Mac Clinic Tips:

ハードディスクの基礎知識

97年6月1日(6月21日誤記訂正)
  1. ハードディスクの基本
  2. ハードディスクの性能
  3. ハードディスク使用上・増設上の注意点
  4. 内蔵ハードディスクの増設手順
  5. フォーマッタの役割と性能

1.ハードディスクの基本

ハードディスクはMacのみならず、すべてのコンピュータの基本構成要素のひとつ。高性能・大容量化、低価格化が日々進んでいる。現在、客量的には2〜3GB程度のものが主流だ。価格は実売で4〜7万円程度だが、性能によってややバラつきがあるようだ。また、価格はまだ高いものの4GBクラスも豊富に出回っている。すでに容量が1MBクラスは探すのが難しくなってきている。大容量化は同時に高速化をも実現している。ディスクの高密度化、ヘッドの高性能化、ドライプ回転の高連化など、基本性能の向上が進んでいるためだが、いかんせんMac側のインターフェイスがなかなか改善されないため、性能が発揮できていないのが現状だ。FastやWide SCSIなどの高速インターフェイスを採用したハードディスクを利用するには、対応のSCSIカードが必要になる。

ハードディスクの構造

ハードディスクは駆動部と呼ばれるメカニカル部分と、回路基板などのエレクトロニクス部分に大きく分けられる。メカニカル部分はデータを保存するための金属でできた固い円盤(ディスク)と、円盤を回すためのスピンドルモーター、読み書きを行うへッド、へッドを任意の場所に移動させるためのアクチュエーターなどで構成される。
アクチュエーターはボイスコイルモーター(アクチュエーターモーター)がアーム部分を動かし、アームの先端にあるヘッドをディスク上で移動させる仕組みだ。1枚のディスクの裏表を2本のアームで挟んで、さらに同様のディスクを複数枚重ねたタイプが一般的だ。複数ディスクは一度に読み書きできるデータ量を増やすことができるうえ、高い技術を必要とするヘッド操作をまとめて行うことでコストを抑えることが可能。ディスクの枚数は製品により違う。ディスクの大きさは、デスクトップ用は3.5インチ、PowerBook用は2.5インチが主流だ。磁気ヘッドは読み書き時にはへッドとディスクの距離が0.1ミクロン以下となり、わずかなホコリや煙草のけむりでも脅威となるので、メカニカル部分は箱に収められて保護されている。エレクトロニクス部分はメカニカル部分の制御を行う電子部品で構成され、ロジックボードの形を取っている。

読み書きの仕組み

ハードディスクはフロッピーディスクと同じように、磁気を使ってデータの読み書きを行い、ディスクの表面には磁性体が塗布されている。磁気へッドは小さなU字型の金属にコイルを巻いたもので、電流を流すと電磁石となる。磁気ヘッドを電磁石化してディスク表面に近づけ、ディスク面の磁性体にS極とN極による磁界パターンを生じさせることで書き込みを行う。読み取る時は磁気ヘッドには電流は流さずにディスクに近づけ、ディスク表面の磁界パターンを電流として拾い出す。S極とN極は、異なる極が隣り合うと磁界は変化しないが、S極とS極などのように同じ極が隣り合うと磁界が変化する。磁界が変化しているところに磁気ヘッドが来ると、電流が流れ(デジタルに置き換えると1)、磁界が変化していなければ電流が流れない(同様に0)。

ディスク上のデータの管理

ディスクはだだっ広いままでは管理しにくいので、同心円状に区切った領域「トラック」と、放射状に区切った領域「セクタ」とに区画整理ざれている。ディスクを複数枚重ねた構造のハードディスクは、さらにそれぞれのディスクの同一のトラックを「シリンダ」と呼んでいる。このように区画整理することで、ヘッドがデータの場所を的確に探しだすことができるのだ。セクタあたりの容量は512KBが主流だが、ハードディスクによっては1,024KBの製品もあるし、トラック数やセクタ数は製品によって違う。同じ大きさのディスクでも、トラック数やセクタ数が多ければ大容量ということになる。また、過去のハードディスクのセクタの区切りは直線の放射状だったが、これだと外周のトラックほど1セクタあたりの面積が広くなってしまい無駄なので、現在は一つのトラックを擬似的に複数トラックに分割して便う方式が主流だ。外周のほうがディスクが一回転する間にヘッド下を通過するセクタが多くなるめ、内周に読み書きするよりも高速にアクセスできる。

フォーマットとイニシャライズとパーティション

フォーマットとは、ディスクにトラックとセクタの線引きを行い、ディスクを区画整理することで、一般的に「物理フォーマット」を指す。イニシャライズは、フォーマット後のディスクにドライバや管理情報などを青き込むことで、これをWindowsで行えぱWindows用のハードディスクになるし、Macで行えばMac用のハードディスクになる。「初期化」あるいは「論理フォーマット」とも呼ばれるので、フォーマットと混乱しやすいようだ。ちなみに、Finderの特別メニユー「ディスクの初期化...」でフロッピーディスクの初期化を行う場合は、フォーマットとイニシャライズを回時に行う。ハードディスクに対しては、Finderのメニユーからはフォーマットは行われない。イニシャライズを行うと、ディスクのいちぱん外側のトラックに、ドライバ情報とディスク上のファイルの管理を行うための重要なデータが書き込まれるが、この情報はユーザーには見えないようになっている。Macを起動すると、最初にこの部分が読み込まれる。ハードディスクからデータが読み出せないようなトラプルの多くは、この管理情報が壊れたり、誤って書き換えられたことによるものだ。これはソフト的なトラプルなので、ある程度データが復旧できる場合もある。何らかのトラブルでユーザーがハードディスクのイニシャライズを行うことはあるが、よほど致命的なトラプルでもない限り、フォーマットを行うことはほとんどない。パーティションとは、ディスクをいくつかの記憶領域に分割して使うことだ。イニシャライズの段階で、2GBのハードディスクを1GBずつ2つに区切る、あるいは500MBずつ4つに区切る、などのように利用する。一つひとつの領域を、「ボリューム」と呼ぶ。以前はパーティションを区切ったほうがアクセスが高速になると言われていたが、昨今はハードディスクが高速化しているため、それほど差はない。むしろパーティションを区切るメリットは、データの管理がしやすいことにあるだろう。


2.ハードディスクの性能

ハードディスク本体のスペック

MacにCPUのタイプや搭載メモリのサイズなどのスペックがあるように、ハードディスクにもスペックがある。一般的に知られているのは対応するインターフェイス、そしてフォーマット後の容量などだ。もちろんこれらも重要なスペックだが、細かく見ると実にさまざまなスペックが存在する。そしてハードディスクの性能に関係するスペックの代表が、平均シークタイムとディスク回転スビード、そしてキャッシユ容量の3つだ。ほかのスペックも総合的な性能に影響を与えるが、まず上記3つを確認すると、そのハードディスクの性能が見えてくる。まず平均シークタイムだが、これはデータを読み書きするヘッドが、目的の場所に移動するまでの平均時間を計測したものだ。「10ms」などと表現されるが、「ms」はミリ秒のことで1msは1/1000秒である。たとえば10msなら目的の場所にヘッドが移動するのに平均0.01秒かかるということだ。このため平均シークタイムは値が小さければ小さいほど、そのハードディスクは高速ということになる。最近のハードディスクはスタンダードモデルで9msから12ms、ハイエンドモデルだと8msを上回る数値を叩き出すものもある。次にディスク回転スビードだが、これはハードディスクに内蔵されているディスク(円盤)を、どれぐらいのスビードで回転させているかの数値だ。単位は「rpm」で「round per mimute(回転/分)」を意味し、1分間にディスクか何回転しているかを表わす。ディスク回転スビードが速ければ速いほどそのハードディスクは高性能ということになる。スタンダードモデルで4,500〜5,400回転、ハイエンドモデルだと7,200回転程度である。ただし回転数が速くなるとそれだけハードディスクは熱を持ちやすくなる。最後のキャッシユ容量は、Macの2次キャッシュメモリとほぼ同様の役割を持つと考えて欲しい。このキャッシユメモリに読み書きするデータを蓄え、同じデータの場合はメモリから高速にデータを転送するのである。大きく異なるのは、増設などができない点だろう。もちろんサイズが大きければ大きいほどいいが、そのぶんコストもかかる。容量はKB単位で表現され、スタンダードモデルは128KB前後を搭載し、ハイエンドモデルでは512KBから2,048KBを搭載する。しかしドライブ性能の向上とともに、キャッシュサイズはハイエンドモデルでも256KBから512KBに落ち着きつつあるようだ。ハードディスクの性能、もっとも大切なスピードを知るには、上記3つのスペックを調べよう。平均シークタイムは小さく、回転数は高連、そしてキャッシユサイズは大きく。これが高連ハードディスクの条件である。だがハードディスクがいくら高連でも、インターフェイスがボトルネックになってしまっては、その性能を充分に発揮できないという大きな問題があるのだ。

インターフェースで性能が変わる

Macのハードディスク用インターフェイスと言えば、もちろんSCSI(スカジー:Smal Computer Sysetm lnterface)のことである。最近では、IDE(Integrated Device Electronics)やEIDE(Enhanced lDE)インターフェイスを搭載したMac、あるいはMac OS搭載機もあるか、やはり標準はSCSlと言える。そのSCSIも1種類というわけではない。現在知られているもの、使われているものには次のような種類がある。

●SCSI(SCSI‐1)5MB/sec
●SCSl‐2
・Fast SCSl l0MB/sec
・Wide SCSI20MBIsec
●SCSI‐3
・Ultra SCSl 20MB/sec
・Ultra Wide SCSl 40MB/sec

ちなみにMB/secで表現される数値は、各SCSIの最大転送速度である。l秒で何MBを転送できるかを示し、この数値が大きい方がインターフェイスとして優れているということだ。ただし接続するハードディスクがそれぞれのインターフェイスに対応している必要がある。ではMacで標準的に使われているSCSIはというと、5MB/secのSCSI-lなのである。ただし最近のPower Macは、SCSIインターフェィスを2系統持ち、内部にFastSCSl(SCSI‐2)のインターフェイスを採用しているものもあるが、やはりこれらも外部SCSIインターフェイスはSCI-1だ。つまり、いくらSCSI-2などの高速インターフェイスに対応した外付けハードディスクを増設しても、Macの外部SCSIに接続している限り、その性能を十分に引き出すことはできないのだ。これら高速SCSI対応のハードディスクの性能を最大限に引き出すためには、PCIバスなどに、FastSCSI、Wide SCSI、UltraSCSIなどのSCSlカード(SCSIアクセラレータ)をSCSI-1に接続することもできる。逆に高連SCSIのカードにSCSI-lのハードディスクを接続することができる(ただしコネクタの形状が異なるモノがあるため、専用のSCSIケープルもしくは変換コネクタが必要になる場合もある)。しかしどちらの場合もハードディスク、インタ一フェイスの性能をフルに発揮することはできないのだ。従って高性能なハードディスクを接続し、その性能をフルに発揮するためには、より高性能なインターフェイスを使わなくてはならないということだ。また、現在SCSI‐3は規格の標準化が進められている段階で、厳密に言えぱUltra SCSI、Ultra WideSCSIなどは、SCSI‐3の仕様に準拠したモノということになる。これらの高速SCSIインターフェイスについては第3章で詳しく取り上げることにする。

IEEE1394規格とは

前述のSCSl‐3はさらに、パラレルインターフェイスであるSCSIに加えご次世代のシリアルインターフェイス規格であるIEEE1394などへの対応も図られることになる。IEEE1394とは、lEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers:米国電気電子学会)により規格化されている次世代のシリアルインターフェイス規格だ。しかしMacユーザーにとってはIEEE1394と言うよりも、「FireWire(ファイヤーワイヤー)」と言った方が分かりやすいのではないだろうか。そうIEEE1394とはFireWireのことなのである。このIEEEl394(FireWire)は、デジタルビデオカメラなどのデジタルAV機器用のインターフェイスとして家電分野でも期待されているほか、それらの機器とMacなどのパソコンを接続するインターフェイスとして、さらにハードディスク、CD‐ROMドライブ、DVD‐ROMドライブなどのインターフェイスとしても注圏されている。IEEE1394(FireWire)は、63台までの機器が接続でき、SCSIのようなIDの設定やターミネータも不要。さらにケープルもSCSIに比べ細く、長さに関してもSCSIのように、とにかく「短く」ということはない。転送速度については現在、100Mbps(Mega bits per second)、200Mbps、400Mbpsなどのモードが規格化されている。
すでに製品化もざれており、ソニーのデジタルカメラが搭載するDV端子はIEEEl394だし、米Adeptec社はインターフェースカードをリリースしている。ただし、ハードディスクなどのドライブ関連の製品はまだ登場していない。Macにおいては、まずPCIの拡張カードのカタチで提供されるようになるだろうが、標準で搭載されるのはまだまだ先になるようだ。IEEE1394(FireWire)がハードディスクなどのドライプ用に使われるようになれぱ、なにより使い勝手が格段に向上する。今後注目したいインターフェイスではある。


3.ハードディスク使用上・増設上の注意点

ハードディスクから電源を入れる

外付けハードディスクを増設している場合、そちらにも電源スイッチがあることになる。ではMacとハードディスク、どちらから電源を入れればいいのだろうか?
ハードディスクもほかの周辺機器と同様に、Macよりも先に電源を入れる。当然、電源を切るのはMacよりも後ということになる。これを守らないとどうなるかというと、別に故障するわけではないが、Macが起動しない場合と、起動しても外付けハードディスクがマウントされない場合がある。SCSI Probeなどのユーティリティを使えば後でも強制マウントされる場合もある。
この電源を入れる作業は意外と面倒だ。最近は接続してる周辺機器が多いので、Power KeyやAudio TechnicaのMacのADBと連動するタイプの電源を使うと楽になる。
Macのモニタ用サービスコンセントを、モデムやMOの電源として使っている例をよく見る。モデムぐらいなら大丈夫だが、そこからさらにハードディスクの電源まで取るのはやめた方がいい。特に最近の高性能ハードディスクは安定した電源を要求する。ハードディスクはコンセントから取るのが常識だ。


静電気、水気厳禁の壊れ物

これはいまさら言うまでもないだろうが、ハートディスクは精密機械である。Mac本体と同様の注意を払って扱う必要がある。
特にケープルをコネクタに接続する時は、静電気を放電させてからにしよう。なお最近のハードディスクは衝撃に強くなってきたので、神経質になるほどでもない。しかし、外付けHDを持ち歩く場合や、PowerBookのハードディスクについては、落としたりしないに注意しよう。

ドライブの設定を何度もチェック

ハードディスクの設定は、一般的にSCSI IDとターミネータに関するものしかないcSCSI IDは同じバス上(内蔵か外付けか、内蔵外付けが同じ場合もある)で重複しないように、必ず何度もチェックしよう。設定できるIDは0から6の7つ、7はMac本体CPUが使っているので設定できない(さらに0は内蔵HDが、3は内蔵CD-ROMが使っているのが普通だ)。

ターミネータは必ずラインの両端に装着する。始端は内蔵ハードディスクについている。従って、外付けSCSI機器の終端にターミネータを装着する必要がある。
外付けハードディスクの多くはターミネータが付属しているものが多いが、もしハードディスクとは別にターミネータを購入する場合は、「アクティブターミネータ」と明記しているものを選んでおけば間違いないだろう。アクティブターミネータとはSCSI信号を検知してそのときだけターミネーションを行う構造のもので、パッシブターミネータに較べ価格は2倍ほどする。アクティブターミネータを使うにはハードディスクがSCSl‐2対応であることが必要だが、最近のハードディスクはほとんどがSCSl‐2対応になっている。またほかのSCSI機器を接続している場合には、他の機器の設定にも気を配る必要がある。機器によってはターミネータを内蔵し、背面などにあるディップスイッチなどでオン・オフを切り替えるタイプもある。いずれにせよ、ケープルの両端にはターミネータが存在しなくてはならない。

ケープルは太くコネクタ形状にも注意

どれも同じように見えるケープルだが、値段がまちまちなのを見ても分かる通り、品質にはある程度の差がある。ハードディスクに使うケープルの基本は「太く短く」である。
非常に安い無印のケーブルが売られていることがあるが、一般にはこれでも問題がない場合が多い。私などはすべて台湾製だ。しかし、接続しているSCSI機器が多くなると、全体の経路が長くなり、それだけノイズを受けやすくなる。Macが起動しない、SCSI機器が動かない、HDのエラーが出るというような場合は、ケーブルの問題もあるので、その場合は、より品質の良いハイインピーダンスケーブルの購入を検討する価値もある。まあ、お金に余裕があるならば、始めから品質の良いケーブルを使うに越したことはない。
また、SCSIのコネクタの形状にはざまざまな種類があり、最近はWinodws規格のものが多く出回ってきたので、他のSCSI機器とチェーンで接続する場合は、ハードディスクに同梱されているケーブルではコネクタが使えない場合があるので注意が必要だ。変換コネクタもあるが、ケーブル自体を買ったほうが、結局は安くつく。

熱処理に注意

ハードディスクは常に内蔵された円盤を高速回転させている機械である。要するにモーターがある程度の重さの物体を回転させているということで、当然、ある程度の熱が発生する。このため放熱処理がきちんと行われていないと、最悪ハードディスクは熱暴走を起こす。要するに正しくデータを読み書きできなくなるのだ。特に注意が必要なのは、7,200回転クラスの高性能ハードディスクだ。このタイプはかなりの熱を持つので、放熱処理に充分配慮する必要がある。はっきり言ってハイエンドMacには内蔵しない方がいい。なぜならハイエンドMacは、それ自体が熱を発生させるからである。


4.内蔵ハードディスクの増設手順

Power Mac 8500や9500などのミニタワー型・タワー型のMacは内蔵タイプのハードディスクを増設することができる。ここでは内蔵ハードディスクを増設する際のポイントを紹介しよう。ただし内蔵ハードディスクの増設は、本来は正規代理店に依頼することになっている。自分で本体ケースを開け、作業を行うと、保証を受けれなくなる場合もある。このことを理解したうえで、自分の責任で行って欲しい。

まず最初の作業は、本体を開けることから始まる.本体を開けて内蔵ハードディスクを収納できる場所が確保されていることを確認しよう。ついでに最初から入っている内蔵ハードディスクを見てほしい。するとハードディスクの底に、樹脂製のべ一スが取りつけられていることがわかる。このべ一スがないとハードディスクを増設できても、うまく固定することは難しい。さらにドライブを収納するスペースの奥を見ると、SCSl用のフラットケーブルの末端、そしてハ一ドディスクに接続穂できる電源コネクタがあるはずだ。しかしフラットケーブルの未端には、小さなバ一ツが取り付げられている。実はこれがターミネータなのてある。

購入するハードディスクは、なるべくMac対応のものを選ぼう。Mac対応の内蔵用を選べぱ、取り付け用のぺ一スが付属している場合が多い。
まず最初に行う作業はハードディスクのSCSI IDと、ターミネータの確認だ。SCSI IDは他のSCSI機器と重複しないようにする。もっとも内蔵SCSIと外部SCSIが別系銃になつているMacの場合は、外付けSCSI機器とIDが重複しても大丈夫だがIDを確認したら、次にターミネータが有効になっているかを確認する。フラットケーブルの末端に取り付けられているターミネータを取り外し、ハードディスクを接続するのだから、ハードディスク内蔵のターミネータを有効にするのである。
設定が終わったら、ハードディスクの底面にベースを取り付ける。最初から内蔵されているハードディスクを観察して、表裏前後を間逮えないようにしようフラットケーブル末端のターミネータを取り外し、ハードディスクを内蔵、フラットケーブルを接続する。忘れずに竃源ケーブルも捜続して欲しい。取り外したターミネータは大切に保管し本体ケースを元に戻す。物理的な作業はこれで終わりだが、苦労するとしたら狭い本体ケース内でのフラットケーブルの取り回しだろう。なるぺくケーブルにストレスがかからないよう、試行錐誤してみよう。

本体ケースを元に戻したら、さっそく電源を入れて増設した内蔵ハードディスクがマウント(認識)されることを確認する。Mac用のハードディスクは、そのほとんどが、出荷前にフォーマットされ、ドライバがインストールされている。うまく認識されているようなら、最初に市飯のツールなどを使って、ハードディスクのチエックを行う。間題はないはずだが、一応念のためのチエックだ。認識されない場合は、そのハードディスクがフォーマットされていないか、SCSI IDの重複、電源ケーブルの繋ぎ忘れ、フラットケーブルがしっかり接続されているかを確認する。
フォーマットされていない場合は、ハードディスク付属のフォーマッタか、市販のフオーマッタを利用することになる。漢字Talk 7.5に付属するApple HD SC Setupや、ドライブ設定は、基本的に純正ドライブしか認識しないからだ。またあらかじめフォーマットされているドライプでも、クラッシュなどのトラブルで認識されなくなった場合は市阪ツールに頼らなくてはならないので注意が必要だ。


5.フォーマッタの役割と性能

フォーマッタの機能

フォーマッタには、大きく分けて5つの機能がある。それぞれを簡単に説明しよう。

1)初期化

名の由来の通り、フォーマッタのもっとも基本的な機能がディスクの初期化である。初期化には2段階あり、「フォーマット(物理フォーマット)」と「イニシャライズ(初期化または論理フォーマット)」に分かれる。フォーマッタは通常、イニシャライズ時にパーティションを作成したり、「デバイスドライバ」という小さなプログラムをディスクに書き込む。ところで一口で「初期化」といっても、各フォーマッタで初期化にかかる時間や初期化後のディスク容量が微妙に異なる。またデバイスドライバの性能によっては、ハードディスクのアクセス速度が目に見えて向上する場合もある。最近はハードディスク、ドライパともに性能が向上したので、昔ほどの差は出なくなっている。

2)マウント
Macに接続されたSCSI機器を認識し、その機器のデバイスドライバをメモリにロードして、アクセス可能な状態にすること。通常Macは起動時にSCSIのスキャンを行うので、Macが起動した後にSCSI機器を接続したり(あるいはMOなどのディスクを挿入したり)、機器の電源を入れても認識されない。
しかしマウント機能を使えば、起動後もSCSlの再スキャン〜デバイスドライバの強制ロードを行うことができる。フォーマッタには通常、マウント機能が付属し(別プログラムの場合もある)、Macの起動後に電源を入れたSCSI機器の認識ができる。またフォーマッタによっては起動時の自動マウントや、アンマウント時にメディアをイジェクトする(リムーバプルメディアの場合)などの設定を行うことができる。

3)パーティション作成
パーティションとはディスタの容量を分割し、あたかも複数のディスクが存在するかのように設定することで、フォーマッタは通常、イニシャライズ時にパーティションの設定を行う。パーティションを設定するメリットとしては、ディスククラッシユによる被害の分散や管理領域の無駄を滅らすなどがあげられる。なお、漢字Talk 7.5以降では、1パーティションで最大4GBまでの容量が確保できるようになった(以前は最大2GB)。

4)ドライバのアップデート
フオーマッタがパージョンアップして、高性能な新デバイスドライバが提供されるとする。通常デバイスドライバの組み込みはイニシャライズ時に行うため、これをアップデートするには、ディスクをもう一度イニシャライズする必要があった。しかしこれではディスク中のデータが消えてしまうため、現実的ではない。そこでデータはそのままに、デバイスドライバだけをアップデートできる機能が一般的になってきた。また、場合によってはサードパーティ製のデバイスドライバではなく、アップル純正のドライバが必要になる場合もある。フォーマッタによっては、自社製のデバイスドライバやパーティション情報を削除し、純正フォーマッタでフォーマットできるようにする機能を持つものもある。

5)オプション機能
フォーマッタによって、パーティションやデバイスドライバのオプションとして、さまざまな機能を持つものもあり、たとえばパーティションにライトプロテクトをかけたり、パスワードの設定を行うことができる。

また最近のハードディスクの中には節電機能を持ち、一定時間ディスクアクセスがない場合にモーターを停止させる機種がある。フォーマッタによっては、この節電機能を何分で実行するか、細かく設定できる。ほかにもPower Macと68KMacでデバイスドライバを使い分けたり、ディスクの不良プロック部分に書き込まないようにする操作や、データ転送レートの設定などの機能がある。中には専門知識を必要とするものもあるので、設定する際には注意しよう。

純正フォーマッタと汎用フォーマッタ

Macにはアップル純正のフォーマッタが用意されている。漢字Talk 7.5.2までは「Apple HD SC Setup」だったが、7.5.2からイニシャライズ方式の仕様が変更されたため、新しいフォーマッタである「ドライブ設定」に変更された。「なんだ、純正フォーマッタがあるならそれを使えばいいじゃないか」という声が開こえてきそうだが、ドライブ設定は最低限の保守管理しか行えず、他の汎用フォーマッタのような多機能さはない。もっとも内蔵ハードディスクだけを使っているユーザーならばドライプ設定だけで充分。

各フォーマッタの特長と機能概要

それでは代表的なフォーマッタソフトの特徴について説明しよう。フォーマッタには専門知識を多く必要とする上級者向けから、手間いらずのお気軽フォーマッタまで、レベルもさまざま。使いこなせないフォーマッタは事故のもとなので、自分の目的に合ったフォーマッタを選ぶようにしよう。

●機能アッフした純正フォーマッタ
ドライブ設定

漢字Talk7.5.2から付属する、アップル社の純正フォーマッタ。自動マウント・パーティションの設定・ディスクテスト・書き込み保護を設定できる。光磁気ディスクのフォーマットもできるなど、以前のApple HD SC Setupから比べると機能が向上した。Apple II用のProDosパーティションも作成できる。ただしパーティションはすべて同じサイズ。とはいっても基本的に純正ディスクの保守を目的にしたもので、一部のMOには互換性がなかったり、機能拡張書類を外す必要があるなど、使い勝手は良くない。

●上級者向け多機能ユーティリティ
Hard Disk ToolKit 2.0E

Hard Disk ToolKit(以下HDT)はSCSI関係の総合ユーティリティといっても過言ではない、多機能を誇るフォーマッタ。上級者が多く愛用しており、Silverliningと双壁をなす強力な機能がウリ。Fast・Wide SCSI-2からSCSI-3までサポートしている。応用範囲の広いフォーマット・マウント機能のほか、キャッシユファイルを作成してMacの起動時間を短縮するTurboBoot、パフォーマンステストと問題発見を行うDiagnosticなどが用意されている。デバイスドライバはバージョン1.8からFat形式となり、Power Mac、68KMacのいずれでも高速に動作する。システムのヒープサイズの変更など細かなチューニングもできるが、腕に白身のない人は「Auto lnitialize」で手早くイニシャライズすることもできる。現在、最新版は2.0だが、国内で正規に発売されているのは1.8の英語版。2.0の発売時期および日本語版発売の時期は未定。

●HDTの機能を限定した一般人向け
Hard Disk ToolKit PE1.7J

Hard Disk ToolKit PE(以下HDTPE)はHDTの機能をコンパクトにし、価格を抑えた普及型フォーマッタだ。ただし低価格とはいえ、HDTゆずりの高機能は健在。最新版は1.7Jで、日本語版となっている。1.7JではPCIバスを搭載したMacに対応し、ハードディスクのパフォーマンスを向上させる「ディスコネクト」機能を利用できるようになった(バイスが吋応している場含のみ)。独自方式で2TB(テラバイト)のボリュームまでサポートするなど、新技術に対する取り組みも早い。ただし、1.7JではLC630などに搭載されているIDEタイプのハードディスクには対応していない。

●ハランスよくまとまったライト版
Silverlining Lite 2.0J

Silverhning Lite(以下SLL)は高機能フォーマッタSilverliningの機能縮小版で、個人用マーケットでのHDTPEのライバルと言える。HDT PEがいまひとつ初心者向きでないのに対し、SLLはわかりやすいインターフ工イスと厳選された機能で扱いやすい。便利な機能のひとつである「ダイナミックスキャン」は定期的にSCSIバスをスキャンし、新しく接続ざれたSCSI機器を自動認識する。またMOなどのリムーバプルメディアを使用する場合、ディスクごとに異なるフォーマッタが使われていることもあり、場合によっではマウントできないなどトラプルの原因になる。そこでSLLではメディア排出時にドライバを自動的に削除することもできる。また、フォーマット時に不良セクタのテストを行うオプションや、起動ディスクの設定なども可能。ただしこのSLLは試用したのはβ版で、発売は未定。1日も早い登場を期待したい。

●ユニークな機能を誇るフォーマッタ
Drive 7

Drive7はHDTほど専門知識を必要とせず、手軽にチユーニングを施せるバランスの取れた多機能フォーマッタだ。パーティション設定も自由度が高く、Mac、A/UX(Mac用UNIX)を混在させたスタイルで、Mac用だけなら1ディスクあたり最大8つまでのパーティションが設定できる。フォーマッタはIDE形式の内蔵ディスクにも対応し、バックグランドでMOなどをイニシャラィズできる。
ハードディスクの節電機能の殻定や不良プロックのロック・パスワード機能など一通りのオプションも備えている。複数のパーティションにシステムがインストールされている場合、どれかぴとつだけを起動パーティションに設定するオプションもあり、ユーザーが無用のトラプルを招かない配慮もされている。マウンタである「Mount Cache」も工夫がある。Mount Cacheは同時に起動すると問題のあるドライバを自動的に避ける「インテリジェントローディング」をはじめ、メインメモリの一部を使用してデバイス単位でデータのキャッシュを行う機能など、他にはないユニークな機能が魅カだ。


ベンテマークテストについて

では実際にフォーマッタを使い、どのような差が出るか検証してみた。測定した項目はファイルの読み書きスピード、フォーマットに要した時間である。結論から言うと飛ぴぬけて成績のよかったフォーマッタはなく、どれも満足できる内容であった。今回取り上げた製品はいずれも比較的新しい製品である。いまや以前のような顕著な性能差はないといってよさそうだ。もしこの中からl本を選ぶとすると、製品の値段とユーティリティとしての機能が判断材料になるだろう。

フォーマッタフォーマット時間System Info総合評価連続アクセス時間(KB/秒)
1.0GB HD230MO1.0GB HD230MOリードライト
HDTK 2.0E17分6分21479.748714833
HDTK PE1.717分8分21479.648904844
SLL 2.0J30分10分20679.748674837
Drive730分9分20778.648914836



Mac Fan 97/3/1号「新明解!ハードディスク事典」より(抜粋、一部再編集)
(C)白波瀬悦子、飯田隆之