Mac Clinic Tips:
FreePPP2.5のトラブルを解消する!
How to Solve FreePPP2.5 Troubles

作成:1997年3月9日


家庭でインターネットを楽しまれている方の大半は電話線経由でプロバイダーに接続しているものと思います。このダイアルアップ接続にはPPP接続ソフトが必要です。従来から親しまれてきたMacPPPに変わり最近ではFreePPPを使う方が増えてきています。
FreePPPは大変よくできたソフトですが、一方でいろいろなトラブルに遭遇します。これから
今回は、Mac Clinicに寄せられた症例を題材に、起きやすいトラブルとその対応方法についてまとめてみました。(一部カルテをお送りいただいた方は有難うございました)

■FreePPPのトラブルはなぜ起きる?
半年以上前にインターネットを始められた方々はMacPPPを使われていた方が大半でしょう。MacPPPはMac用のPPPソフトの元祖ともいうべきもので、Merit Network社とミシガン大学の有志によって開発されました。オリジナルのMacPPPはいくつかのバージョンがでましたが、1993年のバージョン2.0.1が最終で、その後はこのソースコードを流用して何人もの人が改良を加えてきました。その後MacPPP2.1.2SDというバージョンから二つに分かれ、一つはAppleがインターネットスターターキットに入れるために買い取り、もう一つはMacPPPを改良するために集まったFreePPPグループによってFreePPP1.0になりました。当初は、この二つのPPPは同じコントロールパネル("ConfigPPP")を使用し、区別がつきにくく、MacPPPの方が安定していました。MacPPPの方はOpen Transport1.1に対応するためにバージョンが2.5になりました。この時点でFreePPPはバージョン1.1だったのですが、Appleの要請によりバージョン2.5に変更されました。この時点では、FreePPPの機能は飛躍的に強化され、またコントロールパネルも"FreePPP Setup"という名称で、見かけも全く異なるソフトになりました。

FreePPPは機能的にもユーザーインターフェースの面でも非常に優れたPPP接続ソフトです。PPP接続ソフトはまずプロバイダーへの電話接続を行い、次にTCP/IPでのデータ転送をコントロールします。ユーザーインターフェースの面では特に電話接続やモデムのコントロールの機能が重視されますが、MacPPPと比べてみると、非常に凝った作りになっていることが分かります。ところがこれが多くの場合トラブルの原因となっています。

1)インストーラーが必ずしも全ての機種/システム環境をカバーしていない
2)英語システムを前提に作られた、北米での使用を前提に作られたため
3)機能が豊富なため

■トラブルの実例と対処方法
では現実に起きているトラブルの実例とその原因、ならびに対処方法を説明しましょう。ここではすべて漢字トーク7.5以降の環境で、FreePPP2.5v2を使うことを前提にお話しします。

トラブル1:FreePPPがインストールできない
[症状]
今回ISDNにきりかえたのですが、従来使っていたMACTCP2.01では、デジタル接続できないとのことなのでFreePPPを入手し、インストールしようとしましたが「error3-in application」とメッセージが出てきてインストールできませんでした。
このFreePPPはNIFTYMANAGERに添付されていたものですが、しょうがないので雑誌を買い求めてCDからいれてみましたがやはり同じ結果でした。
OSとのあたりもあるのかと7.5.5にVER.アップしてみましたが同じでした。
[診断]
FreePPPのインストーラーはInernet Setup Monkeyというユニークなものを使っています。これはおさるさんの絵が出てきて可愛いだけではなく、本当はインストール先のシステムにあわせていろいろ複雑な作業をしてくれます。ところが、必ずしも全ての機種に対応していませんし、ましてや日本語のシステムとなると問題が起きる可能性があります。
従って、今迄はMacPPPを使っていたというユーザーはFreePPPをインストールする前に、機能拡張フォルダの中にある"PPP"という名前の機能拡張ファイルを捨ててください。MacPPPとFreePPPはもとが同じなので、どちらも同じシグネチャーを使用しており、これがコンフリクトの原因となるからです。
それでもインストールがうまく行かない場合は、FreePPP2.5そのものを疑いましょう。FreePPP2.5にはいくつかのバージョンがあり初期のものはインストールがうまく行きません。現在では、2.5v.2が最新ということになっていますが、実はこの2.5v2にもインストールのバグを修正したFixed Updateというものが出ており、ところが名称が変更されていないため、非常に混乱を招いています。一般には雑誌の付録のもので大丈夫ですが、どうしてもうまく行かない場合は、InfoーMacのFTPサーバー(ftp://sikex-aim.stanford.edu/等)から最新版をダウンロードしてください。

トラブル2:システム起動時にFreePPP Menuが読み込まれない
[症状]
システムの起動時にバッテンのついたFreePPP Menuのアイコンが出ます(普段はFreePPP Menuのアイコンは出てこないはずです)。メニューバーにもFreePPPは現われません。コントロールバーのFreePPPにもバッテンがついています。試しに、直接FreePPP Setupを開いてみたのですが、「接続」ボタンが半透明になっていて使えません。
[診断]
これはTCPが使えない状態であるということをシステムが警告しています。MacTCPかTCP/IPがコントロールパネルに入っていないか、オープントランスポートを使っている場合、MacTCPは削除しているのに、「ネットワークソフト選択」で「旧ネットワーク」を選択しているとこのようになります。
旧ネットワークを使用する場合はMacTCPが入っていることを、オープントランスポートの場合はTCP/IPが入っていること確認すれば、この現象はなおります。

トラブル3:電話はあっているのにプロバイダーに接続できない
[症状]
プロバイダーに接続しようとしてもつながらない。設定はMacPPPの初期設定をそのまま使い、電話番号も間違っていないのですが。
[診断]
FreePPPの一つの特徴として、Location(接続場所)の設定というのがあります。これはPowerBookを持ち歩いて自宅とオフィイス、ホテルなどから同じプロバイダーに接続する場合、自動的に外線や市外局番などを付加してくれる機能です。
接続場所の初期設定で、外線の設定がオンになっている場合があり、9が自動的に電話番号に付加されてしまいます。この場合はこれを外してください。
この機能はアメリカでの使用を前提に考えられているため、日本で使う場合は接続場所はHomeに固定しておき、接続先の設定で外線番号を入れたものなど複数作るほうが良いでしょう。

トラブル4:PPPでプロバイダーには接続したが、インターネットアプリケーションが使えない
[症状1]
FreePPPでIPSに接続。FreePPPステータスウィンドウでは「connected」と表示され、モデムも接続したランプがついている。しかし、Netscapeを立ち上げると反応がない。Eudoraでも同様。
この設定は正常にインターネットに接続できるPowerBookのものをコピーしたもの。仕方がないので、FreePPPとMacTCPの古いファイルを捨て、これらの最新版とネットワークソフトを再インストールし、IPSの指定の設定を行った。結果は同じでした。
[症状2]
会社のマックなのですが、PM6100、KT7.5.5、OT1.1.2、Freeppp2.5v2の環境で、今迄は快適にインターネット出来ていたのですが、ある日プロバイダーに接続しようとすると、本当はBusyでないのにBusyで接続できなくなってしまいました。何度かやっているうちに電話の接続は出来たのですが、NetscapeでもEurodaでも実際のアクセスは出来ず、結局インターネットには接続できていません。FreePPPの設定は正しいはずです。ちなみに同じ設定でMacPPPで試してみたらつながりました。
[診断]
いくつかの原因が考えられます。
1)TCPの初期設定ファイルの破損
初期設定ファイルは非常に簡単に壊れます。他のアプリケーションの場合も同様ですが、アプリケーションがうまく動かなくなったときは、初期設定ファイルの損傷を考えましょう。
この場合は、初期設定フォルダからPPP PreferencesとMacTCP Preferences(OTの場合はTCP/IP Preferences)を、更にシステムフォルダからMacTCP DNRファイルをごみ箱に捨ててください。再起動し、もう一度TCPとPPPの設定をし直してください。

2)モデムの設定の問題
プロバイダーにまずつながらない場合は、電話番号、トーンとパルスの選択、モデムの初期化設定に原因がある場合が普通ですが、プロバイダーにはつながっているのにインターネットにはつながっていない場合は、ポート速度の設定をチェックしてみましょう。高くし過ぎているとつながりません。

3)FreePPP特有の問題
症例2のように、設定は間違っていないのにつながらない場合は、デスクトップの再構築をしてみましょう。デスクトップが壊れている場合FreePPP MenuはFreePPP Setupを正しく認識できなくなります。これでモデムの設定等がおかしいまま接続されるのです。デスクトップの再構築で簡単に直ります。

トラブル5:FreePPPが勝手にサーバーにアクセスする
[症状1]
Performa5210を使っています。Free ppp2.5v2を雑誌の付録からインストールしました。
接続時は問題はないのですが、Netscapeを終了して別のアプリケーションを使っている時に勝手にpppが接続を始めてしまいます。Stopを押しても、また瞬時に接続しようとします。モデムをoffにしても状況は同じで、他の作業ができません。
[症状2]
Performa5210、漢字トーク7.5.5、MacTCP、FreePPP2.5の環境ですが、Netscapeで接続後、2〜3時間経ってからゲームで遊んでいたり、ワープロで文書を入力していたり、また、何もせずに放置していたりと状況は様々ですが、急にPPPに接続を始めてしまうので困っています。現在はモデムの電源を切って勝手に繋いでしまわないようにしています。
[診断]
FreePPPでインターネット切断後も勝手に接続しようとする症状は、
allow application to open connectionをチェックしているのが原因です。本来はNetscapeやEudoraなどのアプリケーションを立ち上げた時に同時にPPPへの接続を始める便利なものなのですが、Netscapeを終了してFreePPPの接続を切っても、実はまだTCPは接続状態にある場合があります(以前のCongigPPPにはソフトクローズというのがあったのを記憶している方がいるでしょうか)。この設定の場合は、何らかのアプリケーションを操作した時にFreePPPはTCP/IPのパケットが送られたと勘違いして、PPPを起動させます。
したがって、これを回避するには、FreePPP Setupのダイアログで「自動接続」のチェックを外して下さい。まずFreePPP接続をしてから、インターネットのアプリケーションを立ち上げる習慣を付けたほうがよいでしょう。

トラブル6:Macを起動するとFreePPPのダイアルが始まる
[症状]
上記と同じですが、Macを起動させると何もしないのに自動的にFreePPPが起動してダイアリングを始めるというものです。
[診断]
Macの起動時には機能拡張ファイルが読み込まれますが、その時にTCP/IPパケットが送られる仕組みの機能拡張ファイルが入っているとこの現象が起きます。Timbuku Proのようなネットワークソフトのほか、TCPを監視するユーティリティも原因となります。これを回避するには、FreePPP Setupの設定で「アプリケーションで自動接続する」をオフにするか、これらの問題となるソフトを外してください。

トラブル7:ダイアルUPでアイドル時に勝手に回線が切断される
[症状]
Power Macintosh 7600/120(80MB/1.2GB、漢字talk7.5.5)
OpenTransportJ1-1.1とFreePPP2.5の環境で、インターネットに28.8Kbpsでダイアルアップ接続していていますが、一定時間アイドルが続くと、モデムが勝手に回線を切断してしまい、自動着信の待機モードになってしまいます。
[診断]
たまにインターネットに接続したまま他の作業をやっていたとか、そのまま寝てしまったとか言うことがありますね。特にテレホーダイの様なサービスがあると大きなプログラムのダウンロードをしながら朝まで接続しっぱなしにする人が増えました。これは個人にとっては接続費用の無駄を発生させるだけでなく、回線全体を無用に混雑させる原因となります。そのため、クライアント側とプロバイダー側で全くどちらからも信号が送られていない状態(アイドル状態)が一定時間経つと自動的に回線を切断する仕組みがあります。
FreePPP SetupのGeneralのところに"Disconnect if idle for" xxx "seconds(交信がないと自動的に切断する)"というオプションがあるのがそれです。これが15分以下に設定されていると、ちょっとホームページを読んでいたり、電子メールの返事を書いている間に切断されてしまいます。ですから、ここは設定しないか、設定する場合は30分以上にしておいたほうがよいでしょう。
これをオフにしていても頻繁に切れるという場合は、次の回線がよく切れるを試してみてください。

トラブル8:PerformaでISDNしているが速度が遅い
[症状]
Performa6300でISDNでインターネットを始めたのですが、同じTAを接続したWindowsに比べると極端に遅いのです。マシンの問題でしょうか。
[診断]
通常PPPの設定では圧縮されたデータがある場合があるため、ポート速度をモデムの最大速度の2倍に設定します。ISDNで64Kbpsの同期接続をする場合は、115.2Kbpsに設定します。ところがPerformaの場合はDTEが最高が57.6Kbpsですからこれ以上に設定すると、かえってエラーチェックのために時間がかかり、非常に遅くなってしまいます。この場合は、FreePPPの設定を57.6Kvpsに設定してください。

トラブル9:MIDIデータを出力するとFreePPP2.5v2がポートがふさがっているといって起動しなくなる
[症状]
Mac LC630 20MB(KT7.5.5)でEZ Vision2.0J(MIDIノーテーションソフト)を使用した後の再起動後、FreePPP(2.5v2)を起動させると「モデムポートがふさがっている」というダイアログが出て、FreePPPが使えない。現実にはモデムポートにはモデムしかつないでいない。の現象はEZ Visionの起動やMIDIポートの設定のみでは発生せずMIDIデータを出力した後に発生する。
[診断]
EZ VisionがPRAM内のシリアルポートの状態を書き込んでおくエリアを書き換えてしまうことがわかった。PRAMをクリアすれば解消する。他のソフトでも同様の問題が起きる可能性あり。FreePPPの起動時にポートがふさがっている旨のダイアログが出た場合はPRAMのクリアをやってみるべし。

トラブル10:FreePPPをインストールしたら日本語入力でフリーズが発生
[症状1]
PB 520C(36MB/250MB、漢字 TALK 7.5.5)なんですが、FreePPP 2.5v2を使うようになってから、マックライトIIでATOK8のパレット入力メニューにはいるとフリーズするようになりました。
[症状2]
Performa5210を漢字トーク7.5.5+MacTCPで使用していますが、Netscape.2.01-jpでホームページのアンケート記入欄などで入力しようとすると、「ことえりの初期化ができませんでした。」というメッセージが現われ、5、6回OKをクリックするとそのメッセージは消え、入力できることもありましたし、フリーズも頻繁に起ります。日本語入力メソッドはことえりを使っています。
[診断]
FreePPPにはFreePPP Menuというコントロールパネルなのですが、メニューバーから操作できる機能がついています。とても便利なのですが、これが日本語インプットメソッドとコンフリクトを起こしやすいのです。特にことえりとATOK8との相性が悪く、コンフリクトが起きると、このようにNetscapeでの日本語入力で問題が起きたり、オフラインで日本語入力時に鉛筆メニューを操作するとフリーズすると言う現象が起きます。しかし、必ずしも全ての日本語を使っている機種で起こるというわけではありません。原因は完全には分かっていません。
この場合は、せっかく便利なものですが、FreePPP Menuの使用は諦め、アップルメニューにFreePPPのエイリアスを入れて使うか、コントロールストリップ(漢字トーク7.5.3以降のみ)を使いましょう。
一旦エラーが起きるとことえり自身がうまく動かなくなるときがあります。その時は初期設定フォルダにある「個人情報ファイル」をごみ箱にすて、ことえりの設定をやり直してください。


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