電子メールについているヘッダの意味


Eudora-Jでメールを受け取ると、本文の前にいろんな情報がついていますね。自分には直接関係ないと思うのですが、一体どんな情報なのか気になります。読み方を教えてください。

作成:1997年4月10日


これは電子メールのヘッダと言われるものだ。(★図1)
インターネットの電子メールは非常に巧妙にできていて、世界中の異なる言語や異なるシステムからもなるべく正確に情報を伝えるための工夫がなされている。このヘッダにはその仕組みが記されている。一般のユーザーにとってはこのヘッダはそれほど意味を持たないが、一旦その内容を理解すれば、今後メールを受け取ったときの興味は大きくなること間違いなしだ。

ヘッダの情報はインターネットの一種の規則であるRFCで標準化されている。非常に種類が多いが、実際に表示される種類は、メーラー(電子メールソフト)の種類や、メールサーバーの設定によって異なる。ここではEudora-Jで見られる一般的なヘッダについて解説しよう。表示されるヘッダの種類、ヘッダの並び順、大文字小文字の使い分けは、サーバーによっても千差万別であることを覚えておきたい。

[Eudora-Jでの表示例]
Date: Thr, 15 May 1997 22:45:03 +0900
From: "鈴木二郎"
Reply-To: suzuki@in.zix.or.jp
Sender: forum@pt.zix.or.jp
X-Mailer: Mozilla 3.01 [ja] (Macintosh; I; PPC)
To: "H. Ono"
Subject: 同窓会のお知らせ
Cc:abe@yamato.ne.jp
Bcc:"Bob"
X-Attachments: :Machintosh HD:同窓会地図jpeg:
Message-ID: <30666242suzuki@in.zix.or.jp>
Content-Transfer-Encoding: 7bit
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp
Content-Length: 1079


Date:
メールが発信されたときの日時である。これは発信者のパソコンの時刻のため、それが間違っているとそのまま表示されることがある。後ろについている表示はGMTからの時差だ。日本で出した場合は+0900と表示される。同じアメリカから出されたものでも、-0400なら東海岸、-0800なら西海岸から出されたものだ。

From:
一般には発信者の名前とメールアドレス。Eudoraの設定の「本当の氏名」に記入されたものが" "内に記される。必ずしも「本当の」氏名でない場合もあるので注意。

Reply-To:
返信をする場合のメールアドレス。通常のメールではFrom:と同じアドレスだが、メーリングリストの場合は、From:は本当の発言者、Reply-To: は自動配信を行ってもらうためのメーリングリスト事務局のアドレスとなる。いずれの場合も、「返信」メニューを選択したときは、Reply-To: に表示されたアドレスが自動的にTo:になる。

Sender:
メーリングリストのように記事を書いた人と、それを一括して発信する人が異なる場合、記事を書いた人がFrom:、実際に発信する人がSender:に区別される。Eudoraでは「返信」メニューを選ぶと自動的に返信メールが作成されるが、返信先としては、Reply-To:→Sender:→From:の順序でそこに記載されたアドレスが選択される。

X-Mailer:
発信者が使用したメーラーの種類と使用マシンが表示される。MozillaはNetscapeの愛称でNetscapeのメール機能を使っている意味。次の番号はバージョン。実際に使われているメーラーの商品名とは異なる名称が表示されることが多い。マシンの方は(Macintosh; I; PPC)はPower Mac、 (Win95; I)はWindows95マシン等分かりやすい。
電子メールで添付書類をやりとりするとき、発信側と受信側のメーラーの種類が違うと添付書類のまま送れないときがあるが、この情報により、その問題を発見できることがある。

To:
ここには受信者のメールアドレスが表示される。To:suzuki@in.zix.or.jp、" 鈴木二郎" 、 To:suzuki@in.zix.or.jp(鈴木二郎)などメーラーによりいくつかの表示方法がある。

Subject:
題目。たまに書かない人がいるが必ず書く習慣をつけよう。メーラーによってはこの内容で自動的に分類をできるものもある。海外に送る場合は英語が無難だが、日本国内では日本語で構わない。
「返信」を選択するとSubject:は自動的にSubject: Re:となる。Re:はReferの略で〜の件の意味である。

Cc:
カーボンコピーの意味で、自分以外に同じメールが誰に送られたかが分かる。

Bcc:
ブラインドカーボンコピーの意味で、コピーを送付した人が他の人には分からないようにするもの。従って、通常はこれが受信メールで表示されることはない。

X-Attachments:
添付書類がある場合は、ここにその書類名と相手のパソコンのファイル格納先が表示される。

Message-ID:
それぞれのメールは固有のID番号がつけられる。これは世界で唯一のものである。一般のユーザーにとっては何の意味も持たないが、何か問題があった場合、そのメールが伝達されたルートを探すのに威力を発揮する。

Content-Type:
インターネットの電子メールでは通常のテキスト(文字情報)以外にさまざまな形式の情報を送ることができる。この機能をMIME(Mulit-purpose Internet Mail Extension)という。MIME機能によりどのような形式の情報も一旦は電子メールで送れる形式に変換され、さらに受信時にはメーラーによってデコードされる。そのために、もとの情報がどんな形式であったかが重要である。この形式を電子メールではコンテントタイプと呼ぶ。
コンテントタイプには単一形式のもの合成形式のものがある。さらにそれぞれの形式はサブタイプにより属性がしるされることがある。単一形式はテキストだったらテキストだけで作られたデータであり、合成形式のものはテキストとイメージを同時に送る場合のデータを意味している。

単一形式
"text" 
テキスト情報。サブタイプとして"plain"、"enciched"等があり、書式を含まない通常のメールは"text/plain"、書式を含んだデータは"text/enriched"のように表示される。
"image"
画像データで表示するには専用のグラフィックソフトが必要になる。サブタイプとして"gif"と"jpeg"が指定されている。
"audio"
音声データで、これも表示するにはスピーカー等のハードが必要になる。サブタイプは"basic"。」
"video"
動画データ。これも専用のソフトとハードが必要。基本サブタイプは"mpeg"。
"application"
特定のアプリケーションプログラムで作成されたデータ。エクセルのデータや、画像データでもフォトショップ形式のものはこれにあたる。一般にはバイナリデータであり"octet-stream"というサブタイプ名がつく。他には"PostScript"がある。

合成形式
"message"
本文の中に更に別なメッセージが入れ子になっているような形式のもの。あまり一般的ではない。サブタイプとしては"rfc822"、"partial"、"external-body"がある。
"multipart"
テキストと画像ファイルのように異なる種類のデータを一つのメールで送る場合の形式である。本文は普通のテキストとして読める部分と、オクテット文字で読めない部分から構成されるのですぐ分かる。サブタイプとして"mixed"、"alternative"、"parallel"、"digest"がある。

charset=
文字セットの種類。英語以外の文字を送信できるようにインターネットでは使用する文字のセットを設定している。サーバーやメーラーが扱えない文字セットの場合は送信が拒否されたり、文字化けのメールが来ることになる。通常は気にする必要はないが、文字化けのメールが来たらここを見て、相手に文字セットの設定がおかしいことを指摘しよう。

US-ASCII   米国ASCII文字セット (デフォールト)
ISO-2022-1  欧州語文字セット
ISO-2022-JP 日本語文字セット(ISO-2022-JISとも表示される。中味はシフトJIS)
ISO-2022-KR ハングル文字セット
ISO-2022-CH 中国語文字セット(Big5には対応せず)

Content-Transfer-Encoding:
電子メールで送付されるメディア形式の中には8ビット文字やバイナリーデータと言った「自然のままの」フォーマットのものがある。しかし、これらのデータはインターネットのプロトコルによっては送信できないものがある。例えば、電子メールを送信するプロトコルであるSMTPではメールの本文としては7ビットUS-ASCIIデータで、改行コードを含み一行1000字以内しか受け付けない。
従って、7ビット以外のデータは全て7ビットUS-ASCII文字の短い行のフォーマットに変換される(エンコードされる)必要がある。このエンコード方式には下記に示すようにいくつかの方法があり、メーラーは送付するファイルの情報により、最適の方法を選択する。そのその選択されたエンコード方式がContent-Transfer-Encoding: ヘッダに示される。
受け取ったメーラーはこの情報により、もとのデータにデコードするが、メーラーによってはデコード機能を持っていない場合があり、エンコードされたままの情報が本文として届けられることがある。Eudora-JはBase64の機能を持っていないため、他のメーラーでBase64でエンコードされた情報はそのままの状態、いわゆる無意味な記号の羅列のまま受信される。(★図2)

"7bit"
7ビット文字はASCIIの0〜127番までの文字で、通常のアルファベットである。日本語は2バイト文字であるが現実には7ビットのアルファベットと数字の組み合わせである。これらの文字だけで構成されたデータは既に7ビットであるので、実は変換する必要ない。通常の英語や日本語のメールは全て7bitと表示されているはずだ。このヘッダは表示されないことが多いが、その場合は実はContent-Transfer-Encoding: 7bitのことである。
"8bit" 
8ビット文字はASCIIの0〜255番までの文字で、半角カタカナや特殊欧文文字、トレードマークなどの特殊記号を含んだものである。基本的に電子メールでは8ビット文字は扱えないので、半角のカタカナや中国語を本文に入いれても送信出来ない。特殊なサーバーで8ビット文字を認めている場合は、このヘッダに8bitと記されるが、通常は見ることはない。
"binary"
改行記号のない、純粋にアルファベットだけで表示されたデータ。
"quoted-printable
US-ASCII文字セットの中には改行、タブ、スペースのように目に見えない文字が含まれる。それらも含め全て印刷可能なアルファベットと記号のデータにエンコードしたもの。
"base64"
バイナリデータをテキストデータに変換する方式の一つで、64のアルファベットの組み合わせにエンコードする方式によったもの。

(例)
Content-Type: text/plain; charset=ISO-8859-1
Content-transfer-encoding: base64

これはオリジナルのデータはISO-8859-1、すなわち欧州文字セットで書かれたもので、電子メールで送られる場合はBase64でUS-Ascii文字にエンコードされ、さらに受信した時点で欧州文字セットにデコードされたことを示している。

Content-Length:
メールの本文の長さ。1バイト換算の文字数。


電子メールヘッダにはこれ以外にも、メーリングリスト特有のものや、宛先不明で戻ってきたメールの場合には一連の経緯を示すヘッダが追加されているが、今回は省略する。



(c)Harry Ono 1997.4.9
Mac Fan Internet 97年6月号掲載記事

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