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EndNote日本語版活用講座(9)
How to use EndNote Japanese Edition

初稿:2002年3月4日

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オンライン検索による文献データ入力



新規文献データの入力方法として、最も効率がよいのがオンラインデータベースからのダウンロードである。

文献は探すのが大変なだけでなく、それを文献リストにするときに多大な手間を必要とするが、インターネットを利用するとデータの検索からEndNoteライブラリへの取り込みまで一貫して行うことが出来る。

EndNoteはZ39.50プロトコルに対応している文献データベースに直接アクセスすることが出来る。
Z39.50プロトコルは情報検索のための標準プロトコルとして、米国議会図書館を中心とする米国の図書館組織から考案され、1988年には米国のANSi規格になった。その後ISO規格、1998年には日本のJIS規格ともなり、名実共に国際標準プロトコルとなっている。
この規格により一般の研究者がどのデータベースにもアクセスできるようになった。
現在アメリカでこの規格を採用している機関は68あり、サーバー数は1000を超える。
しかし、日本ではわずか15サーバーしかなく、日本語への対応も遅れており、日本の学術研究が世界から取り残される一つの原因となっている。

Z39.50は情報検索プロトコルであるが、それぞれのサーバーは固有のパラメータを持つため、それぞれのサーバに接続に当たっては複雑な設定が必要だった。しかし、EndNote5には接続ファイルというプリ設定のファイルが用意されており、アメリカの主要な文献データベースには直ぐに接続できるようになっている。
本当に信じられないくらいの簡単さで情報が入手できる。

アメリカのデータベースには無料でパスワードも必要ないもの、無料だがパスワードを必要とするもの、そして有料の商用データベースが存在する。
無料のデータベースとしてよく知られているのは世界最大の医学文献ライブラリであるPubMed(MEDLINE)−NML(National Library of Medicen)提供や、大学の図書館カタログがある。
有料の情報プロバイダ(Ovid、OCLC、DIMDIなど)は会員となり、IDとパスワードを入手しなければアクセスできない。



検索の手順

「ファイル」メニューの「接続ファイル」から「接続マネージャを開く」を選択する。
接続マネージャ画面が開くと同時にEndNote5「Connection」フォルダ内の接続ファイルが全て読み込まれ表示される。



この中から自分が接続したいサーバーを探し、Favoriteにチェックを付ける。
検索でカテゴリを指定すると容易に見つけたいサーバーが見つかる。



「ファイル」メニューの「接続」を選択するとサブメニューに現在選択しているサーバーが登録されている。
ここでは無料のPubMedを選択する。
インターネットに既に接続されている状態ならば、自動的に接続作業が開始され、(このサーバーの場合は認証を必要としないので)数秒後に接続すると、以下の検索ウィンドウが現れる。



この検索ウィンドウは「文献」メニューの「検索」で使用するウィンドウと同じものを使用している。
しかし、下部のオプションは使用できず、「リモート検索」にチェックが付いている。また、検索条件についてもEndNote5のフィールド名とは異なるものになっている。
適当に検索語を入力し、「検索を実行」ボタンを押す。
わずか1秒で検索が終了し、検索結果が表示される。



この場合は233件が一致したと言うことで検索されたが、その全てをダウンロードするか、それとも少しずつ範囲に分けてダウンロードするかを指定する。
今回は最初の50件だけを見てみることにする。



ライブラリによく似たウインドウにダウンロードの状況とダウンロードした文献が表示される。これはライブラリではなく、あくまでもダウンロード文献ウィンドウである。
ADSLの場合、50件のダウンロードに約50秒ほどかかる。56Kモデムでは数倍の時間がかかるが、お茶でも飲みながら待てばよい。



検索結果が全部表示されたら、下のプレビューウィンドウを開き、その文献が自分が探していたものかどうかをチェックできる。



EndNote5のライブラリに取り込む文献を選択する。
全部を選択する場合は、コマンド+Aで選択。一部の文献だけの場合は、コマンドキーを押しながら選択していく。範囲を指定する場合はシフトキーを併用する。これはライブラリの扱いと同じだ。

ここでは21件を選択した。
右上に「21件の文献のコピー先」というボタンが表示されるので、ここを押す。
既存のライブラリに入れる場合はそれを、新規ライブラリを作成する場合はライブラリ名を指定する。



Karatotomyという新しいライブラリが作られた。後はこれを保存すれば、時部ののライブラリとして使うことが出来る。

検索件数が多い場合は、接続検索ウィンドウで絞り込み検索を行う方法と、一旦ダウンロードしてライブラリを作成した後、文献の検索で絞り込む方法がある。
現在のようにネットワークが高速化し、大量のデータをダウンロードすることが気にならなくなれば、後で絞り込みをしてもよいだろう。

PubMedなどのデータベースには独自の検索機能があるものがある。この方がより絞り込みやあいまい検索を行える場合がある。そこで、検索語を決定したら、EndNote5のオンライン検索で検索する方が、データ取り込みまで含めた時間は短縮できる。

いずれにしても、これだけの文献データを数分で自分のものに出来るというのは感動的ですらある。EndNote5を活用すれば、研究者はデータ探しと文献データの作成の苦労から開放されるわけだ。

しかし、残念ながら、日本のデータベースは未だ非常に貧弱でこの恩恵にあずかることが出来ない。
ZN39.50プロトコルを採用している大学図書館はいくつかあるが、EndNote5から直接アクセスすることは出来ない。しかも、日本語の文献は単行本などに限定されている。
ZM39.50やEndNote5は日本語に対応しているだけに、もったいない話である。






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