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Koinobori

35.横蔵から津汲・日坂を経て日坂越まで

  1. コース概要
  2. みんな親切
  3. われら東海自然歩道三兄弟
  4. 道中涼あり
  5. そうめん作戦決行!
  6. コースミニガイド

平成11年5月2日(日)

1.コース概要

前回は横蔵の人たちの親切で快適に一夜を過ごしましたので、今回はここから津汲の集落を経て出来るだけ先を目指します。
横蔵を出るとすぐに下辻越のピークを越えます。 小津の集落に出て洞泉寺にでます。 この近くにある白山神社には樹齢800年を越える大杉があり県の天然記念物に指定されています。
小津川に沿って下ると深い渓谷になります。 紅葉の名所・小津渓谷です。 渓谷の中間地点には逆アーチ型のコンクリート橋・木天蓼橋(またたびばし)があります。
小津川はやがて木曽三川の一つ・揖斐川と合流します。 合流地点は久瀬村の中心地・津汲です。
津汲を過ぎ、日坂の集落に至るほぼ中間地点に夫婦滝があります。 日坂川に落ちる清冽な滝で、対岸は公園になっています。
日坂は名水の里。 岐阜・滋賀県境の伊吹山系は名水を育む山系として知る人ぞ知る所です。 日坂には清水川と言う泉が湧いています。 また、日坂には古い豪農・高橋家の家屋がそのまま残されており、一般に公開されています。
日坂越は岐阜県内のルート最高峰・鍋倉山への入り口です。
今回は約24km9時間の道のりです。


Map of rute


2.みんな親切

横蔵のトレイルセンターは快適でした。 東海自然歩道を歩いていて、空調が効いてテレビも見れてきれいで広い部屋を思う存分利用できるなんて想像だにしていませんでした。 きっとこれも岡野さんラッキーに違いないと僕と佐々木君は肯き合うのでした。
翌朝(5月2日)、お好み焼きやさんが朝にコーヒー飲みにおいでと言ってくれていたので、義理堅く開店時間の7時に出かけましたが、まだ店は閉まっていました。 そこで、自分らで持ってきた食材を使ってトレイルセンターの入り口の階段に座ってパンとスープの朝ご飯です。 朝日をいっぱいに浴びて気持ちいい。
このトレイルセンターの裏は畑になっており、村のおばさんたちが農具を担いで次々と目の前を通っていきます。 「おはようございます」というと、皆笑顔で返してくれます。 お好み焼き屋のおばさん、横蔵寺のおばさんがやってきて立ち話。
「どうだい、良く眠れたかい?」
「ええ、もうグッスリ!」
すると、他の奥さんも立ち止まり、チョットした井戸端会議になりました。 みな、気持ちの良い方々です。 やっぱりここでも人気の的は岡野さん。 大きな荷物を背負って、口の悪い男どもと一緒に歩いている姿が珍しいのでしょう。
「女の子なのに、偉いねぇ。」
岡野さんは居るだけでその場を和ませる雰囲気を持っているのです。
7:50にトレイルセンターを出発。 トレイルセンターの前の橋のたもとに東海自然歩道の指導標があります。 これに従い、西へ進路を取ります。 水田に入って曲がり道に迷っていると、バイクのおじさんがニコニコしながら止まって、こっちだと水田の真中を伸びる道を指しました。 佐々木君と岡野さんは、ええ人ばっかりやと感心しきり。 そう、東海自然歩道の旅は山に登ったり行程を伸ばしたりするだけでなく、人に出会う旅でもあるのです。
養鱒場を過ぎて砂防ダムから山道が始まります。 ここからは山ヒルに要注意。 容易に荷を下ろして休憩する事も出来なくなるため、砂防ダムで荷を下ろして休憩します。 ここからは荷を下ろさずに一気に下辻越を越えるのです。
下辻越まではすぐ。 昨日、横蔵寺のおばさんの話に出てきた山ヒルに注意しながら、できるだけ乾いた所を歩きます。 峠を超えると、道がにわかに荒れ始め、倒木が目立つようになりました。 くぐったり、枝を折ったり、乗り越えたりしながら進みます。 山道が終わりに近づいたころ、とんかちを持った若者と遭遇。 はて、何をしているのか、面妖なと思い声をかけると、地質調査をしているとのこと。 名古屋の方からきた方だとのこと。 ボケとツッコミの探求に余念がない我々とは大違いの、学究的な方です。
砂防ダムとこぎれいなベンチとテーブルのある東屋の所から、舗装路に。 この手前の水溜りには小さなおたまじゃくしが沢山群れていました。


3.われら東海自然歩道三兄弟

川沿いに下ると小津の集落に出ました。洞泉寺で一休み。 ここまでの行程で、既に汗ダクダク。 境内の水道を頭からかぶり、涼を取ります
今回の行程を終えて帰宅してから気づいた事ですが、この小津の集落が東海自然歩道では一番北の地点になるようです。 そして、ここから中太郎生や太良路の最南の地点までルートはひたすら南下するのです。
ここから小津川沿いに長い長い舗装路を津汲へ向けて歩きます。 舗装路の脇に広がる水田では田植えの真っ最中。 笑顔で挨拶を交わしながら先に進みます。
トンネル手前で道が左に分かれています。地図で確認して左の道へ。 このあたりは小津渓谷で、とても美しい川が流れています。 秋には紅葉が渓谷を覆い、素晴らしい景色になると思われますが、落石がごろごろ落ちているのと、熊ン蜂がブンブン飛び交っているのでうかうかできません。 木天蓼(またたび)橋で記念撮影。 この橋は吊り橋のようなのですが、どう見ても材質はコンクリート。 そして、下に向けてたわんでいるのです。 建築上、あれで大丈夫なのだろうかと疑問に思いつつその場を過ぎました。
太い太い鉄管の下をくぐりぬけると、久瀬村の役場が見えてきました。 津汲の集落です。 ここで丁度お昼時。 観光案内所とかいているなんの事はない売店で、道と食堂のありかを聞きます。 車道のトンネルを越えるといい食堂があるとのことですが、東海自然歩道のルートは集落の中を通るように設定されています。 車道はきっと新道で、ルートはきっと旧道なのでしょう。 食堂には心引かれますが、東海自然歩道のルート通りに進みます。 ルート通りでもトンネルの向こうへ出るとのことだったのです。
途中のよろずやでアイスクリームを買って一休み。 3人並んで食べながら、さしずめわしらは東海自然歩道三兄弟だと言う話しになりました。 弟思いの長男(僕)と、兄さん思いの三男(佐々木君)、そして自分が一番次男(岡野さん)です。 この話しに岡野さんはふくれっ面、男二人は大笑いです。 夕食の食材を買い足そうと、再びよろずやに入ると、丁度NHK喉自慢の真っ最中。 そして歌われていたのが、まさに団子三兄弟。 今度は三人で大爆笑です。


4.道中涼あり

結局ルートに沿って歩いてもトンネルの向こうにある食堂には行き当たらず、広い車の待避所のような所で、リュックの食材を使ってお昼ご飯にしました。 夕食の食材は日坂で仕入れることにしたのです。 靴を脱いでくつろぎます。 そこで何の気なしに僕の靴の裏を見ると、なんと右足の靴底に穴があいています。 ハードな使用に底が擦り切れてしまったようです。 田口以来行動をともにしてきたこの2代目の靴も寿命のようです。 前回の雨中歩行時より、なぜか右足だけ水が入ってくると不思議に思っていたのですが、このせいだったのです。 こんなことでも、次男と三男にはオオウケで、ひとしきり笑い転げていました。 この後、ぬかるんだ所を歩くときは山ヒル注意報とともに、僕だけ個人的に右足注意報を発令することになりました。
日坂までは長い長い舗装路の上り坂。 いい加減嫌になってきたころに、左手に公園が現れました。 夫婦滝公園とのことで、ここでリュックを下ろして休憩。 ここの公園は河原に下りることができるようになっていて、我々は裸足になって熱を持った足を冷たい水で冷やしました。 ううーん、ヒャッこくて気持ち良すぎるゥ!
更に登ると、道路工事が所々で行われています。 そこで向こうからやってくる熟年ハイカー男三人組に出会いました。 挨拶を交わし話してみると、東海自然歩道を歩いている方々。 今回の行程(六合から津汲を経て神海)を歩ききると、東京から室生口大野までを歩ききったことになるとのこと。 写真を撮って別れざま名刺をいただくと、名刺をくれたのは浦和の弁護士の方でした。
後日談になりますが、名刺の住所に写真を送った所、丁寧な礼状と共に一冊の本が送られてきました。 その本は民事介入暴力と戦う弁護士のお話で、名刺を下さった弁護士の山本先生が監修なさっていました。 お会いした時はニコニコと朗らかな方だと思いましたが、仕事の時はキリリと引き締まった正義の味方になるのだなぁと思いました。 東海自然歩道ウォーカーには本当に様々な方がいるものです。
日坂の集落に入ると右手に泉が現れました。 "岐阜県の名水・清水川"とのことで、ここで休憩。 横の家の方が飲んでも大丈夫だと言ってくださったので、喉を潤します。 休んでいると向かいの家からおばさんが出てきて色々と話してくださいました。 なんでもここの名水は、水質調査の結果、日本で3番目の名水になったとのこと。 ちなみに一番は栃木県、二番は滋賀県にあるそうです。 そうと聞いたら黙っていられない現金な我々は、早速水筒の水を全て捨て、先ほどまで飲めるかどうか疑心暗鬼だった泉の水を詰めるのでした。 このおばさん、写真をとろうとカメラを向けると、写真はカナワンと家に引っ込んでしまいました。


5.そうめん作戦決行!

日坂の神社横にある商店で夕食の食材の買出し。 先程のおばさんから聞いていましたが、食材が少ない。 特に、主食であるお米は昼に食べてしまったのですが、ここでは売っていません。 このままでは歩き疲れた後のお楽しみである夕食がひもじい物となってしまいます。 普段は笑いのネタしか考えない三兄弟の頭が、メシという重大事に直面して回転し始めました。 先程の浦和の方から仕入れた情報だと、日坂越の手前にベンチが二ヶ所あり、その日坂から二番目のベンチはすぐ横に沢が流れているとのこと。 沢が流れているという事は、水だけは豊富に使えそうだという事です。 ということは、麺類OK!ということ。 その情報を頼りに、ここではそうめんとそうめんつゆを仕入れました。 そして忘れずにワンカップも購入。 いかなる時も、酒、忘るることなかれ、とは長男の教えです。 さらに、翌朝の朝食用に、きつねどんべえまで仕入れました。 これで水が無かった場合は、そうめんやどんべえを乾麺のまま食べるしかありませんが、そんな危険性は露ほども考えていない、ノー天気三兄弟なのでした。
日坂は山村であるにもかかわらず、沢山の車が行き交います。 それはこの奥に揖斐高原のリゾート施設があるからです。 おしゃれな格好をしてカッコイイ車を飛ばす若人の横を、埃にまみれて大きなリュックを背負って上り坂を歩くのはチョットみじめな気もします。 しかし、地元の方の笑顔は我々に優しく、ほっとします。 道の両側に広がる耕作地で働く人たちも、埃にまみれて大きな荷物を背負って歩く、薄汚れたカタツムリのような我々に、耕作の手をしばし休めて声をかけてきてくれます。
揖斐高原へ向かう道と別れ、山菜を摘む人と挨拶を交わして山中に入っていきます。 山道への入り口でしばし迷いましたが、たまたま畑を見ていたおじいさんに伺って、鍋倉山への登りに入りました。 件の二番目のベンチは沢のすぐそば。これならヒエヒエのそうめんが作れそうです。 佐々木君と岡野さんがテント設営、僕がそうめん作りと役割分担をして野営の準備をします。 沢の水で作ったそうめんはとても美味しく、ありったけの食材を出して、贅沢で楽しい夜はふけていきました。 その夜は3人で川の字で眠りました。 こうして寝ている様は、まさに東海自然歩道三兄弟の趣だなぁと眠りに落ちていきながら長男は思ったのでした。


6.コースミニガイド

横蔵へは近鉄揖斐線揖斐駅から近鉄バス(0585-22-1707)が出ているほか、名鉄谷汲線谷汲駅からも近鉄バスが出ています。 横蔵寺から来た場合は赤い橋の手前に、バスで来た場合は駐車場の近くにある赤い橋を渡ってすぐに、下辻越をさした標識が立っています。 しばらく進むと田んぼに出るのですが、山奥に向けて山肌に沿った道か田んぼの真ん中の道か判然としません。 結局合流するのでどちらでもかまわないと思うのですが、僕らが教わったのは田んぼの真ん中の道でした。
下辻越は荒れていましたが、しっかり通れました。しかし、荒れやすい場所のようなので、荒天の後に歩く場合は注意が必要かもしれません。 小津までは迷う事はないでしょう。 正確なルートは洞泉寺を経由しないと思うのですが、寺には水道とトイレがあり、こののち津汲までほとんど人家が無い事を考えると、休憩しておいたほうが良いでしょう。
津汲まではほぼ一本道なので迷いませんが、木天蓼橋付近の小津渓谷を通るためには、トンネルの手前で左方向へ伸びる道に入っていく必要があります。 この道はトンネル手前から始まりトンネルの終点で再び合流します。 津汲方面から来た場合は標識がしっかり立っていたので迷う事はないでしょう。
津汲には宿泊施設があります。 僕が見ただけでも国道沿いに二軒がありました。 この情報も久瀬村産業課へお問い合わせ下さい。
津汲では太い車道と交差した後、集落の中を通るように進みます。 集落のはすれから、右方向に道が伸びていますが、こちらには進まず、左方向を示している標識にしたがって下さい。 やがて、トンネルをくぐり橋を渡ってきた車道と合流します。 合流したら左へ進みます。 ここから、最初は左手に川を見下ろしながら、途中から右に川を見下ろしながら舗装路をひたすら登ります。 行きつく先が日坂の集落です。
日坂の集落から貝月山リゾートへ向かう道と東海自然歩道のルートは重なっています。 そのため、小奇麗な車が数多く通る中を歩くことになります。 途中の分岐でリゾートへ向かう車とわかれ、小さな集落へ入っていきます。 この集落から鍋倉山への登り道に入るところ(畑のまん前)には標識があるのですが、直進するのか右上に上るのか今一つ判然としません。 ここは右上へすすんでください。ここから鍋倉山までは標識もしっかりしており、迷うことはありません。 日坂には宿泊施設はないと思いますし、交通機関もあるかどうかわかりません。 やはり、久瀬村産業課までお問い合わせ下さい。

日坂越ー大津谷公園へ

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