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Macの内蔵バッテリの役目と交換

作成:1996年11月15日
改訂:1997年6月21日

Macにはバッテリが内蔵されているが、これが消耗すると、時計の設定がおかしくなったり、起動できなくなってしまう。内蔵バッテリの役割と、消耗時の現象、さらに交換の方法についてまとめた。


バッテリの役割

すべてのMacにはかならずバッテリ(乾電池)が搭載されている。内蔵バッテリの役割は2つある。

まずはPRAMの内容の保持だ。PRAMとはパラメータRAMの略で、この中に起動時に必要なシステムの情報(パラメータ)が記憶されている。様々なシステムの初期値はハードディスクに初期設定ファイルの形で記憶されているが、これはあくまでもハードディスクが読み込まれてからのもの。どのハードディスクのシステムを読み込むか、つまり起動ディスクはどれかというような情報はPRAMの中に保持されている。PRAMは物理的には通常のRAMと同じで、電源が入っているときだけ記憶が保持されるタイプのメモリ(揮発性メモリ)である。PRAMの場合は、電源をオフにした状態でも情報が保持されなければならないので、このために内蔵のバッテリが用意される。カメラにはモータドライブやフラッシュのための電池の他に、デート機構のためにボタン電池が内蔵されているのと同じである。PRAMの情報としては、起動ディスクのほかに、内蔵時計の日付&時刻、マウスのスピード、スピーカーの音量、モニタの情報、プリンタポートやモデムポート等のAppleTalk情報が含まれる。
このPRAMの情報は電池が十分であっても何らかの理由で壊れてしまうことがある。その場合はPRAMクリアで一旦情報をリフレッシュしてやればよい。
Macが起動してからはPRAMには主電源から電源が供給されるので、内蔵電池が消耗していても問題はないが、一旦電源をオフにすると、PRAMの情報が保持できなくなる。従って、次に立ち上げたとき、最も顕著なのは時計が1904年の1月1日0時0分にクリアされてしまうことだ。このほか、起動ディスクを見つけることが出来なくなると、外部HDを起動ディスクとしている場合などは起動できなくなる。

そもそも内蔵バッテリはPRAMのために設けられたものだが、最近のMacではもう1つの役割が加えられている。それはMacの電源制御回路への電力供給だ。Macは起動時に電源制御回路の中にあるコンデンサを放電して/Poweron信号という特殊な信号を電源回路に送る。/Poweron信号を受けた電源回路はその電流によって自分白身をオンにし、同時にコンセントからの5ポルトの電源を自分に供給することでオンを維持し続けるようになっている。しばらく前の機種ではコンセントからの微少電流を利用してコンデンサへ電源供給していた。しかし、最近の機種ではこれを内蔵バッテリから供給するようになったため、バッテリが切れるとMacの起動自体ができなくなるという現象がおこるようになったのだ。一般に内蔵バッテリが消耗してくると、起動するのが難しくなってくる。何度も繰り返すと起動するようであれば、内蔵バッテリの消耗を疑うべきだ。
その時、時計の設定が毎回変わるようならば、まさしく内蔵バッテリの消耗だと考えたほうが良い。

内蔵バッテリ消耗時の症状

Appleの説明によると内蔵バッテリの耐用年数は5年と設定しているようだが、これは機種や使用状況によって大幅に異なる。Macの電源がオフの状態で有効な訳だから、会社や自宅でもほとんど一日中つけっぱなしという環境ではもっと長く持つ。私の経験でも古いMacは10年以上交換していない。しかし、使用頻度が非常にまれだったり、電源コードを完全に抜いて放置してあるような場合には、もっと短い期間で消耗しているケースが報告されている。

最近のMacでは起動用電源としても使われているので、耐用年数はもっと短くなる傾向にある。
しかし、一部の機種ではこの消耗が異常に早く、クレームとなっている。
LC475やLC575、LC630などで多く報告されており、ごく最近のPowerMac でも報告されている。
これらの機種で、バッテリが早く消耗する原因については、色々取りざたされているがはっきりしているわけではない。ロジックボードの設計の問題かもしれないし、特殊なメーカー(生産国)のバッテリが使われているためだという噂もある。ロジックボードが原因であるとはっきりしているものに関しては、Appleが無償で修理に応じてくれる。
それ以外の場合は、バッテリを新品に交換すれば問題は解消される。

内蔵バッテリの交換

内蔵電池は3.6〜4.5Vのリチウムまたはアルカリ電池で、ロジックボードにハンダ付け、またはホルダーに止めてある。
電池の消耗はテスターで測定することが出来る。
+-を逆にすると爆発の危険があるので、アップではサービスショップでの交換を勧めているが、作業自体はハードのメンテナンスとしては最も簡単な部類に属する。ここでは一部の機種を例に取り、ユーザーが交換する方法について説明する。

マック用の内蔵バッテリは非常に種類が多い。ボルト、形、装着形態が異なるので、必ずショップでバッテリだけを購入するときは、自分の機種を言ってからにしよう。巻末に機種毎のバッテリの種類を表にした。ここに記された型番はアップル社の部品番号でであり、市販されている各社の電池番号とは異なっているので、それについては各自調べられたい。
バッテリはMacの専門店で入手できるが、ない場合でも取り寄せてくれるはずだ。定価は大きくは場があり、800円から2000円くらいまでだ。

使用済みのバッテリについては少し注意したい。リチウムバッテリは水と化学反応を起こしたり、熱で破裂する可能性があるので、普通ごみとして捨てずに、新品のバッテリが入っていた袋に入れてコンビニなどに置いてある電池専用のごみ箱に捨てるようにしよう。

LC475のバッテリ交換

LC475まずは問題が多く発生しているLC475などMacintoshのLC400シリーズだ。
LC475本体からすべてのケーブルを取り外し、作業しやすい机の上に置きカバーを外す。カバーか外れたらまず電源の金属部分に触っておこう。これほ体に溜まっている静電気を逃がすためだ。この操作は基本なのでかならず行ってほしい。475の場合カバーを外すとすぐにバッテリが見えるはずだ。もし、テスタ一を持っている場合は念のために一度電圧を測っておこう。バッテリの電圧が正常な場合は原因がバッテリではない可能性力が高いからだ。まず、テスターのレンジをDC10ポルトに設定する。テスターのプラス端子をバソテリのプラス極に、マイナス端子をマイナス極に付け、テスターの数値を確認しよう。475のバッテリは定格電圧が3.6ポルトなので電圧が3.0ポルト以下の場合はバッテリを交換したほうがいい。バッテリを交換するためにはまずバッテリホルダーのカバーを外さなければならない。バソテリホルダーの片方に小型のマイナスドライバを差し込み、バッテリカバーの爪を慎重に外す。このとき無理にカを入れて爪を折らないように気をつけてほしい。片方も同様にマイナスドライバを差し込み瓜を外す。あとは古いバッテリを外して新しいバッテリを装着して再びカバーを閉めると作業は終了だ。

LC575のバッテリ交換

LC575次はCo1or Classicの交換マザーボードとして人気の高い575の場合だ。
まず、575からすべてのケーブルを外し、作業しやすい机の上に置く。背面のI/Oドアの2本のネジを外す(ネジがないものもある)。I/Oドアの画側にある爪を押し下げI/Oドアを外す。I/Oドアが外れるとロジックボードが見えるのでボードの両側をつかんで手前に引き抜く。引き抜いたロジックボードを机の上に置き、バッテリのコネクタを抜く。バッテリはマジックテープでマザーボードに固定されているのでこれを慎重に引きはガザ。このときバッテリのコードがどのように巻かれているか確認しておくと新しいバッテリを奇麗に装着することができる。古いバッテリが外れると逆の手順でバッテリを装着し、コードをバッテリに巷き付けてコネクタを装着する。再ぴマザーボードを本体に戻し、I/Oドアを閉めると作業は終了だ。



Mac用内蔵バッテリ一覧

機種電池番号
Plus 742-0003
SE(800K), II (リード線型)742-0009
II (600-0530バッテリーボード型 )Battery Holder Board 742-0011
SE FDHD (リード線型)742-0011
Classic (4または2チップ型)742-0011
SE/30, IIx, IIcx, IIci, IIfx, IIsi742-0011
IIvi, IIvx, Performa 600 742-0011
LC, LC II, LC III, Performa 400シリーズ742-0011
Quadra 605, LC 475, Performa 475, 476742-0011
LC 520, LC 550, Performa 550742-0011または922-0750
LC 575, Performa 575, 577, 578922-0750
Classic II, Color Classic, Performa 200742-0011または922-0750
630, Quadra630, LC630, Performa630922-0750
Quadra 610, 650, 700, 800, 900, 950742-0011
PowerMac/Performa 5200, 5300, 6200, 6300, 5400, 6400シリーズ922-0750
PowerMac 6100/60, 6100/66, 7100/66, 8100/80742-0011
PowerMac 7100/80, 8100/100, 8100/110, 7200シリーズ, 7500シリーズ, 7600シリーズ, 8500シリーズ, 9500シリーズ922-1262

PowerBook

PowerBook 100のシステムバッテリーが5.4V以下を示したときは腐食した状態になっており、使用不能になります。
PowerBook140, 145, 160, 165c, 170, 180のニッケルカドニウム(Ni-Cd)電池並びにPowerBook Duoで使われているメタルハイドライド電池は充電が出来ます。

機種システム電池バックアップ電池
PowerBook 100661-0782 CR-2430 (3個)
PowerBook 140, 145, 170661-0754 661-0724 (ボード装着)
PowerBook 150661-0013なし
PowerBook 160, 180661-0789 661-0750 (ボード装着)
PowerBook 165c661-0013 661-0764 (ボード装着)
PowerBook 190シリーズ, 661-1028 922-1418
PowerBook Duo 210, 230661-1656 630-6546
PowerBook Duo 250, 270c661-1735 630-6546
PowerBook 500シリーズ, 661-0055 922-0786
PowerBook 1400シリーズ922-2420 922-2429
PowerBook Duo 2300 661-0053 630-6546
PowerBook 5300シリーズ,661-1028 922-1418


Source: Apple Information Alley
Mac Fan 1997/7/1

(C) Harry Ono 1996-1997