買った本:99冊 今年買った本:733冊)

5月25日(土)

おーかわさん、葉山さん、川口さん、しょーじさんと飲み会。楽しかったっす。
おーかわさんにいただいてしまう。
官能の夜 龍胆寺雄 あまとりあ社

買った本で書き忘れておりました。
アンクスの海賊 野尻抱介 富士見ファンタジア文庫

獄門島 横溝正史 角川文庫
映画にもなっている有名作品。瀬戸内海の架空の島で起きる連続殺人事件の謎を解く金田一耕介の活躍。解説で中島河太郎は本格推理の骨格をロマンでくるんだ作品と書いているが、ぼく自身は本格かどうかは別にしてストーリーテリングの見事さに楽しい時間を過ごした。横溝正史はやっぱり面白い。あと興味深いのはこれが書かれたのが戦後すぐの宝石であり、この小説の舞台設定と同時代であったということ。今では復員軍人とかは過去のことであるが、当時はまさに今現在のことであり、受け止め方もぼくらが読んで感じることよりももっともっと身近な小説であったことであろう。今でこそお伽噺めいた感覚すら受けることが、現実のことであったのだ。張子の鐘を海から見つけることはちょっと出来すぎという感じもしないでもないし、ぼくの苦手な機械トリック使われているが、抜群のストーリーの中ではあまり無理なく挿入されていて、違和感は無い。名作の名に値する作品。

(今日買った本:2冊(いただき本含む) 今月買った本:95冊 今年買った本:729冊)

5月24日(金)

「獄門島」読了。次のターゲットは「グリックの冒険」にしました。
横溝正史は生誕100年なんですよね。でも今日が誕生日とは知りませんでした。しかし偶然だなあ。

澁澤龍彦 KAWADEムック なんとなく今更という気がしないでもないけれど。
第四の扉 ポール・アルテ ポケミス なんとなくはやりにのってみました。でも肝心のカーは「火刑法廷」と「第三の銃弾」しか読んでいないんですけど。
ミスターX(上下) ピーター・ストラウブ 創元推理文庫 出ました!ストラウブ。買いました!ストラウブ。でも読みましたになるかなあ。それにしても「シャドウランド」より先に出るとは思わなんだ。で、解説を見ると、ちゃんと近刊になっててほっとする。おまけに近作も翻訳されるらしい。それにしても世界幻想文学大賞受賞作のFloating dragonくらい出して欲しいよな。最近本屋で見た原書単行本のキングとの合作はタリスマンの続編だったのかあ。

(今日買った本:4冊 今月買った本:93冊 今年買った本:727冊)

5月23日(木)

この日の分は感想など書いてお茶を濁すことにしよう。

見えない闇 山田太一 朝日新聞社
主人公は松本という都庁の職員。息子も大学に入って京都へ行っており、現在は妻と平凡な暮らしをする公務員だ。そんなある日、その生活に亀裂が入り、闇が顔をのぞかせる。妖しい光を見たという電話が、13号埋立地で働く後輩から入ったのだ。話を聞き入った松本だが、後輩は何故か詳しいことをしゃべりたがらず、要領を得ない。半信半疑のまま家へ帰るが、今度は妻の浮気を発見してしまう。妻の後をつけた松本は、見つけた浮気相手の小男を叩きのめす。次の日松本のところに、小男から電話が入る。松本は仕方なく赴くが、そこで男は死んでしまった。俺が殺したのか?疑念に駆られ、真実を見つめることができない松本であった。
さて、その後は鵞鳥のような声をした美少女や、寡黙な大男が現れ、夢幻的なシーンが展開していく。
著者は「終わりに見た街」以降、非現実的な要素を持った小説を何作か書いているが、これもその一つ。さすがに昔から脚本を書いていただけあって、日常描写が巧い。そこに超現実の風景が侵入し、主人公の男の心を侵食していく様を描くところは貫禄である。さらには幻想的なシーンも映像的であり、印象的。アパートでのシーンなどは、落田洋子のイラストレーションを思い浮かべた。なお結末はもしかすると不満に感じる人もいるのかもしれないが、僕は不気味かつ、余韻を残す仕上がりですばらしいと思う。傑作。
暗闇は人の心の闇であり、それは他人には(時には自分にも)見えないのだ。本書を読むものはその闇を見つめ直さなければならない。


(今日買った本:0冊 今月買った本:89冊 今年買った本:723冊)

5月22日(水)

この日の分は届いた本など書いて、お茶を濁すことにしよう。

コーンウォールの聖杯 スーザン・クーパー 学研 復刊ドットコムに投票し、復刊されたので購入。どんな本がくるかと思ったら、学研から正式に復刊されたものだった。これで評論社の「闇の戦い」シリーズも読めるというものである。(本当に読めるかどうかはわからんが)
初山滋の世界 初山滋/新川和江 講談社
妖精 FOREVER, 小学館
森の精のいる村 ラージー・パゴージン 童心社
ある生き物の記録 小松左京 HSFS
鈍才グル-プ 秋元文庫
闇からの声 講談社文庫

(今日買った本:7冊 今月買った本:89冊 今年買った本:723冊)

5月21日(火)

山田太一「見えない暗闇」読了。傑作。

異形の白昼 筒井康隆編 立風書房
言わずと知れた名アンソロジー。期しくも東さんが津原さんの編書解説で書いていたように、このような精華集こそが本来的な意味でのアンソロジーで、最初から書き下ろしを集めたものは競作集というのが筋ではあろう。さすがに傑作ぞろいで、ちゃんと調べていないので間違っているかもしれないが、この本が刊行された当時(1969年)、ポケミスの「幻想と怪奇」2巻でカポーティーを収めた都筑道夫が言っていた現代的な怪奇小説(の日本作家の作品)を意識して集成した本は無かったんじゃないのだろうか。(あったのかもしれないけど) したがっていわゆる幽霊が出てくるような古典的な作品はほとんど無く、人間心理の暗さ等を扱ったものが多い。やはりというかミステリ畑の人は割合現実路線を、SF作家の人は超自然的なものになっているのが面白い。
さまよう犬(星新一) 切れ味鋭いショートショート。としか書きようがありません。完成されていて付け加える言葉が無い。
蜘蛛(遠藤周作) これは心底気色悪い。生理的な恐怖が前面に立った傑作だとは思うけど、できれば忘れたいよ。蜘蛛の嫌いな人は絶対に読まない方がいいです。(それは俺だ)
甘美な牢獄(宇野鴻一郎) 心理学的なエロティックミステリーといえないことも無い。でもこれは恐怖感はあまりないな。
孤独なカラス(結城昌治) これは心理的な怖さ。ただただ不気味な少年の話。簡潔かつ淡々とした筆致が効果をあげている。
仕事ください(眉村卓) これもかなり不気味な妖怪譚。やはりインサイダーSFを提唱していた著者らしく会社が舞台だ。
母子像(筒井康隆) ぼくはこの作品が筒井作品の中では多分3本指に入るくらい好きだった。最後の場面は特に怖かった。今回読み直してみたが、怖さはやや薄れたものの、やはり好きな作品であることには変わりは無かった。「SFは絵だねぇ」というのは野田大元帥の言葉だが、これを読むと「怪奇小説は絵だねぇ」といいたくなる(野田さんの言葉とちょっと意味合いは違うけどな)作品。今回も思ったがやはりラストシーンは絶品。
頭の中の昏い唄(生島治郎) 再読のような気がしたのだが、記憶には無かった。幻想怪奇小説の傑作。少女の死体を愛撫するところは、エロティックであり、人形幻想譚ともいえそうな作品である。
長い暗い冬(曽野綾子) 傑作だとは思うのだが、どこがどうと説明するのが難しい。明らかにロンドンではあるのだが、ナトリウム灯のともる霧の濃い街という雰囲気が素晴らしい。とにかくラストシーンには慄然とする。
老人の予言(笹沢左保) 解説で筒井さんは新しい幽霊譚と書いていて、確かにそうもとれるのだが、反面現実的な解釈も可能であると思われ、どちらでもお好きなように取ってください、という作者の狙いのような気がする。
闇の儀式(都筑道夫) これは怪獣小説の傑作。著者にこんな作品があったのは正直驚きである。怪獣小説としても臆面の無い展開は、嬉しくってしびれてしまう。でも最後にダンディに決めるところが著者らしいんだけど、破天荒なまま終わっても良かったかな、という気もしないでもない。
追跡者(吉行淳之介) 城昌幸を彷彿とする幻想譚。珠玉の掌編であろう。
緋の堕胎(戸川昌子) 恐怖を主眼にしたかなり生々しいミステリー。これは男性作家にはとても書けそうも無い。
以上m傑作ぞろいで甲乙つけがたいが、自分は筒井康隆は別にして都筑道夫と生島治郎が面白かったかな?多分読み手の嗜好によって、お気に入りの作品はかなり変わるであろう。好みの違い、受け止め方の違いを他の読んだ人と比べてみたくなる、そんなバラエティに富んだ傑作アンソロジーである。



講談社文学全集 ナボコフ/サリンジャー/ベロー 講談社 ナボコフが肝で、講談社文藝文庫から再刊されているものの、高いので貧乏性の自分は買ったのだが、検索したら元版を買っておりました。
スパイダー・ワールド コリン・ウィルソン 講談社ノベルス
地獄篇 寺山修司 思潮社
硝子のドレス 北川歩実 新潮社
ルート225 藤野千夜 理論社
d遥かよりくる飛行船 井辻朱美 理論社 間違い。
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス ティム・バートン ビリケン出版

(今日買った本:7冊 今月買った本:82冊 今年買った本:716冊)

5月20日(月)

「異形の白昼」読了。再読も何篇かあるが、やはり名作ぞろい。感想は明日。

またまた本が届く。これも明日にまわしときまひょ。

今月でる新刊では創元推理文庫の「ミスターX」が楽しみである。昔からほとんど新刊で買っているのだが、実はストラウブって読んだことないんだよね。ああなんといういい加減な奴だ。で、「ミステリー」を読もうと思っているのだが、単行本がどこにいったのかわからない。「ジュリアの館」もどっかいっちゃったし。何とかしてくれい。やはり本は買った順番に読むのが一番ありかを見つけやすいな。(当たり前だ)
「ミステリー」は文庫版を買っちゃえという悪魔の囁きが聞こえるのだが、それでは単行本を買った意味が・・。でも見つけられなければそもそも意味が・・。

ところで最近ディケンズの「エドウィン・ドルードの謎」を探しているんですが、どなたか余ってないですか?版元品切れみたいなんですよ。

というわけで次は山田太一でも読もうか。

(今日買った本:0冊 今月買った本:75冊 今年買った本:709冊)

5月19日(日)

「タイピー」は読み終わったので読書は名アンソロジーの「異形の白昼」を選択。せっかく新刊買ったんだから、そっちを読めばいいのにね。

タイピー ハーマン・メルヴィル 国書刊行会

メルヴィルの処女長編。著者26歳の作品で、4年余りの海の放浪から帰ってきてから著述された。内容的には著者がマルケサス群島のヌク・ヒヴァでこきつかわれた船を逃げ出し、結果として人喰い人種として恐れられていたタイピー族に囚われの身となり、4ヶ月の後に脱出するまでを描いている。体裁は冒険小説的ではあるものの、主にはタイピー族の生活様式、風習等を描いているため、解説によると当時は主にノンフィクション読物として受け取られたようだが、実際にはかなり著者のフィルターがかけられているため、実際の体験とはかなりの変更が加えられているようである。したがって作品としては体験談としてのノンフィクション的な側面、創作としての側面を併せ持っているようだ。しかも正体不明の部族への恐怖と、自然と共に生きる純朴な生き方に対する憧憬とがアンビヴァレントな感情として描かれ、またキリスト教の宣教を代表とした欧米文明の押し付けがましい暴威に対する嫌悪をも表明しており、単純な海洋冒険譚とは一線を画した作品となっている。

うーん。なんか空々しい感想だなあ。

届いた本があるが、また後日。

(今日買った本:0冊 今月買った本:75冊 今年買った本:709冊)

5月18日(土)

疲れてます。寝てばっかりいました。「タイピー」は後少しです。次は軽いものを読もうと思います。

ガンバとカワウソの冒険 斎藤敦夫 岩波少年文庫
最後の王様 桑原一世 集英社
流水桃花抄 橋本治 河出書房新社

書くことないよん。

(今日買った本:3冊 今月買った本:75冊 今年買った本:709冊)

5月17日(金)

週末ということでお疲れ様で本を買う。
嘲笑う闇夜 マルツバーグ&ブロンジーニ 文春文庫

届いている本
生きていた火星人 シルヴァーバーグ あかね書房
指先の女 多岐川恭 桃源社 地味な装丁だな。嬉しいけど。あと「おとなしい妻」「絶壁」「殺意の海」「非常階段」「詐謀の城砦」「牝の感触」「女たちの夜」「罠を抜ける」の8冊。でも「絶壁」は読んじゃったから無理して買うことはないか。
とびだせ!ピンキリ 加納一朗 朝日ソノラマ 未文庫化作品 
酒場のショートショート PART2 TBSブリタニカ ごめんなさい。自分用です。
沼の家の娘 ラーゲルレーヴ 角川文庫

そろそろ「タイピー」も読み終わりたいところだか、まだ半分強。

(今日買った本:6冊 今月買った本:72冊 今年買った本:706冊)

5月16日(木)

いつもの帰宅時間に戻ってしまった。

いじわるな花束 都筑道夫 七曜社
ショートショート&短編集。著者の本としては手に入りにくい部類であるが、それはこの形では三一の作品集に収録された以降再刊されておらず、収録作品の大半は他の作品集に分散収録されたからである。しかしながら再録されなかった作品もあるようなので、テキスト派としては買わねばならない。SF系は「フォークロスコープ日本」(「宇宙大密室」)に収録されていて、昔読んだのであるがさっぱり覚えていなかった。ただし瀟洒な真鍋博の装丁とちょっと凝った目次とか、この本なりに嬉しいところもある。
三匹の鼠 三篇からなる鼠ネタのショートショート連作。現在過去未来で3編。
畸形の機械 謎の機械をめぐる2編のショートショート連作。形式で遊ぶところが著者らしいかな。
その名はロボット ロボットテーマのショートショート2編。ヒトラーネタもあり。
イメージ冷凍業 イメージを実体化して売る商売を考えた男。シェクリー等の海外作品の香りがするSF。
凶行前六十年 ロボット刑事が登場するがミステリー風味はあまりないタイムマシンテーマの短編。
わからないaとわからないb タイムパラドックステーマの短編。著者本人登場のおぶざけもあって広瀬正みたい。(こっちが全然早いけど)
不快指数 ちょっとアバンギャルドな怪奇小説。この幽霊はオリジナルだと思うが今読んでも新鮮だ。傑作だと思う。
蝿が落ちる ビルに登ることを生業とする蝿男の晩年を描く奇妙な味の作品。面白い。
即席世界名作全集 15+1の文学作品のタイトルをいただいてショートショートに仕立てた連作。自ら縛りを作った形式に遊んだ作品。
小説エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン これも5編のEQMMに掲載されたミステリーのタイトルをいただいたショートショート。
あなたも人が殺せる 殺人講座としてタイトルを冠した8編の連作ミステリーショートショート。
クレオパトラの眼 目玉の冒険遍歴を描いた奇想小説。古さを感じないこれも新鮮な作品。
読んであらためて感じるのは著者の器用さだろうか。職人という形容がいいのか。SFであれ、ミステリーであれ、怪奇小説であれ、どれも水準たかく書き分ける。しかもおふざけを交えたり、形式で遊んでみたり縦横無尽。本書に関してはバラエティーに富みすぎて統一した印象は抱きにくいのは確かであるが、作品の質が高いので贅沢な作品集とも言える。比較的初期のショートショートや短編は桃源社→角川文庫以降再刊されていないのだけれど、再評価されてもいいのではないだろうか。


(今日買った本:0冊 今月買った本:66冊 今年買った本:700冊)


5月15日(水)

「タイピー」は80ページほど。ここまできて巻末に注釈があるのに気がつく。本文中に何も印がないんだもの。ちょっと不親切かも。

本当にひさしぶりに早めに会社を出れたので。すこし大き目の本屋さんへ行く。
古本屋には当たり前だが新刊が無いので、たまに新刊書店へ行くと楽しい。たくさんは買えないけれど。
冬の旅人 皆川博子 講談社
落葉 神の小さな庭で 日野啓三 集英社
傀儡后 牧野修 早川書房
どーなつ 北野勇作 早川書房
アンダー・ザ・スキン ミッシェル・フェイバー 角川書店
太陽の簒奪者 野尻抱介 早川書房
「神秘学大全」が学研から文庫化されていて驚く。

読了がないと書くネタが続かないな。(一応、届いている本と感想1冊未アップなので水増しして2日分はあるけど)

(今日買った本:6冊 今月買った本:66冊 今年買った本:700冊)

5月14日(火)

今日で峠を越えるかと思ったら、越えた所にはまだ高い山が聳え立っていました。

読書はメルヴィルの「タイピー」を読むことにしましたが、まとまって読書時間が取れない状況なので時間がかかりそうです。決して読みにくいわけではないんですけどね。

思い出したが、日曜日夜にちょっと車で出かけたときに電圧が異様に下がっているのに気が付いた。すでにオルターネーターは2回修理しているのに、また壊れたのか?週末に点検に出したいけど、こう調子が悪くなると困っちゃうな。クーラーが壊れたくらいなら走るのに支障は無いけど、電気が無くっちゃ車も走れません。

本屋にも寄れないのだが、週末にbk1に注文をだそうか検討中。ネット書店は欲しい本が手に入るのは嬉しいけれど、ぱらぱら本を見ながら選ぶという楽しみが無いのはさびしい。
早川の新シリーズもみんな読んでいるようで、負けてられない。思えば20年前に新鋭書き下ろしシリーズは楽しみに買ったものだ。「機会神アスラ」は新宿紀伊国屋の出版記念サイン会に並んだからな。その大原まり子さんのイラスト付き署名本は今でも大切にしています。SFマガジンも初めて買ったのが1982年の2月号だからもう20年だ。最初の2年くらいはちゃんと読んでいたのだけど。そのころは大原まり子、神林長平とか何を読んでもみんな面白かった。草上仁さんもそのころだな。字がちょっと違ったけれど。イラストは天野嘉孝だった気がする。

以上、思い出話でした。届いている本が少しと、感想は後日のためにとっておきます。

(今日買った本:0冊 今月買った本:60冊 今年買った本:694冊)

5月13日(月)

ヴェイスの盲点 野尻抱介 富士見ファンタジア文庫

早川の新しい日本作家シリーズから本も出て最近気になっている作家の最初の本にあたるスペースオペラ。
主人公は宇宙の運び屋ミリガン運送の中年社長ロイドと唯一の敏腕女性パイロットのマージ。駆るのはぶかっこうな星間連絡シャトルのアルフェッタ。二人は非合法な(インチキ)麻薬運搬中、減速する燃料が足りなくなり、大気制動による減速を狙って途中の惑星ヴェイスに図らずも訪れる。そこで見たのは惑星を囲む過去の戦争の遺物である高機動機雷であった。(なんだか今月初めに読んだ本と設定がちょっと似ているなあ) そこでは子供の頃から訓練を受けた子供たちが、ヴェイスと衛星軌道上のコロニー「L4シティ」を結ぶため専門のナビゲーターとして巣立っている。しかし高機動機雷はまだ稼動しており、事故による死亡率は高い。しかしアルフェッタの故障を直すために法外な料金を請求されたロイドは、代金を稼ぐためその仕事に志願することにした。そしてそこに派遣されてきたナビゲーターは16歳の少女メイであった。
キャラクターが良く、ストーリー展開もテンポ良く軽快に進むためとても楽しく読むことができる。そして後書きでも作者が書いているが、現代的なスペースオペラにするために用いているガジェットの数々。(特に気に入ったのはアルフェッタの着陸/離陸シーンで、機体の動きが手にとるように分かるのが思わずニヤリとしてしまう) 言葉ひとつを取ってみても、小難しい説明は無いにもかかわらず、ちゃんと科学的な理論を分かって書いているという雰囲気がにじみ出ているところが、とても好感が持てた。要は無闇に荒唐無稽ではないのだ。軽快でありながらも納得が行くようにきちんと締めるところは締めているのが立派。後書きでこれが始めて書いた小説と書いているけれど、本当かいな。
SFを読まない人がどう感じるかはわからないけれど、少なくともSFが好きな人には楽しいひと時を与えてくれるであろう本である。

新青年趣味 9号 あいかわらずすばらしい内容だ。やはり貴重な作品の復刻が一番嬉しい。海野十三特集だからSFファンも買っていいかもしれない。浜尾四郎なんてのもまだ埋もれた作品があるんだね。読んだことないけどさ。
おこりっぽいやま 三田村信行 おはなしチャイルド 武井武雄が絵を書いているというのがなんとも豪華。

「いじわるな花束」を読了しました。

(今日買った本:2冊 今月買った本:60冊 今年買った本:694冊)

5月12日(日)

森 創刊号 森開社
6号まで出た瀟洒な雑誌。これはその創刊号で1976年1月25日発行。全部で32ページの小冊子だから、あっという間に読み終わる。感想めいたものを書くのは難しいので、目次を書いてお茶を濁そう。
思い出の文学者たち(一) 江口清(著者の交友を語った随筆)/バックミラー考 多田智満子(鏡のテオーリアにでも収録されていそうな鏡に関するエッセイで切り口が面白い)/騎士物語 須永朝彦(短歌15首・難しい)/マレーネ・ディートリッヒ ジャン・コクトー(実験的な詩・難しい)/美について 白鳥友彦(実験的な詩・難しい)/香水の町を訪れた日 小島俊明(フランス旅行記)/転居 ジョルジュ・ローデンバッハ(詩的な創作ともエッセイともつかない散文・美しくちょっと神秘的なところがある)/他に杉本典巳とシャルル・メリヨンのイラストが数葉掲載

ワイルドレイン 岡本賢一 トクマノベルス
大人のためのグリム童話 ヤーノシュ 宝島社
漂白の牙 熊谷達也 集英社 面白そうである。
秘密のノーム ヴィル・ホイヘン /リ−ン・ポ−ルトフリ−ト  サンリオ
螺旋階段のアリス 加納朋子 文藝春秋

いじわるな花束 都筑道夫を読んでますが、いまいち進まず。「山と水」もちょぴっとだけ読んだ。涙香は一体いつになったら読み終わるのだろう。

(今日買った本:5冊 今月買った本:58冊 今年買った本:692冊)

5月11日(土)

「季刊森 創刊号」「ヴェイスの盲点」野尻抱介 読了。

山椒魚戦争 カレル・チャペック 岩波文庫
古典中の古典SF。著者は言わずと知れたチェコの文豪。ストーリーは「R・U・R」のロボットを山椒魚に置き換えたもので、人間が知性のある家畜として利用し始めた山椒魚がやがて人間に反旗を翻すというもの。無論ストーリー自体は「猿の惑星」とかでも使われたモティーフで、目新しさはない。しかしこれが無類に面白いのだ。まずはその手法であるが、新聞記事、パンフレットその他あらゆる活字媒体をストーリーの中に組み込んでストーリーを組み立てているところ。今でこそ珍しくはないのだろうが、書かれたのはナチス台頭前夜のチェコである。これが形式としての面白さ。そしてその中で語られることによって効果的に浮かび上がる著者の政治的、モラル的にリベラルな主張。(これはナチス崩壊後も出版にあたっては一部削除や禁書扱いなど数奇な運命をたどっていることからも伺える)そしてScience FictionであるとともにSociology Fictionとも言えそうな社会学的なアプローチによるストーリー展開。これはテーマ的な面白さ。いずれにしてもとてもじゃないが半世紀以上前に書かれた書とは思えない面白い本である。究極的にはかなりペシミスティックな本ではあるが、きな臭い現代でこそ読まれる必要があるのではないだろうか。さすが文豪、チャペック侮り難し。真の名作(SF小説としてもジャンルを超えた小説としても)と思う。なにをいまさらではあるが必読。


恋人よ、われに帰るな カーター・ブラウン ポケミス
dわが街、シカゴ フレドリック・ブラウン ポケミス
泥棒成金 デヴィッド・ドッヂ ポケミス

(今日買った本:3冊 今月買った本:53冊 今年買った本:687冊)

5月10日(金)

GWに届いてそのまま放っておいたため、振込みしていない本があることに気づいた。まずいまずい。
大密室 ボアロ&ナルスジャック編 晶文社
ネオファンタジー創刊号 大陸書房 多分創刊号は持っていなかったはずだ。突然奇想天外第三期が終わって創刊された雑誌だ。3号だか4号だか出てつぶれちゃったのかな?この手の雑誌ではグリフォンが多分持っていなくて、獅子王が最後の数年分がやはり無い。でもまず読まないだろうと思うからなあ。
非常線 ホイット・マスタトン 創元推理文庫
必殺の大四喜 藤村正太 立風書房 なんだかんだ言ってあと「ねぶた」と「選挙参謀」だけになっちゃった。西東登はマイナーなところが残りつつあるな。どうでもいいけど。
ついらくした月 シェリフ 岩崎書店
名探偵しまうまゲピー デュボア 学研
佐藤春夫集 日下三蔵編 ちくま文庫 僕自身は探偵小説の書き手というより幻想小説の書き手という印象があるのだが、やはりその系統の作品も結構入っているようだ。

購入冊数は今月はちょっと多め。もっと控えなきゃ。

山椒魚戦争 読了。

(今日買った本:7冊 今月買った本:50冊 今年買った本:684冊)

5月9日(木)

さてと書くことがなくなっちゃったな。

仙洞田一彦のショートショート集 青磁社 頼まれ本
怪談部屋 山田風太郎 光文社文庫

遅くまでやっている近所の本屋で皆川博子の新刊を買おうと思ったら売り切れでやんの。他にも欲しい本があるのでカードが使える大きな本屋に行きたいのだが、あいている時間に会社を出れないのが悩みだ。bk1に注文しちゃおうかなあ。

(今日買った本:0冊 今月買った本:43冊 今年買った本:677冊)

5月8日(水)

「山椒魚戦争」面白いです。ようやく半分。

恐怖城 佐左木俊郎 春陽文庫
多分アンソロジーでも読んだことは無いように思うので、初読。きっと今後も読む機会はないのではないかと思います。
長目の長編の表題作と5編の短編を含んでいます。
恐怖城 牧場で働く男の恋と牧場主殺しを描く。間違って妹を殺してしまった牧場主の娘をかばい、それを逆利用して牧場主殺しを隠蔽しようとする男。クライムノベルチックではある。北海道開拓時代の風景が珍しい。
街頭の偽映鏡 偽映鏡をキーワードにして、裏切った友人を殺す男を描く。ちょっと凝った作品のクライムノベル風作品。
錯覚の拷問室 がま口紛失をきっかけにして、疑われた女子生徒が自殺をしてしまう。真相は?ちょっとしょぼいけど、一番推理小説らいい構成を持ってはいる。
猟奇の街 夫を失った妻の狂気。ちょっと幻想的な要素もある短編。冒頭の情景描写も悪くない。
或る嬰児殺しの動機 貧困の悲劇を描く。これってミステリーかなあ?
仮装観桜会 組合活動を行って待遇改善を望む労働者を収めるために行った花見で、経営者が殺される。殺したのは?会社をひきついだ男は待遇改善を心がけるが、次第に思いと現実は遊離して・・。プロレタリア小説の趣。殺人は描かれるが、そこには謎解きの興味は無い。
通読して感じるのは、作者は本当にミステリーを書きたかったのだろうか、ということ。もしかしたら本当に書きたかったのかもしれないが、資質的には向いていないと思う。およそエンターテイメントとは思えず、もっと他に書きたいことがあるのに無理やり探偵小説的な味付けをしましたという作品が多いように感じた。題名とのギャップが大きいのは編集部要請もあるんだろう。集中では「猟奇の街」と「街頭の偽映鏡」が面白かったかな。個人的には現代に読む意味はあまりないように思えます。もっとも他に傑作があるのかもしれませんがね。


夢の守り人 上橋菜穂子 偕成社 
虚空の旅人 上橋菜穂子 偕成社
ウンベルト・エーコの文体練習 新潮社 帯に筒井康隆氏の推薦文あり。

届いた本がありますが、これは後ほど。10日連続で本の感想を書きましたが、追いついてしまったのでこれにて打ち止めです。フクさんやkashibaさんは凄いなあ。

(今日買った本:3冊 今月買った本:43冊 今年買った本:677冊)

5月7日(火)

連休明けで仕事づけ。さすがに疲れる。
佐左木俊郎「恐怖城」読了。「山椒魚戦争」に入るが、ちょっと時間がかかりそうだな。

奥秩父狐火殺人事件 梶龍雄 講談社ノベルス
間違えて3冊も買っちゃった本だから、探すのにことかかない。などということはさておき、梶龍雄は初読。なんとなく集めているものの、読んでないんじゃ話にならないからと挑戦。秩父で有力な一家の関係者が続けて殺される。一家に恨みを持つものの犯行か?丁度里帰りしていたその家の美人と探偵役の映画監督との気持ちの触れあいを描きながらも、話は幾分ご都合主義的にどんどん進んでいく。でもなんで探偵役が映画監督なのかはさっぱりわからないし、こんな人が警察をさしおいて殺人事件のことを聞きまわれるんかいな、などと無粋なことを言っていては本書は楽しめない。むしろ何も考えずに最後に向かってはまっていくパズルのような推理と最後に用意されたどんでん返しを楽しむのが宜しかろう。ミステリに疎い自分としてはあんまり傑作とは思わないのだが、読んでいる間は楽しませるぞ、という職人芸的な味わいを感じました。梶龍雄を好きな本格推理ファンが多いのはわかる気がしました。

9日連続で本の感想をアップしていましたが、あと1冊でストックが切れます。やっぱり休みじゃなきゃできないよ。

(今日買った本:0冊 今月買った本:40冊 今年買った本:674冊)

5月6日(月)

いろいろ考える。

日課・一日三枚以上 眉村卓 真生印刷
著者が入院中の奥さんのために一日三枚以上のショートショートを書くということに挑戦した作品集の1巻。第一期10巻が先ごろ完結した。したがってもともと媒体に発表するために書かれたものではない。100編も収録されているため、内容的にはSFだけではなく、身近なものを題材にしたものが多い。(ただしそこには著者の意図もあるのだが) ただしSF作家だからか、身近なものを題材にしながらもちょっと位相をずらしてひねった作品が多いのも事実。1編1編の内容にはいちいち触れない。正直いまいちの作品も無くも無いのだが、なにせ毎日書いているのである。アベレージにしたら作品の質はべらぼうに高い。落ちのある昔ながらのショートショートとはちょっと違うのだが、短い作品でも眉村節がよく出ている、楽しい作品集だ。(この本は大熊さんよりいただきました。ありがとうございました。2巻以降はちゃんと買おうと思います。自費出版ですが、bk1でも買えるようなので興味のある人はぜひどうぞ。)


十三階の海賊たち シド・フライシュマン 偕成社
d真夜中すぎでなく デュ・モーリア 三笠書房
アウグスティヌスの聖杯 櫻沢順 角川書店 こんな本が出ているとはつゆ知らず、本当にびっくりしました。

大熊さんに「砂の王」を送っていただきましたので、片づけで出てきた森内俊雄といっしょに送ります。>○山さん。

(今日買った本:3冊 今月買った本:40冊 今年買った本:674冊)

5月5日(日)
片付けにとりかかる。より分けて、古書店処分、ブックオフ処分、その他に分ける。ネット古書店に処分しようと思っている分は、ある程度の量が無いとだめなのでどうしよう。
古書店分は実家へいくついでに懇意の古書店さんへ持っていく。稲垣足穂などが混じっていたせいか、存外高く引き取っていただいた。
片付け自体はとりあえず、表面だけなぞって終了。明日もやらなきゃいけないよなあ。きっと。

実家へ行き、本を持ってくる。メルヴィルとか過去の課題図書の2冊(恐怖城、山椒魚戦争)とか。また増やしてどうする。
他古書店で買い物。増やしてどうする。
ハレムは殺しの香り 胡桃沢耕史 ケイブンシャ文庫 新書版は見ないな。
街物語 朝日新聞社 吉田知子、多和田葉子も収録されているショートショート集。
夜の子どもたち 芝田勝茂 パロル舎
ラフ・トリートメント J・ハーヴェイ 教養文庫
陰陽師 狼蘭(壱) 小沢章友 学研M文庫
煙が知っている エリック・ライト ハヤカワミステリ文庫
今昔続百鬼 京極夏彦 講談社ノベルス
時の密室 芦辺拓 立風書房
超人計画 響堂新 新潮社
ふるさとは、夏 芝田勝茂 福音館書店
ハイドラの弔鐘 井上雅彦 ワニノベルス 多分ダブりであろう。
リア王密室に死す 梶龍雄 講談社ノベルス 文庫は持っているようです。今までダブりにカウントしなかったけど、ういうのはダブりだよな。
名探偵で行こう カッペノベルス
21世紀本格 カッパノベルス

奇妙な男たち 柴田錬三郎 近代生活社
狂者の相、鏡の中の狂者、春画とブローカー、死者の唇、櫻田門、赤い水、人間の座、奇妙な男たちの8編を収める純文学短編集であり、およそ著者のイメージからは遠い作品集である。後書きでは普段たくさん書いていた作品は「大衆的な読物」で「創作」ではないとして切り捨てている。確かにアナーキーな主人公の行動を描いたり、滑稽な人間模様を描いたりいわゆるエンターテイメントとは一線を画しているようだ。読後の印象を言うと埴谷雄高のような深さも感じないし安部公房のような実験性も無い。あえて言うなら、椎名麟三にちょっと似ているかなという感じだ。書かれた時期から言っても戦後の空気を色濃く反映しているのは確かであり、後書きで言う通り、内面を吐き出すように書きたいという意識の中から生まれてきた産物であるというのは(特に最初の2編で)感じられる。文学的な評価は、ぼくはわからないのだけれども現在では著者の意図とは正反対に切り捨てられているように思える著者の純文学作品は忘れ去られるにはもったいないという気はした。


柴練の本の感想が無いかと検索したが、ひっかかったのは自分の購入した時の日記と龍生書林の目録のみであった。淋しいのお。

昨夜のうちに梶龍雄は読了。次に読む本はまだ決めてません。

(今日買った本:14冊 今月買った本:37冊 今年買った本:671冊)

5月4日(土)

今日も理由をつけて片付けを後回し。逃げてどうする。明日は運搬しなくちゃ。

駅へいったついでに古本屋へ行く。
グリックの冒険 斎藤敦夫 岩波少年文庫 課題図書だが3部作なので1作目から読むことにする。
彼岸の奴隷 小川勝巳 角川書店

スカイ・ウェブを突破せよ! 荒神伊火流 ナポレオン文庫
外で持ち歩いて読むにはちょっと恥ずかしい本。SFポルノである。
SF的な部分はしっかりしていてさすがと思わせる一方、全体の3/4は占めようかと思われるポルノシーンには少々辟易。もっともそれ自体は書き手の意図とは関係なく、この文庫に書くには条件として受け入れなければならない部分であろうから、文句を言うのは筋違いだ。それよりもその縛りの中で、その手の作品以外のものを望む読者に(いるのかどうかは別として)いかに読む価値のある作品に仕立て、著者の色を出すかというところに期待したい。ストーリーはこんな感じだ。
謎の病原体(まさに狂牛病)に犯され、蔓延を防ぐため銀河連盟に防御機構(スカイ・ウェブ)を設置され出ることも入ることも出来なくなった惑星。数十年後に事故でその病原体に犯されてしまった惑星から、主人公がそこの惑星で開発されたというワクチンを銀河連盟の崩壊により制御できなくなった防御機構を突破して、その惑星に取りに行く。結論から言って、SFのストーリー的には良くできているし描写もしっかりしているのだが、いかんせんポルノシーンが多すぎて、素直には楽しめない。やはり縛りを前提とした上で読書をするのはちょっと歪んでるな。SF好きの男性は読んでもいいと思うけどポルノシーンは飛ばした方が良いかもしれない。好事家の方はどうぞ。自分自身あと4冊読むのかどうかは迷うところだ。


ちょっとづつ読んでいた「日課一日三枚以上」を読了。
梶龍雄の「奥秩父狐火殺人事件 」はもうちょっと。

最近、感想と買い物しか書かなくなっちゃった。

(今日買った本:2冊 今月買った本:23冊 今年買った本:657冊)

5月3日(金)

もぐらもちさんの日記は読みました。
でも買った本はやはり書いておく。

ものいふ髑髏 夢枕獏 集英社
嘘をつく男 河出書房新社
陰の季節 横山秀夫 文藝春秋
海賊モア船長の遍歴 多島斗志之 中央公論社
エール 鈴木光司 徳間書店
捩れ屋敷の利鈍 森博嗣 講談社ノベルス
アイゼン・ドラグーン 鳴海章 講談社ノベルス
覚醒 神代創 徳間デュアル文庫
秘神黙示ネクロノームB 朝松健 電撃文庫
アナベル・クレセントムーン 中井紀夫 電撃文庫

柴田錬三郎「奇妙な男たち」 読了。梶龍雄を読むことにする。
片付けは理由をつけながら今日のところは逃避する。

タイル 柳美里 文藝春秋
帯に「純文学なのにホラー」とある。これがなければ手に取らなかっただろう。一生読まない作家だったかもしれない。好みの作品傾向じゃなさそうだったし。
ストーリーは主人公の「男」(最後まで名前は明かされない)が、住んでいるマンションのオーナーと一緒になって、女性作家を監禁し・・、という話。離婚して引っ越してきた主人公の男は、タイルに執りつかれ部屋にタイルを貼り始めるのだが、このタイルという硬質な物体と、それに執りつかれるという設定がなかなか秀逸であり、この男を描くことに作者は執りつかれているように思える。それに対して作者の分身なのかどうかはわからないが、被害者になる女性作家は存在感が希薄だ。最後はカタストロフィーを迎えるわけなのだが、そこまでは総じて物語的に淡淡としているのは、著者の持ち味か。エンターテイメントかどうかはともかく、広義のミステリー(サイコ・スリラー)とは言えると思うので、サイコものが好きな人は一風変わったスリラーとして読んでみるのも一興であろう。なお文春文庫からも出ている。
ネット検索をするとさすがにたくさんの感想がヒットする。概ね戸惑っているような感想が多いようだ。ぼくは他の作品を読んでないので、単独の作品として感想を抱いたのだが、他の作品と比べるとかなり異質なのかな?


(今日買った本:10冊 今月買った本:21冊 今年買った本:655冊)

5月2日(木)

昨日今日は仕事だが、あとは6日まで休み。部屋の片付けを命令されているが、どうしよう。(つーかどこから手をつけて良いかわからん)

とりあえず連休前ということで古本を買う。
手塚治虫小説集 ちくま文庫
岬一郎の抵抗(全3) 半村良 集英社文庫
自由戀愛 岩井志麻子 中央公論社
グラン・ギニョール城 芦辺拓 原書房
今日を忘れた明日の僕へ 黒田研二 原書房
名探偵はもういらない 霧舎巧 原書房
肩甲骨は翼のなごり デイヴィッド・アーモンド 東京創元社
殺人症候群 貫井徳郎 双葉社
完本黒衣伝説 朝松健 早川書房

半村良以外、出版されて間もない本が多く罪悪感が大きいなあ。皆川博子さんの本は古本屋で見つける前に買わなきゃ。ダン・シモンズも今のところ新刊で買うつもり。(新刊で買ったら、すぐ読まないと意味ないよねえ)

読書は柴田錬三郎の「奇妙な男たち」を選択。まだ途中だけど、いまいち面白くないなあ。

ランドセルは魔女 大海赫 サンリード
多作ではないが、幻想的作品を書いている著者の後年の作品。主人公の女の子が従姉妹からもらったランドセルは魔女だったという、まあタイトル通りの話。初期の作品は読んでいないので(児童書を発見するのは難しいので図書館で見つけるしかなかろう)わからないのだが、友達のちょっと鈍い子を、ランドセル魔女にそそのかされた主人公と周りの子供たちがいじめ倒すところなどはなかなか強烈で、初期の作品の雰囲気の一端を見るような気がした。細部はそんな感じで楽しんだが、ストーリー自体はステロタイプでちょっと平凡な出来ではないかと思う。やはり今も復刊を望む声の多い初期作品を読んでみたいなあ。

(今日買った本:11冊 今月買った本:11冊 今年買った本:645冊)←大化の改新だあ。

5月1日(水)

読んだ本の感想を書いておこう。
赤い傘 大西赤人 立風書房
SF的ショートショートでデビューした作家の作品集。これは6冊目にあたり16編が収録されている。後書きでも著者が書いているが、SFっぽい作品はほとんどなく、落ちやどんでん返し等の無い一見日常的でありながらもちょっとゆがんだ作品が多く、人間の弱さ等を変に強調したなんとも後味の悪いものが多い。短編としては面白いと思うし、こういう書き方もありだと思うが、あまり好んで読みたい作品群ではないな。参考までに収録作を書いておく。
赤い傘、反逆者、現代のヒロイン、プラットホーム、標的、不鮮明な顔写真、強き者、裏返しのぼく、父、秘密、挿話、日曜日の外出、判定、引退試合、過去の紛失、埋み火・埋れ木
このうち幻想的な作品は「裏返しのぼく」のみ。読む人次第で、感想は変わりそうだ。


読書は荒神伊火流の「スカイ・ウェブを突破せよ!」を読了。

(今日買った本:0冊 今月買った本:0冊 今年買った本:634冊)