mc_title2Mac Clinic Tips:
我が家にADSLを導入する
−MacでのフレッツADSL設定方法
How to set up Flet's ADSL for Macintosh

修正2版:2001年6月8日(OT2.7.6アップデートでフレッツ接続ツールが使えなくなる注意を追加)
修正2版:2001年6月4日(AirMacを使用時のPPPoE設定に関する誤記訂正)
修正1版:2001年5月28日(屋内配線図追加、ルータ情報変更)
初稿:2001年5月27日
フレッツADSLへの変更を考えておられるユーザーのために、自分の経験をふまえ、プロバイダの選定や、宅内の配線、ハード、ソフトの設定方法をまとめてみました。

目次:
1.フレッツISDNからフレッツADSLへ
2.家屋内の配線
3.ADSL接続の設定
4.ADSLのメリットは?

1.フレッツISDNからフレッツADSLへ

■本当はフレッツISDNでも十分なのだが
我が家では2000年4月にISDNに変更した。
ISDNは期待するほど速度は速くなかったが、ダイアルアップルーターを使うと接続切断が自動的に行われるため、いちいち、「インターネット接続」や「FreePPP」を立ち上げる必要もなく、また接続が瞬時に行われることが快適だった。このことは反面、知らないうちに接続されていることもあり、常にルータの接続状況を監視していて、気がつけば手動で切断をする習慣を付けなければならなかった。仕事が忙しかったこともあり、自宅でインターネットに接続する時間はそれほど長くはないのだが、毎月の電話料は7、8000円にもなり、女房からは常に苦情を言われていた。

やがて、フレッツISDNサービスが開始され、私もこれに変更した。2000年10月のことである。
フレッツISDNは常時接続サービスというよりは、接続料が固定のサービスであり、接続時間を気にせずに使えるところが最大のメリットである。ほぼ同時に、AirMacを購入し、PowerBook G3を無線LANで使用するようになると、このメリットを本当に感じるようになった。

ちょっと調べたいことがあれば、書斎で本を探すのではなく、ダイニングテーブルでPowerBookからインターネットでちょっと調べるということが可能になった。いちいち接続料金を気にしていたのではこのような使い方は出来ず、フレッツはAirMacを最大限活かすことにもなった。

フレッツISDNも普及が進むにつれ、ユーザー数が増えてくれると、当然のことながら速度が低下する。昔に比べればテレホーダイの利用者が減ったとはいえ、多くのユーザーがインターネットに接続するのが、家族が寝静まってからになるのか、依然として夜の11時から1時頃はかなり速度が遅くなる。また、年末年始や5月の連休中などにアクセスが集中して速度が遅くなるのも以前と変わらない。

多少速度が遅くても、料金は固定だから、ソフトのダウンロードなどでは気にならない。
しかし、ホームページの表示が非常に遅いとやはりいらいらがつのることになる。
2001年の春ごろから、より高速の接続を検討し始めた。

私が住んでいる東京世田谷区はインターネットの接続環境には恵まれており、ADSL,フレッツADSL,CATV,光接続(実験)を選ぶことが可能だった。もちろん最終目標は光接続なのだが、NTTも含めて本格的普及にはまだ2年はかかるだろうと判断した。そこまでは待てないのと、しばらくは今後の中心になっていくADSLを経験する必要があるという考えから、ADSLへの移行を決心した。

CATVは初期投資がかかりすぎること、いろいろな制約が多いことから、初めから検討しなかった。



■どのASDLサービスを選択するか
ADSLについては、eーAccess,東京メタリック、プロバイダ独自のASDLサービス(ODNのJ-DSLサービスなど)、フレッツADSLを比較した。判断要素としてはトータルにかかる費用、ホームページ容量、ダイアルアップ接続サービスの有無、アクセスポイント、メールアカウント数、Macへの対応、サービスの継続性と信頼性を比較した。


ADSLプロバイダ比較
  ASDL独自サービス フレッツADSL
プロバイダ名 東京メタリック OCN ODN ASAHI-NET ASAHIーNET 246-net
サービス名 Family
ルータータイプ
Accaプラン
ルータータイプ
J-DSLパーソナル
ADSL-Eオプション
ルータータイプ
フレッツADSL
プランS
フレッツADSL
デイタイムプランB
追加プロバイダ名
追加サービス名
Asahi-Net
プランS(モバイル用)
Asahi-Net
プランA(HPサーバ用)
Asahi-Net
プランA(HPサーバ用)
 
プランS(モバイル用)
   
初期費用 27000 25000 3800 32800 0 0
NTT工事費   2800 2800 2800 2800 2800
電話代(月固定) 5500 5700 5700 5350 4600 4600
ADSL使用料(月) 上記に込み 上記に込み 上記に込み 上記に込み 950 1200
追加サービス費(月) 1950 800 800 1950 1950 500
月額合計 7450 6500 6500 7300 7500 6300
ルータの有無 初期費用に込み 初期費用に込み モデムにNAT機能あり 初期費用に込み 市販ルーターが必要 市販ルーターが必要
ルーター価格 0 0 0 0 17800 17800
ルータを含んだ2年間の総額 205800 183800 162600 210800 200600 171800
ダイアルアップ 別途 込み 込み 込み 込み 込み
無料ホームページ 100MB
+50MB
(Asahi-net)
10MB
+25MB
(Asahi-net)
2MB
+25MB
(Asahi-net)
25MB 25MB 50MB
メールアドレス 1アカウント 1アカウント 1アカウント 1アカウント 1アカウント 3アカウント
ダイアルアップ時間 無制限(Asahi-net) 無制限 無制限 無制限(Asahi-net) 無制限 6 〜21時無制限
アクセスポイント 全国 全国 全国 全国 全国 東京/横浜のみ
Macサポート OK OK OK OK OK
その他     モデムレンタル料無料      


独自ADSLサービスの場合はモデムやルーターを購入する方式をとるため初期投資がかかる。一方、フレッツADSLの場合はモデムはレンタルすればよく、初期投資はNTTの工事費だけで済む。
東京メタリックはプロバイダでもあり、ADSL以外のサービスを提供していないため、モバイルでアナログ接続が必要な場合は、他のプロバイダと契約しなければならない。ODNなどのプロバイダが提供する独自ADSLサービスの場合は、アナログ接続のサービスが含まれているか、追加契約で使用することが出来る。AsahiーNetのように独自ADSLサービスとフレッツADSLサービスの二つを提供しているところもある。
私の場合は、ホームページを持っている関係で、無料のホームページサーバーが25MB程度は欲しいことと、昼間はモバイルで使用するためダイアルアップ接続ができることが条件だ。単独のサービスではそれが満足されない場合は、AsahiーNetを別契約することで試算をした。
また、家庭内では複数のMacで同時使用するため、ルーターが無いものについては市販のルーターを購入することで計算した。
その比較表が次のものだ。

2年間の費用総額を見るとそれほどの大きな差はない。ODNの場合は独自サービスだが初期費用がかからず総費用も安い。しかし、大きな選択は、独自サービスとするか、フレッツとするかだ。独自サービスの場合は、プロバイダとの契約となるため、もしそのプロバイダが気に入らなくて変更する場合は、初期の工事まで含めて全てやり直さなければならない。一方、フレッツADSLの場合は、NTTとの契約となるため、契約後でもプロバイダは自由に変更できる。
結局、この自由度と、NTTの信頼をとって、フレッツADSLにまず決めた。次に、プロバイダの選定を行った。
大手のプロバイダは安心感はあるが、ホームページの容量に制約があり候補には出来なかった。
最終的に、非常にコストが安く、それでありながら、ホームページは50MB,メールアカウントは4つ、ダイアルアップは500円で昼間は無制限というサービスの246-netに決めた。私が住んでいる地域のローカルプロバイダで、多少の不安はあったが、費用の安さに負けてしまった。



2.家屋内の配線
我が家は1戸建てで、電話コンセントは1階の廊下と2階のリビングにある。戸外の電話線は2階の壁から入り、まず2階のコンセントに接続され、そこからリレーする形で1階のコンセントに配線されていた。
デスクトップのMacは1階の私の書斎にあり、ここには電話コンセントが無かったので、モジュラー線を壁をはわせて延長するしかなかった。当初は、アナログモデムを使用していたが、将来はISDNにするつもりであったため、モジュラー線を2本同時に配策した。
ISDNにしたとき、以下のように屋内の配線を行った。
1階、2階の電話コンセントを1コンセント式のものから2コンセント式のものに変更した。2穴のコンセントプレートは東急ハンズあたりでも売っているが、電源コンセントを含んだ4穴のプレートとなると探すのは難しく、秋葉原の専門店で入手した。電話コネクタは2線式または4線式のもの(どちらでもよい)を購入した。
1階と2階の間をつなぐ電話線は全部で10本ほどの電線があり、そのうち2本だけが使用されていた。残りのうち適当に2本を選び、1階のコネクタと2階のコネクタに接続した。電話コネクタへの接続は挿入するだけであり、簡単に行える。
外からのISDN回線をダイアルアップルータで受け、そこからアナログ回線を戻し、1階のコンセントのもう一方に接続する。これで2階の追加コンセントがアナログ電話で使えるようになる(2階でもISDNがとれるようにもなっているが、本来はこれは使えないようにしてもよい)。


1階の電話/電源コンセント



今回、ADSLにするにあたり、この配線をそのまま流用することにした。
つまり、デジタル/アナログ混合信号を1階のスプリッタで受け、アナログ線を1階のコンセントに戻して2階に上げ、アナログコンセントから電話につなぐ。2階のADSLコンセントにスプリッタを接続すれば、わざわざ戻しをやらなくても電話は使えるのだが、NTTはスプリッタを一つしか供給してくれないので当面はこれでやるしかない。

ADSLモデム、ADSLルーターにはアナログ電話機能はないため、1階の電話はスプリッタを出たところで2股アダプタで分岐させることにした。ISDNルーターはアナログ電話の機能が充実しており、複数のアナログ電話を接続して内線通話などもできるのだが、ADSLルーターにはそのような機能が無いのが残念だ。



■ブロードバンドルータを選択する
我が家では1階の書斎のMacはEthernet接続、2階と3階で使用する場合は、AirMac接続としている。
AirMacはISDNには対応していないため、ISDN環境で複数のMacを使用する場合は、ISDNルーターが必要だった。ADSLの場合は、ADSLモデムとAirMacベースステーションがEthernet接続されるため、AirMacのみで複数接続が可能になる。
従って、適当なポート数のスイッチングハブを購入すればEthernetネットワークは構築できるのだが、常時接続の場合は、ファイアウォールの機能など、別なネットワーク機能も欲しかったので、ブロードバンドルータを購入することにした。
AirMacを導入していない環境で、複数のMac(Windowsも含めてもよいが)を同時接続するには、ブロードバンドルーターは必須である。

現在、市販されているブロードバンドルーターは20種類ほどあるが、その全てがフレッツADSLに対応しているわけではない。フレッツADSLの場合はPPPoEプロトコルへの対応が必要であり、カタログ上はPPPoE対応と書いてあっても必ずしもフレッツADSLに対応しているわけではないので注意が必要だ。
更に、ほとんどのルーターはウェッブブラウザー(NetscapeやInternet Explorer)で設定を行うため、Macでも設定が可能なのだが、中には専用のソフトを必要とするものがあり、Macでは設定できないものがある。
下に、Macで使用が可能なブロードバンドルータを表示する。


CATV/xDSL用ブロードバンドルータ
メーカーメルコ・BUFFALONTT-MELinksysコレガAccton TechnologyPLANEX
商品名有線LAN ローカルルータ BroadStation ブロードバンドアクセスルータEtherFast 4-Port Cable/DSL Routerブロードバンド・アクセス・ルーターBroad Directシリーズ
4ポート・オールインワンブロードバンドルーター
bRoad Runner
4ポート・ブロードバンドルーター
商品型式BLR-TX4BA512BEFSR41BAR SW-4PSMC7004BR BRL-04F
販売実勢価格\15,800\14,800\17,800\15,800\15,800\21,800
LANポート数4ポート
10Base-T/ 100Base-TX
1ポート
10Base-T/ 100Base-TX
4ポート
10Base-T/ 100Base-TX
1アップリンクポート
4ポート
10Base-T/ 100Base-TX
4ポート
10Base-T/ 100Base-TX
プリンタポート
4ポート
10Base-T/ 100Base-TX
対応OSWindows
Winで設定した後ならばMacでも使用は可能
Windows
Macintosh、Linux
Winodows
Macintosh、Unix、Linux
Winodows
Macintosh、Unix、Linux
Windows
Macintosh
(プリンタサーバーはWinのみ)
Windows
Macintosh、各種UNIX
設定方法専用ソフトWebブラウザWebブラウザWebブラウザ
Win専用ソフト
WebブラウザWebブラウザ
Firmware
アップデート
Win機が必要Macで可能Win機が必要Win機が必要?不明Win機が必要?
フレッツADSL対応
最新のF/Wにアップデートが必要
備考AirStation「WLAR-L11-L」から無線機能を外したものPLANEX社BLR-01NのOEM品日本語マニュアル付き/ブラウザ画面は英語
1ポート、8ポート仕様あり
なしなしNTT光IP通信にも対応
(2001.5.28現在)


どのルーターもルーターとしての機能には大きな差はない。CATV,xDSL対応、ファイアウォール機能、DHCPなどはどれもが持っている。ハブを内蔵しているものはすべて、10Baseと100Baseのスイッチングハブ(自動的に速度を切り替えるハブ)機能をもっている。
フレッツADSL対応ということでは、NTT-NEのBA512が最も安心できるのだが、ハブを内蔵しておらず、ハブを追加購入しなければならない。LynkSysのBEFSR41はアメリカの製品で、アメリカでは最も実績のあるブロードバンドルータだ。
結局、実績、デザイン、コストパーフォマンスの点で最も優れていると判断した、LynkSysのBEFSR41を購入した。



3.ADSL接続の設定
先の述べたように、我が家ではADSLルーターとAirMacを使用しているが、読者のために最も簡単な組み合わせから、それぞれの接続設定について説明しよう。

(1)ADSLモデムだけの場合
最もシンプルな構成。インターネットに接続するMacが一台だけでデスクトップの場合の組み合わせになろう。
ADSLモデムのLANポートとMacのEthernetポートをEthernetストレートケーブルで接続する。

必要なソフトは、NTTから送られてきた「フレッツ接続ツール」をMacにインストールして使用する。設定方法は、「フレッツ接続ツール」のマニュアルまたは各プロバイダの接続マニュアルに従えばよい。

注意:
2001年6月6日に配付が開始された「Open Transport 2.7.6アップデート」によりアップデートを行うと、フレッツADSLの接続が出来なくなる。
これは「フレッツ接続ツール」をインストーラーでインストールすると「フレッツ接続ツール」という名前のmdev (Mac TCP Device)がイストールされ、TCP/IPコントロールパネルの接続先として認識されるようになっているが、OTのアップデートでこれがリセットされるためだ。
OTをバージョンアップした場合は、その後、再度「フレッツ接続ツール」をインストーラーでインストールすればよい。

肝心なことは、Macのコントロールパネル「TCP/IP」の設定画面で、「接続先」として「フレッツ接続ツール」を選択することである。これが従来の「PPP」の代わりになり、PPPoEが機能する。
「接続方法」は「PPPサーバーを参照」を選択し、ネームサーバーアドレス欄に、各プロバイダから指定されたアドレスを記入する。プライマリ、セカンダリとも入力するのが正しいが、1つしか指定されなかった場合は、1つ(プライマリだけ)でもよい。

<TCP/IP画面>


Mac用の「フレッツ接続ツール」アプリケーションは「Enternet」という英語版のソフトを急造で日本語化したもで、不完全な日本語化だ。設定項目がほとんどないので、分からないことはないと思うが、フレッツADSLのユーザー名は、通常のユーザーIDとは異なるので注意が必要だ。
ISDNのようにアクセスポイントの電話番号を入力する必要はない。PPPoEの場合は、Ethernet接続と同様に接続先のIPアドレス(またはドメイン名)だけで接続が可能になる。
フレッツ接続ツールの接続先としては、当然のことながら「Ethernet」を選択する。

<フレッツ接続ツール画面>


インターネットへの接続、切断は「フレッツ接続ツール」を起動し、ボタンを押すことで行う。ADSLは全て常時接続であるから、Macを起動中はずっと「接続」のままにしておいてもよいのだが、セキュリティ上の問題があるので、不必要なときは「切断」する習慣を付けておいたほうがよい。
やはり、常時接続を快適にい使うならば、このような接続、切断の煩わしさが無い(3)以下のルーター接続とすべきだろう。

「フレッツ接続ツール」は機能的に若干問題がある。もし、これでうまく接続できないとか、見れないホームページがある場合、「MacPoET」というアプリケーションを使用すると改善されることがある。
このソフトの入手方法、使い方については、ライブラリ:「MacPoETによるフレッツADSL設定方法」に詳しいので参照して欲しい。



(2)AirMac経由ADSLモデムの場合
PowerBookやiBookを使用している場合は、AirMacで無線接続するのがスマートだ。
ADSLモデムのLANポートとAirMacベースステーションのEthernetポートをEthernetストレートケーブルで接続する。

次いで、AirMacの設定だが、オリジナルのAirMacのファームウェアはPPPoEには対応していないため、そのままではフレッツADSLを使うことは出来ない。必ず、AirMac1.3以降をダウンロードし(URL)アップデートしておかなければならない。
アップデートを行うと、ベースステーションの設定画面のうち、「インターネット」の設定画面の「接続方法」として「PPP over Ethernet (PPPoE)」が選択できるようになる。
ここに、プロバイダから指示された必要な情報を入力する。ネームサーバーアドレス番号は、TCP/IPコントロールパネルに入力したものと同じものを入力しておく。
AirMacで使用するMacが2台以上ある場合は、ベースステーションの設定でNAT機能とHDCPサーバー機能をオンにしておくことを忘れないように。これで、複数のMacから同時にADSL接続が可能になる。

<AiMacベースステーション設定画面>



AirMacの設定以外は、コントロールパネル「TCP/IP」だけで、接続先は「AirMac」でとなる。

NTTから送付された「フレッツ接続ツール」は使用しないで、AirMacソフトで接続される。
AirMacの詳しい設定方法については、AppleのAirMacホームページにあるPDFファイル「AirMacネットワークの構築」が参考になる。



(3)ADSLルータ経由ADSLモデムの場合
複数のMacまたはWindows機も含めた有線ネットワーク環境でADSLを使用する場合、つまり複数のPCから同時にADSL経由でインターネットに接続したい場合は、ルーターが必要だ。
ここでは、LynkSysのブロードバンドルーターBEFSR41を例に説明する。

BEFSR41はEthernetポートが4つある。単体で4台のPCまたはネットワーク機器に接続できるが、ハブを接続すれば最大253台(推奨30台以下)のPCから同時にインターネット接続が出来る。BEFSR41の裏側には、ISDNルーターにはないWANポート(形状はLANポートと全く同じだが10-Baseにしか対応していない)がついているのが特徴だ。このWANポートとADSLモデムを付属のEthernetケーブル(NTTから送付されたモデムの場合はストレートケーブル)で接続する。
ブロードバンドルーターはアナログ回線の機能はもっていないので、ハード、ソフトの設定ともいたってシンプルだ。
ハードウェアの接続を終了したら、ルーターの設定を行う。
ISDNルーターの接続を行ったことがあるユーザーならば経験があると思うが、設定はWWWブラウザーで行う。ルーターのファームウェア(ROM)にHTMLのファイルが埋め込まれており、これを呼びだして設定を行う。従って、どれか一台のMac(Windowsでも可)とルーターをEthernetケーブルで接続し(ADSLモデムとは接続していなくてもよい)、ブラウザ(NetscapeでもInternet Explorerでも何でもよい)を起動し、URLとして、「http://192.168.1.1」を入力する。これはルーター自身が持つIPアドレスだ。するとまず、ネットワークログインの画面になる。
初回は、ユーザー名は「ブランクのまま」、パスワードは「admin」と入力する。
自宅で使用する場合は敢えて設定しなくてもよいが、SOHOなど複数の人がルーターにアクセスする可能性がある場合は、ネットワーク管理者を決め、その人の名前とパスワードを入力するようにする。
ログオンに成功すると、
図のような設定画面が現れる。

<BEFSR41設定画面>



ISDNルータの複雑な設定画面に比べると、拍子抜けするほどシンプルだ。

商業プロバイダを利用している場合は、通常は「自動設定」でよい。設定画面の「Obtain IP Address Automatically」がチェックされていることを確認する。
プロバイダから送られてきたDNSサーバーアドレスとドメイン名を入力するだけ。ADSLの場合は、常時接続のため、電話番号を入力する必要がない。ローカルネットワークのようにいきなりIPアドレスかドメイン名を入力するだけだ。

フレッツADSLを利用する場合、忘れてはならないのが、下欄のPPPoEの設定だ。この項目を「有効(Enable)」にし、ユーザー名とパスワードを入力する。ユーザー名、パスワードは「フレッツ接続ツール」と同じものだ。
ルータのメリットは、複数のPCで同時に接続が出来るほかに、接続と切断が自動的に行われる点にある。つまり、上りまたは下りで信号があるときだけ接続をするようになっている。これはセキュリティを守るためには重要な機能である。
しかしあまり頻繁に接続と切断を繰り返すのはいやという場合にはオプション設定が出来る。
BEFSR41のPPPoE設定部分にある、「Keep Alive」をチェックすると常時接続状態になる。
「Connect on Demand: Max Idle Time」をチェックし20と入力すると、アイドル状態20分までは接続が継続されることになる。

これらの設定の後、「適用(Apply)」ボタンを押すと、設定がルータのROMに保存される。

ルータを利用する場合は、「フレッツ接続ツール」をインストールする必要はない。
Macのコントロールパネル「TCP/IP」を開き、接続先として「Ethernet」を、「設定方法」としては「DHCPサーバーを参照」を選択する。




(4)AirMacとADSLルーターを使用の場合
これは(3)に(2)を組み合わせたものだ。
家庭内どこからでも中間ソフトの存在を気にすることなく、インターネットに接続できる最高の環境だ。

ハードの設定は、ADSLルーターのLANポートに一つにAirMacベースステーションをEthernet接続する。

ルーターの設定は(3)と全く同じ。

ルータを使用する場合は、AirMacベースステーションはインターネットへの接続機能は持たせず、単にネットワーク機能だけをもたせることになる。従って、AirMacベースステーションがPPPoEに対応している必要はなく、AirMac1.3へのアップデートの必要はない。
また、NAT機能やDHCPサーバー機能はルーターが担当するため、AirMacのこれらの機能はオフにしなければならない。そうしなければ、ルータの機能とコンフリクトを起こしてしまう。

AirMacカードが挿入されているMacの場合、コントロールパネル「TCP/IP」の「接続先:」は「AirMac」を「設定方法」としては「DHCPサーバーを参照」を選択する。

ADSL接続まとめ
ケース (1) (2) (3) (4)
インターネットに同時接続台数
LAN状況
Mac1台
 
Mac1台〜複数台
AirMacで使用
Mac/PC複数台
有線LANで使用
Mac/PC複数台
AirMac+有線LANで使用
必要なハード ADSLモデムのみ
10Base-Tストレートケーブル
ADSLモデム
AirMacベースステーション
AirMacカード
ハブ(有線で複数使用)
10Base-Tストレートケーブル
ADSLモデム
ADSLルーター
全て10Base-Tストレートケーブル
ADSLモデム
ADSLルーター
AirMacベースステーション
AirMacカード
全て10Base-Tストレートケーブル
ソフト設定 TCP/IP
 接続先:
 
 設定方法:
 DNS:
 
フレッツ接続ツール
 
PPPサーバを参照
入力
 
Airmac(A/Mカード装着機)またはEthernet
DHCPサーバを参照
不要
 
Ethernet
 
DHCPサーバを参照
不要
 
Airmac(A/Mカード装着機)またはEthernet
DHCPサーバを参照
不要
フレッツ接続ツール
 接続先:
 ユーザー名:
 パスワード:
 
Ethernet
必要
必要
使用しない
 
 
 
使用しない
 
 
 
使用しない
 
 
 
ルーター設定
(設定手段)
 ユーザー名:
 パスワード:
 PPPoE機能
 

 
 
 
 

 
 
 
 
ブラウザで設定
必要
必要
オン
 
ブラウザで設定
必要
必要
オン
AirMac B/S設定
 バージョン
 接続方法:
 ユーザー名:
 パスワード:
 DHCP
 

 
 
ver1.3以降であること
PPPoE
必要
必要
オン
 

 
 
ver.1.2以前でも可
Ethernet


オフ
(01.6.4修正=(2)のPPPoE設定部分)




4.ADSLのメリットは?
AirMac〜ISDNルーター〜フレッツISDNを使っていた環境から、AirMac〜ADSLルーター〜フレッツADSLに切り替えた場合は、ハード・ソフトの設定は非常に簡単だ。(3)のようにブラウザーを開いてADSLルータの設定画面を出し、DSNサーバーアドレスとPPPoEの設定を行うだけだ。
ADSLへ切り換えの日は、朝、電話線の配線と、上記のルーターの設定を行って出かけた。夜帰宅してみると、いつもと同じようにインターネットに接続が出来た。

ちなみに、接続速度を測定してみた。
これは「SPEED TEST」というサイトで測定した結果である。



これは1MBのファイルをダウンロードする単純なテストであり、かなりよい数字が出る。いろいろな時間帯や、米国のサイトでも測定した結果では600K〜1.2Mbpsというところだろうか。フレッツADSLの仕様である1.5Mbpsには到底及ばないが、ISDNのときの55Kbpsに比較すると10〜20倍ではにはなっている。
確かに、ファイルのダウンロードでは飛躍的に速くなったことを感じるが、ホームページの表示では期待外れだった。イントラネットのように瞬時ということはなく、サイトによってはISDNやアナログと同じ程度に時間がかかってしまう。これは、ホームページの場合は、ファイルのダウンロードの時間よりも、ファイルのチェック、サイトの混雑度の影響が大きいせいだろう。

また、QuickTime TVなどストリーミングについて大きな期待を抱いていたが、現在のところ期待外れに終わっている。

ファイルのダウンロード時間が短縮されたのは精神的にはよいが、インターネットの使用の中心がメールとホームページ閲覧にある場合、高速化の恩恵は感動するほど大きいわけではない。
ブロードバンドの活用については、今後引き続き検証していくことにする。



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