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飛騨 白川郷 (鉛筆画・F8号)

予て合掌造りの集落を見たいと思い乍ら、白川郷そして五箇山に行く機会を失していた。時を得て高山方面へのバスツアーがありそれに参加した。なぜこの地域にこの建築様式そして人々の暮らしぶりが残されてきたのか不思議に思っていた。この山域に根付き、雪深い気候風土の中で自然と共生して生きてきた人達の知恵は合掌造りという独自の造形を生み出すと共に、山村の厳しい生活を維持するための道具を造り出し、人々は大切に守ってきている。
そのような生活が幾世代にも受け継がれてきたことにより現在の姿になったと考えられる。もうひとつが「心」。日本の原風景がそのまま残るこの村が最も大切にしてきたのは「結」(ゆい)という制度である。それは白川の人々が懸命に育んできた目には見えない「心のつながり」であり、茅萱きかえの労力提供にとどまらず、生活や生産の全般に亘る近隣の協力体制として大切な役割を果たしてきた。
そのような背景にある白川郷を生の目で見たスケッチが来たことは本望なことである。