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EndNote日本語版活用講座(6)
How to use EndNote Japanese Edition

初稿:2002年2月28日

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使ってみよう!使い方はこんなに簡単
-- クイック・ツアー


1.EndNote5のインストールと日本語化

CD-ROMから普通の手順でインストールしてください。製品版で売られているEndNote5はバージョン5.0です。日本語化キットはバージョン5.0.2にしか対応していませんので、バージョンアップする必要があります。バグフィックスが行われているので必ずアップデートしてください。
アップデータはISI Research社社のホームページから無償でダウンロードできます。
あなたのMacをスキャンして、オリジナルのEndNote5を見つけます。見つかったらOKを押してアップデートを行ってください。

その後、「EndNote5.0.2日本語化キット」を使って日本語化を行います。英語版も残りますが、そのままにして置いても構いません。


2.EndNote5を起動する

初めてEndNote5を起動すると以下のようなダイアログが現れます。



接続フォルダとはインターネット検索を行うためのあらかじめ登録されたファイルが入っているフォルダです。ともかく、EndNote5フォルダ内の「Connections」というフォルダを探し、それを選択し、「選択」ボタンを押してして下さい。失敗しても後でまた指定できるので心配することはありません。

続いて、同様にスタイルフォルダとして「Styles」フォルダ、フィルタフォルダとして「Filters」フォルダを選択します。同様に後でも指定できます。

これらの作業は初回に設定してしまえば、2度目以降はいきなり作業にかかることが出来ます。

最後に、ライブラリを聞いてきます。
ライブラリとは各人が作成した文献の一覧リスト、最も重要なデータベースファイルです。研究室などで一台のMacを使う場合は、各人のライブラリが出来るので、ここでそれを選択します。選択は後でも出来ます。
初回の場合はまだライブラリがありませんので、「キャンセル」ボタンを押します。

これでEndNote5が使えるようになりました。

「編集」メニューの「ツールバーを表示...」サブメニューの「メイン」を選択してください。
メニューバーの下にEndNoteツールバーが表示されます。



EndNote5ではほとんどの作業をこのツールバーとダイアログだけで行うことが出来ます。メニューを使ったり、ショートカットキーを使ったりする事も出来ます。
ツールバーは各ボタンにカーソルを置くとバルーンヘルプが表示されますので、意味は分かると思います。


3.サンプルライブラリを見る

EndNote5には「Paleo Library」というライブラリのサンプルファイルが納められています。
「ファイル」メニューの「ライブラリを開く」を選択し、EndNote5フォルダ内の「Examples」フォルダ内の「Paleo Library」を選択して「開く」を押します。



これがライブラリです。
デフォールトではAuthor(著者)、Year(年)、Title(論文名)の3つが表示されます。

●ライブラリのカラム表題を日本語化する

上の図を見ると表題欄が日本語表示されていることが分かります。
この部分はユーザー各人が設定してください。

「編集」メニューの「環境設定...」を選択すると環境設定画面が開きます。全部の説明はあとでやりますので、とりあえずは、「フィールド表示」ページを開けてください。



表ではカラムと呼びますが、データベースではそれぞれの項目はフィールドと呼ばれます。フィールドという名前は後でも何回でも出てきます。
デフォールトでは「著者」「年」「タイトル」の3つを表示するようになっています。
右の入力欄に示されているのが実際にライブラリウィンドウで表示される文字です。
デフォールトでは「Author」「Year」「Title」となっています。
これを上図のように「著者」「年」「論文名」と書き換えてください。「論文名」は分野によっては単行本などの題名のこともあるので、「タイトル」「題名」としてもよいでしょう。ここは好きなようにカスタマイズすることが出来ます。


●ライブラリのカラム幅の変更とソート

カラムの位置は変更できませんが、カラムの幅を変えることは出来ます。これはExcelなどのカラム幅を変える操作方法と同じで、カラム表題欄の縦線のところにカーソルを持っていくと、矢印カーソルがカラム幅変更カーソルに変わりますので、適当な幅に変更してください。

また、カラム表題欄がデフォールトでは著者のところが反転している筈ですが、ちなみに、年のところを押してみて下さい。年でソートが開始されるのが分かります。



EndNote5ではソートは「文献」メニューからでも行えますが、これは大変便利な機能です。

●プレビュー

左下にプレビューという三角ボタンがあります。これをクリックして下さい。
どこかの行(一つの文献)を選択すると、そのプレビューが表示されます。



プレビューは文献の全ての情報を表示するものではありません。文献目録として出力した場合の表示をプレビューするものです。
EndNote5の強力な機能として、投稿規定をスタイルとして保存し、そのスタイルに沿って文献目録(参考文献リスト)を自動出力する機能があります。
出力スタイルはいくらでも登録することが出来、スタイルの選択を変更すれば瞬時にプレビューも変わります。
ちなみに、上図のものは[AAPG Bultine」というスタイルで、次のものは「NML」スタイルに変えたときのものです。



●文献ウィンドウを開く

ライブラリの中の文献を選択します。そしてそれをダブルクリックするか、リターンキーを押すか、「文献」メニューの「編集...」を選択するか(またはコマンド+E)のいずれかを行うと、文献の編集ウィンドウが開きます。これは新規に入力する場合も同じウィンドウです。



下までスクローするとこの文献データの全てを見ることが出来ます。
これはサンプルですが、自分で収集、作成した文献データはこのような形で管理されます。


●用語メニューを日本語化する

「用語」メニューの内、「リストを開く」を選択するとサブメニューが表示されますが、「Authors」「Journals」「Keywoads」と英語表示になっています。
ここを日本語化します。

「用語」メニューの「リストを定義する...」を選択します。



「名称変更」ボタンで各項目を選択し、それぞれ、「著者」「論文誌」「キーワード」に書き換えます。
今後はメニューが日本語表示になります。



●ライブラリの検索

「文献」メニューの「検索」を選択します。
検索画面で検索語を入力します。デフォールトでは検索条件は2つですが、「追加」ボタンを押せばいくらでも増やすことが出来ます。フィールドも選択できます。ここでは全フィールドを対象に「Billoski」と入力して検索ボタンを押します。



結果が示されます。ライブラリウィンドウでは著者には第一著者しか表示されませんが、検索では共著者も検索されることが分かります。




4.新規文献データの入力

入力の方法は次の方法があります。
1)オンライン入力:オンラインデータベースで検索し、データをダウンロードします。残念ながら現在利用できるのはアメリカのサーバーだけです。日本語のオンライン文献データベースはありません。

2)ファイル読み込み:CD-ROMで文献目録として出版されているもの、他の研究者が作成したもの、自分で他のソフト(ExcelやHyperCard、FileMaker など)でデータベースとして既に作成したものを読み込みます。
フォーマットが必ずしもEndNote5と一致しているわけではないので、変換作業が大変かも知れません。

3)手入力:日本語文献の場合は、これが主体の作業となるでしょう。
新規文献の作成は簡単です。「文献」メニューで「新規文献」を選択するとブランクの文献編集ウィンドウが現れますので、ここに入力していくだけです。日本語の入力がインラインできます。
文献ウィンドウの詳しい編集方法については「中級編」を参照してください。


5.ライブラリを出力する

文献データはコンピュータ上で管理しているだけでは価値がありません。

EndNote5では文献編集ウィンドウの内容や、ライブラリの表示をそのまま印刷するような機能はありません。
あくまでも、文献目録(参考文献リスト)を作成するのが目的のソフトですから、出力は常に文献目録の形を取って行われます。

文献目録は出力スタイルによって出力される項目(フィールド)や字体、記号が変わります。
ですから、どんな形であれ、出力するにはまずスタイルを指定する必要があります。
全てのフィールドを出力したい場合は、EndNote5には用意されていないので自分でスタイルを定義する必要があります。
ここでは先に選択したNLMスタイルを選択しています。

出力項目の選択

ライブラリウィンドウもしくは検索結果ウィンドウの中から出力する文献を選択します。
全部の場合は、「編集」メニューで「全部を選択」を選択するか、コマンド+Aを押します。
いくつかの文献を選択する場合は、通常のMacの項目の選択のルールと同じで、複数項目を選択するにはコマンドキーを押しながらクリック、連続した項目を選択するにはシフトを押しながらクリックします。この組み合わせも可能です。



印刷する

この状態で、「ファイル」メニューの「印刷...」を選びます。これで、下記のようなNMLスタイルの文献リストが印刷されます。



テキストファイルに書き出す

「ファイル」メニューの「書き出し...」を選びます。
ファイル形式としてはテキスト、リッチテキスト、HTMLが選択できます。
次は、テキストで保存したものをSimpleTextで開いたものです。
ファイルなので、これを加工したり、ワープロに貼り付けることが出来ます。



データベースファイルへの書き出し

残念ながらEndNote5の書き出しには「タブ区切り形式」などの他のデータベースで使うための出力形式が用意されていません。ですから、Excelで一覧表を作りたいとか、FileMakerで利用したいということが出来ません。
この場合は、自分でそれが可能になる出力スタイルを定義すれば可能になります。
(上級編参照)

ワープロ上に直接書き出す

これはちょっとEndNote5のすごい機能なのですが、ライブラリからワープロに直接データを書き出すことが出来ます。
EndNote5とEndNote5に対応したワープロ、ここではSimpleText、を同時に開いておきます。
EndNote5のライブラリで出力したい文献をクリックし、そのままSimpleTextまでドラッグし、カーソルを置いてドロップします。
{Lord, 2000 #105}
と表示されますが、これはEndNoteの暫定的引用と呼ばれるもので、ここでは説明しません。
では、今度はoptionキーを押しながら同じようにドラッグ&ドロップしてみてください。あーら不思議。プレビューで表示されているものと同じ内容がそのままコピーされました。これはNLMスタイルの文献目録なのです。



この方法を使うと、出力を確認しながら作業が出来るので大変便利です。


6.文中引用と文献目録の自動作成(フォーマット機能)

EndNote5の3大機能の一つがこの引用と目録の自動作成です。
NisusWriterやMS Wordのような高機能ワープロには脚注を付ける機能が含まれていますから、これを使えばある程度のことは出来ます。
しかし、論文の場合、文中引用や文献目録の書式に細かな規定があります。
同じ論文を複数の論文誌に投稿する場合に、それぞれで書き換えるのは大変です。EndNote5を使うとそれが瞬時に、本当に魔法でも見ているように、自動で行ってくれるのですから感動ものです。

ワープロはどの日本語ワープロでも使うことが出来ます。
しかし、MS Word, NisusWriter, AppleWorks以外ではファイル形式はTEXT形式に限定されます。
Jeditなどのテキストエディタを使って高速に原稿を作成し、EndNote5のフォーマット機能でフォーマットしたものを、高機能ワープロに取り込んで体裁を整えるという使い方も出来ます。

ここでは誰でも使えるSimpleTextを例に説明します。
SimpleTextは最大の文書サイズが32KBに限定されていますので、実際には論文の作成には向きません。Jedit、NuEditなどMac用のテキストエディタはフリーウェアやシェアウェアで沢山ありますので、実際にはこれらをお使い下さい。もちろん、始めからMS Word, NisusWriter, AppleWorksを使っても構いません。

サンプル原稿を開きます。中身は全く無意味な文章です。
EndNote5のライブラリ、ここではPaleo Library、を開いておきます。
適当に、文献を選んでサンプル原稿の適当な文中にドロップしていきます。そこに「暫定引用」といわれる表示がなされます。



この作業が終わったら、カーソルを文末に置き、少し改行してから「Bibliography」とタイプしさらに2回ほど改行してください。



これを別名で保存します。保存ファイル名は「 Sample-ct」とします。このファイルはオリジナルの原稿に対し、暫定引用原稿と呼ばれます。

EndNote5画面に戻り、「原稿」メニューから「スキャン」を選択します。ここで今保存した「 Sample」を選択します。
EndNote5はこのファイルの内容をスキャンし、引用文献のデータがライブラリにあるかどうかを確認します。この原稿はPaleo Libraryを元にしていますので、Paleo Libraryが開かれている場合は、以下のようなスキャン結果が表示されます。



もし、Paleo Libraryが開かれていない場合や、この原稿の保存をしてからライブラリの内容が変更されていた場合は、「不一致の引用」として表示されます。
EndNote5はライブラリからデータを読み込みながらフォーマットを行いますので、必ず必要なライブラリを開いておく必要があります。

続いて、「原稿」メニューの「フォーマット」を選択します。



スタイルはここでは「NLM」を選んでいますが、この選択を変えると同じ原稿からいくらでも異なるスタイルでの出力が出来ます。
「OK」を押すと、フォーマット作業が開始され、終了すると保存ファイル名を聞いてきます。ここでは「Sample-NLM」と言う名前保存します。
これをフォーマット済み原稿とよびます。
暫定引用原稿は残りますので、後で好きなスタイルで出力できます。

「Sample-NLM」をSimpleTextで開くとこうなります。



緑の部分が文中引用です。NLMスタイルでは著者名と発行年を括弧にいれて記入する規定になっていますのでこうなります。引用番号がふられるものなどいろいろな規定があります。
下のオレンジの部分が自動的に作成された文献目録(参考文献リスト、英語ではBibliograpyまたはRefrence List)です。これもNLMの規定スタイルになっています。
EndNote5ではこの文中引用と文献目録を自動的に作成する作業を「フォーマット」と呼んでいます。

この機能が優れているのは、原稿とライブラリデータがリンクしていることです。何か文献データにミスが見つかり修正したり、新たな情報を追加した場合、それはフォーマットに反映されます。保存してある暫定引用原稿をもう一度フォーマットするだけで内容が更新されます。

同じ原稿を他の投稿先に出す場合は、出力スタイルを変更するだけです。下の例は、New England Journal of Medicenのスタイルでフォーマットしたものです。
文中引用は番号だけになり(本来は上付小文字になっているが、SimpleTextのため同じサイズとなっている)、文献目録の内容もNMLスタイルとは違うことが分かります。








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