買書日記(9月)   掲示板

9月30日(火)

父親革命 読了。続いては「航路」コニー・ウィルスを読むことにする。上下巻で800ページ以上の大作である。どんだけかかるかな?

生ける屍の死 山口雅也 東京創元社
舞台はアメリカ。主人公のグリンは父親の死をきっかけに祖父に当たるバリーコーン霊園にやってきていた。ところが人間の死を看取る場所である霊園で皮肉にも発生する殺人事件。一方世間では頻発する死者の甦りに騒然としていた。バリーコーン霊園の相続問題にからみ、霊園ファミリーは危険信号が・・。やがて連続して発生する事件に隠された真相とは?
死者が甦るという奇想天外な世界設定の中で展開する本格推理小説。各章には文学やらフロイトやらアメリカンポップスの引用があり、ペダンティックな所も見せており、意欲充分かつボリュームたっぷりの長編である。探偵役となる主人公グリンなどは、物語半ば前にして死んでしまうところも(死者が甦ると言う設定ならではではあるけれども)、そのことによる心理的な葛藤なども盛り込んでいて面白い。死者が甦る理由に関しては、推測は別にして書かれておらず、これは本書の書かれた目的をある意味表している。つまり著者は死者が甦ると言う、推理小説としてはある意味その小説世界を破壊するような奇想天外な世界設定を持ち込んだところで本格推理小説が展開しうるのか、という実験をしてみたというところなのではなかろうか。これは本格推理小説をよく知っているからこそできた荒業なのだと思う。かなり肩に力が入っていて、翻訳調の文体と相まって気軽に楽しめるかどうかという点ではあやしいけれども、意欲的な長編で読むに値する快作である。


(今日買った本:0冊 今月買った本102冊 今年買った本:992冊)

9月29日(月)

「恐怖の電話」を見直すと、このころから岸田森の頭が薄いことがわかってしまう。実相寺昭雄はやっぱりいいな。
DVDのファイアーマンは途中で見るのが止まっている。ちょっとあきちゃったんだよね。凄く面白いというものでもないし。岸田森脚本の回はちょっと異色だけどもさ。純粋なウルトラシリーズではない「怪奇大作戦」が出るので、他の作品のDVDも出ないかなあと思う。「緊急指令10−4−10−10」「マイティジャック」「ミラーマン」「スターウルフ」とかね。

(今日買った本:0冊 今月買った本102冊 今年買った本:992冊)

9月28日(日)

puzzle 恩田陸 祥伝者文庫
廃墟で見つかる異様な死体と、その死体が持っていた紙に記された一見無関係に思える文章の意味とは。
本書は400円ぶんこしてされ刊行され長さは中編程度である。その中に上記の謎を提示して解決するまでをおおざっぱなストーリーとして展開しており、正直シノプシスを読まされているようでちっとも面白くなかった。表紙に丸田 祥三氏の「棄景」」の写真を使用していることからも、廃墟に魅せられて書かれた作品であろうかと思われるが、煮詰めが足りない未完成なまま読者に供されたという気がしてならない。最後の方の幻想的な風景もストーリーからは唐突で浮いて見えてしまい戸惑いを感じるばかりだ。なお舞台は「鼎島」(何故か佐藤大輔の「黙示の島」と同じ名前だ)となっているが、ほぼ間違いなく軍艦島(「端島」)であろうところもなんとなく安直な匂いがしてしまうのは中途半端な印象になっているせいかもしれない。あっという間に読めはしますが、著者のファン以外はあまりお勧めできません。

なお余談ですが軍艦島については気合の入ったサイトを発見しましたので、興味のある方はどうぞ。


マスカレード 井上雅彦編 光文社文庫
ダブル・ビジョン 林巧 角川ホラー文庫
怪奇伝奇時代小説選集5,8 春陽文庫
秘神録 水神の巫女 西谷史 学研M文庫
魔術師 井上雅彦編 角川ホラー文庫

「くっすん大黒」 町田康 読了。長山靖生を読むことにする。

(今日買った本:6冊 今月買った本102冊 今年買った本:992冊)

9月27日(土)

生ける屍の死 山口雅也 読了。ドコカの国へようこそ 大海赫 読了。

ブックオフで買い物。
ルーマニアの民話 恒文社
d妖怪の森の狩人 チュツオーラ トレヴィル 勿体無いので買ってしまった。
首切り坂 相原大輔 カッパノベルス
電車に乗って新刊書店へ赴き、近所では売っていない新刊を購入。ポケミスの復刊は置いていなかったため買えず。
SFマガジン11月号 近所では売っていないのというのはどういうことやねん。
川上弘美読本 ユリイカ別冊。この人の本もまだ読んでいないんだけど購入。文藝別冊は買わないかもしれない。
魔法使いになる14の方法 ピーター・ヘイニイング編 創元推理文庫 編集部注でアラン・ガーナーの抜粋が省かれた由。版権の問題かな?収録作家の顔ぶれが渋くて嬉しくなります。ハーヴェイ、ノーラン、ウェルマン、ウィンダムあたりが嬉しいね。既訳があるかどうかは書かれていないのでわからない。また収録作家でマイナーどころは邦訳に触れてもいいかもしれない。この二点は少しく不親切かも。
あなたの人生の物語 テッド・チャン 早川文庫SF 随分久しぶりにSF文庫の新刊を購入。なにやら面白そうだったから。
鱗姫 嶽本のばら 小学館文庫 東氏の解説を読んで購入することにした。
ヴードゥーキャデラック フレッド・ウィラード 文春文庫 新刊ではないけれど、気になっていたので購入することにした。
菊水兵談 横溝正史 出版芸術社
閉じた本 ギルバート・アデア 東京創元社 「作者の死」の著者でしたか。
HELP! 久美沙織 光文社 巻末を見て「ジャーロ」連載作品と知る。新刊で買わずともテキストは持っていたか。うーん、二重投資は複雑な気分。
都市伝説セピア 朱川湊人 双葉社 怪奇短編集で読むのが楽しみ!

(今日買った本:13冊 今月買った本96冊 今年買った本:986冊)

9月26日(金)

ミステリマガジン 11月号 ヒューリック特集。1冊も読んでいないので価値がわからないのであった。三省堂のは復刊してほしいある。

ホラーを書く!東雅夫 ヴィレッジ・センター出版局
ホラー作家へのインタビュー集。相手は朝松 健 , 瀬名 秀明 , 森 真沙子, 井上 雅彦 菊地 秀行, 篠田 節子, 皆川 博子, 飯田 譲治, 小野 不由美 , 小池 真理子の10人。この中で読んだことが無いのは飯田譲治だったが、作品を読んでいるいないにかかわらず(読んでいたほうが良いのはもちろんだが)、各人のホラーへ対する想いとか、ホラー観が伝わってきて面白い。ホラーはあくまでもスーパーナチュラルが基本であると言う東さんの考えはぼくも強く共感する想いだが、概ねみなさんそのような考えのようで嬉しくなる。(森真沙子は若干異なるかもしれないようであったが) 敬愛する皆川博子さんは別として作家として強い印象を受けたのは篠田節子さん。この人はホラー田なんだと言う前にプロの作家としての気概を感じた。また井上雅彦氏のホラーの戦略的な展開に対する考えも、マニア的な考えとは一線を画するが、ジャンルの隆盛を艦型場合は一方では不可欠なものであろう。朝松健氏はあいかわらず熱い。(照れ隠しのためか東さんはたまにやるように思うのだが)編集者を狂言回しに使って内輪受けっぽいくだらないつっこみをするところは少々興ざめだが、本書を読めばホラーを読みたくなること請け合いの好著。


(今日買った本:0冊 今月買った本83冊 今年買った本:973冊)

9月25日(木)

鬼の探偵小説 田中啓文 講談社ノベルス
タイトルどおり鬼を探偵役にした怪奇探偵小説。スーパーナチュラルと本格推理を程よくブレンドして、さらにそこに駄洒落を織り込んだミステリー。「鬼と呼ばれた男」「女神が殺した」「蜘蛛の絨毯」「犬の首」の4編を収録。猟奇・怪奇色が強くぼくは怪奇好きなので基本的には好きなのであるが、「蜘蛛」などは密室物にもなっていてトリックもあり、ミステリーファンにもそこそこ満足行くものとなっていると思うがどんなものであろうか。物語のバランスをやや崩してまで駄洒落にこだわるあたりは、心意気を買おう。ちなみに毎回描かれる最後の場面は「必殺仕置き人」ファンにも楽しめるかもしれない。続編が出ていないようなのが残念であるが、著者には主人公とライバル関係にある陰明師との決着はぜひつけていただきたいものだ。著者の本を読むのは実は初めてだったのだが、実にもうノベルス向きと言う感じで読みやすくて面白い。


(今日買った本:0冊 今月買った本83冊 今年買った本:973冊)

9月24日(水)

Bk1からの荷物を開封。
白の怪 勉誠出版
人間心理の怪 同
水の怪 同
罠の怪 同
魔の怪 同
黒の怪 同
不死身・幽鬼楼 大泉黒石 同 もしかすると手持ちで全部読めるかもしれないと思いつつも保険で購入。
フェンス マグナス・ミルズ DHC ここの出版社って自分ところで育てた翻訳者に仕事を与えるために本を出しているんだろうか。
彼らが夢見た2000年 アンドリュー・ワット 新潮社 長山靖生訳。
生きている脳 P・C・ヤシルド 人文書院 岩波書店からも破滅物の翻訳が出ている著者のSF。
天使は森へ消えた ヨハンナ・シニサロ サンマーク出版 フィンランドのファンタジー。
イースターエッグに降る雪 ジュディ・バドニッツ DHC

(今日買った本:12冊 今月買った本83冊 今年買った本:973冊)

9月23日(火)

読書は「生ける屍の死」を選択。これは読み終えるまで時間がかかるかもしれない。

釈迦が寝言(上) 楠見朋彦 講談社 この人の本にちょっと興味があるんだ。

先日読んだ「ホラーを書く!」の影響で菊地秀行の本が無性に読みたくなるが、著作が多すぎて途方にくれる。この人の本は例の読み方で10数冊読んだはずだが、すっかり内容を忘れても居るので、また最初から再読しようかいう野望を持ってしまう。どうどう。同じレベルで夢枕獏(「魔獣狩り」の途中くらいでストップ中)、および清水義範(「エスパーコネクション」の途中でストップ中)にはまろうかとも思うが、そうすると他の本が読めなくなるしなあと迷い中。でもそうすると半村良はどうするんだという気にもなるし。ああ困るなあ。(迷っているなら読め)

bk1からまた本が届く。今週はいつもに増して忙しいのでリアルタイムで更新できるか不明。

(今日買った本:1冊 今月買った本71冊 今年買った本:961冊)

9月22日(月)

puzzle 恩田陸 読了。面白くなかった・・・。

愛別外猫雑記 笙野頼子 河出書房新社
著者の本を読むのは3冊目で自分では比較的読んでいるほうだ。本書は著者が猫を拾って世話を始め、そのことがきっかけで家を買って引っ越す羽目になる顛末を語った本で小説ともエッセイともつかない。あいかわらず外の世界を著者独特の視点でフィルターをかけているため、事実そのままかどうかはわからないのだが、基本的には自分以外を猫も含めて他者として扱い、その中で理解できない一部の人間に対しては呪詛と怒りと諦観をもって対しているのは「居場所もなかった」等と同様である。そして著者の視点は正しいと思われる事が多々あるのも事実で、それは人間という生き物の身勝手さを浮き彫りにするものであり、自分ももしかするとその中の一人かもしれないな、という気にもさせられる。過去読んだのが「居場所もなかった」「なにもしてない」と本書でもうちょっとこの人の小説らしい小説を読んでみないといけないなと痛感。もっともこれまで読んだような小説がもしかすると著者の本領である可能性はあるのだが。


(今日買った本:0冊 今月買った本70冊 今年買った本:960冊)


9月21日(日)

思えば、当HPも昨日で五年目を迎えたようだ。最近では本も買わなくなり、コンテンツも更新していないため、惰性で続けているようなところもないではない。身辺も四年前に比べれば忙しさも精神的な負担も確実に増加していて日記もバッチ処理になりがちだ。こんな状況で続けていけるのかどうか自信はないのだけれど、もう少し続けてみようと思う。
さて、たまにやるのだけど解説以来、9月20日時点での年別購入冊数の推移はどうだろう。2000年、3853冊、2001年、2214冊、1332冊で今年が939冊。理由はいろいろあるけれどかなり減ったのは確かである(2000年はなんだったんでしょうか?)。でもまだまだ普通の人に比べれば異常に多いのは事実。絶対に読みきれる冊数ではない。でもいまの買い方からすると、これ以上は大きく減ることはないかもしれない。これから何を読んでいくか、悩ましいことではある。

銀河動物園 畑山博 毎日新聞社 幻想系の短編集だが、持っている公算が強い。
しんげき忠臣蔵 福田善之 三一書房
正しい魔法のランプのつかいかた 横田順彌 くもん出版 見覚えが無いタイトルだけど持っているのかなあ。

ホラーを書く! 読了。インタビューされている作家のホラーを無性に読みたくなるなあ。

(今日買った本:3冊 今月買った本70冊 今年買った本:960冊)

9月20日(土)

家人の実家へ久しぶりに行ったので、そのへんのブックオフで買い物をしてみる。
飛蝗の農場 ジェレミー・ドロンフィールド 創元推理文庫
バーレスク風自叙伝 マーク・トゥエイン 旺文社文庫 持っていないと思うので、嬉しいかも。
死が招く ポール・アルテ ポケミス 
宇宙船レッドワーフ号2 グラント・ネイラー 河出書房新社 買わなきゃね、とは思っていたんだが。
ファントム・パーティ 手塚眞 幻冬舎 多分ダブリだと思う。失敗である。
聯愁殺 西澤保彦 原書房
江戸妖かし草子 海野弘 河出書房新社
飾り花 伊井圭 講談社
ボランティア・スピリット 永井するみ 光文社
本格推理12 光文社文庫 残り5,6,8,10,11。
海上タクシー<ガル3号>備忘録 多島斗志之 双葉社
多重人格探偵サイコ・フェイク 大塚英志 角川書店
まほろばの疾風 熊谷達也 集英社 この前文庫になったっけ?
ストーリーを続けよう ジョン・バース みすず書房 新刊で買おうと思っていた本。邦訳はほとんど持っていると思うが、1冊も読んだことが無いというのは秘密だ。
ヨコジュンのハチャハチャ青春記 横田順彌 東京書籍
公爵夫人邸の午後のパーティー 阿部和重 講談社
MIST 池井戸潤 双葉社
デルトラ・クエスト1 エミリー・ロッダ 岩波書店

久々にたくさん買った気がする。BK1からも本が届いているが未開封なのでまた今度。

(今日買った本:18冊 今月買った本67冊 今年買った本:957冊)

9月19日(金)

かなり気分がへこんでいる。来週も憂鬱である。

鬼の探偵小説 田中啓文 講談社ノベルス 読了。

風の翼15
「弾むボールのように」(服部誕) 小学校に後援にきた忍者の末裔を名乗る男にあこがれる少年が主人公の、ノスタルジックな作品。その余韻は幻想小説と言えるものだ。
「年始の客」(西秋生) ネタ的にはありがちな感はあるが、古典的な味わいの怪奇小説で楽しめる。
「センチメンタルフール」(柳生真加) 中年ロックバンドの女性が見る幻。フォークロア的な観点を内包した小説。
「5:46」(妹尾俊之) 阪神淡路大震災を幻想小説として語り直したもの。重い。こればかりは遭遇したものしかわからない。
「ピアノ庫で見る夢」(所与志夫) なんとも表現のしようがない不思議な作品。底部に幻想的な味わいがある。
大熊さんにいただいた同人誌。同人誌とはいっても西さんはSFAに、所さんはSFマガジンに作品が掲載されたこともあり、作品レベルは高く商業誌に掲載されてもなんらおかしくない。個人的には顔ぶれのせいかもっとSF色が強いのかと思いきや、幻想小説が多く意外に感じた。
なお本書の作品は「風の翼」でも読めます。


(今日買った本:0冊 今月買った本49冊 今年買った本:939冊)

9月18日(木)

愛別外猫雑記 笙野頼子 読了。やっぱりエッセイなんだろうなあ。

自由殺人 大石圭 角川ホラー文庫
もともと「文藝」出身のはずだが、最近では呪怨のノベライズのせいもあってかすっかりホラー作家になってしまった感がある著者の長編。
不特定多数の市民の手に何者かから送られるクリスマスプレゼント。それは小さなビル程度であれば木端微塵になってしまうほどの強力な爆弾であった。クリスマスに爆発すると言うその爆弾を何人かは警察に届けでるが、届け出ない人間も相当数いた。主人公の元女子マラソン選手にも爆弾が送られる。彼女は爆弾を警察に届けたが、彼女の元に爆弾の送り主から接触があった。狙いは何か?
後書きによると米国テロの前に書かれていたらしいが、しばらく出版を見合わせていたようだ。無差別爆弾テロがストーリーに関係しているとなれば、たしかに出版社も時期によって神経質になるであろう。そんな経緯から執筆後数年たって出版された本書は、爆弾テロそのものよりも、「突然巨大な力を手にしてしまった人間がどのように行動するかという「隣は何をする人ぞ」的な人間の心の闇を強調した佳作であった。使い古された表現であるが、ホラーにおいて一番怖いのは人間だと言うことを、納得してしまう1冊。ただしサブキャラクターである爆弾を送られた人々に比較すると、主人公の精神力の強さはちょっと極端であり、闇と光のバランスをとったというところかもしれないが、スーパーウーマンじゃないんだからもう少し弱さを見せてもいいんじゃないかとも思う。ちなみに神奈川県の主に湘南地方が舞台なので、なんだか妙に身近な感じがしてしまった。


心象世界の幸せな景色 早見裕司 富士見ミステリー文庫 早見さんの本も買うだけじゃなくて読まなきゃ。

(今日買った本:1冊 今月買った本49冊 今年買った本:939冊)

9月17日(水)

ジャーロ 全く読んでいない上に季刊で思い入れもさほどないため、ちゃんと買っているんだろうかと心配になる。
貫井氏のインタビュー記事があるんだが、SF作家志望だったと聞いて驚く。斎藤肇もそうだったんだが、SF作家志望というのは表面に現れるより意外と多いのかもしれない。現状はミステリー全盛であるが、ミステリー作家でもSFを書きたい人は、可能であればSF小説を書いて「SF」というラベルで出版して欲しいものだ。そうすればジャンルとしての復興が望めるかもしれないから。

(今日買った本:1冊 今月買った本48冊 今年買った本:938冊)

9月16日(火)

K・Nの悲劇 高野和明 講談社
妻が妊娠した。しかし主人公は経済的な事情等から妻に中絶を示唆する。気持ちでは嫌でも無理に納得する妻であったが、次第に様子がおかしくなりはじめる。中絶を拒絶するもう一つの人格が現れたのだ。主人公は精神科医に相談し、妻をなんとか元の姿に返そうと努力をするのだが・・・。憑依は霊的な存在なのか、精神病なのか。自らの常識に反対されながらも奇怪な現象の前に立ち尽くす主人公の下した結論は?
乱歩賞作家の第三長編。ミステリー的なところも無いとはいえないが、基本的にはホラーである。それもスーパーナチュラル系で愛好者としては嬉しくなる。ストーリーテリングも優れており、350ページを飽きさせないでページを捲らせる。ホラーとしては、幽霊の出る場所を尋ねるところを除けば、憑依と精神病の可能性が五分で示されているためか恐怖感がさほどではないし、最後はちょっと甘い気がするけれども、エンターテイメントとしては合格点。


(今日買った本:0冊 今月買った本47冊 今年買った本:937冊)

9月15日(月)

キラー・フィスト 新垣清 祥伝社 昨日買わずに帰って調べたらよしだまさしさんが面白いと書いていたので一応買っておく。

阪神が優勝した。自分は昨年からセリーグに関してはアンチ巨人の他ににわか阪神ファンを標榜しているのだが、もともと応援しているライオンズの無敵の黄金時代、日本シリーズで唯一負けたのが阪神であった。それを思うと日本シリーズでライオンズと戦わせてあげたいと言う気がする。だから今年はパリーグはホークスの可能性が強くても、まだまだあきらめるわけにはいかないのである。
それにしてもみんなが言っていることなのだろうと思うが、星野監督の采配、つまりある人数で構成された組織全体のモチベーションをあげて、ひとつの目標に向かってベクトルをあわせて結果を出すということは、企業の構成単位(たとえば部とか課)においても充分に当てはまるのであろう。だからプロ野に限らず団体競技のプロスポーツ監督が結果を出すと、広岡しかり森しかりオフトしかりどっかで組織論を扱った本が出たりする。もっともそれで結果が出るかどうかはマネージャーの資質があるとは思うんだけどね。星野監督もどっかに頼まれたらそんな本を出すのかな?(と思ったらもう結構出してました)

(今日買った本:0冊 今月買った本47冊 今年買った本:937冊)

9月14日(日)

淡々と購入報告のみ。

フェイク 大信田麗 幻冬舎 帯に大森望氏の推薦がありました。
亜空間要塞の逆襲 半村良 早川書房 持っていないような気がしていましたのでラッキー。
ぼくらの心霊スポット あさのあつこ 学研 この前シリーズで芝田勝茂の新刊が出ていた気がします。

(今日買った本:3冊 今月買った本47冊 今年買った本:937冊)

9月13日(土)

近々地震が来るらしいと言う噂を聞いた。本の下敷きで死ぬのはいやだな。

埼玉くんだりまででかけて昼間久々に身体を動かしたが、足腰の弱まり方に愕然とする。こりゃだめじゃん。夜はとんぼ返りした後上京して飲み会。ゴールデン街の「ハングリーハンフリー」というお店。ここは随分久しぶりにきた感じがするな。ゴールデン街なんかこないもの。「深夜プラス1」もこの辺なのかなあと思ったが、畏れ多いので多分行くことはないでしょう。

「自由殺人」大石圭 を読んでいる。

(今日買った本:18冊 今月買った本44冊 今年買った本:934冊)

9月12日(金)

うっぷんを晴らすのは買い物が一番だ。
PINK 柴田よしき 双葉社
四十回のまばたき 重松清 角川書店
見張り塔からずっと 重松清 新潮文庫 中の一編はホラー特集の際に書かれたものらしい。
これでもか!殺人推理 桜井一 大陸文庫 知らなかったな、こんな本。
記憶 西谷史 角川ホラー文庫
d匣庭の偶殺魔 スニーカー文庫 失敗。
虚船 松浦秀昭 ソノラマ文庫 なんとなくおもしろそうな感じがします。
ここからは新刊。
目を擦る女 小林泰三 早川文庫JA 短編集。表紙がすごいな。
「エロティック・ミステリー」傑作選 光文社文庫 解説にすぐ読めと書いてある。そうか。巻末の目次を見ると東郷青児が小説書いてる。城昌幸は全部若様侍かな?
三重露出 都筑道夫 光文社文庫 あと3冊。
香山滋集 ちくま文庫 完結おめでとうございます。できうれば続刊期待しております。日影丈吉集は家で発見。
教室 井上雅彦編 光文社文庫 異形コレクションも読まなきゃね。買うばっかでまだ2冊しか読んでないぜ。
異国伝 佐藤哲也 河出書房新社 この人の本も積読だな。多分近日中にに「妻の帝国」を読むはずだ。
薄暗い花園 岩井志麻子 双葉社 この人もコンスタントに本が出ますね。
まひるの月を追いかけて 恩田陸 文藝春秋 挟み込みを見ると9月24日に新人作家のホラー短編集が出るらしい。うーむ。
天正マクベス 山田正紀 原書房 原書房の小説は文庫にならないからなあ。
本格的 鳥飼否宇 原書房 祥伝社の中編が気に入ったので一応買い。
ミステリーズVol2 東京創元社 ぼくが買ったのは終盤に印刷の薄いページが結構あるんですが皆さんどうでしょうか?

いやあ、買った買った。お金もなくなった。

(今日買った本:18冊 今月買った本44冊 今年買った本:934冊)

9月11日(木) 

「K・Nの悲劇」読了。面白かった。次作も読んでみたいと思った。前の2冊は古本で買ってあるのだが、埋もれてしまっています。乱歩賞は伝統があるだけに、受賞者は大変だと思う。でも個人的にはあまり興味をそそる賞ではない。ミステリ系では横溝正史賞とか松本清張賞(これはミステリだけではないけど)の方が個性溢れる作品が出てきているように思うのだが、気のせいかただの思い込みだろう。ホラー系では角川のホラー大賞がやはり期待は大きい。ホラーサスペンス大賞はどうもサイコ系やサスペンスに重点があるようば気がして個人的にはもうひとつである。もっとも作品のレベルは高いように思うけれど。
あとどんな賞があったっけね?世の中には本当にたくさんの賞があるんでしょうな。小説家にはなれないので(なろうとも思っていないけれども)、どうでもいいといえばどうでもいいんですけどね。

(今日買った本:0冊 今月買った本26冊 今年買った本:916冊)

9月10日(水)

何をしていたか全く覚えがありませんが、帰りが遅かったので本屋に寄れなかったことは確実です。

怪奇小説は好きなのだが、オカルティズムは苦手だ。怪奇小説は好きだが、ファンタジーは嫌いだ。自らの好き嫌いに付いては突き詰めて考えたことがないのだけれど、体系づけて説明できるほど自分を理解していないのではなはだ難しい問題になってしまう。でもたまには考えてみてもいいと思っている。

夢魔物語 H・P・ブラヴァツキー 竜王文庫
よくわからない出版社からでた神智学の巨匠による怪奇小説集。HPLならぬHPBである。ブラヴァツキーと言えば国書刊行会くらいからしか本が出ないんじゃないかと思っていたら、ここの出版社もたくさん翻訳しているのがえらいというかなんというか。どうも神智学を勉強している方々が起こしている出版社らしいので、教科書みたいなものかもしれない。最近突然ちくま文庫から「インド幻想紀行」が刊行されたが、少しは知名度はあがったかしら。(ちくま文庫も買っておかないとあとで入手するのは大変そうである)
「不思議な人生」と「不思議なヴァイオリン」の二編を収録。前者は日本が舞台で、主人公が田村という僧侶から霊界について教えを受けると言うすさまじい小説。主人公は霊界について信じないために取り返しがつかないことになるのだが、そのきっかけを作ったのが超能力者として描かれている山伏である。(どうやら著者の中で山伏と言うのは人知を超えた超能力者集団らしい) 小説としての体をなしていないと言うか、(おそらくは)神智学の教条的な内容を含んでいるので、一般民間人には読んでいて少々つらい。一転して「不思議なヴァイオリン」はそういった教条的なところはほとんど見られない楽器に纏わる正統的な怪奇小説でこちらは普通に楽しめる。珍本ではあろうが、150ページ余りで2400円と高価なので好事家の方にしか勧められない。ちなみに私は好事家です。


(今日買った本:0冊 今月買った本26冊 今年買った本:916冊)

9月9日(火)

何をしていたか全く覚えがありませんが、帰りが遅かったので本屋に寄れなかったことは確実です。

下の感想にちなんで書くとチェスのルールはわかりますし、将棋もまあわかります。麻雀は結構やりました。でも囲碁だけはわかりません。囲んだら勝ちなのでしょうか?「ヒカルの碁」を読めばわかるんでしょうか?(絶対読まないと思いますけど)

盤面の敵 北村薫 講談社
クイーンの同名の作品は、スタージョンの代作と言うこともあり既読。しかしながら北村薫の作品はなんとまあ初読である。もうちょっと穏やかな作品なのかと思っていたが、人が殺されるのも容赦なくてちょっと意外。またカットバックで挿入されるヒロイン役の女性の苛めに会った過去の描写もとても痛い。いずれにしても本作は著者としても異色の作品らしい。
サブタイトルとかチェスに模した部分がうまく作品全体の雰囲気が表せていないように思うのは、作品全体をつつむ雰囲気だと思う。ゲーム性を全前面に押し出すのならば、あまりヘビーな描写は合わないのではなかろうか。最後の方の自動車を使ったトリックはルパン三世の一話を思い出すような、いってみれば痛快さが出てもいいような場面ではあるのだが、重さは払拭されないままだ。また最後にあっさりと書かれる罪と罰の問題も、どう受け取って良いのか悩むところ。ストーリーテリングがあるので、ぐいぐい読まされてしまうのだが、作品としてはバランスが悪いといわざるを得ないように思う。


(今日買った本:0冊 今月買った本26冊 今年買った本:916冊)

9月8日(月)

何をしていたか全く覚えがありませんが、帰りが遅かったので本屋に寄れなかったことは確実です。
感想は「サイコ」だけれど、ヒッチコックの映画自体は実はあんまり見ていません。明確に印象に残っているのは「鳥」ぐらいかしら。あれは鮮烈な印象があるな。

サイコ ロバート・ブロック 創元推理文庫
福島正実訳では20年位前に読んでいるのでテキスト的にも再読だし、ヒッチコックの映画も何回か見ているためストーリーはまるわかり。そこで今回は新訳を読んでみた。新訳刊行のきっかけは映画化だったようだが、今回は夏来健次が起用されている。
現代の読者の眼から見ると、おとなしいという印象はぬぐえないであろう。しかし原点と言うか、サイコサスペンスとしては元祖みたいなものだから、過不足無くストーリーが組み立てられている。ようは多くのサイコサスペンス作品は「サイコ」の影を出ることができないということだ。
今回読んでみて、最初はストーリーを知っているだけにのれなかったけれども、徐々に面白くなって気にならなくなった。最後はちょっとあっけないけれども、今読んでも古典作品として楽しめるであろう。巻末には詳細の作品リストが附されているのが嬉しい。もっと翻訳されて欲しい巨匠である。


(今日買った本:0冊 今月買った本26冊 今年買った本:916冊)

9月7日(日)

夢魔物語 H・P・ブラヴァツキー 竜王文庫 読了。

眠り人形 向田邦子原作 文春文庫
表題作、「花嫁」、「当節結婚の条件」の3篇を収録。向田邦子本人の書いたものではなく、東芝日曜劇場脚本を元にしたノベライゼーション。ただしセリフやト書きは生かしているとのこと。
ぼく自身はあまりドラマを見るほうではないので、見たことはあるのだろうが意識して向田邦子のドラマを見たことは無い。本書に収録された作品が著者の中でどのような位置を占めているのかもわからない。しかしこれを読んでみた感想を書くとすれば「巧い!」という一言に集約される。基本的には善人の小説で、普段ミステリーとか殺伐とした小説を読んでいる身にはなかなか触れることの無い世界であるせいかもしれないが、不覚にも感動してしまった。特に表題作のある場面には読んでいて知らず涙腺がゆるんでしまう。基本的に小説に関しては無感動な人間なので(テレビや映画では簡単に涙腺が緩むのだけど)本気で涙が出そうになったのは初めてかもしれない。
ノベライゼーションでありながら、そんじょそこらの小説は足元にも及ばない素晴らしい作品である。脚本の良さを思わずにはいられない。強くお勧めする。


夢の封印 坂東真砂子 文藝春秋
虹北恭助の新冒険 はやみねかおる 講談社ノベルス
虹北恭助の新新冒険 はやみねかおる 講談社ノベルス
d太陽系無宿 早川文庫SF

(今日買った本:4冊 今月買った本26冊 今年買った本:916冊)

9月6日(土)

先週のリベンジで渋谷へGO。

さしあたり最優先目的の「建石修志展」へ。生で見るのは始めてである。日本の画家では好きな本の装丁を飾っていたこともあって、野中ユリ氏と並んで最も好きな人である。いやあ感激。個展だから展示販売となり、一部を除いて値段が書いてある。一番欲しかったのは150万円の油彩。「五輪の薔薇」他のボックスオブジェもある。そして敬愛する「幻想文学誌」を飾った表紙画の数々が。うむむ、30万円出すなら「貼雑年譜」よかぼくは断然こっちだな。それにしても、その気になってがんばれば買えない事も無い値段であることがわかったので、いつの日か家の壁を飾ろうと心に誓って会場を後にしたのでした。なお会場にいらした建石先生はとてもお洒落な方で、こちらがイメージする絵描きさんっぽい感じではありませんでした。またとても気さくな方でもったいなくもご著書等にサインを頂戴した上に、二言三言言葉を交わしてしまい、普段営業のような仕事をしている割にちょっと緊張してしまいました。あと会場では川島(石堂)さん、ですぺらの渡辺さんをお見かけしました。沖積舎の画集は持っていないので欲しいなあ。検索したら5万円で売っているようです・・・。買えまへん。
月の庭を巡って 建石修志展 アトリエOCTA 多分アトリエOCTAから川島さんの手で出される最後の幻想文学関連本になるのかもしれません。画面が小さくてちょっぴり残念。
浮遊譚 舟崎克彦/建石修志 パロル舎
月 絵本グリムの森 天沼春樹訳 パロル舎 まさに絵本は言葉の附された画集ですね。
後ろ髪をひかれながら会場を後にすると「フリーダ・カーロとその時代」展に行く。思えばステーションギャラリーに「レオノーラ・キャリントン展」に行った時は「フリーダ・カーロ」なんて知らなかったもんな。でも実際に見てみるとさほど好みの絵ではなく、レメディオス・バロの絵がいたく気に入った。それにしてもこの人の展覧会を数年前にやっていたのは知らなかった。画集は出ていないようなのぜひとも図録が欲しい。キャリントンはあいかわらず幻想的だが少し小粒な印象で、個人的には画面の中で中心になるような対象が描かれることが少ないため、どことなく求心力には欠ける気がする。図録は買う。
フリーダ・カーロとその時代展 図録
最後にブックファーストによる。そのつもりが無かったのに山のように本を抱えてしまって自己嫌悪。
月の扉 石持浅海 カッパノベルス kashibaさんも高評価だったこともあり衝動買い。
蛇棺葬 三津田信三 講談社ノベルス 帯には密室殺人とか書いてありますがホラーだと信じて買いました。
黒娘 牧野修 講談社ノベルス 牧野修だから買いました。
サウンドトラック 古川日出男 集英社 古川日出男だから買いました。おまけに署名入りで嬉しい。
せちやん 川端裕人 講談社 「夏のロケット」の続編とのこと。ほぼ衝動買い。問題は「夏のロケット」がどこにあるのかがわからないこと。
博士の愛した数式 小川洋子 新潮社 いまのところデフォルト買い境界線上だが、迷って購入。なにやら普通の話っぽいのが気になるけど。
光ってみえるもの、あれは 川上弘美 中央公論社 この人も境界線上。だいたい読んだこと無いし。
燃えるスカートの少女 エイミー・ベンダー 角川書店 
オリエント急行戦線異常なし マグナス・ミルズ DHC 同じ著者の「フェンス」も欲しかったのだが見当たらず。
ここにくると新たな発見があるのだが、エリクソンの新刊が数年前に出ていたことを知る。うー、買わなきゃ。あと知らないアトウッドの訳書もあった。
YASO 復刊1号。後書きを読む限りでは直売だけで通常の流通ルートは通らないらしい。地方は困るな。富士見ロマン文庫刊行リストが掲載されていて集めたい気にもなるが、集めないであろう。記事には生田耕作や菅原貴緒氏も変名で翻訳していたらしい。

「盤面の敵」北村薫 読了。

(今日買った本:14冊 今月買った本22冊 今年買った本:912冊)

9月5日(金)

「サイコ」 ロバート・ブロック 再読。

届いた本が1冊。
コロンブスの贈り物 アフィニスクラブ編 ダイヤモンド社 愛煙家サークルの季刊誌に掲載された作品に書下ろしを加えたショートショート集。こんな本知らなかったなあ。都筑道夫や河野典生、石川喬司、亀和田武なども含まれている。

子盗り 海月ルイ 文藝春秋
長年子どものできなかった旧家の夫婦が、親戚や姑の圧力に耐え兼ねて起こした行動は・・。
サントリーミステリー大賞受賞作。キャラクターも登場人物を良く書けているし、これといった欠陥は無いのだけれども、面白かったという感想が躊躇われるのはエンターテイメントの題材としてはちょっとヘビーなせいかもしれない。社会的な問題をとりあげたという点では社会派推理(死語か?)と言えるのかもしれないが、なんだか昔映画の「砂の器」を見てミステリーじゃないな、と思ったのと同じような感じだ。


(今日買った本:1冊 今月買った本:8冊 今年買った本:898冊)

9月4日(木)

今日の分は感想のみ。

カニスの血を嗣ぐ 浅暮三文 講談社ノベルス
嗅覚をテーマにした幻想ハードボイルド。カニスとはラテン語で「犬」のこと。阿川はデザイナーだったが、病気で嗅覚が異常に鋭くなり、日常生活に支障が出てしまった。しかたなく阿川はバーテンになったが、そんなある日謎めいた女と夜をともにする。それは1年前に遺書も無く自殺した仲間の謎を解く始まりであった。
まず嗅覚を視覚化することで幻想的な効果をあげている。前例があるのかどうかは寡聞にして知らないのだが、このビジョンは面白い。幻想的な描写を多用しながらも全体的な雰囲気はハードボイルドという小説で、幻想とリアリズムが無理なく溶け合った傑作。こういう新鮮な興趣を感じさせてくれる作品が送り出されるのならメフィスト賞も悪くない。自らをぎりぎりに追い込んでまで謎を追いかけるだけの動機に欠けている気はするけれども、それは受け止め方の違いだろう。文体も比喩が独特だったりして必ずしも読みやすいとはいえないかもしれないし、このような小説が万人に受けるかどうかはわからないけれども、個人的には非常に趣味に合う小説だ。


(今日買った本:0冊 今月買った本:7冊 今年買った本:897冊)

9月3日(水)

本屋へ寄ったが、今ひとつ買いたいものはなし。
家へ帰ると本が届いていた。
稚兒殺し 倉田啓明 龜鳴屋 特装限定版。番号は八番でした。序文は皆川博子で特装版は別冊の探偵綺譚三編付き。装丁は真っ黒の貼箱にアルミ箔装の本体。天金で扉にはシルクスクリーンつき。題字や本文上のタイトルも逆読みで全て旧字旧かな活版刷り。普及版の4倍以上という決して安い買い物ではないけれど、別冊付録とテキストの貴重さ、こだわりの感じられる装丁を考えると特装版の購入もやむを得ない。普及版も端正な装丁のようでどんな感じかちょっと気にはなるけれど、両方買うのはちょっと無謀だな。特装版は限定49部、普及版も限定450部なので欲しい人は早めに注文した方が宜しいでしょう。注文はこちら

(今日買った本:1冊 今月買った本:7冊 今年買った本:897冊)

9月2日(火)

d私だけが知っている(第二集) 光文社文庫 手持ちはやや状態が悪かった気がするのだが、どこにあるのか見当もつかない。
OZの迷宮 柄刀一 カッパノベルス 
ドコカの国へようこそ 大海赫 童心社 わーい。探求書ゲット!復刊が見込まれているけれども元版が手に入ったのは嬉しいや。

諸葛孔明対卑弥呼 町井登志夫 ハルキノベルス
第三回ホワイトハート優秀賞(「電脳のイヴ」)第二回小松左京賞(「今池電波聖ゴミマリア」)を受賞した著者の第三長編にあたる。
強いものと強いものを戦わせて見たいと言う願望は割とポピュラーなものではないだろうか。本書は「ゴジラ対キングコンゴ」ならぬ、諸葛孔明対卑弥呼である。活躍した時代がほぼ同じと言う事実は、無学な自分には知らなかったけれど、例え常識であったとしてもそれを戦わせようと言う発想は並ではないだろう。(というか、思いついても普通の作家は小説にしないかもしれない)
ところが著者はそんなとんでもない発想から小説として完成させてしまったのである。構成は、諸葛孔明の章、卑弥呼の章、戦いの章の3部に分かれている。その中で著者はSF作家らしい発想を見せつつ、それらしく自由にストーリーを展開している。歴史小説ではないので言葉遣いが(キャラクター造りのために意識的にやっているとしても)突拍子も無いため、眉をひそめる人もいるかもしれないし、最後のちょっとワル乗りの場面など(一応の理屈付けは行っているけれども)違和感を感じる人もいるかもしれない。ぼくもややその気が無くも無いのであるが、所詮はパラレルワールドのエンターテイメントと割り切ればそこは楽しむことは可能だ。それよりも残念なのは卑弥呼を描く第二章に分量を割かれてしまったため(第二章も面白いのだが)、肝心の戦いを描く第三章が薄くなってしまったところだ。できればもっとバランスをとるとか、分量を増やすとかして欲しかったというのが正直なところであるが、一風変わった軽い読物としては楽しめる。


「子盗り」を読了したので向田邦子を読んだ。巧い!

(今日買った本:3冊 今月買った本:6冊 今年買った本:896冊)

9月1日(月)

読書は「子盗り」海月ルイを選択。なんだか最近比較的新しい本が多いな。

新刊を少々。
安楽椅子探偵アーチー 松尾由美 東京創元社 迷った末に購入。この人の本も積読。「おせっかい」と「手毬歌」を持っていないや。
非情の裁き リイ・ブラケット 扶桑社ミステリー ぼくにとっては「リアノンの魔剣」の著者であり、ハミルトンの奥さんでもあったSF作家というイメージであったが、これは処女長編の純粋なハードボイルド。また翻訳は浅倉久志氏というのが嬉しい。
古本を1冊。
dベルリン・ノワール 扶桑社 やはり持っていたか・・・・

(今日買った本:3冊 今月買った本:3冊 今年買った本:893冊)