Mac Clinic Tips:

米国製Macに日本語OSをインストールする

How to install Japanese OS on US Mac

第1稿:1998年11月16日

私も以前、海外に住んでいた時、米国製や欧州製のMacに日本語OS(漢字Talk6)や各国語のOS(オランダ語やフランス語)を載せて使っていたことがありましたから、Macについては生産地を問わず、どんな言語のOSでも使えるものだと思っていました。
しかし、最近、米国のMacユーザーの方々から、米国で購入したMacに日本語OSをインストールしようとしたがインストールできないという相談を多数受けるようになりました。
最近は、日本での発売を待切れず米国からMacを個人輸入される方もいます。iMacのように、専用キーボードが付属している場合、日本語キーボードは美しくないと言う理由で、あえて米国から輸入をしたというユーザーもいます。今は為替の関係からも日本で買う方が安くなっていますが、米国で購入して日本に持ってかえったが、日本ではやはり日本語が使いたいという方も多くいるでしょう。

本来MacはOSの言語(各国語)を選ばないマシンのはずなのですが、Apple自身は、外国のOSを販売することを行っておらず、アメリカで日本語OSを入手するには日本から輸入するしかありません。これは日本でも同じで、英語版のOSを売っているショップもありますが、これはAppleが売っているのではなく、そのショップが独自にアメリカから輸入をしているのです。
従って、Appleは公式見解としては、ハードとセットになっているOS以外のOSを使う場合は、Language Kitを使うことを薦めています。
米国の日本人Macユーザーの多くは英語OS+Japanese Language Kit(JLK) の組み合わせで使用していますし、日本で売られている米国直輸入Macも多くが英語OS+JLKを搭載して売られています。

英語OS+JLKでも日本語ソフトは日本語で表示されますし、実用上の問題はないはずです。しかし、JLKの場合は、あくまでも日本語の表示と入力を可能にするもので、例えば日付けや数の書式が日本対応になるわけではありません。コントロールパネルなどもやはり日本語で表示されていた方が使いやすいものです。

その意味で、主に米国でMacを使われているユーザーの体験をもとに、どの機種に日本語OSがインストールできないか、またはできるか、できない場合はどうやって対応したかをまとめてみました。

1.本当はMacはどんな国語にも対応したマシンだった
パソコンで各国語を扱う場合、一番問題になるのがフォントの取扱いです。ラテン文字の場合は、フォントの数が少ないので、英語のOSでもフランス語のOSでも現実は表示を翻訳しただけです。しかし、日本語のようにフォントの数が多い言語になると、そう簡単ではありません。漢字を表示するためにはモニタ表示を細かくする必要がありますし、フォントデータはROMに入れる必要がありました。以前のIBM PCやNECのPC98などは日本専用のマシンとなっていました。
これに対して、Macは始めから、グラフィックユーザーインターフェース(GUI)を採用していました。PCがテキストベースでフォントデータを直接モニタに表示していたのに対し、Macの場合は、文字を絵として描写するといる方式をとっていました。この方式は表示速度が若干遅くなりますが、フォントがソフト的に供給できるためどんな言語のフォントでも表示できることや、サイズや字体を自由に変えれる特徴がありました。
このため、Macは発売当初からどの国の言語にも対応したものになっていました。

2.外国向けのMacと日本向けのMacに違いはあるか
Macは現在、アメリカ、アイルランド、シンガポールのAppleの工場で生産されています。それぞれ、北米・中南米、欧州、アジア向けに供給されていると考えられます。日本で売られているものはシンガポール工場で生産され、日本で日本語OSを組み込んだり、日本語マニュアルを梱包して店頭に出荷されています。
モデルによっては、アメリカ専用、日本専用と言うものもありますが、世界中で売られている同じ型式のモデル、例えばPowerMac8500/120は、どこかハードが異なるのでしょうか?
私はAppleの社員ではありませんので、正確なところは分かりませんが、基本使用に関しては同一のはずです。しかし、細部では生産地域によって部品の調達が異なりますので、部品メーカーは違うかも知れません。内蔵電池も有害物質規制の関係から、国によって種類が違うとも言われています。米国は電磁障害にうるさいので、特別なシールドをしているかもしれません。しかし、OSに関わるところは地域に関係なく同じはずです。

3.なぜ米国製Macに日本語OSがインストールできないか?
ハードの基本構造が同じであるのに、日本語OSがインストールできないケースがあるのはなぜでしょうか?
それは、インストーラの採用が一つの原因だと考えられます。

Macの場合、ファイル構造が簡単なので、本来はインストーラはなくてもいいのです。Windowsの場合は、ファイル構造が複雑で、素人がそれぞれのファイルを決められたフォルダにコピーすると言うのは至難の技です。Windowsの場合、インストール・ナビゲーターがなければOSにしろアプリケーションにしろ、インストールは不可能といってもいいでしょう。
しかし、Macの場合は、ついこの間の漢字トーク7.1までは、OSのインストールはフロッピーディスクのファイルを自分でハードディスクにコピーすることでした。
最近のシステムは非常にファイルの種類が多くなっており、ユーザーがそれぞれコピーしなけrばならないとしたらとても面倒です。時間もかかります。最近はマシンの種類が多く、システムフォルダの中には、特定の機種だけに必要なファイル(システム・エネブラーなど)を入れなければならないものがあります。これを見分けるのも一般のユーザーにとってみれば煩わしいことかも知れません。
従って、漢字トーク7.5以降はインストーラーを使わなければインストールできなくなってしまいました。

OSをインストールする場合、マシンの機種によってインストールするファイルが異なります。そのため、インストーラーはまず、そのマシンがなんであるかをチェックします。マシンの種類のデータはROMに入っているので、これをまず読み取るわけです。インストーラーには対応マシンの一覧表が収められているのですが、そこに記載のないマシンにインストールしようとした時は、インストールが拒否されてしまいます。

米国製Macに日本語OSがインストールできないのは、マシンのROMに記入されている型式が特別なもので、日本語OSインストーラーのリストにないためだと考えられます。しかし、これはすべてのマシンで起きているわけではなく、そのまますんなりインストールできるものも少なくありません。残念ながら、現在のところ、NGの報告があまり多くないので、どの機種とどの日本語OSのバージョンが対応していないかの完全なデータはありません。

4.日本語OSのCD-ROMから起動できないわけ
米国製Macと日本語OSの問題で、もうひとつあるのは、CD-ROMからの起動ができないと言うものです。これは単にOSを新規にインストールする時に問題になるだけでなく、HDのシステムが不調で立ち上がらなくなった時、必要なものです。
OSのCD-ROMには最もシンプルなシステムフォルダが入っています。しかし、特定の機種の場合、それがないと起動できない機能拡張ファイルが必要なものがあります。最近の例では、iMac
の場合は「System Enabler 462」と「Mac OS ROM」がなければ起動できません。従って、iMac専用のCD-ROMでなければ(少なくともMacOS8.1までは)、起動できません。
従って、日本語OSのコピーには成功した場合でも、起動ディスクとしては、英語OSを使うしかありません。

5.日本語OSを無理やりインストールする方法(MacOS8.1以前)
インストーラだけが問題の場合、インストーラーを使わなければ、日本語OSをそのマシンで動かすことは可能です。
既に日本語OSがインストールされたMacとイーサネット接続するか、他のマシンでZipや外付けHDに日本語OSをインストールし、そのシステムフォルダをまるごと米国製MacのHDにコピーすれば良いのです。
ただし、そのマシン専用のファイルが必要な場合は、もとのシステムフォルダからそれらをコピーしてください。

6.MacOS8.5であれば問題なくすべての機種にインストールでき起動も可能
4番の話は、MacOS8.1までの話でした。
MacOS8.5の場合は、どの機種でも対応できるようになっています。
日本語版MacOS8.5のCD-ROMを見ると、そのシステムフォルダには「System Resorces」や「Mac OS ROM」が含まれており、iMac対応となっていることが分かります。米国製のiMacでも日本語MacOS8.5 CD-ROM から直接起動できますし、インストールも出来るようになりました。
これはもう一つは、MacOS8.5が真のユニバーサルなOSになり、システム内部に2バイトの言語処理機能が埋め込まれ、表示を除いては基本部分は世界共通になったことに起因していると考えられます。

7.結論

[読者レポート]

以下のような報告をいただきました。報告をいただいた皆さんに感謝します。

■LC630+OS7.6J (OK)
友達が米国製のLC630を持っていて、日本語が使いたいのというので、「日本語MacOS7.6」をインストールしてあげましたが、何も問題はありませんでした。
(@San Diego, CA)/td>

■PowerBook 1400CS+OS8.1J (OK)
■Performa 550+OS8.1J (OK)
アメリカから帰国する際、PowerBook 1400CSとPerforma550を日本に持ち帰りました。OSは英語版の7.2か7.0+JLKがインストールされていました。
帰国後「日本語OS7.6」CD-ROMを購入しインストールしてみました。Performaの方は問題なくインストールできました。Powerbookの方は、一部の日本語フォントがインストール出来なかったとの警告が出てきましたが、特に実用上問題なく使用できました。
その後Powerbookに関しては、「日本語OS8.1」CD-ROMを購入しインストールしました。今度はフォントの問題も出てこず、これで完全に日本のコンピューターとして認知されたような気がしました。そして、先週OS8.5をインストールしました。現在プリンターとモデムに問題はあるものの、OSのインストール自体はうまくいきました。
私のアドバイスとしては、一端OS7.6をインストールして、そこからアップデートするとうまくいくのかと思います。
(堀川さん@鎌倉)

■Performa5200CD+OS8.0J (OK)
■Performa6400/240+OS8.0J (OK)
どちらも、「日本語MacOS8.0」CD-ROMからの起動もOK、インストール作業も拒否されませんでした。いずれもハードディスクは標準フォーマットです。但し、5200CD の方はインストール時のハードディスクスキャンの折「ハードディスクに問題がある」との表示がでました。
ちなみにこの5200については英語版 OS8.5+JLKで順調に動いていたのですが、 Apple 推奨のアップデータをかけたところ英語版OS8.5のCD-ROMからは起動できなくなってしまいました。ところが「日本語MacOS8.0」CD-ROMからならば起動するという奇妙な現象が起きています。
(Takaseさん@Rochester, NY)

■Performa6400/180+KT7.5.3 (NG)
米国で購入したPerformaに漢字Talk7.5.3をインストールしようとしたのですが、漢字TalkのCD−ROMで起動しようとしても受け付けてもらえません。この機種に合った起動ディスクを使えというメッセージが出て先に進めません。
(長瀬さん@日本)

■Performa6400/200+OS7.6J (OK)
米国で購入したPerforma6400/200でOS7.5.3-Eでは問題なくすべての機能が使えていました。この度、日本語OS7.6を入手しにインストールしました。インストールは問題なく完了したのですが、インターネットへの接続ができなくなってしまいました。
(インターネットの件はOS7.6から採用されたOT/PPPの存在をよく知らなかったためで、OS自身の問題ではなかった。)
(三上さん@Michigan)

■Performa6360+KT7.5.3 (NG)
米国で購入したPerforma6360 に漢字Talk7.5.3をインストールしようとしたのですが、できませんでした。現在は仕方なく、英語System7.5.3にJLKを載せて使用しています。
(伊藤さん@米国)

■Performa6360+KT7.5.3 (NG)
アメリカでPerforma6360を購入したのですが、漢字talk7.5.3がインストールできません。
(荻野さん@日本)

■Classic II + KT7.1.1 (OK)
現在アメリカに住んでいて、PowerMacとClassic IIを使っています。
PowerMacの方は英語System7.5+JLK、Classic IIの方には漢字Talk7.1.1を載せています。
(中村さん@米国)

■PowerMac 6100/66+KT7.1(OK)
95年に米国で購入したPowerMac 6100/66に漢字Talk7.1.0を載せて使っています。
(新井さん@米国)

■PowerMac 6500/200(日本未発売)+OS8.1J (OK)
私は1年程前に6500/250を購入し、友人の持っていた「漢字Talk7.5.5」CD-ROMからインストールしようとしましたが、拒否されどうしてもインストールする事は出来ませんでした。
いろいろと調べましたが、システムイネーブラがないためだということに気がつきました。
そこで、「日本語MacOS8.0」CD-ROMを購入しインストールしたところ、すんなりインストールされました。「日本語MacOS8.1アップデータ」も問題なくインストールされました。現在何の障害もなく使用できております。
(Adachiさん@Las Vegas, Nevada)

■PowerMac 7300/200+OS8.1J (OK)
アメリカ製のMacintoshに日本語版OSをインストールして使っております。
「日本語版Mac OS8.0」CD-ROMで起動できますので、これで起動し、付属の「ドライブ
設定」でハードディスクを初期化とドライバの更新をした後、新規インストールしました。その後、8.1アップデータをインストールしましたが、日本語版OS 8.0、OS 8.1 ともに全く問題なく使えています。
(Kuroharaさん@Rockville, Maryland )
■PowerMac 7200/75(日本未発売)+OS7.6.1J (OK)
アメリカで買ったわたしのPM7200/75は、当初OS7.5.5+JKLで動作させていましたが、このほど「日本語OS7.6」CD-ROMを入手したので、インストールしたところ、そのままインストール出来ました。さらに現在は7.6.1-Jにバージョンアップして使っています。動作は全く問題ありません。
(Haradaさん@日本)

■PowerBook 190c+KT7.5.0 (NG)
米国に住んでいて、最近パワーブックの190Cを購入しました。今まで日本で使用していた漢字トーク7.5.1をインストールしましたが、起動しません。

■PowerBook 1400c/166+OS7.6.1J (NG)
■PowerBook 1400c/166+OS8.5J (OK)
NYの大学に留学していて、米国で始めてMacユーザーになりました。
買った時のPowerbook 1400c/166のOSは7.6.1(E)でしたが、その後OS8.1(E)にアップデートし、JLKをのせ使っていました。今回日本から「日本語MacOS8.5」CD-ROMを送ってもらい、インストールしたところ、問題なくインストールできました。手順は、「日本語MacOS8.5」CD-ROMから起動し、内蔵HDを初期化した後、システムを新規インストールしました。
(Djangoさん@New York)

■PowerBook 3400c+OS8.1J (OK)
昨年末アメリカ(ミネソタ州)でPB3400cを買い,「日本語MacOS8.0」CD-ROMからインストールしました。現在はOS8.1-Jにアップデートしたものを使っていますが全く問題ありません.
(Sasakiさん@札幌)

■PowerBook G3/233+OS8.1J (OK)
日本語OS8についてはCD-ROMからは起動も、インストールもできませんでした。
日本より持参の PowerBook 5300cにインストールした日本語OS 8.1を一旦Zipにコピーし、さらにPowerBook G3/233のハードディスクにコピーしました。システムフォルダごとコピーするとうまくいかなかったので、何回か中身を分けてコピーしたらうまくいきました。
さらに、既存の英語システム内の「Power Book G3 series Enabler」を日本語システムフォルダにコピーすると、日本語MacOS8.1が使えるようになりました。
しかし、MS Word98でメニューを開くとフリーズする現象が出ますので、使いものになりません。ちなみに、英語版OS 8.1ではきちんと動作します。
(Takaseさん@Rochester, NY)

■PowerBook G3/233+OS8.5J (OK)
「日本語OS 8.5」CD-ROMからの起動、インストールともできました。
ただし巷で言われているがごとく、日本語版・英語版いずれにてもファイルがデスクトップから見えなくなる現象が起こりますので現在も OS 8.1 を使用中です。
また、遊び半分で英語版 OS 8.5 に ATOK 11 をインストールしてみたところ不安定ながらも日本語入力も可能となりました。
(Takaseさん@Rochester, NY)
■iMac+OS8.1J (最終的にOK)
米国製iMacの場合、英語OS8.1でも、英語OS8.1+JLK1.2の状態でも、ショップで購入した「日本語MacOS8.0」CD-ROMから起動することはできませんでした。CD-ROMはマウントできますが、ここでインストーラを起動しても途中で拒否されてしまいます。
そこで、日本から持ってきたPowerBook1400(日本語MacOS8.1インストール済み)とiMacをイーサネットで接続し、システムフォルダを丸ごとコピーしました。
さらに、iMac専用の書類である、「System Enabler 462」と「Mac OS ROM」をiMacの英語システムフォルダからコピーしました。これでiMacで日本語OS8.1が動くようになりました。
(Higanoさん@Rochester, NY)
■iMac+OJ8.5J (OK)
「日本語Mac OS 8.5」CD-ROM を入手し、米国製iMacにインストールを試みました。まず、CD-ROMから、すんなり立ち上がり、インストーラも順調に起動し、インストールできました。
始めは、新規インストールの選択が分からなかったので、すでにインストールしていた日本語MacOS8.1(PB1400からコピーしたもの)に上書きの形でインストールしました。しかし、再起動したところ、システム?となり、立ち上がりませんでした。そこで、このシステムフォルダを丸ごと捨てて、再度、インストーラにてインストールしたところ、順調に動くようになりました。とにかく、日本語OS 8.5 はUS製のもの(今の所iMacしか試みていませんが)にも、普通にインストーラにてインストールできるようです。
(Higanoさん@Rochester, NY)


(C)1998 Harry Ono
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