会計参与(仮称)について

 法務大臣の諮問機関・法制審議会の会社法部会は、その審議において、会計参与(仮称)という機関を会社に設置可能とすることを検討しています。

 この「会計参与」なる機関は、

@株主総会で選任される(会社の定款でその設置が定められる)。
A会計に関する専門知識を有する者(税理士・公認会計士)を会計参与とする。
B会計参与は取締役と共同して、計算書類を作成し、株主総会において説明する。
C計算書類を、取締役とは別に保存する。
D株主または債権者の請求により、計算書類等を開示する。

等という特徴があります。


 上記@について・・・任期・報酬については、取締役の規定が準用される模様です。すなわち、任期は、2年間となります。

 上記Aについて・・・会計参与は、税理士・公認会計士でなければなりませんが、兼任禁止規定が存在します。会計参与は、会社または子会社の取締役、監査役、会計監査人、支配人、その他の使用人を兼ねることは出来ないとされています。但し、会計監査人と会計参与の併存は可能です。また、申告業務を行っている税理士が会計参与に就くことも可能です。

 株式譲渡制限会社(大会社を除く)のうち、取締役会を設置するものは、会計参与を選任することにより、監査役の設置をしないことが出来るとされました。これは、会計参与により、計算書類の正確性が担保されるためであると思われます。

B、C、Dについて・・・会計参与は、取締役と共同で、計算書類を作成し、株主総会での説明義務があります。計算書類は、5年間保存し、株主及び債権者の請求により、計算書類を開示しなければなりません。また、会計参与は、計算書類等の作成等に必要な権限を有するとされています。会計参与が職務を怠った時の責任については、社外取締役と同様(商法第266条、同第266条ノ3)となります。

 
 会計参与の選任は、株式会社の規模に関係なく出来ますが、証券取引法や商法に基づく監査を受けない、中小企業の会計や計算書類の信頼性を高めることが狙いとなっています。また、金融機関から融資を受ける際に、担保や金利等の面で優遇されるという利点もあります。会計参与により、中小企業が、金融機関や取引先に対して、経営の健全性を、更に示すことが出来ることになるでしょう。

 この会計参与を含む、会社法(仮称)の施行は、平成18年4月頃が予定されています。

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