![]() EndNote日本語版活用講座(12) How to use EndNote Japanese Edition 初稿:2002年2月26日 目次に戻るMS WordでEndNote5を使うEndNote5は数種のワープロソフトで使うことが出来ますが、MS Wordだけはちょっと特別扱いされています。 それは、MS Wordが米国で最も普及しているワープロだということもあるでしょうが、Wordにはマクロ機能が含まれているからでしょう。 EndNote5に含まれるプラグインフィアルとマクロファイルをMS Wordに入れると、EndNote5はWordと一体型のソフトになります。 MS WordでEndNote5を使う機能はCite While You Writeと呼ばれています。EndNote5は古いバージョンのWordでも使用できますが、Cite While You Write機能が使えるのはWord98とWord2001だけです。 EndNote5の開発元であるSIS Research社は、日本語WordでのCWYWの使用を保証していません。むしろ、使えないはずだと言っています。一方、EndNote5の日本販売代理店であるユサコ社は、日本語Wordにも対応している(但し公式サポートはしない)と言っています。 どちらが正しいのでしょうか。 どちらも少しずつ当たっています。 EndNote5自身はほぼ問題なく2バイト文字や欧州アクセント符号にも対応しています。日本語Word自身も文字の扱いについては制限はありません。しかし、そのインターフェースとなるCWYWは英語版のEndNote5と英語版のWordを前提に開発されているため、文字の扱いについて全く配慮していません。 そのため、データの文字種によってはうまくフォーマットが出来ないことがありますので注意してください。 私が確認した結果から判断すると、Word98、 2001とも以下の問題を除けば実用的には使えると言っても構わないと思います。 日本語版Word98/2001で分かっている問題 1)非英語フォントは使用できない。発音記号付きの欧州人の著者名が含まれる文献は無視される。手動で変換するか、他のワープロを使用すれば可能。 2)文献目録の書式が指定通りに出力できない。データが英語、日本語であるに関わらず発生する。フォーマット後、Word上で編集すれば全く問題ない。 1. Cite While You Writeとは Cite While You Write(CWYW)は直訳すれば「書いている間に引用する」ということですが、WordとEndNote5をインテグレートさせ、ワープロでの文書作成→保存→EndNote5でフォーマット→保存→ワープロで開いて確認、という作業をWord上だけで行えるようにしたものです。 他のワープロでも同じ作業が出来ますが、出力スタイルを色々確認したい場合などは便利です。 また、CWYWにはインスタントフォーマットという機能があります。 これは引用を挿入するだけで瞬時にフォーマット作業を行ってくれるものです。ユーザーによっては作業効率を高めるのに役立つ機能でしょう。 CWYWのWordへのインストール MS Word98か2001がインストールされている状態でEndNote5をインストールすると、自動的にCWYWの関係ファイルがインストールされ、Wordを起動すると直ぐに使えるようになります。 既に、EndNote5がインストールされていて、後でWordをインストールした場合は次の手順を取ってください。 EndNote5フォルダを開くと、「Cite While You Write」というフォルダがあります。これを開けると「Word 98」フォルダ、「Word 2001」フォルダ、「EndNote5 CWYW commands」が入っています。更にそれぞれのフォルダを開くと「EndNote5 CWYW」というファイルが入っています。 次に、Office98またはOffice2001のフォルダを開きます。中に「Office」というフォルダがあります。更に探すと「Startup」があり、ここを開けると「Word」フォルダが見つかります。ここに、この図のように「EndNote5 CWYW」と「EndNote5 CWYW commands」の二つのファイルをコピーしてください。オプションキーを押しながらドラッグ&ドロップすると簡単にコピーできます。 このときに、Word98のユーザーは「Word 98」フォルダ内にある「EndNote5 CWYW」を、Word2001ユーザーは「Word 2001」フォルダ内にある「EndNote5 CWYW」をコピーして下さい。両方のOfficeをお使いのユーザーはどちらにもこの作業を行ってください。 Wordを起動し、メニューバーの「ツール」メニューに「EndNote」のサブメニューが表示されることを確認してください。 CWYWの日本語化 CWYWは簡単な機能ですので、一旦使い方を覚えれば英語のままでもあまり問題はないかも知れません。英語版のままでも日本語文献の作業は行えます。 日本語化の方法は本体の日本語化と同じ手順で行います。EndNote5.0.2日本語化キットに入っているWord98CWYW_JPkitまたはWord01CWYW_JPKitのいずれかを選択し、先のファイルに対し、パッチを当てます。 英語版のファイルを書き換えますので、注意してください。 英語版に戻したい場合は、EndNote5フォルダ内から再度ファイルをコピーして下さい。 Word2001の場合、この日本語化したプラグインを入れて起動すると下記のようなアラートが出ることがあります。 これは無視して「OK」ボタンを押して下さい。 以下の説明は日本語版で行います。 2. WordとCWYWの使い方 Word98、Word2001とも全く使用法は同じです。 ◆メニュー 残念ながらEndNote5サブメニューは日本語化されません。実際には、ツールバーで全ての処理が出来ますので、あまり必要ないでしょう。 一応、それぞれのメニューの日本語訳を載せておきます。 ◆ツールバー EndNote5ツールバーが同時に表示されます。これは好きなところに移動できます。各人がお使いのディスプレイのサイズに合わせ、使いやすい場所に配置してください。 ボタンの並びはEndNote5サブメニューと全く同じです。 バルーンヘルプが表示されますが、これも日本語化できていません。 今後は全て「何々ボタンを押す」で説明しますが、「何々メニューを選択する」でも全く同じ作業が出来ます。 ◆引用の検索 Word原稿の中で引用を挿入したいところにカーソルを置きます。 「引用の検索」ボタンを押します。 次のダイアログが現れます。 ここで検索語を入力すると、現在開いているライブラリから一致する文献が検索されます。複数の検索語はスペースで区切ります。検索フィールドは全フィールドです。 残念ながらこのモードは日本語には対応していません。検索できるのは英語の情報だけです。 検索が終了すると、それが表示されます。 その中に自分が探しているものがあれば、それを選択し、「挿入」ボタンを押すと文中に引用が挿入されます。 このモードを使わない場合、または日本語の文献を引用する場合は、他のワープロの操作と同様に、ライブラリから直接ドラッグ&ドロップをします。 作業性はほとんど変わらないはずです。 ◆文献目録の作成 EndNote5のフォーマットを行うコマンドです。 このボタンを押すと文献目録作成に関する詳細な設定が出来るダイアログが現れます。 [文献目録の作成] ここでは出力スタイルを選択できます。EndNote5で最後に使用したものが表示されます。 ここで選択できるスタイルは、EndNote5でお気に入りとしてチェックされているものだけです。もし、ここ表示してある以外のスタイルでフォーマットしたい場合は、一旦、EndNote5に行き、スタイルの選択を行ってください。 [レイアウト] ここでは文献目録の体裁を指定することが出来ます。 本来ならば、文献目録のタイトル、タイトル並びに目録本文のフォント、各文献のインデントと行間隔が指定できます。 しかし、残念ながら開発元のSIS Reserch社が明言しているように、EndNote5は日本語の書式をうまく処理することが出来ません。 文献の内容が英語だけであっても日本語Wordではうまくいきません。 現在、日本語Wordでも機能していると確認できているのは ・文献目録タイトルそのもの(日本語も可) ・文献目録タイトルのフォント(日本語フォントも可) ・文献リストの第一行目のインデント(通常は0です) だけです。 場合によって機能するのは、 ・文献目録本体のフォント:このダイアログで指定しても、Word側の設定が優先されることがある。 ・フォントの字体(太字、斜体字など):本来はタイトルだけに適用されるはずなのが、目録全体に適用されることがある。 ・逆インデント:本来は同じ文献の2行目以降を引っ込ませる設定だがほとんどの場合無視される。 ・文献内および文献間の行間:全部スペースなしになったり、シングルスペースになったり、ほとんどのケースはダイアログの指定は無視される。 次はたまたまうまくいったケースです。 上がその設定、下がそれでフォーマットされた結果です。うまくインデントされていることが分かります。 これらの書式の設定はWord側でも簡単に行うことが出来ますので、ともかく出力されたものを、自分で体裁を整えた方がよいでしょう。 [インスタントフォーマット] インスタントフォーマットはCWYWの最大の特徴です。 デフォールトでは「有効に」がオンになっています。インスタントフォーマットが有効になっていると、引用の挿入や注釈の挿入を行うたびに、自動的に文中引用と文献目録がアップデートされます。 br> これが煩わしい人は「無効に」にしておけばいいでしょう。 いずれにしても、このフォーマットダイアログの「OK」ボタンを押すとフォーマット作業が開始されます。 [使用ライブラリ」 ここには現在使用されているEndNote5ライブラリが表示されます。ここに何も表示されない状態ではフォーマット作業は実行できません。 設定の変更が必要ない場合は、「OK」ボタンを押すとフォーマット作業が始まり、自分が書いているWord原稿がその場で変換されます。 他のワープロで作業するように、保存→フォーマット→開く、という作業が必要ないため非常に便利なのですが、人によってはちょっと余計なお世話と感じるかも知れません。 ◆EndNote5に行く EndNote5アプリケーションの画面に切り替わります。 単にデスクトップでライブラリ等をクリックしても同じです。 EndNote5のメニューにもCWYWという項目が追加されますが、わざわざメニュー操作をしなくてもデスクトップの操作の方が早いでしょう。ディスプレイが小さいユーザーは必要かも知れませんが。 ◆指定の引用を挿入する これもこのコマンドを使うよりは、ライブラリからドラッグ&ドロップする方が簡単です。 ◆引用の編集 フォーマット済みの原稿の引用部分を選択し、「引用の編集」ボタン押すと「引用の編集ダイアログが表示されます。 本来はスタイルで定義すればよいと思うのですが、一部だけを修正したいとき使うようです。 ◆注釈の挿入 原稿のある箇所で、引用ではなく注釈を加えることが出来ます。 これはEndNote5が持つ機能で、どのワープロでも{NOTE:}を挿入すればそれが文中引用と同様に扱われます。巻末に文献目録の一つの文献として表示されます。 CWYWの「注釈を挿入」はそれを分かりやすくしたものです。 残念ながら、この機能も日本語には対応していません。 入力できるのは英語だけです。 日本語の注釈を入れたい場合は「{NOTE:これは未発表の原稿に基づいている}」のように自分で「{NOTE:〜}」全文を打ち込んでください。 引用が番号付けされる場合だけこの注釈は有効です。それ以外のフォーマットの場合は、そのまま残されます。 注釈リストは文献目録とは別にしたい場合は、この機能ではなくWordの注釈機能を使ってください。 ◆ライブラリ文献を編集 Word文中の引用を選択しこのボタンを押すと直接、文献編集画面に飛びます。 ◆引用のアンフォーマット フォーマットしたが、出力された文献目録のスタイルが違っていたとか、他の体裁に変えたいという場合、原稿から文献目録の部分を削除し、このアンフォーマットボタンを押します。 すると、原稿の引用は文中引用から暫定引用に戻ります。 ここで出力スタイルを変更して、再度フォーマットを行うことが出来ます。 ◆フィールドコードの除去 Word書類の中に埋め込まれたEndNote5データを全て消去します。 EndNote5を使用していない他のユーザーにWord書類を渡すときはこれで処理します。 ◆CWYW環境設定 [一般設定] デフォールトでは全てオンになっています。 Wordを論文書き以外で使うような場合は、EndNote5がいつも一緒に起動すると煩わしいでしょうから、「Wordを起動したときEndNoteを開く」はオフにします。 インスタントフォーマットについても、用途や好みに応じてオンオフしてください。 [キーボード設定] CWYWはメニュー、ツールバー、ショートカットキーの3つの方法で操作できます。 大量のデータを処理する場合は、ショートカットキーを使うと生産性が上がります。 ここではそのショートカットキーを各人の好みに合わせ変更できます。 Wordはショートカットキーのユーザー定義が出来ませんので、これとコンフリクトしないよう注意してください。 ◆ヘルプ EndNote5のヘルプ画面が起動されます。 3. その他の使い方 引用の挿入の仕方は、EndNote5の基本の使い方と同じです。 Wordでは瞬時にフォーマットが行われますが、フォーマットされた原稿に更に新たな引用が追加できるでしょうか。 もちろんできます。 通常の方法で、文中に引用を加えていきます。 もしそれがマルチ引用(既に引用がある箇所)である場合は、自動的に前の引用と合体されます。 Wordには脚注や巻末注を作る機能があります。ここにも引用を付けることが出来ます。詳しくは「スタイル」章の「脚注の引用」を参照してください。 トラベリングライブラリ機能 Word98/2001でフォーマットしたファイルにはEndNote5の文献データが埋め込まれます。NoteとAbstractフィールド以外の全てのデータが埋め込まれます。 そのため、それを作成するのに使った自分のEndNoteライブラリがない環境でも、他のスタイルでフォーマットしたり、編集作業が出来ます。ライブラリを持ち歩かなくても、研究室でフォーマットした原稿を持ち帰れば自宅でも編集作業が出来るようになります。 但し、ここで重要なのは、これは同じ種類の、ここでは日本語Mac版のWord98と2001でしか有効でないことです。他のワープロでは開くことすら出来なくなります。英語版のWordとの互換性は確認していませんが、今までの経験では無理でしょう。 更に、自宅のMacにEndNote5があることが条件です。 他のPCや他のワープロでも編集することを考えるならば、「アンフォーマット」するか、「フィールドコードを削除」しなければなりません。 アンフォーマットした場合は暫定引用の状態に戻りますから、Word98ファイルが読めるワープロやPCならば、開いてEndNote5を使うことが出来ます。 Word書類を他人に渡す場合の注意 いずれにしても、フォーマットしたWord98/2001書類はEndNote5がない環境では読むことが出来ませんから、他の人に配布する場合、学会事務局や出版社にフィルのまま送る場合は必ず「フィールドコードを削除」しなければなりません。 このテキストの全体ならびに一部を他のホームページへの転載、雑誌等への転載することを禁じます。 リンクは「MacClinic」のトップページへ張る場合は自由ですが、このページに直接リンクする場合は、事前に許可を得て下さい。 (C)2002 ハリー小野(Harry Ono) harryono@mac.com All right reserved |