8月31日(土)
所用にて外出。一日が終わる。
とりあえずサービス券の期限なので買い物。
妖女 笹沢左保 光文社文庫
『魚服記』殺人事件 目森一喜 天山出版
細菌ハックの冒険 マーク・トゥエイン 彩流社
世にも不幸なおとぎ話 ステラ・ダフィ ブックプラス
あした、カルメン通りで 森雅裕 講談社
さよならは2Bの鉛筆 森雅裕 中央公論社
緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道 山本昌代 河出書房新社
ミシシッピの生活下 マーク・トゥエイン 彩流社 先月上巻を別の店で買ったが、これは搬入されるダンボールが分かれちゃったんでしょうね。
新刊書店で買い物。キングがブックプラスみたいな装丁で出てる。でも高い。部数は確保できるんだからもう少し安くして欲しいな。あ、版権が高いのか・・。欲しい本があいかわらずたくさん。来月は日影丈吉全集を買わなければいけないし。
ローズレッド エレン・リンバウアーの日記 ジョイス・リアドン編 早川文庫NV
庭師 高瀬美恵 祥伝社文庫
(今日買った本:10冊 今月買った本:202冊 今年買った本:1301
冊)
8月30日(金)
多忙なる一日。
杖術師夢幻帳ももうすぐ読み終わる。(つーか、今書いている時点で読み終わっているんですが)
はてさて次は何読もうかな?
(今日買った本:0冊 今月買った本:192冊 今年買った本:1291
冊)
8月29日(木)
閉店間際の本屋に駆け込み1冊購入。
僧正の積木唄 山田正紀 文藝春秋 巻末に千街さんの山田正紀論、インタビュー、日下さん作成の著作リストつき。本音を言えば、最近では若い人など山田正紀をミステリ作家だと思っている人もいそうだが、もともとはSF作家だったので(個人的には今でも本質的にSF作家だと思っている)、ファンとしてはもっとSFを書いて欲しいなあ。ところで本書には付録の座談会などもついていて、出版社の意気込みが伺える。続刊予定でもぞろぞろと作家名があがっているし、どこかの出版社にくらべればちゃんと出そうだしね。
(今日買った本:1冊 今月買った本:192冊 今年買った本:1291
冊)
8月28日(水)
ひさびさの本の感想。
ガリバー旅行記 ジョナサン・スウィフト ユートピア旅行記叢書6 岩波書店
ガリバー旅行記と言えば、童話の代表格の感がある。しかし実際には風刺に満ちた作品であることは知られているのだろうか。子どものころに読んだ作品と言うのは大人になってから読み返すことは少ないように思うが、そのことによって損をしている場合もあるのではないか。これはその代表格かもしれない。旅行記自体は4編からなっており、それぞれ「リリパット国渡航記」「ブロブディンナグ渡航記」「ラピュタ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブ及び日本渡航記」「フウイヌム渡航記」という表題がついており、本訳書ではその他に刊行時に附されたガリバーの言葉(刊行時はスウィフト作とされず戯作として世に出されたのだ)なども訳されている。
「リリパット国」は小人の国で童話としては一番著名。おそらくこれが童話としてアブリッジされているのは、ビジュアル的に分かりやすく、子どもにも面白いからであろう。風刺の度合いも比較的少ないようだ。次のブロブディンナグは巨人国で、童話としてはこの辺までだろう。次が空中都市ラピュタで、今では宮崎駿のラピュタのほうが有名だ。ここからとられていることは言うまでもない。この辺までは貴族や国家社会制度に対する風刺が主で、作品が進むにつれかなりあからさまになってきている。そして最後の馬の国フウイヌムが最も風刺が効いている作品で、沼正三の作品にもとられた「ヤフー」も登場。ここには既に社会風刺を超え、人間性に対して唾を吐きかけるような厭世観が満ち満ちている。
そう、スウィフトとはガリバー旅行記とは、童話などにすべくもない猛毒の小説なのだ。
最後に訳者(富山太佳夫氏)後書きから引用。「『ガリバー旅行記』はいかなる意味においても子ども向けには書かれていないということだ。」「このような作品を児童文学に書き直すというのは文学上の犯罪と言ってもいいくらいである。それは大人の鑑賞に耐える文学である。」
同感。さて子ども向けに書き直されたガリバー旅行記しか読んだことの無い人は、だまされたと思ってちゃんと訳されたガリバー旅行記を読んでみてください。そこには子どもの頃に読んだ物語は全く異なる、毒に満ちた世界があるのです。
(今日買った本:0冊 今月買った本:191冊 今年買った本:1290
冊)
8月27日(火)
ガリバー旅行記の感想を書こうと思いましたが、また今度にしましょう。
ところで今年の西武はやけに強い。戦力が大きく変わっているとは思えないのですが、指導者の差ということになるのでしょうか。
近年は、上位にはいてもさほど強さは感じなかったので、ちょっと怖い。
今日のニュースとしては「ベータビデオの生産終了でしょうか?」。聞いた時の第一声は「え?まだ作ってたの?」でしたが。
うちにも結構テープ転がっているんですよね。でもビデオもDVDに駆逐される日は近いかもしれませんが。
思いがけない事件で読書時間がとれず。明日は遅いので、やっぱり読了は無理かな?ファンタジア文庫に時間をかけたくはないんですけど。
ポケミス揃100万円はなかなか買い手がつきませんね。(当たり前か?)
独身時代なら買っていたかもしれませんけどね。
(今日買った本:0冊 今月買った本:191冊 今年買った本:1290
冊)
8月26日(月)
セカイのブタバンザイ 大海赫 小峰書店
岡山の民間信仰 三浦秀宥 岡山文庫
20世紀SFE 河出文庫
カヴェリエ&クレイの驚くべき冒険 マイケル・シェイボン 早川書房
妖櫻忌 篠田節子 角川書店
宇宙と踊る アラン・ライトマン 早川書房 ノンフィクション
SFマガジン10月号 恩田陸特集。Jシリーズは延期で来月は飛浩隆氏のものと同時刊行になるらしい。
ミステリマガジン10月号 まるごと1冊ランズデール。今年は幻想と怪奇特集がとばされて忸怩たるものがあったが、これで溜飲を下げました。「ドライブイン」は2003年刊行予定とあります。10年以上待っちゃいましたね。続編も訳して欲しいぞ。
ガリバー旅行記 読了。
ちょっと軽めに「杖術師夢幻帳」を選択。富士見ファンタジア文庫だけど宮本武蔵が出てきます。
(今日買った本:8冊 今月買った本:191冊 今年買った本:1290
冊)
8月25日(日)
ある方に大量に本を譲っていただきましたので報告しておきます。ありがとうございます。
名探偵登場 加納一朗 学研ジュニアチャンピオンコース なにもかも皆懐かしい・・。巻頭マンガはモンキーパンチ。
感情装飾 川端康成 名著復刻全集 掌編集。きっと幻想的な作品も含まれていることでしょう。
子どもの情景 秋山さと子 大和書房 いくつかのファンタジー作品について語った評論。
宇宙創世記ロボットの旅 レム 集英社
都筑道夫スリラーハウス 都筑道夫 桃源社
武士道 黒岩涙香 扶桑堂
家畜人ヤプー 沼正三 都市出版社 元版で再読しようかしらん。
発想の周辺 安部公房対談集 新潮社
黒い変身 ハーマン・ローチャー 角川書店 白人が黒人になる話し。「黒いアリス」もそうだね。
血と貝殻 河野多恵子 新潮社
イギリス児童文学の作家たち 猪熊葉子・神宮輝夫 研究社 児童文学の紹介。
タイムトラベルで進化論 豊田有恒 石津嵐 実吉達郎 創拓社 こんな本知りませんでした。SF的発想で未来を語った対談集。
捕物絵図 捕物作家クラブ 東京文藝社
宇宙大密室 都筑道夫 早川文庫JA
タイムトラベルSF傑作選 星敬編 コバルト文庫
ウエー 新どれい狩り 安部公房 新潮社
愛の眼鏡は色ガラス 安部公房 新潮社
名探偵入門 加納一朗 小学館
渋沢龍彦集成1、3,4,5 桃源社 揃えたくなっちゃうなあ。
ビブリオテカ渋沢龍彦1 白水社
新サド選集 1,2,3,4 桃源社 これも揃えたくなっちゃうなあ。
赤い右手 J・T・ロジャース 国書刊行会 第一期しか買ってませんのでこれを機会にそろえますか。
ある夢想家の手帖から(全3) 沼正三 都市出版社 読むのは潮書房版になるかもしれませんが・・・。
アポロは月に行かなかった 草川隆 栄光出版社 これは嬉しいぞお。
ミステリーの書き方 講談社
SF量子論入門 大槻義彦 ブルーバックス 小説仕立て。
三國志の不思議な話 KOEI
三國志飛翔伝説 KOEI
重力の虹(TU) トマス・ピンチョン 国書刊行会 ここ2年ほどを除いて唯一持っていなかった文学の冒険。
夢の通い道 倉橋由美子 講談社
鹿の幻影 紀田順一郎 東京創元社
魔術的な急斜面 紀田順一郎 東京創元社
いつか、ギラギラする日々 河野典生 文藝春秋
真田忍者伝 宮崎惇遺稿集 さがらブックス
まむしの周六 三好徹 中央公論社 黒岩涙香の評伝。
宮武外骨著作集1,4 河出書房新社 これも揃えたいですね。
カエルの死 夢枕獏 光風社出版
宇宙船野郎たち 野田昌宏 早川書房
その便所 安田五郎 私家版
あるタクシー 安田五郎 私家版
汚れた土地 小林信彦 講談社
(今日買った本:51冊 今月買った本:183冊 今年買った本:1282
冊)
8月24日(土)
マグリット展を見に渋谷へ。
やはりついでなので東急の古書市を覗く。二日目だしさして買うものは無いのだが、一応下記の物だけ買う。
SFマンガ大全集PART3,4 奇想天外社 あまり欲しいわけでもないのだが、別冊奇想天外を揃えたいがために買う。だからマンガ奇想天外は眼中に無い。でもこれは別冊の通し番号に含まれているので後2冊買わなければならない。
パロディマンガ大全集 奇想天外社 といいながら買っているのは梶尾真治原作のマンガがのっており、小説としては発表されていなさそうだからである。以上、3冊はマンガなのでカウントには入れません。
ジーザス・クライスト・トリックスター 筒井康隆 中央公論社 舞台模型やカセットテープのついた仕掛け本。
短編歳時記 森内俊雄 講談社
エウラリア 鏡の迷宮 白水社 持っている気がしてならず、いやだな。
会場で石井さんにばったり。あれ?昨日来たんじゃなかったの?と聞くと連荘だそうです。あいかわらずすごいな。
マグリット展へ。
マグリット展を見るのは3回目だと思う。前回見た時のポスター(「光の帝国」で今回展示のものとは構図が若干異なる)はまだ家に張ってあるから、そんなに間をおいたわけでもなく開かれるのは人気があるということなのかもしれない。それを裏打ちするようにめちゃくちゃ混んでいた。最終日前ということもあるのかもしれないが、十重二十重に人が絵の前に並んでいて、疲れることおびただしい。マグリットの場合、あまり近くで見ようという思いを抱かせないので、まあいいのだけど。マグリットの撮ったフィルムというのも上映されていて興味があったのだが、74分だかなんだかで見るのはあきらめた。で、肝心の絵のほうは個人蔵が多かったためか、初めて見る作品も多く楽しめた。今日ふと思ったのは、マグリットの絵の中での風景はワンパターンだということ。おなじみのモティーフやアイテムが繰り返されて使用されているのは誰もが思うことだろうが、背景(後方に山があり前景が平野で中央に川が流れている構図か、前景が草むらで後方に水平に森が広がっている構図)もモティーフの一部ということなのだなと感じた次第。あと素描風の作品はちょっと意外性あり。
結局シュルレアリズム画家として知られている人で、日本でいちばん有名なのはマグリットなのかもしれない。対抗馬としてはダリあたりかと思うけど、どうなんだろうね。ちなみに自分が画集が欲しいなと思っているのは山下菊二。日本のシュルレアリズム画家である。画集は出ているけど、絶版だし高いので手がでません。どこかの展覧会の図録だけでも欲しいですな。
マグリット展図録 珍しく表紙が硬い厚紙で製本されている。
ブックファーストで買い物。
渋谷一夜物語 山田正紀 集英社 後書きを読むと山田正紀クラスでも短編集を出版するのは難しいらしいようだが、そうなんだろうか?
オルタナティブ・ラブ 藤木凛 祥伝社 都筑道夫の「血のスープ」を思い出す新書ハードカバー。でもなんで?売れないと思ったのかな?
夢見の家 倉阪鬼一朗 集英社 考えてみると倉阪さんは短編集結構出されてますね。
小松左京マガジン7号 イオ 巻頭言で小松左京が同人誌とはっきり書いている。やっぱ同人誌なのか。売っているとこめちゃくちゃ限られるからな。
イカ星人 北野勇作 徳間デュアル文庫 地元の書店では売り切れのためか売っていなかった。1冊しか仕入れないためかもしれないけど。
終りのないブルーズ クリストファー・クック ヴィレッジブックス ○○さん、ちゃんと読みますからね。
マグリット展は家人と行ったのだが(本関係は別行動)、紅茶とケーキを食べるだけで一人1300円もかかってしまう。東京は物価が高いなあ。
(今日買った本:10冊 今月買った本:132冊 今年買った本:1231
冊)
8月23日(金)
北野勇作が売っていないんですけど。
旅行記はラピュタに入国。
都市の鑑賞法 別役実 大和書房 著者には「XXづくし」というエッセイシリーズがあるが、これはさしずめ都市づくしという感じ。
木の国の媛 ひかわ玲子 徳間デュアル文庫
地球の子ら 石原藤夫 徳間文庫 持っているかもしれない再編集の短編集。
きなきな族からの脱出 和田誠 角川文庫 存在しらずの短編集。
90年代SF傑作選(上)(下) 早川文庫 遅まきながらの新刊購入。
渋谷東急の古書展はともかくとして、マグリット展が今週でお終いだから行きたいな。
(今日買った本:6冊 今月買った本:122冊 今年買った本:1221
冊)
8月22日(木)
巨人国に入国。
どろ 山本甲士 中央公論社
イン・ザ・プール 奥田英朗 文藝春秋
オレンジだけが果物じゃない ジャネット・ウィンターソン 国書刊行会
妖人白山伯 鹿島茂 講談社
鋼 ダン・シモンズ 早川書房
越女剣 金庸 徳間書店
ストーネイジCOP 藤崎慎吾 カッパノベルス この手の新書で明確にSFをラベルにして売ることは近頃では珍しいよね。
買い物リストでごまかした二日間。でもガリバーが読み終わるのに時間がかかりそうだから。
(今日買った本:7冊 今月買った本:116冊 今年買った本:1215
冊)
8月21日(水)
リリパット国を出発しました。
十六桜 小泉八雲怪談集 研文社
暗殺童話 川島ゆぞ 近代文藝社
狂えるオルランド アリオスト 名古屋大学出版会 幻想文学の古典。こういう本が翻訳されるんだねえ。こんな厚い本、読めるかしらん。
休暇の死 樹下太郎 東都書房 これでめでたく樹下太郎のミステリー完集です。これも松本さん、石井さん、無謀松さんを初めとしたみなさんのおかげです。ありがとうございました。サラリーマン小説は適当に。あとは読むだけです。
(今日買った本:4冊 今月買った本:109冊 今年買った本:1208
冊)
8月20日(火)
そうです。私が高橋です。
自分でお願いしていてこんなことを言うのもなんなのだけれど、ハンドルも嫌いで使わないような人間がいきなり仮名になると違和感があります。というか、とても悪いことをしている人間みたい・・。(あまり良いこととは思わないけど)
バカなヤツらは皆殺し ヴィルジニ・デパント 原書房
フランスの若い女性作家の処女作品。帯に「セックス&バイオレンスなハードコア・ロードノベル」とあるが、まさにその通り。ストーリーは女の子二人が本能の赴くままに、セックスと人殺しを楽しみながら旅をするという話で、これ以上のストーリーは無いに等しい。翻訳の文体のせいか、すらすらと気持ちよく読めるわりに内容はすさまじく、例えるなら、ライトノベルの文体で書いたジャック・ケッチャムといったところか。とにかくお金が欲しいとか、何かが欲しいとかいう欲望だけではなく、なんとなくとかちょっと気に食わないとか自分に対して決心をつけるためとか些細な理由で、無頓着に人を殺しまくる。殺す相手も若い男女から、老女、子供まで見境なし。それでいて二人の現代風少女はサイコサスペンスで描かれるような異端者としては描かれておらず、そういう意味ではケッチャム以上かもしれない。「このミス」のベスト20に入っているようで、確かに広義のミステリーではあろうが、エンターテイメントとして楽しむにはアンモラルな危険な小説だ。面白いとか面白くないとかいう以前に、あまり積極的に人に勧めたい小説ではない。
読書は「ガリバー旅行記」を選択。翻訳は岩波書店のユートピア叢書の富山太佳夫訳版。まだリリパット国をうろうろしております。ちょっと時間がかかりそうなので、明日以降の日記はいかがしたものか。
(今日買った本:0冊 今月買った本:105冊 今年買った本:1204
冊)
8月19日(月)
感想文。
赤き死の炎馬 霞流一 ハルキ文庫
奇跡鑑定人の魚間はテレポーテーション現象を経験したという女性の証言で、岡山県の田舎町を訪れる。彼は奇跡が波紋を呼んで、世間に影響を及ぼすのを未然に防ぐため、日夜活動しているのだ。その奇跡が起きたのは織音荘と呼ばれるオリオン座をかたどった奇怪な宿であった。調査を進めるうち、魚間は織音荘の娘妙子の死体と遭遇する。それは謎の連続殺人事件の始まりであった。
著者は横溝正史のパロディをやりたかったのだろうか。岡山県の田舎町。因習。血縁。連続殺人。血塗れの落ち武者伝説。奇怪な屋敷。密室殺人。要素にはことかかない。基本的にはユーモアで包んであるのだが、きっちり人も殺されるため、ユーモアものとして読んでいいのかどうか戸惑う。自分としてはユーモアミステリーで人が死ぬのは好きではないからだ。最後も横溝正史へのオマージュとしては良くわかるけれども、陰惨だし。謎解きに全く現実味が無いところなど、やはりユーモアものなのかとも思うのだが、統一した印象を抱けないまま終わってしまった。まあ作風に慣れていないだけかもしれませんので、他の本も読んでみたいと思います。
バカなヤツらは皆殺し 読了。
(今日買った本:0冊 今月買った本:105冊 今年買った本:1204
冊)
8月18日(日)
まずは買い物。
雨の日にはプッシィ・ブルースを 荒木一郎 河出書房新社
青春牡丹燈籠 唐十郎 集英社
白き嶺の男 谷甲州 集英社 持っている気がしてならない。
女神 明野照葉 光文社
近代奇人伝 駒田信二 旺文社文庫
買いも買ったり 林望編 光文社文庫
殺意は幽霊館から 柄刀一 祥伝社文庫
頭脳大テスト第三巻 都筑道夫監修 角川文庫
続いて感想。
F THE GEISHA MARIO A /多和田葉子 河出書房新社/マルドロール
マリオ・アンブロスィウスという写真家の写真に多和田葉子の序文および掌編をあわせたもの。写真はヨーロッパで発売されている「GEISHA」という名前のみかんの缶詰からインスパイアされ、日本の女性モデルを起用してヨーロッパの認識としての日本女性のイメージと、実像を対比させたもの。思うに写真というのは絵と映画の中間的なものだと思う。絵ほど、架空の世界や作者の内的世界、ストーリー性を1枚に込めるのは難しいが、映画ほど全てを語るということが無いので真実の持つストーリー性や背景を想像させる力は持っている。この作品も連続的な写真を使用し、いろいろなアングルから、いろいろなモティーフの写真をちりばめることによって、ストーリー性や著者のテーマを盛り込むことに成功しているように思う。ただしこれは内容を説明されているわけではないので、写真を見た各人がそれを感じとらねばならない。そういう意味ではこういう写真作品を見慣れない自分には少々テーマ的に難しかったことは事実だ。
また附されている多和田葉子のモノローグ体の掌編は写真からインスパイアされた作品ではあるものの、写真とは別物の幻想的な作品である。要はマリオの写真を見て、著者の中に沸き起こったテーマをフィルターを通して、文字として定着させたものということだ。これだけで作品を読むのはわかりにくいため、そういう意味ではこういう形態で出版するという試みは成功なのかも知れないが、反面1+1=3以上になったかというと、あとがきでマリオが「問いに対する答えは出ないままおわった」と書いているように、二つの形態の作品が水と油のように分離しているような気がして、一つの作品として融合させることはできなかったようだ。
いずれにせよ、ユニークな試みとしては評価したい。
読書は「バカなやつらは皆殺し」を選択。
(今日買った本:8冊 今月買った本:105冊 今年買った本:1204
冊)
8月17日(土)
川崎・世田谷合同の花火大会を見に行く。ちょっと遠かったので、やや緊迫感に欠ける。アザラシも見ていたろうか。
ある方からお譲りいただいた本をはじめとしてが届いた本が大量にあるのだが、開封も出来ない状態。
でも買う。
錯覚都市 香住泰 双葉社
見えない精霊 林泰広 カッパノベルス
トリガー 霞田志郎(太田忠司) 小学館
太田忠司が自作の登場人物の名義で発表したSF。
時は未来。人類は「雪女のキス」と呼ばれる謎の疫病により全滅。わずかな人数だけが火星のコロニーの中に細々と暮らしていた。主人公のケイはコロニーの創造者の孫である。そんなある日あらわれた顕という謎の少年と会っていたところを、パルカというエアバイクレーサーのならず者に襲われた。何故こんなことになったのか。顕とはいったい誰なのか?
作中にブラッドベリの「火星年代記」が出てくることからもわかるように、どことなく懐かしい匂いがする。また著者のSFに対する思い入れも感じる。短い作品の中に、いろいろな要素を詰め込んでいるため、やや掘り下げが足りないきらいはあるが、それでも最後は意外性を出すところなど、ミステリ作家らしい一面も覗かせる。傑作とは言わないけれども、楽しめるSF小説と言えようか。でも顕の正体が○○○なのは何の意味があるのだろうか。謎である。
それにしても帯の「SFミステリー」は、著者のミステリーファンに売らんかなという出版社の営業的な姿勢があからさまでやや不快。どう読んでも純粋なSFであって、ミステリーではなかろう。
「赤い死の炎馬」読了。
「F・THE・GEISHA」 読了。
(今日買った本:2冊 今月買った本:97冊 今年買った本:1196
冊)
8月16日(金)
買い物。
MUSASHI 壱 富樫倫太郎 カッパノベルス
硝子細工のマトリョーシカ 黒田研二 講談社ノベルス
ふたり探偵 黒田研二 カッパノベルス
笑殺魔 黒田研二 講談社ノベルス
「瑠璃城」殺人事件 北山邦猛 講談社ノベルス
鏡面のクー 竹本健治 ハルキノベルス
誘拐症候群 貫井徳郎 双葉文庫
杖術師夢幻帳 昆飛雄 富士見ファンタジア文庫
王者のゲーム(上下) ネルソン・デミル 講談社文庫
1980ハンター デイヴィッド・ピース 早川ミステリ文庫
一休闇物語 朝松健 光文社文庫
謎のギャラリー こわい部屋 北村薫編 新潮文庫
蛇怨鬼 天沢彰 ハルキホラー文庫
死のドライブ P・ヘイニング編 文春文庫
読書は霞流一の「赤き死の炎馬」を選択。
(今日買った本:15冊 今月買った本:95冊 今年買った本:1194
冊)
8月15日(木)
仕事を休んで、上京される大熊さんをお迎え。kashibaさんが詳しいレポを書いていただいているので、簡単に。
まずは昼に待ち合わせの八重洲口のドトールが分かりにくくて難儀する。ここで集まったのは自分と大熊さん以外に、kashibaさん、葉山さん。待ち合わせ場所がわかりにくくて申し訳ありませんでした。
一応、大熊さんのご希望でまずは早川書房へ。といっても創立記念日だかで会社は休みだったので、下の「クリスティ」という喫茶店でお茶をする。早川の人はここで打ち合わせをするのだろうか。店の名前はやはりドル箱だから感謝を込めてといったところかしらん。
その後、神保町へ。一般社会人が休みのときは休みというトレンドの神保町にしては意外とお店はやっていた。羊頭書房のRBワンダーを覗くが特に買うものはなし。羊頭は1冊だけ欲しいのはあったのだが、持っている本の元版という理由だけなので我慢しておく。東京堂で署名本でもと思ったが、こっちは休みで残念。
古本屋もそこそこに池袋へ移動し、ミステリー文学資料館へ。ふーん、山前さんと新保さんてああいう方だったのね。二回目だが、開架はちょっと変わったのかな?終戦直後発行のペラペラの新青年に感動する。この辺は日本に何部残っているかわからないよねえ。創元の貼雑年譜の本物も見るが、意外に印刷が多くて少しがっかり。印刷の質が非常に高いのは認めるけれども、もう少し貼り込みがあると思ってました。結局制作費に諸経費と利益をのせて制作部数で割ると、ああいう値段になってしまうんだろうが(多分粗利も存外少ないんだろう)、マニアではない自分にはちょっと値段対価値の点で買いたいと思うものではありませんでした。(とても買えないが) 資料的な価値はすごくあるんだろうけどもね。
あとはそこから歩いて2分の乱歩邸を外から見る。まあ何も知らなきゃただの古い家である。蔵が奥に見えて、おおあれが、という感じ。裏がマンションになっていて、売り出し時の惹句が「乱歩邸を見下ろせるマンション」だったとか。(嘘です)
駅まで歩く途中の古本屋で買い物。
怪談ばなし傑作選 山本進編 立風書房 買い逃していたもの。
思考する物語 森下一仁 東京創元社
d現代怪奇小説集2 立風書房 持っていないのは3でした。
さようならインディオス 石塚京助 実業之日本社 探していた本。嬉しいな。あとは「赤いカラス」だ。
夜の部として前に「一万冊記念オフ」を開いていただいた時の中華料理屋へ。SPOOKYさん、川口さんご夫妻、よしだまさしさんを交えての歓談。とても楽しい時間でした。大熊さん、楽しんでいただけましたでしょうか?大阪へ遊びに行ったときには遊んでくださいね。
適当な幹事でご迷惑をおかけいたしました。
大熊さんの過去を伺った時にいただきもの。
「風の翼」10〜15号 とても立派な同人誌でびっくり。おっと西秋生さんも載っている。
トリガー 霞田志郎(太田忠司) 読了。
(今日買った本:10冊 今月買った本:80冊 今年買った本:1179
冊)<−−いただきものを含む
8月14日(水)
首断ち六地蔵 霞流一 カッパノベルス
サムライ・レンズマン 古橋秀之 徳間デュアル文庫
d一九九九年に生まれて シャルロッテ・ケルナー 福武書店
奇形の鏡 山村正夫 青樹社
題名変えて再刊されているのかもしれないが、良く分からない。表題作は短い長編で、他に中編「落日の墓標」を収録。後者は春陽文庫にあるが、そっちは中編集のようだ。
奇形の鏡 腹違いの姉妹、麻弓と暁子。暁子は奔放で麻弓の中学時代の図画教師で現在はデザイナーの宇留島と肉体関係にあった。それに対して麻弓は、キリスト教徒で穢れを極端に嫌う純真な少女である。麻弓が姉のもとを訪れたとき、悲劇は起きた。暁子が殺され、麻弓も重傷を負った。犯人は暁子と別れ話を持ち出そうとしていた宇留島か、暁子の夫の圭三か、それとも丁度圭三のもとを訪れようとしていた旧友で今は落ちぶれた男なのか。
結局のところ○○を利用したトリックで、舞台装置の説明があった時点で、ちゃんとではないがおぼろげにわかってしまうところがマイナスか。サプライズが無いのである。あと、「そんなん、あり?」というようなラストのひねりが、びっくりはするのだがなんというかミステリーのひねりではないよなあ、という感想を抱いてしまったのでした。そういえばどうだったか全然覚えていないのだが、「ボーリング殺人事件」も妙なひねり方で終わらせていたように思うのだけど、違ったかな?
落日の墓標 八丈島で起きる花嫁の殺人。これはトリックがさらに単純。これも自分のような素人のミステリー読者でも、登場人物たちがなんで気がつかないんだ?と思ってしまうものではありました。
読みやすいし、表題作のタイトルはうまいと思うのだが、結論から言って自分はあまり買わない。
読書は太田忠司(霞田志郎)のSFを選択。
(今日買った本:3冊 今月買った本:70冊 今年買った本:1169
冊)
8月13日(火)
奇形の鏡 山村正夫 青樹社 読了。
と、ここまで書いて続けて何を書いたらいいのか迷う。
今回も紀伊国屋から品切れメールが来た本をJ-BOOKでは取り寄せになっていたのですかさず注文を出してみる。さて買えるかな?
えー、あと話題は・・。そうだ。
こんなところでなんですが、お勧めの日記がありますので書いておきましょう。
昨日書いていた日記とはここのこと。とても刺激になります。目が離せませんね。
http://www2.diary.ne.jp/user/157616/
ということで、お時間になりました。今日の日記はおしまいです。おやすみなさい。
(今日買った本:0冊 今月買った本:67冊 今年買った本:1166
冊)
8月12日(月)
OUT 桐野夏生 講談社
弁当工場の夜勤で働く4人の主婦。ある日、そのうちの一人弥生はギャンブルとスナックの女に金をつぎ込み、自分をかえりみない夫を考察してしまう。弥生は仲間の雅子に助けを求める、雅子は弥生を見て助けることを決意する。やるのは死体の始末だ。犯罪の発覚を防ぐためには死体をどうすればよいか。雅子は思い切った手立てをとる。やがて夫の失踪事件の容疑者として、殺された夫のかよっていたスナックのオーナーに嫌疑が降りかかるところから、事件は動き始める。
女性を主人公にする場合は、やはり女性作家の方が描くのはうまいようだ。それほど4人の主婦は生き生きと描けている。男性作家だと、たぶんこういう女性のキャラクターを書くのは難しいだろう。違う生き物だから。うまく言えないが、異性を描く場合理解が出来ない分、遠慮やデフォルメが入ってしまいがちであるように思う。だからこの小説も、男性陣はどこか嘘っぽさが漂ってしまうのは否めない。しかし本書は主婦4人の姿を描くことに主眼があるので、それはさほど気にならない。それほど女性のキャラクターが良いということだ。主人公の雅子は格好良く、ストーリーも最後まで飽きさせない。ラストは正直、視点の変更でたたみかける迫力が減殺されているのが気になったし、終わらせ方もちょっと甘いかなとも思ったけれども、全体から見れば面白さ保障のエンターテイメントと言ってよかろう。
よるねこ 姫野カオルコ 集英社 ホラー短編集であることを某氏の日記で知り、早速購入してみた。名前は知っていたが、正直完全ノーチェックの作家であった。
黒髪 橋本純 エニックスノベルス 題名がホラーとして期待できそう。
SFJAPAN 徳間書店 会社の近くの大き目の本屋で1冊も入荷していなかったため、家の近所でちょっと折れ曲がったのを仕方なく購入。
あヽ人生日記 野坂昭如 吉行淳之介 丸谷才一 和田誠 新潮社
イカロスの誕生日 小川一水 ソノラマ文庫
ミドリノツキ(上) 岩本隆雄 ソノラマ文庫
読書は山村正夫の「奇形の鏡」を選択したけど、いまいちかなあ。
(今日買った本:6冊 今月買った本:67冊 今年買った本:1166
冊)
8月11日(日)
家人と「くまのプーさん原画展」を見に行く。
挿絵なので、いわゆる額つきの絵画とは違うけれども、少しチープな感じが素敵な展覧会。
ただ、図録がなかったが残念。出口の売り場は原書と翻訳&関連書籍が少しあったくらいで、あとはおもちゃやら、グッズ類ばかりで、欲しいものはなし。マグリット展は疲れたのでまた今度とする。それより、損保ジャパン東郷青児美術館でバルビゾン派の個人コレクションの展覧会をやっていることがわかったので、そっちのほうが引かれる。昔見にいった山梨美術館のミレー他のコレクションはなかなか見ごたえがあったが、個人コレクションではなかなか目にする機会もなさそうだし。あと、帰りに電車で知ったのだが世田谷身術館でクレー展もやっているらしいので、そっちも見たいな。
封筒を置きに伊勢丹へ行き、30分ほど会場をうろついたが、特に買うものもなく、ひきあげる。10年以上行っているが、初日に限らず伊勢丹へ行って全く何も買わなかったのは初めてだと思う。まあ、買おうかなと思うものもなくはなかったが、今買わなくてもという意識がはたらく。
SFJAPANの最新号が買いたいが、近所の店では美本が無く、躊躇。雑誌といっても1800円もするから綺麗なほうがいいよ。メフィストでは諸星大二郎が短編を寄せているので、買いたい欲求にかられるが、短編1本に1600円も出すのはなあ。悩むところ。
(今日買った本:0冊 今月買った本:61冊 今年買った本:1160
冊)
8月10日(土)
ユートピア旅行記叢書6 ガリヴァー旅行記 岩波書店 本巻にて無事完結。
小松左京マガジン5号
シャーロックホームズ事典 詳注シャーロックホームズ全集別巻 ちくま文庫
アラマタ図像館5,6 荒俣宏 小学館文庫
きつね月 多和田葉子 新書館
ネヴァーウェア ニール・ゲイマン インターブックス
最近新刊を買いすぎ。古本ばっかり買っていたころより、たくさんお金使っている気がする。
でもデパート展どころかちゃんとした古本屋も行かないし、目録も忙しくて見ないうち締め切りすぎちゃうし、ブックオフには欲しい本売ってないし。ネットだと際限なく買えちゃうからなあ。
契らずに 戸川昌子 集英社
(今日買った本:8冊 今月買った本:61冊 今年買った本:1160
冊)
8月9日(金)
ホラー小説時評 東雅夫 双葉社 SFマガジンのホラー書評を纏めたもの。雑誌掲載時に全て眼を通していると思うが、こうしてまとめられていると参照するのにとても便利。
鬼籠方眼妖鬼譚 真崎かや エニックスノベルス
ザ・ハンマー 飯野文彦 エニックスノベルス
チキン・ラン 片瀬二郎 エニックスノベルス
作者不詳 三津田信三 講談社ノベルス
青い館の崩壊 倉阪鬼一郎 講談社ノベルス
GOTH 乙一 角川書店
出先の本屋でエニックスノベルスが出ていたので買っておく。近所の本屋には入荷すらしないみたいだし。
(今日買った本:7冊 今月買った本:53冊 今年買った本:1152
冊)
8月8日(木)
本の感想。
どーなつ 北野勇作 早川書房
形式的には連作短編ということになろうか。全体で10個の短編で構成されている。とはいえ、全て同じ世界観と、共通する登場人物で語られており、それらが絡まりあって、ゆるやかな一つの長編を構成することにもなっている。ただ、モザイクで例えれば、隣のタイルと位相がずれているというか、隣のタイルが欠けているというか、ぴったりと1枚の絵が描かれているというわけではない、微妙なゆらぎを感じる。
ストーリーの要約は難しい。メインとなる登場人物は出社しなくなった同僚の代わりに人口知熊(通称電気熊)の乗り手にさせられた青年と、その恋人の田村麻美。田村は火星開拓用の生物としてアメフラシの知能向上実験を行っているのだが、二人は微妙にすれ違う。。
結局この世界は、われわれと同じ地平の世界なのか、1話目に出てくる突然出現したどーむ状の世界の中なのかが良く分からない。読み方がいけないのかもしれないが、全体的になんともつかみ所の無い世界ではある。ガジェットはアメフラシとか電気熊とかある意味ほのぼのとした漫画チックな絵柄を想像させる独特のものだ。で、結局面白いかというと、魅力は感じるのだがその正体がわからないというのが正直なところ。小説内ではディックのような世界の不確かさを感じさせると共に、起承転結や一本の時系列的な流れさえも無視し、小説の構造を崩している。これは想像だが、作者の中では首尾一貫した世界で私小説の可能性すらあるのではないか。あわない人には全くあわないようにも思う異色の才能である。ぼくは好きだな。
感想が難しい本なのは確かだが、下手な感想であるな。
(今日買った本:0冊 今月買った本:46冊 今年買った本:1145
冊)
8月7日(水)
明日から伊勢丹だったのか。気がつかなかったなあ。注文しようと思っていたのもあったのに。ま、いっか。最近多いんだよね。そういうの。
読書は桐野夏生の「OUT」を選択。ベストセラーである。
怪談十五夜 杉村顕道 友文堂書房 配給元 日本出版配給統制株式会社
昭和22年1月10日再版発行。初版表記なし。定價拾貮圓
怪談の季節でもあるし、誰も珍しがってくれないと思うが、勝手に珍しいと思っている本を手に取る。戦後すぐに仙台で出版された怪談集であるが、雑誌付録のような貧相かつ薄っぺらい小ぶりな本である。著者は怪談集「箱根から来た男」の作者としてごく一部で知られている。「箱根〜」は長年のかなり欲しい度の高い探求本なのだが、目録にもはずれいまだに手にすることができないでいる。とは言え、この本で著者の怪談の雰囲気は伝わってきた。
「白鷺の東庵」「草履の裏」「豆腐のあんかけ」「兜鉢」「深夜の葬列」「黄八丈の寝衣」「鳥海山物語」「離家の人影」「温泉寺奇談」「蛻庵物語」「二ツ人魂」「下足番の話」「手相奇談」のどれも短い怪談13編を収録。十五夜なのに何故13編なのかということはさておいて、どれも淡白で飄々とした語り口の怪談集だ。倉阪さんが日記で「浮世離れした怪談集」と感想を書いておられるが、本当にそんな感じである。なにせこの本が出る1年と少し前まで戦争だったんだから。戦争のときは怪談なんてとても受け入れられなかっただろうしね。
怖さはさほどではないけれど、滋味溢れる怪談集として一服の清涼剤として楽しんだ。
おまけで一部を引用。『其の時、廊下の足音が段々近づいて来て、夫婦の寝室の前まで来ると、「バサッ!」と音を立てゝ障子が鳴った。何だか分からないが、髪の毛のやうなもので撫でたらしい様子だ』
音って怖いんだよね。自分はかねがね「静寂」もふくめた、聴覚に訴える怖さというのも相当なものだと思っている。ブラックウッドの「柳」も聴覚に訴える恐怖小説だ。逆に城昌幸の「その家」は「静寂」の怖さか。
(今日買った本:0冊 今月買った本:46冊 今年買った本:1145
冊)
8月6日(火)
ご近所探偵TOMOE 戸梶圭太 幻冬舎文庫
ここほれONE−ONE! 小川一水 スーパーダッシュ文庫
戦国吸血鬼伝 ゆうきりん ハルキ文庫
神の系譜 幽霊の国 西風隆介 トクマノベルス
島久平名作選 島久平 河出文庫
怪談徒然草 加門七海 メディアファクトリー なんにしてもとても面白そうである。怪奇作家が手がけたことにも意味があるし。楽しみ楽しみ。
怪を訊く日々 福澤徹三 メディアファクトリー 怪談双書って、角川の怪叢書みたいですね。まあ版元は同じグループか。
やることたくさんあるのに最後までやめられず「どーなつ」読了。
(今日買った本:7冊 今月買った本:46冊 今年買った本:1145
冊)
8月5日(月)
トムズボックスの本をまとめ買い。
旧約物語 初山滋
犬、猫、魚、その他 片山健
だるまさん千字文 矢川澄子
コレスポンデンス 宇野亜喜良
アンデルセン童話集挿絵集 武井武雄
ハツメイハッチャン 武井武雄
こういう本を刊行しているお店が近い人が羨ましい。ねえSさん。
鼻のないゾウ 遅叔昌他 太平出版社
珍しい中国のジュブナイルSFを4編収録。古い本であるがこういう試みはもう少しされても良いと思う。以下は各作品紹介。
クジラの牧場 遅叔昌・于止 資本主義国家はいたずらに鯨を捕獲して減らしているが(本当にそういう記述がある)、わが中国は牧畜しどんどんと繁殖を進めているのだ、中国は偉大だ、ということを少年に教える教育的指導作品。いわゆる海底牧場ネタ。
鼻のないゾウ 遅叔昌・于止 ゴビ砂漠の人口都市で出会う、鼻のないゾウとは?中国の誇るバイオテクノロジーの凄さを称える教育的指導作品。
友好サッカー試合 蕭建亨・金ウェイ モザンビークから友好少年サッカー団がやってきた。しかし町には計画にしたがって気象管理局が雪が降らせていた。なんとか雪は止めてもらったのだが、積雪はどうしたらよいか。そこでひょんなことから方法が見つかる。それは火星の・・。
ゆくえ不明になった兄さん 15年前に行方不明になった兄さんが発見されたという知らせが入る。なんと当時の少年の姿のまま急速冷凍庫で凍り詰になっていたというのだ。兄さんの救出を各方面に依頼する今は兄より年上の弟。そこで中国の科学陣が立ち上がる・・。
ある意味プリミティブなのどかさがある反面、ナショナリズムの匂いもそれなりに感じる。アイディア的には日本も含めて西欧のSFには及ぶべくもない。科学性もややあぶなっかしいのだけれど、なんともいえない力を感じるのは確かである。普段触れることのない中国SFに興味のある方はどうぞ。なお挿絵は松本零士が書いていて、中国に松本零士はかなりミスマッチなのだが、動物とかの可愛さは戦記物とかではなかなかお目にかかれない気もするので、良いのではないでしょうか?ちなみに女性は子供しか出てきませんので、松本零士らしい美女のイラストはなし。
ちょっと浮気で「怪談十五夜」杉村顕道を読んだ。
(今日買った本:6冊 今月買った本:39冊 今年買った本:1138
冊)
8月4日(日)
とりあえず届いた本から。
ファンゴリア NO2、3、6〜18、20、21、22
心霊写真 小池壮彦 宝島新書 bk1、JBOOKは絶版だったが、紀伊国屋のみ店頭在庫ありだったので注文し無事購入に成功。
F THE GEISHA MARIO.A 多和田葉子 マルドーロール 発売河出書房新社 ちょっと失敗。小ぶりなヌード写真集に多和田葉子が序文と跋文を書いたもの。うーん、ちょっと違うなあ。
手塚治虫漫画全集別巻 手塚治虫小説集 講談社 小説とシナリオだからカウントにいれます。
手塚治虫漫画全集別巻 手塚治虫シナリオ集 講談社
弁天てんてん 島村匠 学研
小松左京マガジン6号
英国鉄道文学傑作選 ちくま文庫
人肉嗜食 猟奇文学館 3 ちくま文庫
語り手の事情 酒見賢一 文春文庫
d生存の図式 ホワイト 早川書房
ロイストン事件 D・M・ディヴァイン 教養文庫 M9。趣味で集めるには丁度いいね。
<あさぎり>秋田構造線 種村直樹 東京創元社
サロメの夢は血の夢 平石貴樹 南雲堂
ハサミ男 殊能将之 講談社ノベルス
評判が良かったミステリ。ハサミ男は狙っていた3人目の犠牲者を目の前で偽装犯に殺されてしまい、図らずも自分の名を語った犯人に興味を持ち、偽装犯を追いかけることになった。それをさらに若い刑事が追うというストーリー展開。
最初読んでいるときに語りにちょっと違和感があったのだが、それがもやもやとしたまま分析もせずにラストにそのまま突入したので、最後はやはり意外な犯人でした。もやもやをもう少し読みこんで分析すれば多少は気がつくところがあったのかもしれないけれど、そこまでやるつもりもないので素直に楽しみました。ところでぼくはある日本人推理作家の有名作品を思い出したのですが、そんな人はいませんか?あと検索していて謎宮会の葉山さんの分析を読んで、あれって伏線だったのかと驚く。でもぼくは当然そのことを知っていたけれど、伏線とは全然思いませんでしたとさ。甘いねえ。
なんにせよお代分、充分楽しめる娯楽作品だと思います。
(今日買った本:31冊 今月買った本:33冊 今年買った本:1132
冊)
8月3日(土)
注文したbk1、紀伊国屋から本が届き始めたが、精神的、時間的余裕が無く、開封もしてません。
ET グリーン・プラネット 講談社X文庫 ETの続編。一応コツウィンクルの原作の翻案らしいので探していたのだ。
「ハサミ男」読了。「鼻のないゾウ」読了。ようやくハヤカワJシリーズの「どーなつ」を手にとることにする。時間がないのでゆっくり読みますわ。
(今日買った本:1冊 今月買った本:2冊 今年買った本:1101
冊)
8月2日(金)
デイヴィー 荒野の旅 エドガー・パンクボーン 扶桑社 なんとも懐かしい名前だ。「観察者の鏡」は何年前に読んだかも内容もきれいさっぱり忘れてしまったが、面白かった記憶だけが残っている。訳者後書きを読むとこれは当初サンリオで出るはずだったらしい。パンクボーンで思い出すのだ、SFAの書評でコバルト文庫の「天使の卵」を伊藤典夫が「パンクボーンの英語はかけだしの訳者には難しすぎる」という苦言を呈していたこと。最近では翻訳がどうのこうのという書評をあまり見ないような気がするが、英語が不自由な身にとっては気持ち的にはちゃんとした翻訳で読みたいというのが正直なところ。はてさてこの翻訳はどうなんでしょうか。まあ読めるだけでも幸せなんですが。海外SFノベルスで予告が出たままに終わった「ザンジバーに立つ」はどうしたんだ?早川書房さん。クロウリーの「エジプト」もあるでよ。
(今日買った本:1冊 今月買った本:1冊 今年買った本:1100
冊)
8月1日(木)
暑いので背景色を黒にしてみる。
呪いの心霊ビデオ 小池壮彦 扶桑社
出たての新刊を読んでみる。著者はテレビにも出ているらしいが、ぼくはテレビを見ないので見たことは無い。それよりも「幻想文学」誌の心霊特集での真摯なブックレビューが印象に残っている。世界心霊宝典をはじめとして膨大な本を紹介していた。ぼくは怪奇小説は大好きだが、実話は苦手だ。怖いのである。ホラー映画は好きだし、怖いと思ったことはあまりないが本当の話と言われるととたんに怖くなってしまうのだ。
本書では基本的に「フェイクを楽しむ」という姿勢で巷に溢れる「心霊ビデオ」や「恐怖ビデオ」一部の「ホラー映画」を紹介している。ぼくがこの人の書くものが好きなのは基本的に「懐疑的」というところだ。無条件に受け入れるでもなく、無条件に拒否するのでもなく、微妙に懐疑的なのだ。しかし本書の中でも「私もこの映像を見てから急激に視力が落ちたという事実がある」とか「私も心霊スポットといわれる場所でふわふわした白いものを見ても、たいてい無視することにしている」などとたまに散見される言葉には深いものがある。またビデオの紹介では幽霊屋敷として有名だったらしいあるホテルのドキュメンタリーが圧巻。これは本当に怖そうだ。ちなみにyahooでそのホテル名を検索すると、有名な幽霊屋敷だったようなのにひっかかったのはたった1件。問題の中古ビデオの販売だ。なんだかちょっと怖いぞ。これで注文しないのに家に届いたら本当に怪談であるが。
(今日買った本:0冊 今月買った本:0冊 今年買った本:1099
冊)