新型日産プレサージュ(U31)ナビの改造

日産標準のカーナビにはTVチューナが付いていますが、走行中は見ることが出来ません。またナビの検索操作も走行中はできません。これは不自由なので、改造をしてみました。

整備要領書を入手し、回路を調べてみると以下のことが分かりました。
(1)TVを見られるようにするには:
・ディスプレイコントロールユニットのパーキングブレーキ信号線をアースにする
・同じく車速信号線をカットする
(2)ナビの操作を可能にするには:
・ナビコントロールユニットの車速信号線をカットすることです。

但し、ディスプレイコントロールユニットの車速信号線をカットすると、車両情報の一部(走行距離、平均速度)が動作しないこと、また、ナビコントロールユニットの車速信号線をカットした場合は、ナビの自車位置検知がその間停止しているため、一時的に表示がおかしくなります。
これを避けるために、ノーマルの状態に戻せるようスイッチを付けることにしました。

以下は私の経験を写真入りでまとめたものです。
パネルを外すのは簡単ですが、電線の接続やスイッチの加工作業はちょっと経験が必要です。あくまでも参考と考えてください。



コントロールユニットの取り出し(1)

運転席のインストの下にある、フューエルリッドオープナーとフードオープナーの下を覗きます
オープナーを留めている4本のねじが見えるのでプラスドライバーで外します
二つのオープナーをぐっと下に押して外します。ぶらぶらしたままで構いませんが、後でテスト運転をするときに、アクセルペダルやブレーキペダルにかからないように注意します。
これでインストロアパネルを外すことが出来ます。適当な場所を両手でつかみ、手間に引きます。左右の上にクリップがありますが、意外と簡単に外れます。
ロアパネルには診断コネクタやスイッチのハーネスが繋がっているのできれいに外すことは出来ません。このままでも作業は出来るので、ハーネスはつないだままにしました。
これはステアリング右下のスイッチです。

次のスイッチの制作のために、コンビスイッチのハウジングを外します。矢印の4カ所のねじを外します。
スイッチの制作

グレードやオプションによって異なりますが、一つくらいは使用していないスイッチがあるはずです。
まず、2段あるスイッチのいずれかのねじを外します。
私の場合は標準グレードで沢山空きスイッチがあったのですが、1段目の左端と2段目の左端を使うことにしました。このめくらスイッチプラグを外します。細いマイナスドライバで爪を押すと簡単に外れます。
外しためくらスイッチプラグです。
スイッチは秋葉原の電子部品店に行けば、いろいろな種類のものがあります。今回はTV操作とナビ操作のオンオフを一度でやろうと思い、4ピンのトグルスイッチ(280円)を購入しました。
しかし、実走行の結果、TV操作とナビ操作は分離することにしました。ナビ用のスイッチは小型のもの(160円)を使ってみました。
めくらプラグに穴を開けます。トグルスイッチのねじ径は11mmでしたが、ドリルが10mmまでしかなかったので、やすりで拡大しました。ドリルは手動でも良いのですが、電動の方が簡単です。いきなり10mmは出来ないので、小さい穴から4段階に拡大しました。
やすりで表面を傷つけてしまいました。作業をする前に、表面にマスキングテープ(ガムテープでも可)を貼るべきでした。
もっと小さいスイッチなら、穴径が6mmくらいのものがあります。小さい方が工作が楽だったなと思いました。
めくらプラグの内側には梁があって、そのままではトグルスイッチが入らないので、梁をカッターペンチで切り取りました。
これももっと小さなトグルスイッチの場合は、加工は不要だったかも知れません。
トグルスイッチを入れると丁度ぴったりに収まりました。ねじを留めると固定されました。
ナビ操作用のスイッチの出来上がりです。
ついでに配線をしておきます。
2mm程度の電気工作用のコードを買ってきました。1mを4本、それと10cmのものを一本用意しました。それを半田付けしました。
赤いコードはTVの速度信号用、黒いコードはナビの速度信号用です。
この作業後、TVとナビの分離を決めたため、黒いコードは外し、下のナビ専用スイッチに半田付けしました。
ナビ用のスイッチも配線を半田付け後、プラグに取り付けて完成させました。
コントロールユニットの取り出し(2)

アッパーボックスの蓋を開けます。
ボックスの中に、携帯電話を接続するためのハーネスがありますが、これは抜くことが出来ませんので、ハーネスを穴に押し込んでなるだけ短くします。
蓋の部分を持って、手前上方に引っ張ると意外と簡単にアッパーボックス全体がインストから外れました。4点のメタルクリップで留められているようです。
電話ハーネスが付いているので、そのままインストの上に乗せるしかありません。このとき、ボックスの金属部分で、インストの表面に傷が付く恐れがあるので、タオルなどを敷いて、その上にボックスを置きます。
外したボックスの中を覗くと、ナビコントロールユニットが見えました。
4本のねじを外します。ねじの溝が細いので、細いプラスドライバーが必要でした。
ナビコントロールユニットを手前に引き出した状態です。
ハーネスが付いたままなので、ここまで引っ張り出すのが精一杯でした。写真を撮るために裏返しにしたのですが、作業をするためにはここまで出す必要はありません。
この写真では、インストの上にタオルを敷いていませんが、注意しないとインストを傷つけます。
ナビコントロールユニットを一旦、ボックス内に戻しました。
上からはよく見えないのですが、のぞき込むとナビC/Uの上に、もう一つねじがあるのが分かります。これがディスプレイコントロールユニットです。
左右2つのねじをプラスドライバーで外します。
ナビC/UとディスプレイC/Uの二つを外した状態です。
ディスプレイコントロールユニットの改造

ディスプレイC/Uはハーネスが短く、この程度しか引き出すことが出来ません。
しかし、必要な速度信号とパーキングブレーキ信号のコネクタは裏から見て左側、この写真では手前のコネクタにあるので問題ありません。
ディスプレイC/Uの見て手前のコネクタを抜きます。特に爪はないので簡単に外れました。

ここで、先に制作したスイッチのハーネスを通しておきます。コントロールユニットの後ろの穴にスイッチを落とし、下から手を突っ込んで引っ張ります。もちろん、ハーネスの方はボックスに残しておきます。スイッチはこの時点でスイッチユニットに装着してしまっても構いません。
パーキングブレーキ(PKB)信号のカット
パーキングブレーキ信号はコネクタの17番です。回路図の番号ですが、コネクタに番号が付いているわけではありませんから、その場所を探さなければなりません。コネクタには凸方の突起がついています。これがある方が上です。下段左から1行目が1番、その上段の1行目が2番、下段2行目が3番という具合に番号がふられています。17番は下段の右から数えて4つ目です。色はP/Bと回路図に書いてあります。
このコネクタは24ピンですが、19番以降はハーネスが無いので、17番は一番端と言うことになります。
この写真は上下をひっくり返していますが、ピンクに黒のラインの電線がそれに当たることが分かります。
これを3cmくらいのところからニッパーで切断します。保護チューブ(黒いチューブ)が邪魔になるので、少しカットしました。
速度信号のカット
速度信号は16番。PKB信号線の斜め横。V/W(薄紫に白のライン)のハーネスです。この写真では既にカットされています。
拡大写真
PKBハーネスの延長
切断したPKBハーネスに10cm程に切った電子工作用の電線をつなぎます。
カットしたハーネスを10mmほど皮むき(ビニルの被覆を剥がすこと)し、あらかじめ用意しておいた10cmほどの電線と結びます。きちんとした作業をするには、「ギボシ端子」というものを使うのがよいのですが、面倒なので私は電線部分を撚り、ビニルテープで巻いて済ませました。ビニルテープは絶縁のためです。外れやすいので、ちょっと引っ張ってきちんと繋がっていることを確認します。
黒いコードが延長のための電線。緑の部分がビニルテープです。
ディスプレイC/Uコネクタ
写真だけでは分かりにくいので図にしてみました。
PKB信号をアースする
延長コード(写真の黒いコード)のもう一つの端は2cmほど皮むきしていました。これをディスプレイC/Uの横のブラケット部分に挟み込みました。ちょっとねじをゆるめて挟み込んだわけです。これはアースです。アースは自動車の本体の金属部分ならどこでもよいのですが、移動を考えると、ユニット本体につなぐのがよいでしょう。
拡大写真

車速線の接続
同様に、既に作っておいたスイッチのハーネスとカットした車速線の両側を接続します。
ナビコントロールユニットの車速線のカット
ナビC/Uの裏から見て一番左、この写真では一番手前のコネクタを外します。
ナビC/Uの速度信号線の番号は6番。これはこのコネクタの左上3番目にある、L/B(水色に黒のライン)のハーネスです。水色に黒の縦線は目立つのですぐに分かります。
拡大写真
これをニッパーでカットし、両端の皮むきをします。
ナビC/Uコネクタ
写真だけでは分かりにくいので図にしてみました。
スイッチから来ているハーネス(ここでは黒い電線)と接続します。ディスプレイC/Uと同様に裸線を撚って、ビニールテープで巻いただけです。
走行テスト
インストは分解したまま、車を走らせて、動作確認を行いました。オープナーやパネルがぶら下がったままなので、注意して運転する必要がありました。
それぞれのスイッチをオンして、走行中でもTVの視聴、ナビの操作が出来ること、またオフにした場合は、ノーマルの状態に戻ることを確認しました。

TVスイッチをオフにした場合は自動的にナビ画面になりますが、速度がゼロになるとTV画面になります。「現在地」ボタンを押した場合は速度に関係なくナビ画面ですが、TV画面にもどすにはTV・情報スイッチを押さなければならないので面倒ですが、TVスイッチをオンにすればTV画面に戻ることが分かりました。ナビとTVをどちらも使いたい場合は、TVスイッチのオンオフで切り替える方が便利であることが分かりました。
車両情報/ドライブ情報
TVスイッチをオン(車速信号カット)にすると、走行時間以外のドライブ情報が機能しなくなります。この情報はほとんど使用価値がないので、余り実害はないと思います。
車両情報/燃費情報
燃費に関する信号はCANで供給されているため、車速信号をカットしても影響がありません。TVスイッチをオンにしておいても燃費情報は正常に機能します。個人的にはほとんど役に立たない情報だと思っていますが。
インストの回復
動作が確認できたので、逆の順序で、コントロールユニット、インストを元に戻しました。

上段左端のスイッチがTVのオンオフ、下段左端のちょっと小さなスイッチがナビ操作のオンオフスイッチです。
ナビの位置検知を考えると、ナビスイッチは常時はオフ(ノーマル)にしておき、どうしても走行中に操作が必要なときだけオンにすればよいと考えました。
また、TVはドライブ情報を見ないならばオンのままでも構わないのですが、ナビ画面との切り替えはセンターコンソールよりも、このスイッチで行う方が簡単なので、アクセスしやすい上段にしました。

2003年9月27日

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