マッキントッシュとDOSコンピュータ間のファイル変換

原文:シカゴ大学コンピュータストア・テクニカルサポート 1996年7月25日
翻訳:Harry Ono  1997年6月1日

大学のコンピュータストアに来る質問の中でも最も一般的なものの一つがDOSとMacinstoshの間のファイルの変換だ。これについては、どの程度頻繁に変換を行う機会があるか、またどの程度簡単に変換をしたいかによって、いくつかのやり方がある。ここではMacintoshベースでの方法について説明しよう(DOSベースのやり方もあるが、いまのところMacintoshベースの方が安上がりで、簡単だからだ)。このドキュメントは変換のマニュアルというわけではなく、それぞれの商品を使う場合のアイデアを示すにとどめるので、もっと詳しく知るには個々の商品のマニュアルを参照して欲しい。もし非常にたくさんの書類、非常に長い書類、または変換が難しい特殊なフォーマットの書類を変換する必要があるときは、変換サービス会社を使うことを考えたほうが良い。変換サービス会社はどのようなフォーマットやどのようなメディア(たとえ古い5.25インチのフロッピーでも)でも対応してくれる。

MacとDOSの間でファイルを交換する場合、主に二つのハードルがある。一つは、まずそのファイルをMacに読み込ませる必要がある。これを行う方法はいくつもあるが、次に、そのファイルをMacのワープロなりスプレッドシートのようなアプリケーションで開けるようにしなければならない。最近のワープロソフトのほとんどはファイル変換の機能をもっており、自動的に変換してくれるものもある。または、DOSエミュレータによりDOS/Windowsソフトそのものを使うという方法もある。多くの場合、Macで処理したファイルをまた、DOSに戻す必要があるかもしれない。普通は逆のステップを取ればよいのだ。変換はほとんどの場合うまく行くが、中には書類の書式が落ちてしまう場合もある。


推奨するもの

現在、すべての新らしいMacintoshには「PC Exchange」がついている。これはDOSのディスクをマウントし直接DOSファイルを見ることができる。「PC Exchange」はSystem7.5以降にアップデートすれば、バンドルされている。スーパードライブ付きの古いシステムを使っていて、システムアップデートはしたくない場合は、「PC Exchange」だけを入手しても良い。「Apple File Exchange」(System7.1以前に付いていた同様なユーティリティ)も使えなくはないが、使うのは面倒だ。Macのアプリケーションでは読めない種類のフォーマットを変換したい場合は、「Access PC」がよいだろう。「Access PC」はフォーマット変換の機能だけでなく、DOSメディアをマウントする機能も持っている。MacでDOS/Windowsのソフトを動かす必要がある場合は、DOSカードがよいだろう。SoftWindowsのようなエミュレータもあるが、AppleのPC Compatibility Cardsは現在の最も安上がりな解決法だろう。


DOSファイルの取り込み

DOSとMacの間でファイルのやり取りをする場合、最も一般的な方法はフロッピーディスクだろう。これはMacにスーパードライブが装着されている場合はとても簡単だ(現在のMacのFDドライブは全てスーパードライブ)。スーパードライブはDOSフォーマットのディスクを読む能力がある。しかし、MacのOS自体にDOSファイルを読む機能がない場合は、特別なソフトがなければDOSディスクをマウントすることはできない。それがない場合は、「これはMacintoshディスクではありません。初期化しますか?」というメッセージが現れる。Appleの「PC Exchange」、 Software Architects社の「DOS Mounter」、Insignia社の「Access PC」をインストールすればよい。古いMacintoshには「Apple File Exchange」が入っており、これでも使えることは使えるが、あまりお薦めはしない。

それほど一般的ではないが、設定さえすれば簡単な方法として、AppleTalkを使う方法がある。これはネットワークを通じて、DOS/WindowsマシンからMacintosh ファイルサーバーにアクセスすることも可能にする。DOS/Windowsマシンからファイルをコピーしたり、DOSのコピーコマンドやWindowsのファイルマネージャを使うことでDOS/Windowsマシンのディスクドライブ間でファイルを移動させることも簡単だ。これを可能にするソフトとしては、COPS 社の「COPSTalk」、Appleの「AppleShare Client for Windows」、Miramar Systems社の「Personal MacLan Connect」がある。このうち、「COPSTalk」と「Personal MacLan Connect」はWindows95にも対応している(この時点では「Personal MacLan Connect」はWindows95の長いファイル名には対応していない)。

あなたがTCP/IPネットワークに接続しているならば、異なるマシン間でファイル交換を行う方法はもっとバラエティに富んでいる。たとえば、電子メールを使う方法もあるし、FTPやKermitを使う方法もある。
Insignia社の「Access PC」を使うと、様々なDOSフォーマットのメディア(BernoulliやSyQuestのカートリッジ、MOなど)を使ってPCとMacの間でファイルのやり取りが可能になる。もし、PCにもMacにも接続可能なBernoulliドライブを持っている場合、「Access PC」によりDOSフォーマットのBernoulliカートリッジをMacで読むことができる。Software Architects社の「DOS Mounter」も同様な能力を持っている。最新の「DOS Mounter95」はの長いファイル名を短くすることなくWindows 95のディスクをマウントすることができる。


エミュレーション

MacにDOSフィルを読み込ませたら、それを読む一番簡単な方法はそれが書かれたオリジナルのDOS/Windowsソフトを走らせることだろう。これをやるにはまず、DOSを走らせなければならない。これには二つの方法があり、一つはPC Compatibility Cardを装着する方法、もう一つはインテルチップをエミュレートするソフトをインストールする方法だ。

エミュレータソフトとしてはInsignia'社の「SoftWindows」がある。古いバージョンでは286チップしかエミュレートできなかったが、バージョン2.0では486DXプロセッサがエミュレートできるようになり、全てのDOS/Windowsソフトが動くようになった。ただし、これはパワーMacでしか使えず、286の速度でエミュレートしているため処理速度も非常に遅い。「SoftWindows 95 v3.0」はその名の通り、Windows 95が動くが、最低でも132MHz以上のCPUでメモリは24MB以上のマシンでの使用を推奨する。実用的にはそれほど頻度が高くない場合にお奨めだ。

386, 486SX, 486DX、Pentiumを搭載したMac用のカードはいろいろなメーカーから出されている。これらのカードではDOS/Windowsソフトはネーティブに動く。Appleの「DOS Compatibility Card」はPowerMac/Performa 61xx用のものと、Performa/Quadra 63x/64x用のものがあるが、Macの環境と非常に調和が取れている。新しいPCI PowerMacs用の「PC Combatibility Cards」には100MHz Pentium とCyrix 5x86チップが装着されており、通常のDOS/Windows以外にWindows95のソフトも正常に動く。それほど画期的なものではないが、機能は極めて安定している。Orange MicroやReply Technologiesといったサードパーティからも、もっと広範囲なMacのためのPCコンパチカードが出ているが、価格は高い。PCコンパチカードの最大の問題点は、コンパチビリティである。DOSとMacOSの切り替えは機能拡張で行うが、これが他の機能拡張ファイルとコンフリクトを起こすのである。そして、Macのハードディスク上でDOSファイルをエミュレートする方法も時々問題を起こしている。

しかし一般的に、ハードであれソフトであれ、エミュレータは完全ではないということだ。「SoftWindows」はメモリが十分のマシンで、一つか二つの特定アプリケーションをたまに動かす必要があるという場合に使うものだ。DOSカードはメモリの問題はないが、Macの環境で使う場合はコンパチビリティの問題が多い。どちらの場合でも、ハードの環境に大きく依存するようなアプリケーション(例えばソフトがPCマシンのCOM1ポートがあることを想定している場合、Macのシリアルポートは認識できない)で問題が発生する。結論として、MacでDOS/Windowsアプリケーションをそれほど頻繁に動かす必要がないのであれば、ただ単純にファイルそのものをDOSからMacに変換するほうがよいということになる。


ファイル変換

エミュレータを使っていない場合、ファイルをMacにマウントしたら、それをMacが使えるフォーマットに変換しなければならない。多くの場合、それはとても簡単だ。アプリケーションが自動的に変換を行ってくれる。例えば、Windowsで作成したのファイルをマック用のMicrosoft Wordで使いたい場合、単にメニューから「開く」を選択するだけだ。選択画面で(「ファイル形式」オプションを選択しておく必要がある場合もあるが)ファイルを選択すれば、後は自動的に変換される。ほとんどのワープロや表計算ソフトにはこの機能がついている。それぞれのマニュアルを参照して欲しい。索引で「変換」「ファイル形式」「読み込み」を探してみて欲しい。

ファイル変換が自動的に行われない場合は、特別なファイル変換ソフトが必要だ。例えば、DOSの画像フォーマット(ビットマップの「.BMP」ファイル等)は普通はMacのグラフィックソフトでは読むことができない。この場合はそれ専用の変換ソフトを使うしかない。DataViz社の「MacLink Plus」はそのような変換ソフトの一つで、ここ数年のPowerBookやPerformaにバンドルされていた。これはDOSファイルの読み書きができる。
Insignia社の「AccessPC」も広く使われているファイル変換プログラムで、DOSディスクを直接読み書きする能力がある。古いMacについていた「Apple File
Exchange」も同じ機能だが、新しいフォーマットには対応しにくくなっている。


元に戻す

多くの場合、作成した書類を元のフォーマットに戻すには、逆のステップをとればいいのだが、保存するときに「新規保存」(または」)で適当なファイル形式を選択することに注意すればよい。例で示すほうが簡単だろう。まずMS Wordで作成した文書をDOSのフロッピーで受け取り、「DOS Mounter」で読み込んだ後、MacのWordで文章を作り変え、再びDOSマシンに返すことを考えよう。まず最初は、Wordで保存するとき「別名で保存」でWindowsフォーマットを選択し保存するか、すでにMacフォーマットで保存してあるものを同じく「別名で保存」でWindowsフォーマットを選択し保存してもよい。そしてこのファイルをDOSディスクにコピーすればよい。この場合は「DOS Mounter」がインストールされているので、MacでDOSディスクがマウントできるわけだ。このディスクはDOSマシンで普通に使うことができる。特別なファイル変換プログラムが必要な場合を考えてみよう。例えば、DOS用とMac用のWordPerfect間でファイルの交換を行うには、オリジナルのファイル形式に戻すのに一つ余分なステップを踏まなければならない。一旦マック側ではRTFフォーマットで保存し、このRTFファイルを「Apple File Exchange」か「MacLink Plus」でDOS用WordPerfectファイルに変換する。この後、DOSディスクにコピーする。覚えれおかなければならないのは、いずれにしても自分が変換可能なファイル形式で保存するということだ。


ファイル変換で失われるもの

ファイル変換はほとんどの場合問題なく行われる。特に、同じ会社のアプリケーションの場合(Microsoft Word等)はほぼ完ぺきだ。しかし、書式のいくつかは失われる。特別な文字や記号がそうだ。トレードマーク(Rのマーク)やコピーライト(Cのマーク)や丸数字記号は普通はマシンが異なると変換されない。

フォントも正確には変換されない。双方のマシンに同じ名前のフォントがあった場合は、そのフォントが使用される。しかし、同じ名前であってもマシンが異なれば同じようにスクリーンで表示されたり、印刷されるとは限らない。同じ名前のフォントが存在しない場合は、似たものが代用されるが、それは似ているかもしれないし、全く違う場合もある。

一般に、書式が複雑であればあるほど、変換はうまくいかない。表、グラフィック、多段組、数式などはまずだめだ。

書式のいくつかが失われるものの、テキストと書式のいくらかでもが変換できるのは素晴らしいことで、時間のセーブにもなる。


使用ソフト別DOSからMacへの変換手順

Apple Computer

Apple File Exchange

Apple File Exchange (AFE)はSystem 7.5 以前のMacに無料で付いていたが、プリインストールされていたわけではない。システムディスクの中に入っているので自分でインストールしなければならない。DOSファイルをAFEを用いて変換するにはMacのFDドライブがスーパードライブである必要がある。

長所:
欠点:
基本手順 (DOS から Mac):
  1. Macで Apple File Exchangeを起動する。先にこれをしておかないで、DOSディスクを 入れると「これはMacintoshディスクではありません。初期化しますか?」のメッセージが出てくる。
  2. DOS書類が入ったDOSフロッピーを入れる。
  3. 変換の形式を選択する。テキスト変換の場合はテキストオプションを使う(このオプションはASCIIテキストにしか使えない。ワープロ書類には不可)。テキスト以外はデフォールト(バイナリ)を使う。例えば、Windows用Microsoft Word 書類をMacintosh用Microsoft Word 書類に変換したい場合は、デフォールト(バイナリ)を選択する。デフォールト変換がうまく行かない場合は別の形式を選ぶ。例えば、DOS用のWordPerfect書類をMac用のWordPerfect 2.xで読めるようにするには、WordPerfect/RTF変換を選ばなければならない。
  4. 変換したいファイルを選択する。そして変換した書類の保存先を指定する。それから、「変換」のボタンを押す。
  5. DOSフロッピーをとりだし、AFEを終了する。
  6. その書類を開きたいアプリケーションを起動する。
  7. 「開く」メニューからそのファイルを選択し開く。
  8. 基本的にワープロでは必要な変換作業は自動的に行われれるが、そうでない場合は、専用の変換ソフトを使う。
PC/Exchange

System 7.5以降のマシンではプリインストールされている。古いマックでもSystem 7とスーパードライブ付きであれば使用することができる。

長所:
欠点:
基本手順 (DOS から Mac):
  1. PC/Exchangeがインストールされていれば、DOSフロッピーを挿入するだけ。
  2. 既に登録されているファイル形式であれば、ファイルをダブルクリックすればアプリケーションが起動する。
  3. 正しいファイル形式でない場合は、ファイル設定を行う。PC/Exchangeでアプリケーションを選択し、ファイルタイプを登録するか、アプリケーションを先に起動してファイルを開けばよい。

DataViz

MacLink Plus

MacLink PlusはDOS/WindowsとMacの間で、ファイルの交換をするプログラムで、ほとんどの有名なワープロ、表計算、グラフィックソフトに対応している。しかしこれは、DOSフロッピーを読む能力はないので、同時にPC/Exchange かDOS Mounterが必要だ。MacLink Plus/Translator ProにはEasy OpenとPC/Exchangeが含まれている。PerformaとPowerBookにバンドルされていた。

変換フィルタ

DataViz数百の変換フィルタを作っており、その中にはPCで動くMacLink Plusに似せたConversion Plusもある。

Insignia Solutions, Inc.

Access PC

Access PCは通信販売で入手できる。スーパードライブ付きのMacならばDOSのフロッピーを読むことができる。Access PCは他のメディアも使えるのが特徴だ。しかしこの文章が書かれた時点では、Windows 95の長いファイル名が扱えるようにはなっていない。

特長:
欠点:
基本手順 (DOSから Mac):
  1. .Access PCがインストールされていれば、フロッピーを入れるだけ。
  2. 既に登録されているファイル形式であれば、ファイルをダブルクリックすればアプリケーションが起動する。
  3. 正しいファイル形式でない場合は、ファイル設定を行う。PC/Exchangeでアプリケーションを選択し、ファイルタイプを登録するか、アプリケーションを先に起動してファイルを開けばよい。

Software Architects

DOS Mounter

DOS Mounter Plusは通信販売で入手できる。
DOS Mounter Plus はMacのスーパードライブだけでなく、幅広いDOSフォーマットのメディアでも動く。その中にはMO、 NetWare サーバーや、リムーバブルカートリッジも含まれる。

特長:
欠点:
基本手順 (DOS から Mac):
  1. DOS Mounter Plusがインストールされていれば、フロッピーを入れるだけである。
  2. 既に登録されているファイル形式であれば、ファイルをダブルクリックすればアプリケーションが起動する。
  3. 登録されていない書類形式の場合は、DOS Mounter Plusがファイル形式を認識できるようにセットアップする必要がある。または、アプリケーションを先に起動してファイルを開けばよい。


(C)University of Chicago Campus Computer Store
Technical Support 1996

(C)Harry Ono 1997