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autum around Mt.Fuji

8.精進民宿村から本栖湖・朝霧高原を経て猪之頭へ

  1. コース概要
  2. 碧い湖青い富士
  3. 新兵器登場
  4. 強者登場
  5. 静岡県エライッ!
  6. コースミニガイド

平成8年11月16日(土)

1.コース概要

今回は、富士の西麓を南に向けて静岡県に入るコースです。 晩秋を迎え、肌寒くなってきたので、これが今年最後の歩行とする予定です。
前回は、精進民宿村で終わっているので、今回はここから富士五湖の最後を締める本栖湖を見て、県境を越えて猪之頭へ至ります。 精進民宿村から本栖湖までは、青木が原樹海のはずれにあたり、静かな林の中の道が続きます。 本栖ロッジの脇を通ると、本栖湖はすぐです。本栖湖は、日本で二番目の深さを誇り水の透明度もよい美しい湖です。 その美しさは五千円札でみなさんお馴染みですね。特に、朝方に本栖湖を挟んでみる富士は特筆物の美しさという話です。 東海自然歩道の本コースはここで初めて富士五湖のほとりを通ります。 今までは富士五湖を見下ろす事はあっても岸を歩くコースにはなっていなかったのです。
本栖湖を過ぎると龍ヶ岳・雨が岳・毛無山の麓に沿って歩く道になります。 龍ヶ岳の麓で、一時山梨県を抜け静岡県に入ります。静岡県に入って最初のポイントがA沢貯水池です。 A沢貯水池を過ぎるとすぐに根原の吊り橋を渡り、朝霧高原に入ってきます。 朝霧高原は源頼朝が大規模な狩りをした所としても知られていますが、今はのどかな牧草地帯になっています。
毛無山の麓にあるポイントがその名も”麓”という地区です。ここには、東京農大の農場があります。 麓を過ぎ、麓の吊り橋を渡ると、朝霧グリーンパークを横に見ながら猪之頭へ。 猪之頭は水の豊富な里として知られ、東洋一の規模を誇る富士養鱒場などもあり、陣馬の滝もあります。 今回は約24km6時間半の道のりです。

2.碧い湖青い富士

前回と同じ列車で、8時半に河口湖駅に到着。 バスの発車まで間があるので、セブンイレブンによってお弁当を仕入れると同時に水道を借りて水筒に水を入れる。 午前9時過ぎのバスに乗り、10時に精進民宿村到着。バスに乗ったときは大勢の乗客がいたのに、ここまで乗ったのは僕一人でした。
さて、本日の行程のスタート。今日は行ける所まで行こうと考えています。 というのも、次回の行程ではどうしても宿泊を伴いそうなので、今回頑張って距離を稼ぎ、次回の行程に余裕を持たせたいからです。 まず、目指すのは本栖湖です。 紅葉は今が最後の時期で、十分に色づいた紅葉の下、木漏れ日をいっぱいに浴びながら誰もいない道を歩きます。 天気は抜群に良く、歩いていて大変気持ちがいい。 精進民宿村から本栖湖へ至る道は、静かな林の中を縫っておりとてもきれいな道で、隠れたお勧めルートです。 美しい落ち葉が道いっぱいに落ちているので、形のいいのを選んで拾いながら歩きます。 これを友人などに送ると喜ばれそうです。
一時間ほどで、本栖ロッジにでます。 ここを過ぎると本栖湖畔はすぐです。 本栖湖にやってきたのは20年ぶりくらいでしょうか。 今秋の歩行で、富士五湖は全て望んできましたが、湖畔を歩くのは初めてです。 眼前に広がった本栖湖は、碧々とした水をいっぱいにたたえ(岸の様子からすると水量は少ないようでしたが)、日光を浴びてキラキラ光り、とても美しい。 湖面を風が渡り、細波が立っています。 大きく深呼吸をしてさわやかな空気を胸いっぱいに吸い込みました。 ふと、彼方を見つめると、そこには青い富士山が堂々とした姿をくっきりと現し、素晴らしい眺めです。 雲一つ無い快晴に恵まれて、本当によかった!

Lunch Time

3.新兵器登場

本栖湖畔を歩き、売店の前で一休み。 売店ではおばちゃんがストーブにあたっていたので、「あったかそうでいいねぇ」と声をかけると、「どこへ行くんだ」と聞かれました。 東海自然歩道に沿って静岡県へ抜けるという話をすると、「そりゃぁ、今日は天気がいいし最高だ。富士山がズーッと見えるぞ。」と嬉しい事を言ってくれました。 今日は、美しい富士を十分堪能できそうです。
本栖湖の美しい姿を目に焼き付けて、林の中の行程に入っていきます。 青少年スポーツセンターの脇を抜け、静岡県境を目指します。 スポーツセンターを過ぎると、行き交う人もなくなり、国道と付かず離れずしながら南へ向かいます。 途中、霜柱が立っていたり、氷が張っていたり、このあたりはかなり冷え込んできているようです。
それにしても、腹が立つのは山梨県の自然歩道に対する整備の悪さです。 確かに歩くだけでは周辺にお金は落とさないし地域の振興に役立たないかもしれませんが、自然歩道の趣旨はそんな所にあるのではないでしょう。 国民がより身近に自然を感じるために作られたのではないでしょうか。 ところが、標識は不備が目立つし、途中の保全林では伐採をした木を歩道の上にためている始末。 中には、木が道を塞いでいる所もあったりして、自然歩道を歩きやすく保とうという姿勢が感じられません。 難渋した以上に腹が立ってきました。
倒木を越え、龍ヶ岳を巻くように歩いてくると、県境割石峠に着きました。時間は12時半。 ここで昼ご飯です。 ルートは国道から少しはいった所にありますが、開けた場所を求めて国道沿いに出てきて荷を下ろしました。
実は今回から新たに加わった装備があります。 第一に、携帯用コンロ。 こんな物も今まで持っていなかったのですよ。いかにも、ウォーキングや登山の初心者という感じでしょう。 海の近くで野宿という事は何度もありましたが、車で行ってしまうときはカセットコンロを持っていってしまうので携帯コンロなんて高価なものは必要なかったのです。
第二に、携帯用お鍋セット。これは携帯用コンロとセットで使うものですね。 ”お鍋セット”などというより、もっとカッコいいカタカナの名称がありそうですが、そんな名称は知らないので、わかりやすく”お鍋セット”。
第三に、杖。ステッキというのかもしれません。 丹沢で、下りに膝が痛くなった苦い経験から必要なものとして目をつけていたのですが、ようやく登山の店で携帯用の手軽なものを見つけ購入しました。 ようやくもなにも登山の店に行けば当たり前のように売っている品なのでしょうが、なにぶん登山用品なんて縁が全くなかったものですから、そんな店も行く機会がなかったし、行きたいとも思わなかったのです。 しかし、この期におよんでようやくその必要性を感じ、登山用品の店へ足を踏み入れるようになったわけです。 話を戻して、ステッキですが、これがあると歩くのもかなり楽になるというのがわかります。 僕にとって、自然歩道踏破のための必須アイテムになりそうです。
昼ご飯はトンカツ弁当を、新兵器のコンロで沸かしたお茶でいただきます。 最高のおかずは、何といっても目の前に雄大にそびえる富士の山です(写真参照)。

4.強者登場

1時に腰を上げて、出発。はじめにお話したように、今日はできるだけ距離を稼ぎたいので、休憩時間も短めにします。
Mr.Nomura 次の目標はA沢貯水池。そして道はついに静岡県に突入です。 山肌に沿った道を行きますが、心なしか道が整備されている気がします。 静岡県に入ったばかりで確証を持っていえるわけではありませんが、山梨県とは比べ物にならないほど整備が行き届いているようです。
道はA沢貯水池を見下ろしながら巻くようにA沢へ下りていきます。 貯水池は長方形で人工的な形をしていますが、青い水をたたえて美しく見えます。 貯水池のほとりを回り込んで、A沢を過ぎたのが1時50分。
根原の吊り橋を目指して歩いていると、標識の側で休んでいいる人がいました。 人に会うのが珍しい道だったので、「もしや・・」と思って声をかけました。 そうしたら、はたしてそうでありました。 休んでいたその人、野村さんは、大阪の箕面からここまで歩いてきた人でした。 しかも、東海自然歩道が分岐している山の辺コースや恵那コースも含めて、ここまですべてのコースを歩いてきているそうです。 今までかかった日数は、のべ60数日。3年にわたり歩いているそうです。 ずっと単独行で、一人での幕営も一日歩いて誰とも会わないのも当たり前だという事で、今夜も幕営をするそうです (ここまでの行程で、宿に泊ったのは一日しかないそうです)。 煙草を一本いただいて、ゆっくりとお話をして、写真を撮って、NIFTYのIDを交換して別れました。 いろいろなお話がとても参考になりました。
根原の吊り橋を渡ると、そこは朝霧高原です。 遠くに草をはむ牛が見え、すそまではっきりと見える富士をバックに、緑の草原が映えます。 また、遠くの小高い丘ではパラグライダーのスクールもやっています。 本栖湖畔の売店のおばちゃんの言ったとおり、今日は素晴らしい景色に恵まれました。

5.静岡県エライッ!

さて、そろそろ帰りのバスが気になってきます。 事前に調べた時刻は、朝霧グリーンパークが4:40、猪之頭が4:55です。 とりあえず、次のポイントである麓に何時ごろつけるかによってどこまで行くかが決まるでしょう。 地図の上での時間によれば、4:00頃に麓の集落に着く予定ですが、ほとんど休みなしの早いペースで歩いているため、かなり早く着くことが予想できます。
牧草地帯を左手に見ながら2度ほどの休憩をはさんで歩いていると、先に集落が見えてきました。 そこが麓で3:20到着。 これまでになかったようなきれいなトイレがあり、再び”静岡県エライッ!”と叫んでしまうのでした。 誉めついでに、もう一言。 今回は、静岡県東海自然歩道連絡協議会編の”東海自然歩道静岡県コース”という小冊子を携帯しています。 これは、”東海自然歩道ウォークガイド”に記載のあった、パンフレットの入手方法を参考にして入手したものです。 方法とは、静岡県庁内の商工労働部観光課に電話をするというものです(054-221-2534)。
「あの、東海自然歩道のパンフレットをいただきたいんですが」
「ああ、差し上げますから取りに来てください。」
「あの、東京なんですけれど。」
「ああ、それなら送って差し上げますよ。住所を教えてください。」
てな、やり取りの末、郵送料も県庁もちで送ってくださったのです。 エライでしょう、静岡県!
さて、これで帰りのバスには間に合いそうです。 東京農大の牧場の脇を抜けて麓の吊り橋を渡って、朝霧グリーンパークへ。 名前からして、ピクニックランドのようなものを想像していたのですが、何時まで歩いてもそれらしき物はなく、廃屋が続きます。 そのうちに、東海自然歩道の標識ではグリーンパークを過ぎてしまいました。 どうやら、先程の廃屋の一群がグリーンパークだったようです。
時間は3:45でまだまだ余裕があります。 この調子なら猪之頭までいけそうです。
しばらく見通しのいい道が続いていたのですが、ここから再び林の中の道に入ります。 この区間は、標識の距離表示がいいかげんで、例えば、あと1.8kmの表示から100mも歩かないうちにあと1.0kmになっちゃったりします。 中学校を過ぎると、きれいな小川の流れる里に入り、そこが猪之頭です。 陣馬の滝まで歩いて、今回はここでおしまい。 時間は4:30。ちょうど良い感じです。
バス停へ見当をつけて歩き、猪之頭農協前のバス停に着きました。 バスが来るまで少し時間があるので、くれなずむ中で葉書をしたためます。 4:58にバスに乗り込み、6:00に富士宮駅に到着。 6:06富士宮発の身延線で富士に出て、ワンカップを飲みながら東海道線で鎌倉の実家へ帰りました。

6.コースミニガイド

精進民宿村を通るバスは本数が多いとは言えないので、事前に確認をした方が無難でしょう(富士急静岡バス0544-22-3100)。
精進民宿村から本栖湖にいたる道は、なかなか整備が行き届いているわりに人通りが少なく、秋には紅葉がきれいでお勧めです。 本栖湖の周辺は標識を見失いやすいので注意しましょう。わからなくなったら、青少年スポーツセンターを目指していけば大丈夫。 ここの裏手辺りから東海自然歩道に戻れます。
県境まではさして特筆することもない道。行く先に富士が見え隠れする程度です。
県境からA沢貯水池までは、今回の行程で唯一山道になります。 と言っても、さしたる坂はないので心配には及びません。 整備の状況も静岡県内に入るとグッとよくなります。
根原の吊り橋を渡ったあたりから朝霧高原に入っていきますが、ここからの眺望は絶品です。 道もほぼ平坦で、距離を稼ぐのによいコースです。 また、確かこの辺りだったと思いますが、雨が多いじきに通れなくなる箇所があります。 その際は、迂回路が設定されており、この近辺の標識に表示がされていたはずです。
朝霧グリーンパーク(跡?)から猪之頭までは、文中にもある通り、標識の距離表示がいい加減なので、だまされないように。 自分の足の早さと歩いた時間で距離を推し量るようにしましょう。
猪之頭や、朝霧グリーンパークからのバス便は、精進民宿村と同じ富士急静岡バスに問い合わせてください。 それ程本数が多くないはずです。 ただし、白糸の滝まで出れば、たくさんのバス便があるのでここまで何とかたどり着けば富士宮には出れるはずです。 しかし、歩いて白糸の滝まで行くわけにもいかないので、白糸の滝の前にあるタクシー会社の連絡先を付記しておきます(昭和タクシー(株)白糸の滝営業所0544-54-0119)。 本栖湖・麓・猪之頭付近の宿泊の問い合わせは、本栖湖観光協会(0555-87-2518)・上九一色村観光課(0555-88-2111)・富士宮市観光協会(0544-22-1155)・富士宮市観光協会(0544-27-5240)まで。

猪之頭−上佐野へ

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