(本テキストは「漢字トーク7.5.3へのアップデート」の中で説明していたOpenTransport1.1.1の記事を独立させ、新しい話題を加えたものです。)
オープントランスポートはAppleが開発した、新世代のネットワーク制御技術ですが、起動できる機種が限られていたため、あまり一般的には普及していませんでした。
今回の漢字トーク7.5.3へのアップデートにより、従来は使えなかったPerforma及び603搭載のPowerMacを含めすべての機種でオープントランスポートが使えるようになりました。
一般のユーザーにとってオープントランスポートのメリットが一番実感できるのは、TCPの設定が簡単になることでしょう。MacTCPの複雑な設定ではなく、ただ単にプロバイダーのドメインネームだけを入力すればよいという簡単さは、精神的にも楽になります。また複数のプロバイダーと契約されている方が最近は増えていますが、その切り替えもPPPの設定を変えるだけで済むというのはとても便利です。ネットワークの複雑な技術を気にすることなく、ネットワークを利用できる環境がオープントランスポートです。まだ、完成された技術ではなく、いろいろ問題もあるのですが、Macユーザーであることの一つの誇りは、常に最先端の技術に触れれることでしょうから、是非とも挑戦していただきたいと思います。
1.OpenTransport1.1.1をインストールする
(1)OpenTransport1.1.1とは
OpenTransport1.1.1は1996年10月22日に米国でリリースされました。これはバージョン1.1の問題点を解消したものですが、今までオープントランスポートを使うこととの出来なかったPerforma並びにPowerMac5200、5300、6200、6300で使えるようになったということに最大の意義があります。オープントランスポートはネットワークへの接続を簡単にするだけでなく、通信速度を速めます。
OpenTransport1.1.1が使えるのは68030、68040(アクセラレータは不可)、PowerPC601、603、603e、604のプロセッサを搭載した機種で、OSとしては7.1、7.1.1、7.1.2、7.5.3、7.5.5に対応しています。7.1で対応していながら、7.5.1等にには対応していないというのは不思議な気がします。7.5のユーザーはともかく7.5.3にアップデートしなければなりません。
Performa並びにPowerMac5200、5300、6200、6300の場合、インストール時にCashe/ROM DIMMのチェックが行われ、問題がある場合はインストールされません。これらの機種をお持ちの方は、まず雑誌の付録に入っている「5xxxTest」または「6xxxTest」を起動し、ロジックボードの問題がないことを確かめてください。修理が必要というメッセージがでた場合は、Appleは保証期間外でも無償で修理をしてくれますので、早めにPerformaホットラインに電話してください。運送費も無料ですが、1〜2週間かかります。
OpentTransportをインストールするとSystemファイルの一部を書き換えるため、日本アップルは漢字トークで英語版のOpentTransportを使うことを保証していません。しかし、私が使っているかぎりでは問題は出ていません。一応用心のために、OpentTransportをインストールする前のSystemのバックアップをとっておけば大丈夫でしょう。
(2)OpenTransport1.1.1の入手方法
現在(10月8日時点)では米国のAppleのFTPサイトからしか入手できません。
ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/Networking-Communications/Open_Transport/
の他全部で3箇所のサイトが開かれています。
全部で400人分程度のアクセスしか出来ないため、接続するのが難しいかもしれません。また転送速度も非常に遅く28.8Kのモデムでは4つのファイルをダウンロードするのに2時間以上かかります。
ダウンロードすべきファイルはまず次の4つです。
OT 1.1.1-1of4.sea (1020K) OT 1.1.1-2of4.sea (850K) OT 1.1.1-3of4.sea (816K) OT 1.1.1-4of4.sea (825K) |
OT 1.1.1-Extra.sea (2M) |
OT 1.1.1-Net Install.sea (5.5M) |
コントロールパネル ・AppleTalk ・TCP/IP ・(MacTCPは不可視のファイルになる) 機能拡張ファイル ・Open Tpt AppleTalk Library ・Open Tpt Internet Library ・Open Transport Library ・OpenTptAppleTalkLib ・OpenTptInternetLib ・OpenTransportLib ・Shared Library Manager ・Shared Library Manager PPC アップルメニュー ・Network Software Selecter |
表示は英語のままですが、これで漢字トークでもNetwork Software Selecter」が使えるようになります。
(ResEditでの変更が自身がない方はMac Clinicまでご連絡ください)
2.OpenTransport1.1.2をインストールする
(1)OpenTransport1.1.2とは
OpenTransport1.1.2は1.1.1のバグフィックス(問題箇所のプログラムの修正版)では1996年12月に米国でリリースされました。これもまだ日本語版は出ていませんが、漢字トーク7.5.3または7.5.5で問題なく動きます。
OT1.1.2を使うには、漢字トーク7.5.3/7.5.5にOT1.1.2をインストールする方法と、既にインストールされているOT1.1またはOT1.1.1をアップデートする方法があります。Appleは後者の方法を勧めています。私自身も後者の方法しかやっていませんので、基本的にOT1.1.1が既にインストールされている場合で説明します。
(2)OpenTransport1.1.2の入手方法
OT1.1.1と同じく米国のAppleのFTPサイトからしか入手できません。
ファイル構成はOT1.1.1と同じで4つに分かれており、サイズもほとんど同じですか。OT1.1.1と同じやり方で4つのファイルをダウンロードし、ShrinkWrapでイメージディスクに変換します。
(3)OT 1.1.2のインストール
OT1.1.1がインストールされていない漢字トーク7.5.3/7.5.5の場合は、OT1.1.1のインストールのやり方に従ってください。OTはSystemの一部を書き換えますので、インストールに失敗すると元に戻せなくなってしまいます。出来ればシステムフォルダ全体のバックアップをとることをお勧めしますが、ハードディスクに余裕がない場合は最低でもSystem、コントロールパネルフォルダ、機能拡張フォルダのコピーを取っておいてください。
この場合のインストールのやり方は、基本的にOT1.1.1のインストールのやり方に従ってください。
OT1.1.1が既にインストールされている場合は、OTの機能拡張ファイルが書き換えられるだけなので、システムのバックアップはしなくてもよいのですが、何が起こるか分かりませんので、Systemや機能拡張フォルダのコピーをとっておきましょう。
インストールはまず「Intall 1」のディスクを開き「Installer」をダブルクリックすれば、アップデートの場合ですと僅か20秒で終了します。
3.オープントランスポートの設定
アップルメニューからNetwok Software Selectionまたは「ネットワークソフト選択」を選びます。
ここでOpenTransportを選択します。
次にコントロールパネルから「TCP/IP」を選択すると下記のダイアログが現れます。
従来のMacTCPと異なりプロバイダーのアドレスの設定はいたって簡単です。
貴方が契約しているプロバイダーのIPアドレスが分かっている場合は左下の「Name Server add.」の空欄の中にIPアドレスを書き込んでください。この番号が分からなくてもプロバイダーのドメインメームは分かっているはずです。これを右の「Starting domain name」の空欄に記入します。複数のプロバイダーに契約している場合は、そのドメイン名を「Additional search domains」の欄に列記します。追加のプロバイダーのIPアドレスが分かっている場合は左のアドレス欄に列記しても構いません。要は、IPだけでもよし、ドメインネームだけでもいいのです。
ConfigPPPで複数のプロバイダーを設定しておけば、相手の電話番号でPPP接続された時点で、OpenTransportがプロバイダーから情報をもらって自動的に細部の設定してくれます。
4.オープントランスポートを使用する上での注意
通信ソフトには最新のバージョンを使う必要があります。
PPP:MacPPP2.5またはFreePPP2.5
Fetch:3.0以降、3.0.1が望ましい
Netscape:3.0以降が望ましい
Eudora:J1.3.8.5でも動く
何か問題が生じた場合は、まずバージョンアップを行ってください。
オープントランスポートにしたことによるいろいろな問題については、一部が「漢字トーク7.5.3/7.5.5へのアップデート」に収められています。