駒込の旧古河庭園は 戦後古河財閥から国へ所有権が移り、現在東京都が国から無償で借り受け一般公開している。ジョサイア・コンドルの設計で有名な旧古河邸は、二つの切妻屋根から構成されており、石垣の上に聳えるその雄姿は真にピクチュアレスクである。又 外壁が真鶴産の 赤味をおびた小松石（安山岩）の野面石積で深い味わいがある。特に雨にぬれると落ち着いた色調となり更に深みが増す。冬も去り暖かくなり始めた春の一日、三々五々スケッチを楽しむ人々で一杯であった。武蔵野台地の南斜面に育つ薔薇は時期早尚でもあったが新緑がとても美しく見応えがあった。折りしもこの洋館から生の弦楽が流れてきて絵心を沸きたたせてくれる。スケッチ シーズンの開幕である。