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EndNote日本語版活用講座(17)
How to use EndNote Japanese Edition

初稿:2002年3月4日

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新規スタイルの作り方




1.スタイルマネージャ

スタイルマネージャを開くと、スタイルフォルダ内に入っているスタイルファイルが表示される。EndNote5にはスタイルが600以上も納められており、米国の主要な学会誌、専門雑誌のほとんどをカバーしている。ISI Research社のホームページからは最新のスタイルファイルをダウンロードすることが出来る。

スタイルファイルを作るのは決して容易ではない。
投稿先がアメリカの論文誌の場合は、ほとんどユーザーがスタイルをいじる必要はないだろう。
しかし、日本の論文誌に投稿する場合は、既存のスタイルは使えないので自分で作成するか、誰かが作成したものをもらうしかない。

EndNote5はデータベースソフトであるが、空くまでの論文作成に特化しているため、出力の自由度が小さいように見える。例えば、EndNote5のデータをFileMakerやExcelなど他のソフトで使おうとしても、EndNote5にはテキストファイル以外のファイルを出力する機能がない。単純なタブ区切りテキストが出力できないのだ。
しかし、スタイルを使うといろいろなことが可能になる。
応用編で上げた、ライブラリからHTMLファイルを作る方法もこのスタイルを利用したものだ。

日本の研究者でEndNote5を使う場合は、自らスタイルを作成することは避けて通れないが、それを使いこなせるようなると、EndNote5の利用範囲は飛躍的に拡大する。
ちょっと面倒、難しいと感じるかも知れないが、挑戦してみる価値はある。

スタイルマネージャ

スタイルマネージャを開き、「検索」ボタンを押すと、カテゴリメニューが表示される。カテゴリは投稿誌を検索しやすいように分類したものである。この中から、「Generic」を選択する。
すると、下図のような6つのスタイルが表示される。



Genericとは包括的という意味で特定の分野を持たないものに対し付けられる分類だ。ここでは、特定の投稿誌ではなく、ただ単に文献を印刷する目的のスタイルが納められている。
この中から、「Numbered」を選択する。
下の「情報を見る」三角をクリックするとこのファイルに関する情報が表示される。「この多目的型スタイルで番号引用と番号付き文献目録が出力される」と書かれている。
これをダブルクリックすると編集画面が開く。
スタイル「Numbered」を使って、各画面を説明する。



2.スタイル編集画面の読み方

●このスタイルについて(About This Style)



このスタイルに関する記述。
・ペース:コピーを取って修正を行う場合に記述する。
・カテゴリ:検索のための分類。既存のもの以外自分で作っても構わない。日本語だとスタイルマネージャのリストで文字化けするので英語にした方がよいだろう。
・メモ書き:他人に渡すことを考えて目的などを書いておく。


●匿名の著作(Anonymous Works)



著者名がない、著者フィールドがブランクの場合の表示を規定する。ブランクのままとする、「匿名」と記すなどいろいろな設定が出来る。


●ページ番号(Page Numbers)



文中引用や文献目録でページを記述する場合、その様式を規定する。EndNote5は強力なテキスト分析機能を持っており、データがどういう様式で入力されていてもうまく補正して出力してくれる。

●論文誌名(Journal Names)



欧米の論文誌は名前が長いので省略形を表示することが要求される場合がある。省略形は3通り登録することが出来、どのレベルかを指定する。
省略形1で設定していても省略形が登録されていない場合は、自動的に上位のフルネームが表示される。

●引用:テンプレート(Citation:Templates)



ここから、文中引用部分の詳細設定を行う。
テンプレートは表示の基本形だ。
「Numbered」スタイルの場合は、文献目録番号をカギカッコで囲む書式を指定している。文字サイズは標準を取っている。
この部分の設定については次の章で解説する。


●引用:あいまいな引用(Citation:Anbiguous Citations)



あいまいな引用とは、その引用の出典があいまいなものであるときの表示方法を指定するものである。通常、そのような引用はつけないはずなので、ここは何も設定しない。

●引用:著者リスト(Citation:Author Lists)



著者が2名以上の場合の記述法を規定する。
「Numbered」スタイルの場合は、引用に著者を表示しないので関係ない。

●引用:著者名(Citation:Author Name)



主著者(著者フィールドの第一行の著者)とそれ以外の著者で表示方法を変えることが出来る。
EndNoteは非常に強力なテキスト分析機能を持っており、文献データの氏名が「John Smith」だろうが「Smith, John」で入力されていようが、統一した形式に修正して表示してくれる。
一番上ではファーストネームとラストネーム(ミドルネームはラストネームと組み合わされる)の順序を規定する。

下のメニューでは、日本語の著者の場合は関係ないが、英語名の場合、ファーストネームとミドルネームををイニシャル化する指定が出来る。。

・イニシャル化:ちょっと分かりにくいので説明しておく。Andre Bill Smithという名前の場合(姓名の順でここではファーストネーム、ミドルネーム、ラストネームの順を選んでいると仮定する);
  フルネーム:Andre Bill Smithのまま
  A. B. Smith: ファースト&ミドルネームがイニシャル化、空白あり
  A.B.Smith: ファースト&ミドルネームがイニシャル化、空白なし
  A B.Smith: ファースト&ミドルネームがイニシャル化、ピリオドなし、空白あり
  AB.Smith: ファースト&ミドルネームがイニシャル化、ピリオドなし、空白なし
 ラストネームのみ:Smith のみとなる

●引用:番号付け(Citation:Numbering)



マルチ引用の場合の番号の付け方を規定する。ここでは範囲指定となっている。

●引用:ソート(Citation:Sort Order)



引用のソート順を指定できる。通常は文献目録順となっている。

●文献目録:テンプレート(Bibliography:Template)



ここから、文献目録のスタイルを定義する。一番難しいところ。
後で詳しく説明する。

●文献目録:著者リスト(Bibliography:Author Lists)



引用の著者リストと同じだが、文献目録として独立して規定できる。

●文献目録:著者名(Bibliography:Author Name)



引用の著者名と同じだが、文献目録として独立して規定できる。

●文献目録:編集者リスト(Bibliography:Editor Lists)



著者リストと同じだが編集者として独立して規定できる。

●文献目録:編集者名(Bibliography:Editor Names)



著者名と同じだが編集者として独立して規定できる。

●文献目録:レイアウト(Bibliography:Layout)



スタイルを決めるもう一つの要素。文献目録全体の書式を規定する。
ここでは文献の先頭に文献目録番号がつき、タブでスペースをとってから文献データを表示するように指定している。

●文献目録:ソート(Bibliography:Sort Order))



引用のソートと同じだが、文献目録として独立して規定できる。

●文献目録:タイトルの大文字化(Bibliography:Title Capitalization)



文献データに入力されたタイトルの形式の如何に関わらず、頭文字を大文字化するなどの設定が出来る。もちろん英語タイトルにのみ適用される。

●脚注:テンプレート(Footnotes:Template)



これから2つは、脚注の文章に引用が付けられた場合のフォーマット処理を規定する。
テンプレート画面では3つのフォーマットが選択できる。
文中引用と同じ:文中引用と全く同じ扱いをする場合はこれを選択する。
文献目録と同じ:論文誌の中には脚注の引用に対しては文献目録と同じフルの記述を要求するものがある。この場合はこれを選択する。さらに巻末の文献目録にもリストアップするかどうかを選択できる。
脚注専用の書式で:人文系の論文誌では脚注の引用には専用の書式を要求するものがある。この場合は新たにテンプレートを設定しなければならない。
さらに、脚注の引用も文献目録に入れるかどうかを規定できる。

●脚注:繰り返し引用(Footnotes:Repeated Citations)



脚注はスペースに限りがあるため、重複する引用は省略されることが多い。ここではそれを規定できる。



3.テンプレートの書き方

テンプレートは文献データからどのフィールドをどういう順序で、どういう書式で表示するかを規定する画面である。
これと同じことは、FileMakerなどのデータベースソフトで出力用のシートを作る作業と似ているが、残念ながらEndNote5はこの部分に関してはインターフェースが貧弱であり、根気と経験が必要な作業になる。アメリカの場合は、既存のスタイルシートを使うのが一般的で、一般ユーザーが自らスタイルを作製する機会は少ないからだと思うが、将来のバージョンでは改善してもらいたい部分である。

テンプレートを作るのは、文中引用、文献目録、脚注引用の3カ所あるが、設定の仕方は全く同じである。


文献形式を選択する

テンプレート画面の左上に「文献形式」のメニューがある。記入フィールド内にカーソルを置くと、このメニューがアクティブになる。
自分が投稿する論文誌が規定している文献形式をこのメニューから選択していく。



チェックされた文献形式が記入フィールドに表示される。



この状態では全てがブランクである。この空欄にフィールドを入れていく。

入力作業の開始

フィールドは、「フィールド挿入」メニューから選択する。



あらかじめ、指定の論文誌の投稿規定を紙にに書いておくとよい。必要なフィールドを「「フィールド挿入」メニューから選択し、並べていく。
Generic形式は、ここで規定されない文献形式を表示するためのもので、一般的な書式を入力しておくのがよい。
一部のフィールド名は日本語化されているが、元の英語の関係で文字の後にブランクがあるものがある。このブランクまでを含めてフィールド名と認識されるので、空白だからと削除しないように注意してほしい。



この「文献目録番号」の場合はメニューから入力したときにカーソルで表示される「文献目録番号    」がフィールド名となる。分からなくなったときはその部分を消して再選択すればよい。
EndNote5のテンプレート作成では、入力したものはすべてテキストとして認識される。メニューから選択せずに全部タイプしても同じだ。プログラムコードを書くのに慣れているユーザーはそれほどの違和感はないだろうが、そうでない人にはちょっと分かりにくい。

Author, Title, Year, Pageの順にメニューを選択し、カンマ(,)と1字分のスペースを空けながら入力していく。


これだけであれば簡単そうに見えるのだが、ここからが面倒だ。
というのも、文献データの場合、全てのデータが必ずしも同じデータを持っているわけではない。
規定によっては編集者の数が単数か複数で表示を変えるように要求する場合がある。
またブランクのフィールドもある。ブランクのデータはデータ自身は表示されないが、その前後に付けた句読点やカッコが残ってしまうのは許されない。
自分のデータベース出れば出力の書式は多少問題があっても構わないが、出版をする論文の場合は、書式を美しくすることが厳格に求められる。
元のデータがどうであれ、自動的に全ての条件をクリアさせることがスタイル作成の目的だ。

プログラム出来るスクリプトは用意されていないが、いくつかの特殊記号が用意されており、これをつかうとほとんどの要求は達成することが出来る。テンプレートの中の文字の扱いのルールと、特殊記号の使い方をマスターするのが最終的な目標となる。

スタイルテンプレート内のルール

テンプレート内にはフィールド名、テキスト、スペースが挿入または入力されるが、それらには以下の従属性ルールが存在する。

ルール1:フィールド名に空白なしで隣接するテキストはそのフィールドに従属する
次の例を見てもらいたい。よくある記述だ。
       Volume (Issue)
Issueに直接かっこが付いている。Volumeとカッコの間には1文字分のスペースがある。
この場合、カッコはIssueに従属している。
Issueのデータがブランクの場合は、カッコも同時に表示されない。

ルール2:フィールドが2つ続く場合、その間にある文字は前のフィールドに従属する
これも例を見てみよう。
       Volume:Issue
VolumeとIssueの間はコロンがあるだけでスペースはない。このルールではコロンはVolumeに従属する。
従って、Voumeフィールドがブランクの場合は、Issueのみが表示されるが、Issueがブランクの場合は、Volume:と表示され、コロンが残ってしまう。通常、Issueがブランクの場合はコロンは付けないので、これは困る。

ルール3:フィールドに続く最初のスペースはこのフィールドに従属する、2文字目以降のスペースは独立している
投稿規定ではスペースを取るか取らないかも細かく規定している。スペースを付けるか付けないかにより、EndNote5では表示が大きく変わる。
       Author. Title
この場合Autor.とTitleの間のスペースは1文字である。ルールに従うとこのスペースはAhthorに従属する。Authorフィールドがブランクである場合、Titleの前にはスペースは付かない。
       Author. Title
スペースを2つにした場合は、2つ目のスペースはAuthorフィールドとは独立しているので、Authorフィールドがブランクである場合もTitleの前にスペースがつく。

ルール4:独立したテキストは常に文献目録に表示される
フィールド名と従属関係にない位置にあるテキスト、スペースは常に文献目録に表示される。
       Editon ed.  または  pp. Pages
の場合、それぞれスペースは2文字ある。ed.やpp.はどのフィールドにも従属しないので、EditionフィールドやPagesフィールドがブランクである場合、ed.やpp.が残ってしまう。


特殊記号
EndNote5のテンプレートには以上のルールがあるが、これだと投稿規定にあった出力が出来ないことがある。
以上のルールを変更させるのが特殊記号だ。

投稿規定が要求した書式で、フィールドが空白の場合、EndNote5はその項目をオミットする。
しかし、ほとんどの投稿規定ではフィールド以外の記号を付けることを要求する。カンマ、ピリオド、コロン、括弧といった句読点記号の他に、vol. pp. ed. といった数字だけの羅列では分かりにくい部分を補う短縮記号が付けられる。
フィールドが空白の場合、これらの記号だけが残ってしまうと見栄えが悪い。
また、英語の投稿規定では単数と複数で表示を変えることが求められる。
EndNote5にはこれらの要求に応えるための特殊記号が用意されている。

全て「フィールド挿入」メニューの上の方に用意されており、メニューを選択することで挿入できる。

・空白時の結合記号
例を示そう。
   Volume:Issue
このコロン(:)は直前のフィールドにくっつくので、Volumeフィールドが空白の場合は、Vloume:が消え、Issueのみが表示される。
VolumeフィールドはあるがIssueフィールドが空白の場合は、Volumeフィールド+コロンが表示される。
   Volume|:Issue|
「|」は強制分離記号で、コロンはVolumeとは独立し、Issueとくっつく。
こうすると、Issueフィールドが空白の場合はコロンも消えVolumeだけになるが、今度はVolumeフィールドが空白の場合は、:Issueとコロンが残ってしまう。
   Volume|:・Issue|
「・」は空白時の結合記号である。空白時の結合とは、フィールドが空白の場合だけ一緒に消えるが、空白でない場合は消えない働きをする。
Issueが空白の場合は、コロンも結合しているので一緒に消えコロンは表示されない。一方Volumeだけが空白の場合はVolumeがきえ

・強制分離記号
結合記号の反対に強制的に依存関係を切る記号である。縦バー(|)またはバックスラッシュ(\)が使われる。
  Publisher: City
というテンプレートを作った場合、Cityフィールドがブランクである場合はルールに従って「Universal Press:」と不要なコロンが残ってしまう。強制分離記号と結合記号の二つを使ってコロンの従属するフィールドを変えればよい。
  Publisher|:・City
こう入力すると、コロンはPublisherフィールドではなくCityフィールドに従属することになる。従って、Cityフィールドがブランクである場合はコロンは表示されない。

・テキスト認識記号
例えば、編者を明確にするために「A. Schwarsnegger, Editor.」と表示したいとしよう。スタイルの設定で「Editor, Editor」と定義すると、EndNote5はどちらもEditorフィールドだと認識するので、文献目録では「A. Schwarsnegger, A. Schwarsnegger」と表示されてしまう。
2番目のEditorをテキストだと認識させるには、アクサングラーブでテキストを挟む。
この記号だけはスタイル編集画面の「フィールド挿入」メニューには含まれていない。JISキーボードでは@キーをシフトした時に出るものである。
   Author, Title, Editor,・`Editor`. Year
のように表示する。

・単数複数記号
英語には単数と複数があり、例えば総ページ数フィールドを表示する場合、1枚だけであれば p 1、4枚の場合は pp 4 と書くのが要求される。また、編纂本の場合は編纂者を記述するが、一人の場合は編纂者名の後に Ed.、複数の場合は Eds.と厳格に書き分ける。
EndNote5にはこれを書き分ける記述記号がある。
   pppPages.
   EditorsEdEds. のように表示する。EndNote5はフィールドが数字フィールドである場合は1か複数か、著者名等のフィールドでは行数が1つか複数かにより自動的にフォーマットする。

・タブ
通常のタブと同じ

・改行
強制的に改行を行う


★テキストに関する注意

投稿規定では一部のフィールドの字体を規定している。
文中引用は「上付き文字」(スーパースクリプト)、論文誌名は斜体字(イタリック)、巻数は太字(ボールド)などが主なものだろう。
これはテンプレートでそのフィールドまたはテキストを選択し、「テキスト」メニューで「字体」を選択する。

しかし、このとき「決してフォントの種類を変更しないこと」。デフォールトでは「標準」つまりそのパソコンがOSで使っているフォントを指定している。EndNote5と日本語MacOSの不一致のため、ここでフォントを英文字フォントに変えると日本語が表示できなくなってしまう。
「フォントの種類」と「サイズ」はフォーマット後、ワープロで調整すればよいので、スタイルテンプレートでは規定する必要はない。





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