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新型iBookがやって来た
家族のためのマシンの購入とセットアップ

初稿:2001年6月11日

今回始めて家族のためにiBookを購入した。購入の経緯から、マシンのセットアップ、新型iBookの感想等をまとめてみた。これから、新型iBookの購入を考えているユーザー、iBookに限らず、新しいモデルに乗り換え用と考えているユーザーがセットアップを行うときの参考になれば幸いだ。

目次:
1.新型iBookを購入する
2.iBookを受け取る
3.iBookのセットアップを行う
4.新型iBookを使ってみて



1.新型iBookを購入する
今まで我が家では私だけがMacを使い、家族は必要な場合だけ、私のMacを使うという方法をとっていた。しかし、娘がインターネットを使いたがるようになったので、PowerBook G3をマルチユーザー設定して、夜1時間だけ貸し出すようにしていた。最近ではPowerBookが私のメインマシンになって、やはり少しの時間とは言え使えない時間があるのは不自由である。娘は私が早く寝てくれるのを待っているようになった。
初めは安いiMacを買ってやろうと考えていたが、これだと完全に娘専用になってしまう。これには女房が反対した。自分だって本当は使いたい。そうなるとどうしてもノートパソコンだ。PowerBookは高すぎる。安いWindowsノートも考えたが、ソフトを考えるとやっぱりMacだ。
そう考えていたところに新型iBook(dual USB)の発表があった。
写真で見る限りでは、デザインにインパクトが無く、Appleらしさが感じられないため興味を引かれなかったが、何しろ、価格が安くなり、コストパーフォマンスが良い。続々と発表される雑誌の情報や、店頭でのサンプルの展示を見ると、思いの外良い。もっと玩具ぽいものを想像していたが、質感もかなり高く、くせが無い。誰が使っても飽きが来ないデザインだ。キーボードの操作感、ディスプレイの表示も申し分なく、家族に買ってやるには最適のマシンではないか。
どうにか、お金の都合もついたので、6月2日に秋葉原に行き、購入をすることにした。

実のところ、私はパソコン関係のハード、ソフトはほとんどをビックカメラ(カメラ系総合ディスカウントショップ)で購入している。通常の商品の場合10〜13%のポイント還元があるからだ。
しかし、残念ながら、ビックカメラではiBookは扱っておらず、扱っていたとしてもApple製品のほとんどはポイントの対象にはならない。つまり本体については、どこで買っても価格は同じだ。
秋葉原ではSofmap、Laox,T-zoneを回ったが、本体、メモリ増設セットとも皆同じ価格。特典販売も特に大差なし。
そこで注目したのが、お店が独自で提供する延長保証サービスだ。
Appleの製品は購入後1年間は無料保証がつく。更に5月26日からはAppleCare Protection Planという3年延長保証制度が売り出された。iBookの場合は、3万円だ。最近のMacは故障しやすく、それも保証が切れたころから多くなる。特に、ノートパソコンの場合は、どうしても扱い方が厳しい環境にあるから、故障の機会は多くなる。絶対に3年保証は必要だ。
しかし、お店で独自に延長保証を行っているところがある。私の知るかぎりでは、T-Zone、Sofmap、それに通販のチャンプだ(本当はまだこれ以外にもあるかもしれないが)。掛け金は販売価格の3%。CD-ROMモデル158,000円の場合ならばわずか4750円だ。これで、T-Zoneは3年保証、Sofmapは5年保証だ。単なる部品の故障以外に、盗難や落下による破損にも対応している。Appleの保証はあくまでも製品保証であって、ユーザーの過失による破損に対しては保証しない。T-Zone,Sofmapともそれぞれ補償金額の制限はあるが、基本的には故障レベルであれば十分に対応してもらえる内容だ。
この延長保証システムの充実度や、店員の対応のよさから、Sofmapを選択した。

少しでも出費を抑えるため、モデルは最もベーシックなCD-ROMモデルとし、メモリの増設も依頼しなかった。128MBのメモリ増設はプラス6000円だが、増設技術料で3000円もとられるのだ。
家族が使う場合はそれほどヘビーな作業はしないので、メモリの増設は128MBで十分だ。しかし、このiBookは主に2階のリビングと3階の子供の部屋で使われるのでAirMacカード必須である(我が家ではAirMacベースステーションは1階に設置されている)。この二つは、Sofmapの帰りに、別の店で購入した。


2.新型iBookが届く
納期は1週間位と言われていたので、届いたらすぐに仕えるよう、できる限りの情報を集めておく。5月後半に出た、Mac People, Mac Fan, Mac Powerには既にかなりの紹介記事が載っており参考になる。最新の情報はインターネットで採取するのがよく、MacWire、アップルルームの情報を読んでおく。情報はどんなに多くても多すぎることはない。どれだけ事前集めておくかで、購入後のトラブルが軽減できる。

6月5日、帰宅してみると、何ともうiBookが届けられていた。注文してわずか4日目だったのでちょっと驚いた。iBookに関しては結構在庫があるらしい。最も生産量が多いCD-ROMモデルであったためかもしれない。

中身を見ると、MacOSXがプリインストールされていた。当初は、コンボドライブモデルのみと言われていたが、いつの時点からか、全てのモデルにMacOSXをインストールすることにしたらしい。

また、これには10枚のCD-ROMが添付されていた。これもOSXが加わった分、発売当初の4枚よりも増えている。
・Software Install(MacOS9.1のシステム)
・iBook Software Restore (4枚)
・MacOSX(10.0.3にバージョンアップ済み)
・iMovie2(MacOS9.1用とOSX用の2枚)
・Apple Hardware Test
・iBook Applications (ゲーム3点)

また、発売当初のiBookでは問題があった、iTuneで音割れが生じる問題についてもApple Audio Extension」のバージョンがJ1-1.3.6にアップデートされており、5月30日に配付が開始された「iBook Audio Update」は必要なくなっている。

また、iTuneにはサンプルのMP3ファイルが120曲ほど収められており、出荷当初のiBookでは、これらの曲はハードディスクにだけあり、CD-ROMには含まれていなかった。従って、HDを初期化してしまうと、全て消えてしまっていた。しかし、今回配付された「iBook Software Restore」にはきちんと、これらのサンプルも含まれており、心配はいらない。

iBookもアメリカで発表されてちょうど1か月経つわけだが、この間にユーザーから指摘された不具合点が全てプリインストールされていることになる。
Appleの迅速な対応には驚いてしまうが、一方で1週間早く手に入れたユーザーは随分不自由を感じたに違いない。一日も早く最新モデルのユーザーになるか、ちょっと待って買うほうが賢いか、難しいところだ。



3.新型iBookのセットアップを行う

1)メモリの増設とAirMacカードの装着作業
最近のMacはメモリの増設と、AirMacの設置についてはユーザーが行うことを前提にデザインされているので、それほど技術が必要ではない。
しかし、買っていきなり、こわしたのでは話にならないし、これらの作業に起因する故障は保証の対象にならない(自分でこれらの作業を行っても保証が無効になるわけではない)ので、それなりの覚悟は必要だ。まだ発売されて間が無いので、雑誌記事でも分解の手順等が説明されておらず、こんな場合は、MacWireなどのインターネットの記事が役に立つ。事前に情報が集めれるだけ集めておいたほうがよい。
メモリの増設とAirMacカードの装着については、iBookのマニュアルにも記載があるし、キーボードの裏側にも図解説明がある。しかし、MacWireの記事のようなもので、イメージシミュレーションを行っておくと間違いが無い。
気を付けなければならないのは、作業をする前にバッテリを抜くことだろう。ねじがあるが、コインで簡単に外せる。キーボードの脱着もPowerBok G3と全く同じ。
メモリを蔽っている金属カバーを外すが、このビスが非常に小さく、精密機械用のプラスドライバが必要だ。メモリの装着はPowerBookなどで経験があれば全く同じだが、慎重にやる必要がある。
次はAirMacカードの装着。これも図解の通りにすればよいのだが、カードを押さえる針金をきちんと取り付けるのが若干難しい。
このレベルの作業ではユーザーが直接、基盤やICに触れることが無い構造になっているため、従来から言われている静電気についてはそれほど神経質になることはない。そうはいっても、事故はどうしてもおきるので、ある程度の緊張感をもって作業したほうがよいだろう。
全部で、3分ほどの作業だった。

2)ハードディスクを2パーティションに分ける
私がメインマシンとして使用する場合は、20〜30GBのハードディスクに交換するだろうが、家族が使う場合は、10GBあれば十分なので交換はしない。
但し、メンテナンスのためと、将来、MacOSXも使うことを考えて(iBookにはMacOSXのCDも同梱されているが、当面家族に使わせる気はない)パーティションを切っておくことにする。

iBookには8枚のCD-ROMが同梱されており、まずこの中の、「iBook Software」(変な名前だが要はMacOS9.1のシステムディスク)をCD-ROMドライブに入れ、Cキーを押しながら起動。
CD-ROM上の「ユーティリティ」フォルダにある「ドライブ設定」を起動。「カスタマイズ」ボタンを選ぶとパーティションオプションの画面になる。2パーティションを選び、どちらもMacOS拡張フォーマットを選ぶ。有効容量が9.5GBなので、メインを7.2GB、サブを2.3GBに分ける。
初期化ボタンを押すと、数秒で作業は完了する。

3)ソフトのインストール
初期化により、出荷時にインストールされていたソフトは全て消えてしまったので、再インストールが必要だ。最近はリストアディスクという、工場出荷時と全く同じ状態にするCD-ROMが同梱されているので、こういう場合はとても便利だ。そうでなければ、2)の作業を行う前に、HDの中身を丸ごと外付けHDにコピーしておく必要があったろう。
2)の最後で、コマンド+コントロール+パワーキーを押すと、再起動になるが、すぐにF12キーを押してSoftware CD-ROMを排出させる。そうすると、HDにはシステムが無いので、「?」マークがでるだけで起動できない。
ここで「iBook Restore」という4枚組のCD-ROMの1番を入れるとインストーラーが仕えるようになる。インストーラーを起動し、メインボリュームを保存さきとして選ぶ。
リストアの場合は、対象のボリュームをまず初期化するので、注意が必要だ。今回は何も無い状態なので問題ない。1枚目が終了すると自動的にCD-ROMが排出され、2枚目を要求してくる。これを4枚目まで繰り返せば終了だ。

このリストアディスクは完全に出荷状態にするもので、今回のケースで言うと、MacOS9.1、MacOSX、標準アプリケーション(Internet Explorer、Netscape
Communicator、Outlook Express、Postpet,、AppleWorks、iTune、iMovies等)とゲーム(Bugdom、Cro-MagRally、Nanosaur)、iTuneのおまけファイルが全てインストールされる。
添付のCDのうちインストールされないのは、Hardware Testだけだ。それから、MacOSXを単体で購入したときに付いてくる「MacOS X Developer's CD」は付属していない。


4)ネットワーク環境を整える
AirMacカードにはドライバ用のCD-ROMが添付されているが、これは必要ない。OS9.1では標準で必AirMac関係のファイルもインストールされる。
後は、TCP/IPの設定で接続先に「AirMac」を選べばよいだけだ。
しかし、ここでトラブルが発生した。
私は通常は「なんとか簡単設定」という設定アシスタントは使用しないのだが、Ineternet Explorerを起動すると、この「インターネット簡単設定」が出てきたので、言われるがままに入力していった。ところが、入力を終了しても、接続が出来ない。
結局、原因は、「インターネットへの接続方法は」の質問に対し、「AirMac」を選んでいたためだった。ここは、「ADSLモデム」を選択すべきだった。iBookからの接続法ではなく、インターネットへの接続法を聞いているらしい。「AirMac」とはAirMacベースステーションからアナログ電話回線に接続することを言うらしい。とても紛らわしい。
TCP/IPで接続先に「AirMac」を選んでいたのだが、インターネット簡単設定で「AirMac」を選ぶと、「Ethernet」に切り換えられていたらしい。

5)マルチユーザー環境を作る
このiBookは主に女房と娘が共用で使うことになるので、マルチユーザー環境を作ることにする。
二人ともMacの操作には慣れていないので、しばらくは私が管理をする必要があり、所有者は自分にする。
コントロールパネル「マルチユーザー」を起動し、3人分の環境を作る。

6)必要なソフトやファイルのコピー
新しいマシンを購入したときにやる作業で一番面倒なのが、この作業だ。追加で使う場合はよいが、マシンの乗り換えや、バックアップで使う場合は、今までの使用環境を継続したい。特に、ブラウザのブックマークやメールのメッセージ、日本語入力メソッドの辞書、いろいろなアプリケーションの初期設定、デスクトップのカスタマイズ、標準でないアプリケーションのコピーなどだ。

今回のiBookは私はメインでは使わないつもりなので、最低限必要な−ドライバ関係、ATOKとその辞書、コントロールバーでアプリケーションを使うためのHandy Man、などをPowerBookからコピーする。
また、娘は今まではPowerBookをマルチユーザーで使用しており、メールとブラウザーのデータは移設してあげる必要がある。このファイルはPowerBookのHDにある「利用者」というフォルダ内に収められている。娘の名前のフォルダ内の「書類」フォルダに「Microsoft ユーザー データ」があり、Outlook Expressのデータはここに、Inetenet Exporlerのデータは「初期設定」フォルダの「Explorer」フォルダに保存されている。
iBookのHDにも同様に「利用者」というフォルダが出来ている。ここに、PowerBookのファイルをコピーすればよいのだが、使用環境が異なるので、最低限は「初期設定」フォルダと「書類」フォルダをコピーすればよいだろう。

AirMacベースステーションを経由して、PowerBookとiBookでAirMacでファイルのコピーをする場合は、非常に遅い。実用的ではないと考えられるほどの速度だ。これは今までにも指摘されているが、AppleTalkのプロトコルの性格によるもので、TCP/IPによるファイル共有にすると少し早くなる。また、ベースステーションを通さずにピア・ツー・ピアで無線LANとすれば大夫改善されるようだが、一時的な作業なので、今回はPowerBook側を直接Ethernetケーブルで接続し、転送速度を速めた。

マルチユーザーは今まではあまりきちんと使ったことはなかったのだが、iBookのように、家族で共有する機会があるマシンでは、こんな便利なものがあるとは気がつかなかった。
ユーザー毎で、システムの使用環境も変えれるし、数台のMacを家族に配ったのと同じ効果がある。メールやブラウザ、自分で作成したも完全にプライバシーが守られる。
これに、更に、作業環境マネージャを組み合わせると、モバイルパソコンのメリットをフルに活かせそうだ。



4.新型iBookを使ってみて
数日間、使ってみて、すっかり気に入ってしまった。
前のモデルのiBookはやはり「お子様用」という印象がぬぐえず、年配者でしかもパワーユーザーが使うにはちょっと気恥ずかしさがあった。
新しいiBookははデザイン、筐体の材質がとても高級に見える。写真で見るだけだとあまり目立たないが、実物は色が本当に白く、かなり目立つ。会社に持っていくには目立ちすぎると感じるほどだ。女性が持つとおしゃれに見えるだろう。
単に外観だけでなく、今度のiBookでは液晶ディスプレイの表示の品質が向上し、使っていても、全く子供っぽさを感じなくなった。
キーボードの性能、拡張性とも、メインマシンとしても十分な機能だ。PowerBook G3から乗り換えたくなってしまった。このマシンは家族に使わせるために購入したものだが、しばらくは、私も使わせてもらうことにした。

いくつか気がついた点を記す。
・USBポートが左側にしかないので、マウスが使いにくい。この白いボディにぴったり合った白いマスを探しているが適当なものはまだ見つからない。
・AC電源の本体側コネクタが緩く、すぐに抜けてしまう。CDと例にどうしてもケーブルがかかるため、CDトレイが開いたときにケーブルが簡単に抜けてしまう。出来れば電源は左に、USBが右であればよかった。ヨーヨー型のACコンバータはやはり大きいし、もっとスマートなものが欲しい。
・スピーカーはステレオになり、音も意外と良い。
.キーボードはPowerBook G3のものよりもクリック感があり素晴らしい。。但し、ベースのパネルが非常に薄く、ぺこぺこと動く。特に、数字キー部分の節度感が無い。
・ディスプレイ表示:非常にきれい。92dpiの表示は緻密に見れて今までのMacの表示の中では抜群に奇麗に見える。文字が小さいことは全く気にならない。液晶の輝度も非常に明るい。
・温度:これは確かに問題。5時間ほどつけていたが、本体の左パーム部分が非常に熱くなる。HDの場所らしい。1,2時間程度の使用ならば問題ないだろうが、やけどしそうな位だ。ひざに乗せていると、これも相当に熱い。
・HDの音:採用しているドライブによってはうるさいものがあるらしいが、私のは当たりだったのかとても静か。

不具合等については追ってまとめるつもりであるが、いずれにしても、誰にでもお勧めできるマシンである。





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