新型日産プレサージュ(U31)に
外部入力端子/後席DC出力を追加する


U31のセンターコンソールで「TV・車両情報」ボタンを選択すると、「外部入力」という項目があります。これはビデオカメラ、ポータブルDVDプレーヤーなどのAV機器を接続出来ると言うことを意味しているのですが、しかし、その外部入力端子は標準では付いておらず、ディーラーオプション装着となっています。この装着には15,000円もかかるのですが、端子は助手席のインスト下部にむき出しで付けられるというもの。日産の姿勢を疑うような腹立たしい設定です。
それならば、自分で取り付けてやろうと考えました。
ディーラーでプレサージュの整備要領書を見せてもらい、ハーネスの回路と取り付け位置の検討を行いました。
外部入力端子(ビデオジャック)は空きコネクタとして標準で装備されていました。通常、メーカーオプション設定のものはメインのハーネスにコネクタだけあることが多いのです。その場所は、TVチューナーの近くということで、ラゲッジルームの左側の扉を開けると見つけることができました。
ここからハーネスをインストまで引っ張り、センターコンソールの空いたところに端子を設けることを考えました。しかし、そのためには、サイドトリム、インストを外さなければなりません。プレサージュの場合、サイドトリムを外すには、シートやフロアトリムまで外さなければならないようなので、もっと簡単な方法を探すことにしました。

いろいろ悩んだ末、最終的に、サードシートの左側のアームレストの中に入れることにしました

左側のサードシートアームレストです。外部機器を接続しない場合は、外部入力端子が見えないのですっきりしています。アームレストのふたを開けると、右側に外部AV入力用のRCA端子、左側にDC電源ジャックとシガーライターソケットが見えます。


アームレストを選んだのは、サイドトリムの中でここが唯一外すことができる部分だったからです。取り外せば車外でも加工ができますし、TVチューナーとの位置も近いので、ハーネスの取り回しが楽だと思いました。

外部AV機器を使用するとなると、どうしても電源が必要になります。今回はサードシートにAV入力端子を付けたので、DC電源も同じ所から取れた方が配線がすっきりしていて良いだろうなと考えました。また、サードシートには子供が座るのですが、ゲームボーイなどの電源も取れると都合が良さそうです。ということで、同じアームレストの中にDCの出力ジャックも付けることにしました

電源は一番近くで工作が簡単なところを探したところ、ビーコンコネクタから取れることが分かりました。ビーコンコネクタはビデオジャックの上にある空コネクタ(オプションでビーコンを選択している場合は切断して分岐する必要がある)です。
電源コネクタは標準型のDCジャックとシガーライターのどちらでもが使用できるようにしてみました。シガーライターソケットだけでもよかったのですが、機器によってはDCプラグで使うこともあるかと考えたからです。

今回、AV入力端子を付けるまではポータブルDVDプレーヤーの接続くらいしか念頭になかったのですが、いざ設定してみると、意外といろいろな使い道があることが分かりました。

・ウォークマン:U31にはカセットプレーヤーの設定がないので、たまに古いカセットを聴きたい場合は、ウォークマンを接続すればいいんですね。
・MP3プレーヤ:iPodのようなMP3プレーヤーを常時持ち歩いている場合、これを車の中でイヤフォンで聞くのはよくありません。ステレオケーブルで接続すれば、スピーカーで聴ける。但し、サードシートからだとコードが長くなるのが難点。 ・デジカメやDVカメラ:再生する場合、カメラ本体のモニタでもいいのですが、やはり大きい方が車の中に乗っているみんなで見られる。旅先で撮影したもののちょっとした再生にいいです。
・後席モニタ:運転席からはサードシートが見えないのですが、小さなTVカメラ、デジカメ、DVカメラを設置しておけば、センターモニタで後席を監視することができます。赤ちゃんのいるお母さんなんかに使えそう。電源もとれるので、常時撮影モードもOK。 ・外部ビデオカメラ:一人でドライブ中にビデオ撮影をしなければならない場合があるのですが、ルーフにビデオカメラを設置すれば、センターモニタを見ながらリモコン操作で撮影ができそうです。


以下に私が行った作業を紹介します。
ある程度の電気工作、一般工作の知識と経験が必要です。また、ドライバ、ニッパー、ラジオペンチ、半田セット、電動ドリル、テスターなどの道具も必要です。
経験のない方は、ある程度のリスクを覚悟してやってみられるのもよいでしょうが、配線、半田付け、絶縁、接続は十分に確認を行いながらやってください。自信がない場合は、修理工場や電気工作の得意な人に頼むなどをした方がよいでしょう。
もちろんのことですが、何か事故や不具合が起きた場合でも、当方は責任を持てませんのでよろしくお願いします。


アームレストの部分はサイドトリムとは別体になっているので、取り外すことができます。ただ、クリップの位置がどこにあるかよく分からず、それなりに苦労しました。
カー用品店で売っていたトリムリムーバーなるものを買ってきました。プラスチック製のものですが、これだとトリムをほとんど傷つけることなく、かなりの力を入れて外すのに役立ちました。
アームレストポケットの下にはすぐにホイルハウスのパネルがあり、ほとんど隙間がないことが分かりました。初めは端子をポケットの底に付けることも考えていたのですが、これは不可能そうなので諦め、前後と横の壁に付けるしかないことが分かりました。
ポケットは自分の部屋で加工しました。このくらいの位置に、6mm径の穴を3つ電動ドリルで開けました。6mm一度では空きませんので、2mm、4mmと少しづつ拡大していきます。穴にはバリが残りますので、カッターナイフでバリ取りをしました。
秋葉原で買ってきたRCAジャックです。いろいろな形式のものがありますが、後ろナットでなるべく短いものを選びました。1個60円。
3つのRCAジャックを固定した状態です。後ナットのため、この状態で配線の半田付けを行いました。
DCジャック用の穴は後の壁のこの位置にしました。8mmの電気ドリルを使用しました。同様にバリ取りをしておきます。
左がDCジャック。パネル取り付け標準DCジャック、内径2.1mm、外形5.5mmのものです。1個60円。右は同時に求めたDCプラグ(2.1mm)で、シガーライターソケットとの接続に使用しました。
カー用品店で延長シガーライターソケットを購入しました。シガーライタープラグ、一穴のソケットと3mの延長コードがついたもの(780円)です。このコードを適当な長さにカットし、先のL型DCプラグを半田付けしました。ソケットには両面接着テープが付いているので、ポケットの壁に接着しました。

ビーコンコネクタのACC電源の容量は10Aですが、ヒューズラインがナビ、TV等のAV機器と同じなため、今回設置したDC出力端子で使えるのは3Aくらいと想定されます。
ポータブルDVDプレーヤの消費電流が0.6A程度ですから、AVや電子機器ならば多分問題ないでしょう。ACコンバータや電熱系の機器は15Aあるフロントシガーライターを利用すべきでしょう。
シガーライターのプラグを外すと、外部機器から直接DCプラグで接続することも可能です。
ポケット側の配線です。
AV側はシールド線を使いました。これはAV関係はノイズを拾いやすいのでその防止のためです。ここでは0.35mmの1芯シールド線を3本購入しました(1本2mで90円)。残念ながら適当な色が無く、黒色が音声R、灰色が音声L、黄色が映像用です。センターをプラス、シールドをマイナスにしました。
DC配線は、12V-15Aの電源線を2本(1本5mで250円)を使用しました。これは分かりやすいように赤をプラス。灰色をマイナスとしました。
どちらも適当な間隔でビニールテープで縛りまとめました。
電線の長さは1m程度です。
ラゲッジルームの左に蓋があるのでこれを開けます。
後に見える四角い箱がTVチューナーです。
太いハーネスの束に、3つの空のコネクタがテープで止められています。
一番下がビデオジャック。その上がビーコン接続用のコネクタです。私の場合はビーコンのオプションを選択していないので、空きコネクタになっていますが、選択している場合はビーコンが接続されているはずです。
太いハーネスに止められているテープを切って、これら2つのコネクタを自由にします。
アームレストポケット側の配線をTVチューナーまで通します。
これはかなり難しい作業です。トリムと車体の隙間が狭く、TVチューナー側もスペースがほとんどないため、単純な方法でハーネスを通すことができません。配線の先に針金のようなもの結びつけ、それで通路を探して、TVチューナ側から手を突っ込んでこれを引き込みました。ハーネスを通したら、アームレストを元に戻します。
隙間が無く、かなりぎりぎりでした。特にRCAジャックの位置は運が良かったようです。
ここからの工作は車の中で行わなければなりませんでした。幸いに私の家の駐車場には屋外コンセントがあったので、半田付け作業を行うことができました。
これはDC電源ハーネスの端部処理です。
ビーコンコネクタの後の配線を切って接続しても良いのですが、下取りをするときのことも考え、既存の配線は切らない方針にしました。自動車用のコネクタを入手するのは困難なので、コネクタの穴に直接ピンを立てて接続する方法をとることにしました。適当なピンが無いかと探したところ、ギボシ端子で最小のものが丁度挿入できることが分かりましたので、これを購入(1個10円)し、ハーネスに半田付けしました。電源配線は裸部分が露出するのはまずいので、ギボシ端子用のビニルプロテクタ(1個5円)を装着しました。
配線図です。
ビーコンユニットコネクタを穴の方から見て、右下の2つがACC(アクセサリ電源)とアースになります。ここに上記で作成したギボシ端子を挿入します。
DCジャック側の配線はこのようになっています。プラスとマイナスを間違えると大変なので、テスターで測定しながら慎重に配線しました。
ギボシ端子を挿入し、プロテクタを下まで押し下げて、プラスとマイナス端子が接触しないように注意し、更に全体をビニルテープで固定しました。
車のキーをACCにし、テスターで測定してみると、DCジャック側、シガーライターソケットでも通電が確認できました。

テストではうまく行ったのですが、実際に走行すると、2つの端子がゆるんで接触したらしく、ヒューズが飛んでしまいました。ヒューズは「ミラーコントロール」と表示されているもので、これを新品に交換しました。マイナス側はもともとわざわざ配線をする必要はなかったので、ビーコンコネクタからは抜き、TVチューナーケースのねじに直接止める方法に変更しました。これで、もし、ハーネスが抜けてもショートの心配はなくなりました。
AV配線の端末処理です。20mm外被覆を剥き、シールド部分は撚って一本の線にします。内部線は5mmほど皮むきして線を撚ります。半田ゴテでそれぞれを半田をなじませておきます。
DC線とは異なり、メスのギボシ端子を使用します。これはビデオジャックのピンに挿入するためです。コネクタのピンが細いので、小さいギボシのメスを探しました。これをAVシールド線に半田付けします。
ビデオジャックです。どうせ使わないので、直接ハーネスと接続しても良いのですが、コネクタからハーネスを外すのはかなり大変であること、ピンの位置の確認が容易にできた方がよいことから、そのままコネクタを利用することにしました。ただオリジナルのままではギボシ端子を挿入するのが難しいので、外壁をニッパーで切り取り、完全にピンが露出するようにしました。このままでは、配線が接触する可能性があるので、ラジオペンチでピンを少し曲げて接触しにくいようにしました。
AVハーネスの配線方法です。シールド線のセンターをプラス、シールドをマイナスにします。この図のとおりに、6本のギボシ端子をコネクタのピンに挿入します。
実際の挿入状態です。プラスとマイナスが必ずしも隣り合わせではなく、クロスしているため、結構アクロバティックな配線となりました。
アームレストのRCAジャックに適当な外部機器を接続し、音や絵が出ることを確認しました。
細いビニルチューブを用意するのを忘れたので、ビニルテープでそれぞれのギボシを巻いて、絶縁を行いました。

(註)これらの作業が面倒な方は、日産のディーラーで「外部入力アダプタ」だけを購入することも可能です。3000円くらいと思いますが、コネクタとAVハーネスが接続されています。AVハーネスを適当な長さに切り、アームレストポケットに半田付けするだけで済みます。
更にテストを何度か行い、結線を確認しました。ハーネスは若干長めにしておいたため(この方が作業がやりやすい)、ぐるっと巻いて、ばたばた動かないように結線縛りとビニルテープでTVチューナーに固定しました。後は、蓋を閉めておしまい。
外付入力
センターコンソールの「情報・TV」ボタンを押すと写真の画面が出てきます。十字キーで右の「外部入力」を選択します。
外付けのDVDプレーヤー
安いDVDプレーヤーを購入しました(6800円) 安いですがマルチリージョン対応でDVDプレーヤーとして必要な機能はすべて付いています。3mのAVコードを新設したリヤアームレストから助手席のセンタートレイまではわせ(マットの下に置くと見えなくなりました)、電電はシガーライターから取りました。
DVDプレーヤーの再生
DVDプレーヤーを再生しているところです。これは「女子十二楽坊」のライブビデオですが、音だけとは違った楽しさがあります。家族でドライブするときなど楽しみが増えました。
この他、外部入力端子にはビデオカメラやデジカメを接続することもできます。いろいろ工夫するともっと面白い使い方ができそうです。

2003年10月18日/2005年3月13日

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