買書日記(11月)   掲示板 


11月30日(火)

あまりの物の(主に本だが)多さに無性に物を捨てたくなる。本は捨てないけどな。でも読了本で処分したいものはあるのだ。

アクセス 誉田哲也 新潮社
ホラーサスペンス大賞入賞作品。携帯電話を軸にして展開する「着信アリ」のようなホラーかと思いきや、途中から異世界ファンタジーかサイバーパンクのようになるのが珍しいといえば珍しいのだが、世界の描写そのものは未消化の感があるし、ストーリー展開上あまり生きているとは言い難い。スト-リーテリングがあり、するすると読ませるところは優れているけれど、勢いだけで中身がもうひとつまとまりきれていない感じだ。展開が読めてしまうのだ。登場人物はなかなか造形が良いのだけど、途中で何人かがあっさり退場してしまうのもったいないし、定石をはずしすぎだと思う。読み手としても最終的な処理は心情的に納得しずらかった。おいおい、本当にそれでいいのか?って感じだ。先に書いたように読ませることは読ませるので、決して悪い作品ではありません。


(今日買った本:5冊 今月買った本:137冊 今年買った本:1426冊)

11月29日(月)

横浜で新刊の仕入れ。
三百字小説 川又千秋編著 嶋中書店 定価が高い。著者久々の短編集かと思いきや半分は投稿作品であった。ビミョー。
御手洗潔対シャーロックホームズ 柄刀一 原書房 これもビミョー。
風船爆弾を飛ばしそこねた男 野崎六助 原書房 書き下ろし長編。ネタ的には好きそう。
野ブタ。をプロデュース 白岩玄 河出書房新社 ぽかぽかさんが読んでいたので。
聖女の首 横溝正史 出版芸術社 これで日下さんの横溝は打ち止めかしらん。だとするとちょっと残念。まだありそうだものね。

夜陰譚 菅浩江 光文社
井上雅彦編集の競作集に発表された作品を中心に編集された短編集。
夜陰譚 宮沢賢治の童話を彷彿とする電柱幻想。女性の陰にこもった恩讐のようなものが感じられる、堂々たる幻想小説。
つぐない 本書中、唯一の正統的ホラー作品。ドメスティックバイオレンスをこのような形式で扱うのは暗澹たる気持ちにならないでもないのだが、サイコホラーとしては一級品であろう。
蟷螂の月 読むものの脳内に水の匂いがたちこめ、深々たる月夜の情景が浮かぶ、一言でいって絵になる幻想小説。これほど鮮烈なイメージが表現された小説も珍しい。想像だが、まずは著者の中にある一つのイメージから逆に作品が形成されたのではないかと思えるほどだ。
贈り物 ワンアイディアだが、女性の恩讐を感じる幻想譚。
和服継承 皆川博子の短編のような味わいすら覚える妖気漂う京都小説。
白い手 キャリアOLを描く小説家と思いきや、最後は生霊を扱ったような怪奇小説に変貌する。白い手のイメージが鮮やかな怪異譚。
桜湯道成寺 桜のイメージが鮮烈な、これも著者でなければ書けないような小説。
雪音 白い手と同様、キャリアOLを扱っていながら、最後は白い雪の降り積もるイメージの中に怪異が宿る幻想怪奇小説。
美人の湯 女性はいくつになってもかわらない。辛辣な視点が光る小品。
帯にはホラー作品集であるかのような表現がされ、短編の発表媒体からすると、もともとはホラー系の小説を意図して書かれたことが予想されるが、著者の短編のいくつかは恐怖は昇華され、独自のイメージと女の想念が渦巻く幻想小説となっている。中にはスーパーナチュラルの要素すら削られているものもあるが、それらも底部に流れる神秘的な香りがあり、幻想小説と言って差し支えないものだ。文体は静かでくだけすぎず堅苦しすぎず中庸の感じだが、もう少しトーンを低めにした方が良いと思える作品もあった。また賛否両論あろうが、ちみり。ちみり。ぼん。ぼん。つぴん。等、普通では使用しない独自の擬音というか平仮名の音感に託した表現が散見され、良い効果をあげていることも指摘しておこう。なお、著者はSF作家であるが、bk1で本書について「幻想小説集」に近づけたのではないかと語っている。私が読む限りでは十二分に幻想小説集足りえているのではなかろうか。傑作短編集です。


(今日買った本:5冊 今月買った本:137冊 今年買った本:1426冊)

11月28日(日)

電気屋に行くと楽しい。冬のボーナスでは一気にPCとプリンターとDVDレコーダーを買おうと思っている。それに合わせてやっとISDNからADSLに変更する予定。PCも回線も遅いし、たまにつながらなくなるのが怖いんだよね。それにプリンターはスキャナー付きの複合機にしようと思っているので、今までのようにスキャニングも面倒じゃないから、コンテンツを更新しちゃおうかなんて大胆なことを考えたりしています。いや、考えているだけで実際にやるかどうかはわかりませんが。ネタもないし。

学校の怪談 岡崎弘明 集英社文庫
帝都探偵物語@ 赤城毅 光文社文庫
生きかた名人 池内紀 集英社

予言 林巧 角川ホラー文庫
つのだじろうの「恐怖新聞」をモティーフにした映画のノベライズ。別段恐怖新聞のストーリーをなぞっているわけではなく、発想を借りているだけだ。映画との違いは良く分からないが、中盤までの勢いが終盤の時間テーマのSFめいた処理のため宙ぶらりんになってしまい、ホラー小説としてはやや中途半端で物足りなかった。これを読んだからといって映画を見たくはならないなあ。


(今日買った本:3冊 今月買った本:132冊 今年買った本:1421冊)

11月27日(土)

黄昏ホテル 小学館 e-NOVELで発表された競作集を単行本にしたもの。やはり本の形で読みたいな。
小説推理 既に各所で話題になっているが、「アドニス」に発表された「虚無への供物」の原型を再録したもの。この機会に掲載分は全部載せて欲しかったなあと思うが、それは無いものねだりだろう。私自身は中井英夫はあまり読んでいない。理由はひとつ。読むのがもったいないのである。当時新刊で買っていた三一の作品集の短編、エッセイ各1冊と、それより前に古本屋で見つけた角川文庫の「銃器店へ」くらいだ。これらの短編は読んで圧倒された。これは絶対に読まなければならないと思った。でもそこで止まってしまったのだ。出始めたときは嬉しかった創元の全集も、収録作品が単行本からの再録ばかりのようなので途中から買っていない。「とらんぷ譚」など絶対に面白いと確信してにもかかわらずなかなか手を出せないでいるのだが、そろそろ思い切って手を出すことも考えなければならないだろうな。
昨日買っていた本がありました。
アニモーフ1 K・A・アップルゲイト 早川書房
マラソン・マン ウィリアム・ゴールドマン 早川文庫NV 昔は良く見たのにいざ探すと全然見つからなかったので嬉しい。
死ぬには、もってこいの日。 ジム・ハリスン 柏艪舎

(今日買った本:5冊 今月買った本:129冊 今年買った本:1418冊)

11月26日(金)

毎日のように本が届くが、玄関に山積み。これじゃいかんよなあ。新刊書店にて買い物をする。ちくま文庫のゴジラは随分迷っているが、未だに買う決心がつかぬ。全集で読めるんじゃないのか?なお他にも黒川博行とか迷ったものは数冊あるが、とりあえず我慢しておく。中野氏の日記を見て笑えない文章を発見。『やはり私は買ひ物のしすぎなんだらうか、本の買ひすぎなんだらうか』 やはり買いすぎなんだろうか。果たしてこのままで良いのだろうか。キリギリスのような人生にしばし考え込む。買う量に比して読むのが遅すぎるんだよね。小説推理は売っていなかった。

トフ氏と黒衣の女 ジョン・クリーシー 論創社 一方のシリーズに比べると軽便な装丁が嬉しい。J・J・マリックの別名らしいが、なあにミスターマリックとの区別もつかないのだから大丈夫だ。早川文庫だかなんだかは1冊くらい持っているような気がするけど警察小説は苦手だからな。
二人で泥棒を E・W・ホーナング 論創社 ラッフルズ短編集。といってもラッフルズとウルフルズの区別も、ってもういいか。
片目の追跡者 モリス・ハーシュマン 論創社 ちゃんとシリーズ番号があるし、登場人物を書いた栞もあるし、かなりマニア向けですね。一番嬉しいのは本が薄いことだったりして。早く読めるし。巻末には毎月刊行とか怖いこと書いてあるぞ。そんなに出して大丈夫か?論創社。
そこへ届くのは僕たちの声 小路幸也 新潮社 一作目を読んでかなり気に入ってしまったので新刊購入作家に仲間入り。既刊の残り2冊も買わなくちゃね。
アシュワンの乙女たち 牧野修 ソノラマ文庫 いくつかの短編以外は2冊しか読んでいないが好きな作家という認識でいるのは間違っているのだろうか。
闘・真田真妖伝 朝松健 NONノベル 昔好きだと公言していたわりにあいかわらず読めていません。
そこでゆっくりと死んでいきたい気持ちをそそる場所 松浦寿輝 新潮社 短編集。素晴らしい造本だ。
アキハバラ@DEEP 石田衣良 文藝春秋 買わなくてもいいかなあと思いつつも、読めば面白いのだろうなと思って買ってしまう。
ゴーストハンターズ 中公Cノベルス 今回は4人の中篇競作集。


(今日買った本:8冊 今月買った本:124冊 今年買った本:1413冊)

11月25日(木)

思いつくとamazonのワンクリックで本を買ったりするからぽろぽろ届く本で一杯。もちろん開封はしておらぬ。
雑誌購入。一足先に2005年1月号。
SFマガジン1月号 矢野徹氏の追悼。野田昌宏氏のコメントが微妙だ。
ミステリマガジン1月号 珍しい時代ミステリ特集。

不幸な子供 エドワード・ゴーリー 河出書房新社
ご存知ブラックユーモアでこれでもかと固められた絵本を書く著者の1冊。感想が書きにくいが、描線とストーリー(言葉)とぴったりなのは確かで、不気味な雰囲気と心地よさとは無縁の気持ちを逆なでするようなストーリーが印象に残る。決して絵もすばらしく上手いとは思わないのだが、絵と言葉と造本がこれほどぴったりとした本を作る作家もなかなかいないであろう。
余談だが著者のほかの本を読んでも、多分この感想をそのまま書き写せばすみそうな気がする。

(今日買った本:2冊 今月買った本:116冊 今年買った本:1405冊)

11月24日(水)

本を購入。
ほうかご探偵隊 倉知淳 講談社 一作呼んでめげた著者だが、ミステリーランドの1冊なので買っておく。
泣き虫弱虫諸葛公明 酒見賢一 文藝春秋 別冊文藝春秋連載の長編。
アルヴァとイルヴァ エドワード・ケアリー 文藝春秋 前作は積読のうちに皆川博子さんの解説付きで文庫化されてしまった。今回は前作よりは薄めかな。(その割に定価が高いが)
ミステリーズEXTRA 短編いろいろお徳用。これなら今までの読んでいなくても読みやすいから読んじゃおうかな。

スローグッドバイ 石田衣良 新潮社
売れ線という言葉がある。最大公約数の受け手側が好むようなものだと理解している。それは概して作り手の本当に作りたいものとはずれがあるように思う。本書も後書きでは著者も書きたいことを書き、書いていて楽しかったと述べているので、正確には売れ線で書いたわけではないと思うが、そんな言葉が浮かんでくるような、いかにも売れそうな恋愛短編集である。本書の刊行は2002年なのでまだそんなに売れっ子になっていないころかと思うが、とにかく小憎らしいくらい話作りが上手い。私自身は恋愛小説とかはあまり得意とするところではないので読む前はちょっと引き気味だったのだが、結構面白く読めてしまった。ただしひねくれものなので、ちょっと上手すぎるなあと思ってしまったのは贅沢か?とりあえず売れっ子になるのは良くわかるし、ストーリーテラーとしての実力も感じることができる。恋愛小説が好きな女性には特に受けそうだ。


(今日買った本:4冊 今月買った本:114冊 今年買った本:1403冊)

11月23日(火)

日本全国津々浦々は祭日。もちろんうちも休みだ。久しぶりに駅のブックオフを覗く。やはり「順列都市」は無かった。日記を毎日書くのに一番の苦痛は感想文だと思う。昔から感想文としいたけは苦手なんだ。

密室レシピ 角川スニーカー文庫
僕の推理とあの子の理屈 村瀬継弥 角川スニーカー文庫
愚者のエンドロール 米澤穂信  角川スニーカー文庫
氷菓 米澤穂信  角川スニーカー文庫
血文字パズル  角川スニーカー文庫
捕虜収容所の死 マイクル・ギルバート 創元推理文庫

菅浩江「夜陰譚」読了。堂々たる幻想文学の傑作短編集であった。

私が語りはじめた彼は 三浦しをん 新潮社
金原瑞人氏が帯に書いている「ミステリ+心理小説+現代小説」とか、「べた褒めするしかない」とかいう煽りに刺激されて購入したもの。何冊か著作は持っているけれど、読むのは初めてだ。
女性関係の激しい歴史学教授をとりまく人間たちの心模様や葛藤を描く短編を配した連作短編集。通常小説は主人公があり、その口や頭を通してストーリーを物語るものだが、本書は本来主人公にあたるであろう大学教授を背景にして回りの人間たちを点描することによって物語を組み立てようとしている。考えてみれば人間は一人でチベットの山奥で暮らしてでもいない限り、他の人間に大なり小なりの影響はかならず与えるもので、小さいことが波紋をひろげて思わぬことが起きたりもする。本書も(当然小説的なデフォルメはされているが)そんな波紋を描いているとも言えそうだ。通常はこういう小説は読まないので何ともいえないし、読了後は正直なところ強い印象は受けなかったのだが、後で思い返してみると心の中に結構一編一編が蘇るのを感じて驚きを覚えた。文体も特に優れたものとは思えなかったし、奇想天外なプロットがあるわけでもないのに短編一つ一つが組み合わさって読み手の心に強く訴えかけているようだ。ひと言で言うなら純文学で金原氏の書いているようにミステリではないと思うが、するっと読まされてじわっと印象に残る作品であった。なお本書の中の「予言」は一編の青春小説としてかなり出来が良いと思う。本編だけ読むために本書があっても良いくらいだ。


(今日買った本:6冊 今月買った本:110冊 今年買った本:1399冊)

11月22日(月)

駅にあるレンタルビデオ屋が閉店。結構短い生涯だったな。滅多に借りることはなかったのだが、わりと大きくて最近DVDも増え始めていただけにちょっと残念。

うーむ、順列都市は品切れですか。既に早川文庫の品切れ書目のフォローをしなくなって久しいからなあ。どっかに転がっていないかしらん。

bk1より。
SFJapan 大橋さんの連載が開始されている。第一回は秋元文庫とソノラマ文庫。

龍は眠る 宮部みゆき 新潮文庫
超能力少年を巡るミステリー。後書きによるとキングのようなものを書きたかったらしいが、キングというよりはやはり著者らしい小説になっている。私自身は著者の小説に相性が悪いようで、いままで読んだ5作品はいまひとつという感があったのだが、これはとても面白かった。超能力というスーパーナチュラルな要素を不自然に感じさせることも無くストーリーを描ききった著者の力技に感心。これはともすると荒唐無稽になるところを、超能力そのもののあり方ではなく、それを持った少年の心の苦しみを中心に描いたことが大きいだろう。つまり他の著者の作品と同様、深い人間ドラマとして形成されており、それが超能力という要素を物語りに組み入れることにより、より陰影が濃く描かれるようになったということだ。さすがのSFミステリー。未読の人にはお勧めである。


(今日買った本:1冊 今月買った本:104冊 今年買った本:1393冊)

11月21日(日)

本は買わなかったけれど、届いたものの一部。届いた本もごちゃごちゃでなんだかわからなくなってきました。
真鍋博回顧展 愛媛美術館 2001年に開催された展覧会の図録。構成はこの前のステーションギャラリーに似ている。
真鍋博の世界<特装版> 池田20世紀美術館 1996年に開催された展覧会の図録。特装版と銘打っているが、どこが特装なのかよくわからん。一応奥付に160部のうちの148番と書いてある。
自転車賛歌 真鍋博 ぺりかん社 独創的なアイディアの自転車イラストが満載のイラスト集といっても過言ではない素晴らしい本だ。

遺響の門 中井紀夫 徳間デュアル文庫
人類は限定された宙域を制覇し、その勢力を伸ばしていた。惑星グレイストームで暮らす遙は、異性人や雑多な人間が暮らす街で歌姫ヴィオレッタに会う。彼らは原住種族ウルボアイの村近くにある巨大な「門」を訪れた。そこで彼らは人類をはるかに超える文明を持っていると思われるクランガと接触する。しかしクランガは長年人類と交戦状態であったキラーバグと酷似していたのだ。クランガと交感した遥は遠大な宇宙的なヴィジョンを得る。
私の中では中井紀夫というと「能なしワニ」だったりするわけなのだが、最近ではゲームのノベライズやらばかりで冷遇されていたような感もあった。本書は久々のオリジナル長編といえるかもしれない。その分期待もしていたわけなのだが、本書の読後感としてはやや物足りなかった。宇宙的なヴィジョンとして「言語」というものが出てくるのだが、著者のこだわりは感じられるものの、未消化感があり描写的にいまひとつしっくりこない。物語を咀嚼していると歯にあたる感じだ。ジュブナイルとしては良く出来ていると思うものの、著者の書きたい部分とのギャップがあり、枚数も足りない感じ。一定の水準は確保していると思うので読んで損はないものの、手放しでお勧めとは言い難い。


(今日買った本:3冊 今月買った本:103冊 今年買った本:1392冊)

11月20日(土)

自由が丘の旬香で中華を食べる。ついでに買い物もする。全て古本。
琥珀の望遠鏡 フィリップ・プルマン 新潮社 文庫が出てしまったので今更単行本という気もするが1,2巻は単行本で購入しているため3巻も単行本。石堂藍氏が評価していたという点がやはり気になるので早く読んで処分したいものだ。
雑多なアルファベット エドワード・ゴーリー 河出書房新社
優雅に叱責する自転車 エドワード・ゴーリー 河出書房新社
よるのさんぽ たむらしげる 架空社
敬虔な幼子 エドワード・ゴーリー 河出書房新社
蒼い時 エドワード・ゴーリー 河出書房新社
不幸な子供 エドワード・ゴーリー 河出書房新社
直筆商の哀しみ ゼイディー・スミス 新潮社 面白そうだと思っていたが新刊では手が回りませんでした。
小鳥たち アナイス・ニン 新潮社 本当は新刊で買うべきですが、初版ではなくなってなんとなく買いそびれていました。
家なき娘(上)(下) エクトール・マロ 偕成社文庫 ペリーヌ物語の原作ね。
顔 横山秀夫 徳間書店
川の少年 ティム・ボウラー 早川書房
石に刻まれた時間 ロバート・ゴダード 創元推理文庫
あやかし通信『怪』 大迫純一 ハルキホラー文庫
雨あがり美術館の謎 新庄節美 講談社 これが最後の1冊でやっとチビーはあがり。青い鳥文庫でこれだけ出ているからテキスト的にはいつでも読めるや気分だったが、1冊ごとに違うパステルカラーの装丁でやはり揃えたいところだった。帯はないけど100円なら満足。思えばMYSCONのオークションでも負けたことがあるのだった。

(今日買った本:16冊 今月買った本:100冊 今年買った本:1389冊)

11月19日(金)

今日は買う物無いだろうと本屋へ行くとあるんだなあ。
絞首台までご一緒に ピーター・ラウゼイ ハヤカワミステリ文庫 ずっと気になっていたので購入しておく。
パーフェクト・コピー アンドレアス・エシェバッハ ポプラ社 ジュブナイルだが有隣堂には無く、近所の本屋で発見。どっかで見たことのある著者名だと思ったら「イエスのビデオ」の著者だった。
荒俣宏の不思議歩記 荒俣宏 朝日新聞社
アバラット2 クライブ・バーカー ソニーマガジン 美しい造本。1巻も積読だがバーカーというだけで買いだね。横浜ルミネの有隣堂ではファンタジーのコーナーがあって、本書も他のジュブナイルと一緒に並んでいるのだが、ジュブナイルコーナーには合わないと思うなあ。

かしくのかじか 浅黄斑 NONノベル
若き日の黒岩涙(周六)香を主人公にした連作推理短編集。周六は叔父の「なんぎ屋」こと栄之進と珍事件を解決してゆく。かえるやらたぬきやらきつねやらかにやらがモティーフとして登場する。基本的にはミステリーなのだが、謎解きの要素はあまりない。いかにもノベルス的な作品で明治時代の大阪の雰囲気を味わうにはそれなりに楽しめる。といっても涙香が主人公である必要性は希薄なので、涙香が好きだからといって読む必要は無いだろう。動物をモティーフにしてストーリーを組み立てているところは面白いが、もうひとひねりあるともっと良かったのだけれど、結構常識的でサプライズは少ない。可も無し不可も無しというところか。


(今日買った本:4冊 今月買った本:84冊 今年買った本:1373冊)

11月18日(木)
数日間本屋へいけなかったので何か出ているかと思ったが、あんまり出ておらず。それでも読みたい本はある。
コンスエラ ダン・ローズ アンドリュー・プレス 短編集。
電脳娼婦 森奈津子 徳間書店 表紙にちゃんとSFと銘打っているのが嬉しい。
暗闇を追いかけろ カッパノベルス 半分超が単行本等で読めるがホラー&サスペンス篇ということで買っておく。
スピリディオン ジョルジュ・サンド 藤原書店 puhipuhiさんの日記で見て買う。透土社のアンソロジーは持っているのだけど、全く気がつかず。読んでいないのがばれますね。

(今日買った本:4冊 今月買った本:80冊 今年買った本:1369冊)

11月15日(月)〜17日(水)

泊まりの研修につき一回休み。帰り道の東海道線で女子高校生が小川洋子を読んでいた。これは売れているんだなあと実感。大荷物をかかえたまま3日行っていなかった本屋に寄る。
そういえば小泉八雲の記念切手も頼んで買ってきてもらった。バックに『怪談』初版をあしらったという逸品だ。
fの魔弾 柄刀一 カッパノベルス 書き下ろし長編。
隻眼の狼王 赤城毅 カッパノベルス 書き下ろし長編。
殺生石 富樫倫太郎 カッパノベルス 書き下ろし長編。
強烈☆イジョーシキ大笑乱 かんべむさし 講談社青い鳥文庫 新作ジュブナイル。
禁断 明野照葉 小学館 面白いだろうと買いつづけているが未だに読んだのは短編のみというのはどういうことか。

治療塔 大江健三郎 岩波書店
外挿法という数学用語がある。これをSF用語として昔は良く使っていた。今回読んだこの作品もそんな言葉が頭に浮かぶ、少しオールドファッションのSF小説。刊行当時はジャンル内ではあまり評価されていなかったように思うが、今回読んでみてなんとなくわかったような気がした。センス・オブ・ワンダー(これも古い言葉だが)があまり無いのである。唯一SF的なアイディアと言えるのは「治療塔」の存在だが、設定を生かすための道具立てにしかなっておらず、ストーリー展開に寄与しないところはSF的には不満だ。ストーリーは近未来の絶滅に瀕した人類が少数の「選ばれた人間」を種の存続のために宇宙へ送り出し、数年後にその宇宙船が地球に戻ってきたことから起こる軋轢や社会的な混乱を描くという社会SFとでも言うべきものだが、実際は(普通の小説としては当然だろうが)主人公の女性と帰還者の親戚のパイロットとの結びつきを縦軸にして、個人のレベルまで視線を落としているので、世界は背景に過ぎないところがある。社会的な部分に関してはうがった見方をすればメタファーが透けて見えるようでもあり、様々な問題に対する処理の仕方はとても常識的である。あまり深い思索を感じない。と、いろいろ思うところはあるし、著者の小説として上位には入らないかもしれないけれど、決して悪い作品ではありません。もっとも10年以上前に出たきり文庫にもしていないのは著者が出来に満足していないのかもしれませんけどね。続編?の「治療塔惑星」はそのうち読むつもり。副題にはっきり「SF」と銘打っているのは潔くて気持ちがいいです。


(今日買った本:5冊 今月買った本:76冊 今年買った本:1365冊)

11月14日(日)

家人と横浜に行ったついでにまたルミネに寄ってしまう。目をつぶって本を買う。仕事の本まで買ってしまった。(ここには書きません)
古本屋の女房 田中栞 平凡社 多分こういう古本ネタの本って一定数の固定読者がいるのだろうね。これは横浜の黄麦堂の奥さんが書いたもので、ぱらぱら見て面白そうだったので購入。
魔空の森ヘックスウッド ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 小学館 次から次へと新刊が出ますな。これは目を惹いたため。
石原豪人 平凡社
シナン(上)(下) 夢枕獏 中央公論社 これも出てから散々買おうか悩んだ。
孤独な鳥がうたうとき トマス・H・クック 文藝春秋 勢いで買ってしまったが、読んだことないんだよね。

「人間嫌い」の言い分 長山靖生 光文社新書
最近では文学作品に関する記述を織り込んだ新書が増えているような気がする著者の最新刊。自らを『人間嫌い」と称してその考え方を書いたもの。私自身もどちらかというと著者の側の人間だと思っているが、それでも読んでいて違和感を感じた。上手く言えないけれども、なんとなく自らと他者という観点において見下すような匂いを感じてしまったからである。自らがすべて正しいというような匂いを感じてしまったからである。これは誤解による誤読で、著者には全然そんなつもりはないのかもしれないが、決め付ける口調のせいかそう感じてしまった。また気になったのは著者の言う「人間嫌い」は他者と付和雷同することなく、一人一人の自らの考えにしたがって行動する人物だそうだが、各所で「人間嫌い」を主語にして考えを語っているため、なんとなく著者の考えであることがぼかされてしまい責任を回避しているような匂いを感じてしまうところだ。「人間嫌い」はみな別の考えを持っているではないのだろうか。これを「人間嫌い」を主語として表現されてしまうと該当するような人々が著者と全て同じか考えと決め付けられているように感じてしまい、どうもすわりが悪い。これが「私」という完全に完全に自分を指す言葉で書かれていれば良かったのだが。他に文中には「人間嫌い系」などという言葉も出てくるが、著者の書かれるような考えの人たちには、最近良く使われる意味のよくわからない「〜系」は相応しくないのではなかろうか。瑣末なようだがこれは日本語として言葉の選択が不適切だと思う。
私自身は強い人間だとは思わないが、それでも適正があるとは思えない(特に最近齟齬を強く感じている)仕事に努力して従事している。私だってできることなら仕事などしないで家にひきこもっていたい。恐らく世の中には同じことを考えている人は結構いるではなかろうか。でも「人間嫌い」も生きていくためには働かなくてはならないのである。働かなくては食べていけないから。好きなこともできないから。生きていくのは大変なことなのであるよ。
本書を読んで力づけられる人がいるのかどうかはわからないが、毎日に違和感を感じている人は一つの考え方を書いた本として読んでも良い本だと思います。


(今日買った本:6冊 今月買った本:71冊 今年買った本:1360冊)

11月13日(土)

研修の事前学習で暮れる。買い物はありません。一昨日大江健三郎の「治療塔」が読み終わって浅黄斑の「かしくのかじか」を読み始めているのですが、結局全然読み進めませんでした。

平井骸惚此中ニ有り 其貳 田代裕彦 富士見ミステリ文庫
二作目。今回は山中のホテルで発生する連続殺人事件を描きます。前作のテンポの良い講談調の語り口はやや弱まっている感がありますが、それでも主人公をはじめとしてお馴染みのキャラクターで繰り広げられるジュブナイルミステリーは快調だ。最終的な真相は前例があるのだろうけれど、(小説的にはあまり納得はいかないのだが)ミステリーのトリックとしてはまずまず納得できるものだ。探偵小説ファンをくすぐるような小ねたが無くなってしまったのはちょっと残念だけれど、前作同様に楽しめる小説。

(今日買った本:0冊 今月買った本:65冊 今年買った本:1354冊)

11月12日(金)

ルミネが10%オフ。有隣堂も10%オフ。買わないでいた米村圭伍を購入してしまう。ダイアナ・ウィン・ジョーンズがまた2冊新刊で翻訳されているけれど、そんなに売れているのか。宮崎アニメになるので売るチャンスだとは思うが東京創元社まで再刊で追随するとは思わなんだ。短編しか読んだこと無いけど、巧いなあと思ったのを覚えている。わりあい面白かったしね。
夏のエンジン 矢作俊彦 文春文庫 車がテーマの短編集。
さまよえる魂の歌 小泉八雲 ちくま文庫 エッセイを中心にまとめたもの。しかし目次を見ると「幽霊」とか「夢魔」とか言う言葉が踊っていてなんということもなく嬉しい。目次のカットは八雲が描いたのかな?東さんのログによると切手も出ているらしいし。買いたいな。
武蔵忍法旅 山田風太郎 ちくま文庫 巻末のエッセイがボーナストラック。2/3まで来ました。
彼女が恐怖をつれてくる 新津きよみ 光文社文庫 異形シリーズ等に発表された作品を含む短編集。コスモティーンズしか読んだことないけどね。解説は早見裕司氏。
万物理論 グレッグ・イーガン 創元推理文庫 カードを購入するかどうかはシリーズなので迷っている。
エレキ源内殺しからくり 米村圭伍 集英社
王狼たちの戦旗(上)(下) ジョージ・R・R・マーティン 早川書房 1を発掘しないと読めない。でも長いなあ。
おんみつ蜜姫 米村圭伍 新潮社
1972年のレイニー・ラウ 打海文三 小学館

(今日買った本:10冊 今月買った本:65冊 今年買った本:1354冊)

11月11日(木)

飲んで帰る。買った本はなし。やっぱ飲んで帰ると本は読めません。本は届きます。大方のダンボールは開封されないまま。
神さまと夕焼け 樹下太郎 サンケイ出版 帯にほのぼのユーモア小説。昭和56年刊のオリジナルとしては最後の著書になるはず。
酔っぱらいの子守唄 樹下太郎 桃園書房 副題東京挿話 意外に見つけづらい樹下太郎の非ミステリー。
男なら! 樹下太郎 講談社 たまたま検索したらぽろぽろ出てきたのだが、これも見ないエッセイ集。高いお金出して買うものでもないのだけどね。残りは「男性的男性」「ずばれサラリーマン」「男でありたい」「かわいい娘」「ホワイトカラーの色知恵」「サラリーマン紳士録」「若き紳士と女たち」「通勤を楽しくする」の8冊。読んだは多分「オトコ独身」「最後の人」「サラリーマンの勲章」の3冊のはずだ。
技師ガーリン トルストイ 内外社 昔から欲しくて、今回もとても高かったけれど思い切って購入する。ジュブナイルしかないが「アエリータ」が欲しいなあ。
amazonが開封されていた。
見世物研究 朝倉無声 ちくま学芸文庫 
現代アイルランド短編集 あぽろん社 在庫があったのが驚く1993年の本。フラン・オブライエンが目当てだが10ページあまりの小説に3000円はちと痛かった。

(今日買った本:6冊 今月買った本:55冊 今年買った本:1344冊)

11月10日(水)

ホラー文庫が出ていたわい。ホラー小説大賞絡みであるが、なんだか嬉しいな。
オリフィス 保科昌彦 角川ホラー文庫 ホラー大賞長編賞第一作。
砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない 桜庭一樹 富士見ミステリー文庫 なんとなく。
お見世出し 森山東 角川ホラー文庫 ホラー小説大賞短編賞。
レテの支流 早瀬乱 角川ホラー文庫 ホラー小説大賞長編賞佳作。解説は大森望氏。
とくさ 福島サトル 角川ホラー文庫 ホラー小説大賞短編賞佳作。解説は東雅夫氏。

(今日買った本:5冊 今月買った本:49冊 今年買った本:1338冊)


11月9日(火)

2時まで飲んだくれていました。ところで家人と共同購入のため購入冊数には入れていなかったのですが、デルプラドジャパンの「クラシック・カフェ」を購入しておりました。クラシックのCDが毎月ついているやつで、シリーズにはドールハウスやらミニカーやら種類がたくさんあります。
これが本屋から知らせがあり、発売もとの扶桑社がデル・プラドとの販売契約を解消したので続刊は供給できないとのこと。一体なにがあったのやらわかりませんが、取次ぎとの関係が失われているのでデル・プラドのHPを見ると現時点では定期購読しか方法がないようです。定期購読を頼むかあ。

届いた本の一部。
太陽と戦慄 鳥飼否宇 東京創元社 署名
市川森一センチメンタルドラマ集
さまよう薔薇のように 矢作俊彦 光文社

本棚探偵の回想 喜国雅彦 双葉社
エッセイ二冊目。前作同様思いっきり楽しめる。知らない人にはまったくわからないような登場人物も多いけれど、幸い私には良く分かるので面白く、個人的には「ドッキリどきどき」の回が一番面白かった。基本的にはおかしさや楽しさが全面に出ているのだけど、ところどころでは格好いいところ(覚書の項の最後に手塚全集を前にして思うところ)とか、奥様に対する優しさが素直に出た(「一期一会」)ところとかもあり、良い意味で著者の人間味が出ている良い本だと思う。気になったこと、『某殺人事件』事件の真相(創作?)と日下家訪問に出ているジュブナイルのこと。これはなんだろう。本に関して言えば質は当たり前としても、量に関してもどう考えてもうちより日下家の方が上だと思うぞ。古本に興味の無い人に(前作と合わせて)読ませたいと思う今日この頃であります。返事が遅れて出版記念に行けなかったのはやっぱり残念だったなあ。ところで本書は蔵書印がついているのだけど、bk1から購入した本についておらずがっかり。本屋で付属を確認していたので早速bk1へメールでその旨送ると、誠意ある対応ですぐに送ってくれたのでほっと胸をなでおろす。前作では近所の本屋で月報が欠けていてやっぱり取り寄せてもらったので、なんだか付録に相性が悪い感じ。でもこれ、読まなかったら(開かなかったら)気がつかないから、やはり買ったら本は読まなきゃ(開かなきゃ)いけませんね。


(今日買った本:3冊 今月買った本:44冊 今年買った本:1333冊)

11月8日(月)

早く帰っても思うように読書が進まないのはどういうことか。
電撃!!イージス5 谷川流 電撃文庫 著者の新シリーズ。
虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー はやみねかおる 講談社ノベルス
すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた ジェイムズ・ティプトリー・Jr 早川文庫FT かなりの水増し文庫。それにしても世界幻想文学大賞を受賞した作品があるとは知らなかった。
トリポッド1 ジョン・クリストファー 早川文庫SF 21世紀になってからジョン・クリストファーの作品が翻訳されるとは思わず。しかも昔学研から出ていた三本足シリーズを翻訳後に刊行された1冊を加えて4冊の刊行。嬉しい反面、なんでやねんという気持ちもあったのだが、帯を見て納得。ディズニー映画化。そりゃ再刊されるわな。1巻だけは持っていたものの、3冊そろえるのは半ばあきらめ気味だったので、とりあえずは喜ばしい。

未だに新札を見ない今日この頃。いかがお過ごしでしょうか。時間が無いので感想文は断念。

(今日買った本:4冊 今月買った本:41冊 今年買った本:1330冊)

11月7日(日)

ここのところ毎回参加している集会。買い物は会を重ねるごとに少なくなっているような気がする。

神聖家族 山口泉 河出書房新社
魔術師 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋
メルトン先生の犯罪学演習 ヘンリイ・セシル 創元推理文庫
笑う銃口 矢作俊彦 光文社文庫
はやらない殺意 矢作俊彦 光文社文庫
笑い姫 皆川博子 朝日新聞社 
深沢七郎の世界 別冊新評
SFマガジンベスト1983 早川文庫
ヒコーキ野郎たち 稲垣足穂 新潮社
治療塔惑星 大江健三郎 岩波書店 
ビジネス裏極意 荒俣宏 マガジンハウス
野守の鏡 三枝和子 集英社
ぱんぷくりん(全2) 宮部みゆき PHP

霊山 高行健 集英社
帯より引用『北京からパリへと書き継がれ、7年の歳月をかけて完成。癌を宣告された男の放浪と魂の彷徨を描き、ホメロスの叙事詩に擬せられ、「東洋のオデュッセイア」と讃えられる。』
中国人作家初のノーベル賞を受賞。ただし受賞はフランスに亡命後であり、本書も出国後に台湾で刊行されたらしく、本国では出版されていないのかもしれない。ノーベル賞受賞についてはフランスに居を移し作品を刊行していたことも大きいのだろうが、それでも中国語で執筆は行っているようで、画期的なことではあろう。本書は一人称(私)、二人称(おまえ)を交互に語ることによって、主体、客体ともいうべき自分を描くことによって思索を深めていくという作品であり、明確なプロットは存在しない。非常に雑然とした作品で、本書中で著者がこの作品を評し、「旅行記、伝聞、感想、筆記、小品、理論とは言いがたい議論、寓言らしくない寓言、民謡の再録、それに神話とは程遠い粗雑な作り話が入り乱れている。これでも小説なのか!」と書いているように、混沌とした小説。しかし本書で描かれる小説は実際の中国を如実にあらわしているのではないかと感じる。混沌とした現実。歴史。民族。暮らし。自然。実験的な作風には実際面食らうところはあるけれど、自分が出国した国、そして自らの思考を深化させるためにとった手段が恐らくは本書であり、本書を紐解くことによって著者の心の内、そして著者の心の内の中国にに分け入ることができるのだ。
表紙の幽玄さに惹かれて読み始めたのですが、かなり歯ごたえがありました。幻想小説でもないし、エンターテイメントでもないけれど、現代の小説の姿の一つとして読んでみても良いかもしれません。



去年の同時期より100冊以上購入冊数が多い。ずっと下降線だったのに困った。

(今日買った本:14冊 今月買った本:37冊 今年買った本:1326冊)


11月6日(土)

西武ライオンズ売却だぁ?もう勘弁してくれい。
ビール業界にからんで政府はまた新しい税法改正をもくろんでいるらしい。きゃつらは税金を吸い上げる道具としか見ておらず、そこで働く人たちの企業努力とか何とも思っていないのだろうな。うちはビール会社とは何の関係も無いけれど、どう考えても改正ではなく改悪だと思うぞ。全く持ってビール会社(特に製品企画・開発部門)はかわいそうだ。

いとしのヒナゴン 重松清 文藝春秋
煉獄回廊 野崎六助 新潮社
そして、警官は奔る 日明恩 講談社
ワイルド・ソウル 垣根涼介 幻冬舎

がんばって二日連続更新。本の感想も先月分までおいついた。

涼宮ハルヒの憂鬱 谷川流 角川スニーカー文庫
俺が高校に入学いて後ろに座ったのが涼宮ハルヒ。かわいい顔してしかめ面。何を考えているのかわからない。だがこいつがとんでもないやつだったのだ。そいつが結成したSOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)に行きがかり上入ってしまう俺。集まってくるおかしなやつら。涼宮ハルヒには本人も知らない世界を揺るがす秘密があったのだ。
スニーカー大賞受賞作。基本的にはライトノベルなのだが、ストーリーは一言で言えば「胡蝶の夢」ネタ。ただし普通のSFであればもっと大きな話になるのだろうが、あくまでもキャラクターの周りでしか事件はおきないところがライトノベル(こういうのをセカイ系というのか?)らしい。SF的なアイディアはかなりつめこんでいるのだが、それを感じさえずにすいすい読ませるページターナー。キャラクター造形は類型的な中にもおかしさがあり良く出来ている。もっとも気に入ったのは語り口で、そのとぼけた一人称はとてもセンスが良いと思った。正直なところかなり面白く読んだのは事実なので、ライトノベルに耐性のある人には勧めたい。
なおネットを見ていると風野氏や山岸氏は本書はライトノベル版グレッグ・イーガンとの評価らしい。風野氏によると「ハイペリオン」が重要な小道具らしいのだが、残念ながら全くわからず。「没落」以降を読んでいないからなのか、記憶があやふやなためか、にぶいだけなのか、読解力がないのか。



(今日買った本:4冊 今月買った本:23冊 今年買った本:1312冊)


11月5日(金)

封印作品の謎 安藤健治 太田出版
ウルトラセブンの「遊星より愛をこめて」、怪奇大作戦「狂鬼人間」、映画「ノストラダムスの大予言」、ブラックジャックの未刊行作品等の封印された作品について関係者からのインタビュー等をとりながら探った作品。もと産経新聞の記者だけあって、背景等について極力実地検証をしようというジャーナリスティックな方針が好感が持てる。特にウルトラセブンの封印のきっかけを作った人物や、不快な思いをする可能性がある団体等にも映像持参でインタビューを試みているところは頭が下がる。特にウルトラと怪奇に関する部分は本書でも自分の大いに興味を惹かれる部分だけあって興味深く読んだが、昭和40年代初期には恐らくは考えられなかったであろう円谷プロの企業としても暗黒面が際立つ本ではある。これできっと太田出版からはウルトラマンの写真は締め出されるのであろうか。いや、本当に締め出されたりしたら、それは逆に円谷プロの「悪の断面」を証明する結果になるだけだと思うのだが・・。とりあえず取り上げられている作品のファンの人には読み物としてお勧め。


近所の本屋でうろうろして文庫本など買う。
フランス中世史夜話 渡邉昌美 白水社uブックス カタリ派の著作で有名な著者だが、こんな本(とっても単行本からの新書化だが)を出していたとは知らなかった。読み物風に中世の逸話等を紹介していて面白そうだ。
世界が終わる場所へ君をつれていく 葛西伸哉 MF文庫J 処女作のみ読んだことがあり、ライトノベルでもわりあい面白かった記憶がある。
推定少女 桜庭一樹 ファミ通文庫 SFマガジンの書評を読んでなんとなく購入してしまう。
菅原幻斎怪異事件控 喜安幸夫 徳間文庫 今月の徳間文庫の新刊は買いたいものが無さそうだったのだが、表紙と紹介を見て迷わず購入。著者の名前は寡聞にして知らなかった。表紙は北斎の「百物語」、帯の惹句は書下ろし時代怪異譚とある。

あと古書店さん、Amazon、東京創元社からの荷物二つと、国書刊行会からの荷物二つが未開封のまま。ああそうだ。7月だか6月だかに行ったくすのきの荷物と、ジグソーさんからの陳舜臣が未開封だなあ。くすのきの方は買った本2冊くらいしか覚えていない。ある意味あけるのが楽しみだったり。

喜国さんの本を読み終わる。

(今日買った本:4冊 今月買った本:19冊 今年買った本:1308冊)

11月4日(木)

たいして何も出ていないだろうと思って本屋へ行くと意外に出ていて結構新刊を買ってしまう。ああ。
ロンドンの小さな博物館 清水晶子 光文社新書 東雅夫さんの幻妖ブックログで紹介されていて面白そうだったので購入。ロンドンの様々な博物館を紹介したもの。ただし有名なものではなく小さなあまりツアーとかでは行かないところ。目次を見たが、行ったことがあるのはホームズ博物館くらいだった。次回行ったときはこれをベースに回るかな。
バベルの犬 キャサリン・パークハースト 角川書店 犬小説。ミステリー仕立てということだ。中野善夫氏が購入していて興味を持つ。
フェイク 五十嵐貴久 幻冬舎 新刊で見たときから気になっていたのだが、ポップで千街さんの書評が書かれていたので購入を決める。
漆黒の王子 初野晴 角川書店 横溝正史賞受賞第一作。異色っぽいので買ってみる。受賞作は積読。
アウト・オブ・チャンバラ 戸梶圭太 講談社 なんとなく新刊で買ってしまう。売れていそうなのにいつもちょっと高いんだよね。買っていない本が2冊くらいあるはず。読んだのも2冊だが。
出口のない楽園 岩井志麻子 メディアファクトリー 前回の新刊は購入していないが、これは微妙に幻想系っぽいので購入する。
シックスステイン 福井晴敏 講談社 初の短編集。まだデビュー作しか読んでいないな。
悪魔に魅入られた本の城 オリヴィエーロ・ディリベルト 晶文社 内容の半分が訳者解説。


(今日買った本:8冊 今月買った本:15冊 今年買った本:1304冊)

11月3日(水)

なんでブッシュが当選するかなあ。日本人はどうかということをとりあえず棚にあげて言うと、先週展覧会で見た戦時中の日系人収容所、原爆の写真、沖縄の写真、そのときの引用されていたアメリカ人の言葉など考えるに、本当に自分たちのことしか考えていないじゃなかろうかという感想が出てきてしまう。京都議定書くらい批准しろよな。地球が壊れたらアメリカ以外が滅びるんじゃなく、自分たちも終わっちまうんだぜ。わかってんのかなあ。

「人間嫌い」の言い分 長山靖生 光文社新書 なんとなくだけど新書を読もうかという気に少しなっている。長山氏は幻想文学誌でもお馴染み。
bk1からの荷物を開封。
本棚探偵の回想 喜国雅彦 双葉社
無垢の力 高原英里 講談社
最後の歌 冴桐由 筑摩書房 太宰治賞受賞作。
彼女にとって必要なもの ぼくにとって大切なこと 冴桐由 筑摩書房 新刊で出たときからずっと気になっていた本。

神様からひと言 荻原浩 光文社
著者の本を読むのは初めて。広告代理店を辞め再就職した食品会社の初めての仕事でけちがつき、お客様相談室に転属させられた主人公。そこで出会った人間模様、会社の姿に嫌気がさすのだったが・・・。
いやあ、面白い。特に個人的にカスタマーサポート(相手は企業だが)を仕事の一つとしている自分にとっては心の底から楽しめる小説だ。ユーモアがあり、ペーソスがあり、衿を正したくなる場面もあり、エンターテイメントとはこういうものだろうという気になる。例えば源氏鶏太や樹下太郎が描いたサラリーマンの姿とは隔世の感があるのだが、本書は本来的な意味で現代のサラリーマンのためのサラリーマン小説である。ミステリーも書いている著者だが、とにかく小説が巧い。サラリーマン経験者(特にフィールド経験者)には必読と言ってしまおう。元気が出るよ。


(今日買った本:5冊 今月買った本:7冊 今年買った本:1296冊)

11月2日(火)

そうそう毎日買うものもないのだが、いまは比較的余裕があるので本屋にはだいたい毎日行っている。今日もムックを1冊だけ買う。

貫井徳郎症候群 別冊宝島 あまり買わない別冊宝島だが、今回は没作品の「死の抱擁」が掲載されているので購入。著書全作品に関する著者のひと言も掲載。あいかわらず『修羅の終わり』しか読めていないのだけど、3つのストーリーのつながりが完全に分からないままに終わってしまった。あと葉山さんも書評で登場。あいかわらずの葉山節。夏樹静子、ゴダードから入っていくあたりさすがです。大川さんも書評を書かれていますが、書店員だったの?

(今日買った本:1冊 今月買った本:2冊 今年買った本:1291冊)

11月1日(月)

届き物。
世界温泉文化史  ウラディミール・クリチェク 種村季弘・高木万里子訳 国文社  種村さんの訳書では高い部類に入るであろう本。温泉好きとしては世界の温泉も研究しようと購入。というのは嘘です。

セカンドショット 川島誠 角川文庫
「電話がなっている」という作品がSFらしいということは聞いていたので読んでみた。巻末の作品リストを見ると、執筆年代はばらばらで、文体や雰囲気もばらばら。初期は鬱屈したような緊密度の青臭い文体で、子供向けとしてはいかがなものかという感じ。反面近年の小説は弛緩したようなのびのびとした文体で、少しひねくれた一人称の青春小説のようなつくりだ。作品集としてのまとまりは全く無く、著者が何故このような形で作品集を纏めたのか(自選集か?)不明。
当然好みは前者の方で(後者の系統は一人称の言葉遣いが気持ち悪くて性に合わず)、「田舎生活」などは少年テロリストのようでわりあい面白かったのだが、肝心の「電話がなっている」は短い枚数で良くまとまっているし話の作りも巧いと思うものの、ネタ的には新味が無く(ちょっと違うけど同じようなネタで切なさを描いた漫画に藤子不二雄の「カンビュセスの籤」という作品があったな)心の底から良いとは思えず。でも若い時にこれを読んだらそれなりの衝撃を受けたであろうことは想像できるので、やはり若い人向きということになろうか。


(今日買った本:1冊 今月買った本:1冊 今年買った本:1290冊)