mc_title2Mac Clinic Tips:
MacPoETによるフレッツADSL設定方法
How to set MacPoET for ADSL

加筆1:2001年6月19日(2-1:MacOS9への対応を追加)
加筆1:2001年6月8日(2-1読者メール追加、2-1インストール上の注意追加)
初稿:2001年5月28日
< br> フレッツADSLに接続するにはPPPoEクライアントソフトが必要だが、NTTから供給される「フレッツ接続ツール」では問題が起きる場合がある。そんなときのオプションとして、フリーウェアの「MacPoET」というソフトを紹介する。

目次:
1.PPPoEとは何か?
2.MacPoETの使い方


1.PPPoEとは何か?
フレッツADSLサービスを利用する顧客は、PPPoE クライアント・ソフトウエアを必要とする。PPPoE は、標準的なインターネット・ポイント・ツー・ポイント・プロトコル(PPP )パケットをEthernetパケットに変換するものである。PPPoE プロトコルは、Ethernet 接続にセキュリティー機能、およびその他の機能を追加し、ADSL 接続を行なう際に必要な条件を満足できるようにする。

パソコンとプロバイダの間は、物理的にはEthernet、ADSLモデム、電話回線などを介して接続される。一方、ネットワーク・プロトコル的には、パソコンとプロバイダの間でPPPによる通信が行われる。

PPPoEでは、アナログ電話線のダイヤルアップ接続で利用されてきたPPPと同様に、ユーザーIDとパスワードを使って契約プロバイダの接続・認証手順を行う。これは、プロダイダ側からみると、ユーザー・アカウントの有効・無効の切り換え作業を簡単に実行できるメリットがある。また、プロバイダは接続状況をユーザー名によって参照し、ユーザーとADSL ルータとの接続が中断されたかどうかモニターすることができる。
プロバイダにとっては、PPPoEにより、ダイヤルアップとADSLの両サービスを統合して運用しやすくなるというメリットが大きい。多くのプロバイダが独自サービスではなく、フレッツADSLを選択している理由がここにある。
また、ユーザー側にとっては、単一のADSL回線上で複数のプロバイダを使い分けることが可能になる。これもフレッツADSLの特徴というよりもPPPoEのメリットである。

フレッツADSLのようにPPPoEを要求するサービスを利用するためには、クライアント側がPPPoEをサポートしていなければならない。NTTから供給される「フレッツ接続ツール」「MacPoET」のようなPPPoEクライアント・ソフトウェアをインストールする必要がある。
PPPoEはルータを経由できないので、ローカル・ルータを利用している場合は、ローカル・ルータ自体がPPPoEクライアントとして機能する必要がある。最近のブロードバンドルーターの多くは標準でPPPoEをサポートしているが、既存製品でもファームウェアのアップデートで対応可能な場合がある。
ルーターがPPPoEに対応している場合は、PPPoEクライアント・ソフトウェアをインストールする必要はない。



2.MacPoETの使い方
フレッツADSLを利用するためにはPPPoEクライアントソフトが必要だが、これはNTTから支給される「フレッツ接続ツール」を使うのが一般的だ。このソフトは、Network TeleSystem社のEnternet for Macintosh version 1.11を中途半端に日本語化したものである。このソフトは米国でもADSLプロバイダーが自社用にカスタマイズして配付している。
もちろん、これで順調につながればそれでよいのだが、「速度が十分にでない」、「特定のホームページが開けない」という障害が生じることがある。これに対し、NTTは一つの対応策として「MacPoET」の使用を推奨している。

2-1)MacPoETとは
MacPoETはもともとはWind Riverというソフト会社が開発したもので、Windows用のPPPoEクライアントソフト「WinPoET」のMac版である。WinPoETの方はバージョンアップが重ねられているが、MacPoETはバージョン1.1(99年10月)の開発で止まっており、Wind River社からの配布も中止されている。しかし、不思議なことにこのバージョン1.1はMacOS9に対応するように修正されている。
さらに、2000年11月にバージョン1.2が出されているが、開発元のWind River社でも全くアナウンスしておらず、どれが正規バージョンかどうか分からない。ユーザーは適宜、どちらかのバージョンを使用してみて欲しい。
アナログのPPP接続ソフトでもApple純正のPPPでは接続が安定しなかったものが、FreePPPを使うと安定したというように、ユーザーの接続環境によってはソフトを変えると効果が出る場合がある。事実、Mac Clinicにも「フレッツ接続ツール」では特定のホームページが見れなかったのが、「MacPoET」にしたら見えるようになったという報告もなされている。

読者レポート:MacPoETを使用したら見えなくなったホームページが見れた
私も5月9日から念願のフレッツ・ADSLが開通したのですが(NiftyならびにODN)、思うようなスピードが出ない(といってもすっぴんで600kbps〜700kbpsは出ている)だけでなく、56kモデムで見ることが出来ていたホームページがフレッツ・ADSLでは見れない、といった不具合がありました。
スピードに関しては、電話局(相模原局)まで2.8Km程の距離があるので、「ISDNの10倍強で繋がっただけでも御の字」と考えることが出来るのですが、いままで見ることが出来ていたサイトが見れないのは由々しき問題です。
代表的にはバンパイヤハンターDの公式サイト(http://www.hunterD.com/)ですが、IPNetTunerであれこれ設定しても見ることが出来ず、半ば諦めていたところ、今回、MacPoETを紹介されていることを知り、早速試してみたところ、なんと見ることができるようになりました。
いやー嬉しいです。感謝感激、雨あられです。残念ながら、転送速度の方はあまり改善されませんでしたが、フレッツ・ADSLになって見ることが出来なくなっていたホームページが元通り見れるようになったことの意義は大きいです。
(2001.6.7. Y.Tさん@町田)

若干古いソフトではあるが、PPPoEの基本は押さえていると考えられ、日本での効果も報告されているので、使用してみる価値はあるだろう。

このソフトを探すのは非常に難しく、次のサイトからMacPoET1.1ならびに1.2がダウンロードできる。
macntosh.com
なぜ、このようなソフトがMacシェアウェアアーカイブでは配付されず、人知れないサイトからだけに残っているのかは不思議である。
バージョン1.1もOS9に対応していると言われているが、システムエラーが発生するようであれば、バージョン1.2を試して見るとよい。
(どうしてもこれらのサイトが見つからない場合はここからどうぞ)

ダウンロードしたら、インストーラを起動してアプリケーションをインストールする。
しかし、既に「フレッツ接続ツール」をインストールしている場合は注意が必要だ。機能拡張ファイルがコンフリクトを起こす可能性があるため、「フレッツ接続ツール」関係のファイルをアンインストールしておく必要がある。

単純なソフトなので、英語版のままでも支障はないが、日本語の方がやはり精神的によいという方は、当Mac Clinicで配付している日本語化キット(日本語パッチ)により日本語化することが出来る。
日本語化キットのダウンロードはここからできる。
以下の説明は、日本語版で行う。



2-2)MacPoETの設定方法
(1)TCP/IPの設定
コントロールパネル「TCP/IP」を開き、「設定...」メニューを開く。「複製...」ボタンを押して、適当な名称を入力し、設定画面とする。
そこには以下の画面と同じように入力する。「フレッツ接続ツール」の場合と異なるのは、設定方法が「手入力」になることだ。iPアドレス、ルータアドアレス欄に、はADSLモデムの固定アドレスである「192.0.0.1」と「192.0.0.2」をそれぞれ入力する。ネームサーバーアドレスは、各自がプロバイダから指定されたものを入力する。

<TCP/IP設定画面>


(2)AppleTalkの設定
AppleTalkが「入」、経由先が「Ethernet」となっていることを確認する。

(3)MacPoETの設定
「フレッツ接続ツール」の設定とほとんど同じだ。PPPoEの設定は単純で、Ethernet接続なので、電話番号の入力は必要ない。それは、プロバイダのドメインアドレスで接続される。
従って、ユーザー名欄にはPPP接続のようなユーザーIDに加え、ドメインを識別できるように契約プロバイダのドメイン名を付加する必要がある。ユーザー名とパスワードは、プロバイダから指示された「フレッツ接続ツール」と全く同じものを入力すればよい。

<MacPoET設定画面>


これで設定は完了。
あとは、「接続」「切断」ボタンを押すだけである。

2-3)MacPoETのアンインストール
MacPoETをインストールすると2つの機能拡張ファイルがインストールされる。
MacPoETを試してみたが効果がなく「フレッツ接続ツール」に戻る場合や、MacPoETをインストールしたことにより何らかの障害が出るようになった場合は、MacPoETをアンインストールしたほうがよい。
アンインストーラーは用意されていないので、手動でファイルを削除することになる。
MacOSシステムフォルダの中の機能拡張フォルダを開け、
・MacPOETModule
・ MacPoET INIT
の2つの書類をごみ箱に捨てればよい。



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