mc_title2Mac Clinic Tips:
MacOSの歴史と機種別の最適なOSバージョン
Which MacOS is the most suitable for each model

加筆3:2000年3月24日(古いOSの入手方法を追加)
加筆2:2000年3月23日(OS別起動時間表追加)
修正1:2000年3月22日(OSバージョン一覧表修正)
初稿:2000年3月18日


1.MacOSの歴史
2.マシン別最適OSの選択
3.機種別適用OS,推奨OS一覧表
4.古いMacOSの入手方法

MacClinicによく来る質問の中に、中古のMacを購入したり、人から譲り受けたユーザーだが、最適のOSはどのバージョンかといったものがある。中には、OSが付属していなかったので、どこで入手できるかという質問もある。
それ以外でも、意外と多くのユーザーが購入したときのままのOSを使用しており、最近になって新しいアプリケーションを使おうとしたら、「このアプリケーションはxxx以降のシステムでしか動作しません」というようなメッセージが出てきてはじめてOSのバージョンの意味を知るユーザーもいる。
しかし、市販のMacOSは常に最新のものしかなく、いつの間にやら自分のマシンにはインストールすら出来ないという状況も生じている。

そして、OSは最新のものほど機能は強化されているが、それは最新のマシンを十分に使うためのものであり、旧型マシンの能力ではかえってOSが負担になり、アプリケーションの動きが悪くなるという副作用がでる。必要なRAMやハードディスクの容量も拡大し、非力な旧型マシンで最新のOSを使うのは必ずしも賢明ではない。

ここでは、旧型から最新型まで含めたMac全機種について、動作可能なOSのバージョンと、現実的に最適と考えられるバージョンを推奨する。


1.MacOSの歴史

16年にさかのぼるMacOSの進化の歴史は、波乱万丈だったと言っても過言ではない。競合するWindowsを横目で見ながら、続々とリリースされていく最新ハードウェアに対応し、Apple独自の最新技術をMacOSに盛り込みながら大きな変貌を遂げてきた。しかし、MacOSの基本的なシステムの構成は誕生以来ほとんど変わっていない。これはMacOSの基本コンセプトがいかに革新的であったかという証拠だろう。

1984年から今日に至るまでのMacOSの発展の歴史は以下の表のようである。
この表を見れば分かるように、始めにMacOSが登場してから最初の8年間はほとんど目立ったバージョンアップも行われず、1年置きに少しずつ改良が加えられたという程度であった。
しかし、1992年頃からMacのハードウェアの進化が大きくなり、また非常に多くのバリエーションが作られるようになり、MacOSもそれに呼応するように機能強化が図られるようになった。そのため、製品によっては特定のバージョンしか動かなかったり、アップデートにも専用のファイルが必要になる(Sytem Enablerもその一つ)など、非常に混乱を招いた一時期があった。ようやくシステムのバージョンアップが一段落したのは、MacOS7.6になったころだ。
MacOSはまず米語版が開発され、それから日本語版へのローカライズが行われるため初期のころは半年以上も時間がかかり、そのため漢字Talkという別名が与えられていたが、MacOS7.6からはOS名はMacOSのみに統合され〔日本での販売呼称は"MacOS7.6"のみだが、英語版と識別する場合は"MacOS7.6日本語版"と呼ぶしかない)、リリースについてもMacOS9ではほぼ日米同時期になっている。

1984年04月 System1.0
1986年04月 漢字Talk1.0
1986年10月 漢字Talk1.1
1988年01月 漢字Talk2.0
1989年01月 漢字Talk6.0.2
1989年10月 漢字Talk6.0.3
1991年10月 漢字Talk6.0.3
1989年03月 漢字Talk6.0.4
1991年06月 漢字Talk6.0.5
1991年07月 漢字Talk6.0.7
1992年10月 漢字Talk7.1
1993年04月 漢字Talk7.1.2
1995年01月 漢字Talk7.5
1995年07月 漢字Talk7.5.2
1996年09月 漢字Talk7.5.3(漢字Talk7.5.3アップデータ)
1996年11月 漢字Talk7.5.5(漢字Talk7.5.5アップデータ)
1997年02月 MacOS7.6
1997年04月 MacOS7.6.1
1997年09月 MacOS8.0
1997年11月 MacOS8.1(MacOS8.1アップデータ)
1998年10月 MacOS8.5
1998年12月 MacOS8.5.1(MacOS8.5.1アップデータ)
1999年05月 MacOS8.6
1999年08月 MacOS8.6.1(MacOS8.6.1アップデータ)
1999年10月 MacOS9.0
2000.3.18 Harry Ono

それぞれのMadOSの歴史を簡単に振り返ってみよう。

●System1.0から漢字Talk2.0
新技術:Finder、QuickDraw、漢字Talk、AppleTalk
Macが登場した1984年に開発された基本OS、System1.0にはMacの基本的なユーザーインターフェースであるデスクトップを制御するFinder、全ての画面をテキストではなくグラフィックとして描画するQuickDraw、ネットワーク技術のAppleTalkがすでに搭載されていた。Windows95が出たのが1995年だから、いかに革新的であったかが分かるだろう。
日本語が使えるようになったのは1986年にリリースされた漢字Talk1.0からだった。しかし、日本語の扱いには問題が多く、アプリケーション側でどうにか使えるレベルになっていたのが現実だった。

複数のアプリケーションを同時に動かすことは出来なかったが、デスクアクセサリという概念があり、電卓や時計、小さなパズルなどは同時に動かすことが出来たのも画期的だった。また、1986年の漢字Talk2.0からはあのHyperCardがバンドルされるようになった。これもパソコンの歴史に大きな影響を与えた革新的なアプリケーションだった。

●漢字Talk6シリーズ
新技術:MultiFinder、32ビットアドレッシング、32ビットカラーQuickDraw、TrueTypeフォント
1989年に発表された漢字Talk6は、正式にMultiFinderをサポートし複数のアプリケーションを同時に動かせるようになった他、日本語PostScriptの正式採用、32ビットアドレッシングによる大容量メモリの扱い、フルカラー化、漢字Talk6.0.7では日本語TrueTypeフォントへの対応が図られた。
MacII以降はカラーマシンが登場し、日本語PostScriptが開発されたことにより、日本でもDTPといえばMacと考えられるようになったのもこのころからである。この時代にはビジネスソフトや革新的なゲームソフトが多数開発された。

●漢字Tal7.1〜MacOS7.6
新技術:QuickTime、WorldScript、ことえり、AppleGuide、OpenTransport
1992年登場の漢字Talk7になってMacの環境は大幅に変化した。まず、標準描画モードがカラーになったほか、マルチタスクが標準となり複数アプリケーションが同時にあつかえる現在では当たり前と言える環境になった(漢字Talk6のMultiFinderではマシンの環境に応じ切り替えて使うようになっていた)。画面表示もTrueTypeが使われ、モニタ上で文字を拡大しても滑らかになった。
1995年にリリースされた漢字Talk7.5でPoweTalkやOpenDocといったAppleの新技術が強化されたが、結局Windows95との開発競争の中で十分な開発資源を与えられないまま多くの技術が消滅していった。最終的に残ったのはQuickTimeだけである。

MacOSは初期からネットワーク(LAN)への対応がなされていたが、インターネットへの対応も早く、漢字Talk7.1には既に必要なMacTCPとMacPPPが含まれているのには驚きだ。

●MacOS8〜MacOS9
新技術:HFS拡張フォーマット、Sherlock、マルチユーザー、キーチェーン、QuickTime4
Windows95が発表されてから、MacOSの優位性は一気に失われ、Windowsとの熾烈な競争が開始された。非常に頻繁にメージャーチェンジとマイナーチェンジが繰り返され、速いテンポで新技術が採用されて行ったのは今の時代を象徴しているとも言えるが、ユーザーにとっては非常に負担の大きなものだった。
1997年にリリースされたMacOS8ではWindows95に対抗してアピアランスが強化されたが基本機能の革新的な変更はなかった。8.1ではHFS拡張フォーマットが採用されハードディスクの大容量化に対応、Sherlockという新しい検索システムが採用された他は特に見るべきものはない。8.5、9とバージョンを重ね、より使いやすくはなったが、残念ながらシステムの安定化という点では根本的な解決をみていない。
MacOS9はPowerPC搭載のMacだけのOSとなった。必要なシステムメモリも30MBになり、最新のマシンでしか動かないOSに特化された。時代の趨勢とも言えるが、古いマシンでも最新のOSが載ることがMacのよさであっただけに残念なことである。
MacOSはその原形のSystem1.0で既に完成を見ていたとはいえ、結局途中でWindows95に抜かれ、完全に抜き返すには至っていない。特にシステムの安定性という点ではまだまだ問題が多く、メモリマネージメントにおいても不満が残る。
本当の意味で、MacOSが革新的にな発展を遂げるのはMacOS Xを待たなければならないだろう。


2.最適なシステムの選択

いままで解説してきたように、MacOSは時代を追って大きく変化しており、特にインターフェイスは大きく変化している。現在のルック&フィールに近づいたのは、カラー環境がスタンダードになった漢字Talk7以降のシステムである。これ以前のものだと、現在のシステムに慣れてしまっているユーザーならば、かなりの違和感を覚えるだろう。それでは、最適なMacOS(漢字Talk)のバージョンを選ぶポイントはなんだろうか?

ここでは、Macに搭載されているCPUごとに、どのバージョンのMacOSが最適なのかを考察してみよう。なぜCPUごとかというと、CPUの性能と、CPUによって動作可能なバージョンが決まっているためである。

MacOSは、バージョンが上がるごとに、機能も追加され(なくなったものもあるが)、より使いやすくなってきている。しかし、その代わりにCPUパワーをより必要とするようになったため、古いMacでは動作が遅くなったりするので、Mac本体のスペックや登場時期によって、利用できるバージョンと利用できないバージョンがあるのだ。

もちろんユーザーごとに使っている環境も異なるし、使い方も違う。それでも、おおまかに、どのバージョンだと使い勝手がいいのか、それなりの目安はある。
一般的には、シリーズごとに最終バージョンが安定しているとされている。たとえば漢字Talk6シリーズならば最後の6.0.7(6.07.1もあったが、これは新機種対応のためのバージョン)が、漢字Ta1k7シリーズでは漢字Talk7.5.3が良いだろう(68000/68020/68030で使える最後のシリーズが7.5.Xであり、7.5.5もあるがPowerPCへの最適化が進められ、メモリーの使用量が増加した)。


CPUごとに異なる最適MacOSのバージョン
MacOSを走らせたいマシンのCPUが68000だと、利用できる漠字Talkは7.1.2までとなっている。68020/30マシンでは、漢字Talk7.5.5まで。68040マシンになって、ようやくMacOS8.1が利用できる。PowerPCブロセッサーを搭載していれば、MacOS9を利用することができる。なお、ここで気を付けてほしいのが、「利用できる」というのは、OSを稼働させることができる、という意昧だ。OSを入れてアプリケーションを走らせて実用になるかは別問題だ。なぜなら、利用するハードごとに、システム容量や動作の安定性が異なるからだ。多くの場合、リリースされたばかりの最新バージョンより、ちょっと古めのシステムのほうがこなれて安定していることが多い。いまだとMacOS9よりMacOS7.6のほうが安定して利用できる機種もある、ということだ。しかし、その代わりに最新ソフトが使えなかったりすることもあるので、そのへんは使うソフトによって注意が必要だ。システムのバージョンによって、起動に要する時間やメモリーとハードディスクが必要とる容量も大きく変化する。システムの容量が少なければ、然ながら起動に必要な時間も短かくなる。またシステム安定性も要な項目だろう。メジャーバージョンアップされた直後のものは、較的安定性が悪いとされている(すべてにおいて安定しないというわけではない。利用するアプリケーションや機能拡張書類によっは動作が不安定になりがちだということ)。


●68000塔載Macに最適な0S
初代Macである68000(68K)プロセッサー搭載機には、Plus,SE,PoerBook100などがある。漢字Talk7.1以降のOSには対応していないこれらの非力なマシンは、どのように活用していけばいいのだろうか?

68000搭載Macは、搭載できるメモリーの容量が少なく、唯一8MB搭載できるのはPowerBook100のみであり、それ以外の機種は最大4MBまでである。また、標準で搭鼓されていたハードディスクの容量も40MB、80MBと少ないため、極力メモリーやディスク容量を消費しないシステムを選択せざるを得ない。軽いシステムを選択するのは必然である。

軽いシステムはローパワーのCPUにも適しており、68000搭載Macを快適に使うのならば、ここは漢字Talk6.O.7を選択すべきだ。少ないシステム容量は、起動時間の短縮にもつながる。

漢字Talk6.0.7は標準的なインストールでハードディスクの容量の25MBと、800KB程度のメモリーを消費する。もちろん仮想記憶は使えないため、ハードディスクの容量に影響しなくてすむ。そのため、68000搭載Macの限られた資源の中でもアプリケーション用の領域を十分確保することができる。このバージョンは漢字Talk6の時代の最終版であり、機能は劣るが、軽快な動作と高い安定性を提供してくれる。またPowerBook100では最大搭載メモリーが8MBもあるので、英語版のSystem7と漢字Talk6.O.7をGomTalk1.3*「で融合させて、System7環境を作ることも可能だ。

もちろん、68000搭載Macでも、漢字Talk7を利用することは可能だ、しかし、メモリーを多く消費するため、アプリケーションを使ってなにかする、というのには向かない。どうしてもインターネットにつないでみたいとか、漢字Talk7でなければ動かないソフトを使うのでなければ、お薦めできない。
→オススメは漢字Talk6.0.7

<インターネットが使えるか>
インターネットに接続するためには最低漢字Talk7.1.2が必要である。このOSからMacTCPやMacPPPがシステムに加えられた。FreePPPも使える。メーラーはEudoraーJ、ブラウザはMosaic1.03J(画面はモノクロ)が使える。


●68020/68030搭載Macに最適なOS
68020/68030プロセッサー搭載Macには、いまだに根強い人気のあるSE/30やIIciなどがある。MacOS7.5以降のバージョンは利用できなくなったものの、愛着のあるOldMacを少しでも長く活用したい人は多い。そのためにはどのMacOSを利用すればいいのを調べてみよう。

一見同じようにみえる68020搭載Macと68030搭載Macだが、実はかなり環境が異なる。68020搭載Macでは最大搭載メモリーが20MB、対して68030搭載Macでは最大128MBまでとなっている。まずは、搭載メモリーとハードディスクの容量によって、利用するMacOSのバージョンを選択した方がよいだろう。

だが、もちろんCPUパワーは非力なので、機能を追求していたずらに重いシステムを動作させるべきではない。できれば68020搭載Macでは漢字Talk7.1を、68030搭載Macでは漢字Talk7.5.3を利用するようにしたい。動作可能ソフトウェアの多さ、システムの機能からいっても漢字Talk7.5.3の方がよいのだが、CPUパワーを考えると漢字Ta1k7.5.3にするのは68030Macからのほうがよいだろう。

漢字Ta1k7.1では起動時間が数十秒程度ですむが、これが漢字Talk7.5にな1と、一気に1分半にもなってしまう。これを気にしなければ、いまでも漢字Talk7.5.3は機能・安定度ともに高く、多くのOldMacで使える、優れたシステムだといえる。

もちろん、メモリーは可能な限り増やしておくにこしたことはない。68020Macでは10MB程度までだが、やろう思えばIIciなどでは128MBまで増設すことか可能なので、処理速度さえ気しなければ、さまざまなな場面で活躍せることができるだろう。特にカラー表示が可能なIICX,IICiは、できるだけメリーを多く積むようにしたい。
→オススメは漢字Taok7.1か7.5.3
MacOS7.6も使えることは使える

<インターネットが使えるか>
漢字Talk7以降はインターネットに必要なファイルがシステム内に標準装備されているので、問題ない。メモリさえあれば、メーラーの大部分(とはいえ、EudoraーJのような軽いものをの方が使いやすい)と初期のバージョンのNetscape Navigatorを使おう。


●68040塔載Macに最適なOS
68040搭載Macには、いまだ人気を博しているQuadra700を始め、初期のP餉ormaシリーズなどがある。PowerPC搭載マシンではないため、動作可能なMacOSやソフトは、すでに限られてきつつある。どのバージョンのMacOSがベストなのか、検証しよう。

ここでは、68040プロセッサーを搭載したMacに最適なバージョンを考えてみよう。68040Macはローエンドモデルからハイエンドモデルまで幅広い品揃えがり、新しいバージョンのMacOSを使串しても、ある程度実用レベルで使うこセ狂できるマシンだ。

どのモデルでも、とりあえず漢字Ta1k7.5.3をインストールしておけば、起動寺間も短くて、対応するソフトウェァも多く、いろいろな用途において実用的氾使うことできる、実用度を重視するユザーは迷わずこのバージョンを選ぼう。

上のクラスを追求するのであれば、MacOS7.6にバージョンアップしておけば、さらに対応ソフトウェアが増える。対応するソフトウェアの条件を考慮してちらにするがを選択しよう。
漢字Talk7.5.3ではハードディスクを54MB程度、メモリーを3.5MB程度消費するだけですむが、これがMacOS8.1ではハードディスクを81MB程度、メモリーは8.5MB程度消費する。

MacOS8.1以降のバージョンをインストールすれば、利用できる機能も増えるのだが、その分重動作が目に見えて鈍くなってしまう。どうしても利用するソフトがMacOS8以降にしか対応していないものならば、機能重視で速度を気にせず使うという方法もあるが、安定性と機能のどちらを取るかは難しいところだ。
まだまだ68040Macに対応しているソフトは多いので、できるだけ利用してみよう。
→オススメは漢字Talk7.5
MacOS9は使えない。


●PowerPC601/603塔載Macに最適な0S
PowerPC601/603搭載のPowerMacには、PowerMac6100/7100/8100シリーズを始め、Performa、PowerBook5300などある。この時代のマシンでは、MacOS9まで利用できるので、ほぼ実用上問題ないといえるるだろう。性能とOSとをバランスのとれたものはどれなのかを、じっくり考えてみたい

登場した直後は、劇的なCPUスピードと謳われていたPowerPC601と初代PowerMacシリーズも、いまではあまり重いシステムを動かすと、逆に68系Macよりも遅さを感じてしまう。特に初代PowerPCマシンでは、その傾向が顕著だ。極力軽いシステムにし、PowerPC601プロセッサーのパワーを最大限に活用しなければならない。

低消費電力型のプロセッサー、PowerPC603は、主にPerformaシリーズやPowerBookに搭載されていた。PowerPC601とPowerPC603は、基本的な構造は同じなので、ここでは同一に扱っている。
だが、システムのバージョンアップとともにアプリケーションもPowerPCへの最適化が図られており、いたずらに古いシステムを使ってもしかたがない。

普通に使うのであれば、MacOS8.1がいいのだが、表示などの体感速度を重視するのであれば、より少ないメモリーで軽快に動作するMacOS7.6.1がよいだろう。

機能的なものを重視するのならはMacOS8.5でもいいし、MacOS9選択するという手もある。しかしPowerPC601搭載MacにMacOS9は、明らかに動作の遅さが目に付いてまうので、「どうしても最新システム使いたい!」というのでなければ、ありオススメはできない。

まだMacOS9以降でないと動作しなソフトはまだほとんどないので、「常に最新バージョンでなければ」という人以外、MacOS8.5までで止めておくのがいいだろう。
→オススメはMacOS8.1


●PowerPC604塔載Macに最適なOS
MacOSXをサボートしないといわれているPowerPC604搭載Macだが、現在のMacOS9ならば、実用上間題ない体感速度で利用できる。このクラスのマシンでは、実際どのバージョンのMacOSがベストなのかを考えてみたい。

PowerPC604/604e搭載のPowerMacならば、現在あるどのバージョンのMacOSでも、ある程度実用的に使うことができる。ハードウェアの性能もアップしているので、PowerPC601/603マシンよりも、さまざまな使い方ができる、というより、まだまだ最新OSを使って現役で利用できる、ぎりぎりのマシンであろう。

最適なOSのバージョンは、MacOS8.1がベストだと断言する。それは起動時間の短さ、システムが消費するメモリー容量の少なさなどの理由による。対応ソフトや機能面を考えても、まだまだ利用できるソフトも多く、使って困るケースはほとんどないだろう。後期のクロックが高いマシンやメモリーが多めに搭載されているマシンならば、MacOS8.6でもいい。

しかし、このクラスのマシンはMacOSXには対応しないので、今年の末にはOldMacの仲間になってしまう。MacOSはバージョンアップの度に、確実に機能アップされているので、これくらいのCPUパワーを持っているのならば、MacOS9も十分使える。ただし、メモリーが少なかったりすると、遅く感じてしまうので、メモリーとハードディスクは多めに搭載すること。少なくともメモリーは128MB以上あったほうがよい。起動時間やシステムに占めるメモリーの容量もバージョンが上がるごとに増加している。MacOS8.1時代では10MBも必要なかったものが、MacOS9になると、30MB以上となってしまう。それに合わせて電源投入からシステムが立ち上がるまでの時間も3倍以上要するのが難点であろう。
→オススメはMacOS8.1か8.6



●CPUとOSバージョンの組み合わせ:メモリ容量と起動時間

MacOSはバージョンが上がるにつれ、そのもののファイルサイズが大きくなりHDの占有容量も多くなる。RAMの使用量も多くなり、OSのバージョンを上げようとするとRAMの増設を行う必要が出てくる。しかし、古いMacの場合は最大RAM容量に限界があるので、その点からもOSの制約が出る。OSはインストールできたものの、アプリケーションは動かせないということにもなってしまう。OSがRAMに占めるサイズは、マシンによって大きく異なる。同じMacOS8.6でも、PPC601マシンでは11.5MBしかメモリを食わないが、PPC604マシンでは26.4MBも食い、G3マシンでは30.9MBにもなってしまう。
また、起動時間も快適にシステムを動かす要素だが、これも新しいOSほど時間がかかる。ある程度バランスを考えてOSを選ぶ目安にしてほしい。
下の表はあくまでも目安で、起動時間は接続機器や機能拡張により更に長くなるのが一般的だ。メモリの使用量もより多くなるのが一般的である。

機種別/OS別/メモリ使用量と起動時間
CPU 代表機種 搭載OS HD使用容量 RAM使用量 起動時間
68000 Plus 漢字Talk6.0.4 2.0MB 870KB 42秒
漢字Talk6.0.7 2.0MB 830KB 44秒
68010/68030 Iici 漢字Talk6.0.7 2.2MB 2.2MB 20秒
漢字Talk7.1 4.8MB 3.3MB 40秒
漢字Talk7.5.3 22.9MB 4.3MB 1分30秒
漢字Talk7.5.5 23MB 4.2MB 1分35秒
68040 Quadra700 漢字Talk6.0.7 23.7MB 3.4MB 48秒
漢字Talk7.1 23.7MB 3.5MB 48秒
漢字Talk7.5.3 54MB 4.8MB 1分10秒
MacOS8.1 81.2MB 8.5MB 1分28秒
PPC601/603 PM6100/60 MacOS7.6.1 52.8MB 7.1MB 1分12秒
MacOS8.1 79MB 8.6MB 1分30秒
MacOS8.5 54MB 11MB 2分7秒
MacOS8.6 138MB 11.5MB 2分25秒
MacOS9 190MB 18.7MB 2分33秒
PPC604 PM8500/150 MacOS8.1 91MB 22.1MB 1分17秒
MacOS8.5 71MB 25.8MB 1分57秒
MacOS8.6 140MB 26.4MB 2分11秒
MacOS9 195MB 32.7MB 2分31秒
(参考)G3 iMac DV/400 MacOS8.6 256MB 30.9MB 1分12秒
MacOS9 256MB 34.6MB 1分20秒


<DTP環境に最適なMacOSはどれなのか?>
ちまたでは、日本語フォントの間題もあって、DTP作業をするならMacOS8.1がベストだといわれている。MacOS8.5以降では、ATSUlがシステムに組み込まれてフォントのハンドリングが変更になったため、フォントにまつわるトラブルが多発したという報告もある。トラブルをさけるために、まだまだ漢字Talk7.5のシステムを使っていたりする現場も多い。では、最新のMacOS9も不具合があるのだろうか?

DTPに携わる人々にいろいろ話を聞いてみたが、たしかにMacOS8.5がリリースされた直後は、OSに起因すると思われるトラブルが起きていたという。しかし最近では、フオント問題もメーカーの対応で落ち着きをみせ、MacOS9では;ほとんどトラブルもなくなってきたという。

多くの場合、DTPソフトやフォントなど、最新OSに対応していないものを継続して利用し、OSだけバージョンアップしているため、ソフトのコンフリクトなどが発生しているそうだ。最近のソフトだと、多少OSのバージョンをあげても利用できてしまうため、そのまま使い続けていることが多い。もし可能であれば、OSのバージョンに合わせた最新ソフトに切り替えるのが賢明。

しかし実際の現場では、相性、バージョンアッフ料金、業務スケジュール、今までのワークフローとの互換性を考えると、簡単に既存の環境を変えることはできない、それにさまざまな機器が混在して利用されているので、ひとくちに「このバージョンのMacOSならOK」といえないのが現状である。周辺機器のドライバーやソフトのバージョンなど、複合的に絡んでくるためだ。

現状では、画像データを扱うセクションならば、MacOS9でも問題ないというのが一般的な見方だ。ただし、制作側と出力側のフォントデータのマッチングやソフト利用環境などを考えるとMacOS8.1でとどめておくのがよいこともある。もし、新たにシステムを構築するのであれば、MacOS9をべ一スとして、このバージョンで動作するアプリケーションを揃えていけば、ほぽ問題は発生しないだろう。OS側でも、MacOS9では同時オープンファイル数やフォントのハンドリングの問題などを解消しているので、MacOS8.5/8.6よりかはかなり安定している。最新環境のMacOS9にするか、古いバージョンの安定性を求めてMacOS8.1にするかという選択肢もあるが、結論としてはDTPにはMacOS8.5/8.6はあまりお薦めできないということだ。


3.機種別動作可能なOSと最適OSバージョン一覧表

●68系Mac
●PowerMac/iMac
●Powerbook/iBook
●Performa


4.古いMacOSの入手方法

この記事でも分かるようにそれぞれのマシンにはそれぞれに適したMacOSのバージョンがあり、必ずしも最新版がよいわけではない。本来であれば、Macを購入してAppleにユーザー登録をしておくとOSのバージョンアップのお知らせがくる。その度にバージョンアップをすればよいのだが、必ずしも全てのMacユーザーがそれだけMacを使いこなしているわけではない。大半のユーザーは購入したときのままの状態で使い続けている。そして、最新のアプリケーションの使おうとしたとき、OSが適合していないことを知って慌てるというケースが多いのだ。
それと、中古のMacを購入したがOSが付属していなかったとか、OSは付いていたのだが、もう少し上位のものにアップデートしたいというケースが有る。
ところが、MacOSはバージョンアップして最新版が出ると、古いバージョンの販売を禁止するので古いOSが入手できない。現在市販されているのはMacOS9だが、これは68系Macには使えない。ということで、どうやれば、自分の希望する古いOSを入手できるかを紹介する。

●Appleソフトウェアサイト
Apple社が提供する「ソフトウェアアップデートサイト」では、奇特にも漢字Talk7.5.3が無料でダウンロードできるようになっている。ここにはこれ以外にも以下のアップデータがあり、7.5.3と7.5.5アップデートをダウンロードすれば漢字Talk7.5.5までを入手できる。いつまで提供されるかは保証の限りではないので、必要だと感じるユーザーは早めにダウンロードしておいたほうがよい。

・漢字Talk7.5.3:単独で使用可能(36MB)
・漢字Talk7.5アップデート:漢字Talk7.5、7.5.1、7.5.2が必要
・漢字Talk7.5.5アップデート:漢字Talk7.5.3が必要
・MacOS8.1アップデート:MacOS8.0が必要
・MacOS8.5アップデート:MacOS8.5が必要
・MacOS8.5.1アップデート:MacOS8.5が必要
・MacOS8.6アップデート:MacOS8.5が必要
・PB2400/3400用MacOS7.6.1アップデート:MacOS7.6が必要

●雑誌の付録
・Mac雑誌付録のCD-ROMにはApple社から適宜アップデータが提供されている。OSそのものはない。しかし、大体は最新のアップデータに限られるので、古いアップデータが必要な場合はバックナンバーを探すしかない。どのバックナンバーにどのアップデータが掲載されいたかは「Mac Power」誌ではきちんと整理されている。バックナンバーは雑誌社に申し込むか、秋葉原のLAOX-MAC館のバックナンバーコーナーでも見つかるかもしれない。

●ジャンクショップを探す
秋葉原にはいくつか中古MacやMacも扱っているジャンクショップ(部品を解体してばら売りしている店)があるが、ここに古いOSを売っていることが有る。貴重品だからと漢字トーク7.5を2万円で売っている店が有るかと思うと、MacOS8を8000円で売っている良心的な店(秋葉館)もある。これらのソフトはいつどこに有るかは分からないので、こまめに足を運ぶか、お店の人に欲しいOSが入荷したら連絡してくれるよう頼むしかない。

●友人知人、ネットのオークション(買いたし)で探す
最後の手段は、持っているユーザーから譲ってもらうしかない。
最近はネットオークションも盛んになってきたので、これを利用するのも一つの手だろう。


資料:「MACLIFE 2000年3月号」他
(C)2000 ハリー小野(Harry Ono)
無断転載、リンク等を禁止します