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EndNote日本語版活用講座(3)
How to use EndNote Japanese Edition

初稿:2002年2月28日

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1.3 EndNote5英語版を日本で使う場合の問題点



英語の文献だけを扱い、アメリカの学会誌だけに投稿するのであれば、日本語MacOSや日本語ワープロを使用しても全く問題なく使える。
しかし、日本人研究者である限り、日本語の文献も扱いだろうし、日本の学会誌に投稿するためにも使いたいだろう。

まず、日本語データの扱いについては、開発元のISI Research社は否定しているが、Mac版のEndNote5英語版であってもほぼ問題なく扱うことが出来る。検索やソートも可能だ。
それは、MacOSがマルチ言語対応であることの恩恵を受けている。
しかし、それは出来るということであって、完全と言うことではない。日本語入力との不一致やいくつかの問題がある。

次に、日本の文献環境への対応だが、これは当然のことながら、全く考慮されていない。
カスタマイズ出来る部分が残されているので、これをうまく使うとある程度は対応できる。
しかし、日本語文献と英語文献の両方を引用する環境では、100%自動的に処理することは出来ない。

EndNote5を日本で使う場合は以下のような弱点、制約があるが、それを差し引いても、EndNote5は日本人研究者の研究活動にとっては生産性を向上させるための、欠かせない武器となるだろう。


1.ソフトそのものの日本語非対応

・新規文献データ入力画面で日本語はインライン入力が出来ない。

・日本語名のファイルが文字化けして表示される。

・原稿のスキャンの確認画面で日本語の著者名が文字化けする。

・スタイル定義画面で、日本語フォントの変更が出来なくなる。

・Word用のCWYWで一部の画面では日本語の入力が出来ない。

・まれに、フォーマットしたフォントが文字化けすることがある。

・HTMLファイルのフォーマットでは日本語文献は文字化けする。

→表示問題に関しては、FontPatchin'やRelieverなどのフォントパッチユーティリティを使用する江波解消できる



2.MS Word98/2001で使用する場合の問題

・日本語での引用の検索と注釈の挿入ができない。

・文献目録のフォーマットはできるが、その書式については指定どおりにならない。文献目録タイトルの書式設定で一旦、英語フォントを選択すると、その後の設定変更が出来なくなるバグがある。

・発音記号付きのアルファベット(欧州人の名前に多い)が含まれる文献は処理できない。



3.日本での使用を考慮していない問題

1) データ入力の機能が弱い

・英語文献の場合はオンラインデータベースからの直接の入力ができるが、日本ではそもそもデータベースが未整備なのでこれにはあまり頼れない。

・オンライン入力が中心と考えられているためか、手入力の機能が弱い。

・文献編集画面では日本語のインライン入力が出来ない。

・手入力の効率向上のためオートコンプリート入力機能があるが、日本語はインラインで入力できないので、効果は半減する。

・データ入力に関し、空白入力の禁止、属性制限(数字に限るなど)やポップアップメニューによる選択などの機能がない。アルバイトなどにデータ入力だけを依頼する場合の信頼性確保が難しい。


2) 文献データベースとしての能力が弱い

・FileMakerなど専用のデータベースソフトで管理する場合に比べるとデータベースソフトとしての機能は弱い。

・あくまでも論文作成を目的に考えているためであるが、アウトプット形式が一つしかとれない。すなわち、FileMakerのように様々な表示形式でアウトプットすることは出来ない。

・登録できるフィールド数と、文献形式に制限がある。

・現在の文献形式の分類ならびにフィールドは日本の実状にはあっておらず、ユーザーがカスタマイズしなければならない。

・内部でマクロを組むことが出来ない。

・本格的なデータベース管理をするならば、やはりFileMakerを使わざるを得ないが、その連携については全く考慮されておらず、データの書き出し機能もない。


3) 日本の事情に合わせた文献目録出力が出来ない

・EndNote5の最大の機能はここにあるが、英語文献の出力しか考えられていないため、英語と日本語の文献が混在する論文ではその処理が難しい。文献が英語化日本語化を判断して、書式を自動選択できる機能がついていない。

・そのため、例えば、単行本の版数を示すのに、英語文献ならば「xx edition」、日本語文献ならば「第xx版」と自動的にフォーマットさせることはできない。

・また英語の場合は版数は数字に限定されているので問題ないが、日本では第1版は初版、第2版は改訂版と呼ばれることもあり、その処理が自動化できない。

・日本では「巻数がない文献は発行年を持って代用する」というようなルールがある場合があるが、このような条件設定による出力はできない。

・日本語文献だけならば問題ないのだが、英語文献と混在した場合、複数の著者の記述に「and」が入ってしまう。(日本語文献だけの場合はカンマに置き換えることで対応できる)

・日本人の著者名に関しては姓名を分離することが出来ない。すなわち、引用時は姓だけを表示する「(木村 1978)」というような設定が出来ない。

→この対応法については「応用編」で解説する。






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