実験 4
実験前の学習 |
実験4では、制御目標が、今までの速度制御から位置制御へ変わる。
[作業1(モデリング)] 周波数応答法(周波数応答のボード線図からのモデリング)
ということが分かる。
したがって、このモータを二次遅れ系で近似するとすると、伝達関数は、
K
-------------------- 、 ζ:減衰係数、ω:固有角周波数、
s2/ω2+2ζ×s/ω+1
の形となる。この形の二次遅れ系において、
1) 非常に低周波における振幅比はKと等しい、
2) 固有角周波数において、位相遅れがー90度となること、
3) 固有角周波数における振幅比をcとすると、減衰係数ζ=K/(2×c)
の関係があることに着目して、モデルパラメータ K 、 ω、ζ
を求める。
sin(0.1t) を入力電圧としたときの定常出力は、0.78*sin(t)
、
sin(16t) を入力電圧としたときの定常出力は、0.25*sin(t
- π/2) 、
より、K=0.78, ω =16, ζ=K/(2×c) =0.78/(2×0.25) =1.56
となる。よって、DCモータのモデルとして、
0.78
0.78
------------------------ = ------------------------
s2/162 + 2×1.56×s/16 +1
0.0039×s2+0.195×s +1
を得る。上式は、入力電圧に対する出力角速度の伝達関数であり、出力を角速度の積分の角度とした場合の伝達関数は、1/s
を掛けた
0.78
------------------------
0.0039×s3+0.195×s2 + s
である。
[作業2(制御設計)] PID制御の設計, 制御パラメータ(比例・積分・微分ゲイン)のチューニング
いままでは制御系の設計において、設計仕様というものを考えなかった。実際に制御系を設計するときには、目標とする設計仕様が与えられる場合が多い。その仕様を満たすように設計するのが、システム制御者の仕事となる。ここでは、制御仕様として次の場合を考えよう。
要求仕様 : 与えられたDCモータに対し、目標信号 r(t)
が 1[rad] のステップ信号(時刻が負の時は0、時刻が非負のときは1)の場合、モータの回転角応答は、
整定時間は1[sec]
以下、
行き過ぎ量は0.15
[rad] 以下、
定常偏差はゼロ、
外乱に対して定常偏差はゼロ、(ただし、ここでの外乱はDCモータへの入力として1[V] のステップ状電圧が印加される場合)
であること。
用いる制御は、偏差 e(t) = r(t) - θ(t) のフィードバック制御
u(t) = Kp×e(t) + Ki×∫e(t) dt + Kd×de(t)/dt ,
としてみよう。
[作業3(制御設計)] 周期目標にトラッキング(追従)するサーボ制御の設計
作業2では、目標値が一定の定値制御問題を扱った。作業3では、目標が時間変動する関数であるサーボ制御問題を考える。ここでは、目標関数は、r(t)
= 1+sin(2×π×t) [rad] である場合を扱う。作業1で求めた各制御を適用してみると、下図のように追従は出来ていない。そこで、内部モデル原理を用いて設計する。内部モデル原理によると、上記目標関数に追従する制御として、
U(s)
a×s2+ b×s + c
----- = ------------------、
ただし、 a, b, c は決定すべき制御パラメータ
E(s)
s2+ (2×π)2
が考えられる。ただし、a, b, c は閉ループ系が安定になるように決める必要がる。この場合、DCモータのモデルは作業1で求めた、
0.78
------------------------
0.0039×s3+0.195×s2 + s
であるから、(0.0039×s3+0.195×s2 + s)×[s2+ (2×π)2]+0.78× a×s2+ b×s + c=0
の根の実部がすべて負になるように a, b, c を選べばよい。例えば、a=20,
b=10, c=50 としてみると、
根は、 -51.5, -0.73 ±0.5i, i
-1.04 ± 0.82i, となり、全ての根の実部は負なので、これを採用することにする。このとき、制御は
20×s2+ 10×s + 50
------------------
s2+ (2×π)2
となり、偏差をこの制御則への入力とし、制御則の出力値をモータへの入力電圧信号とすると、制御結果は下図のように追従することが確かめられた。この場合の周波数応答のボード線図も同時に示した。このボード線図より、たしかに、2×π
[rad] 付近で位相遅れはゼロ、ゲインもゼロ[dB] であることが確かめられる。
[作業4(考察)]