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 欧文専門誌・専門書寄贈先募集

 当研究室には、40年近くにわたって集めてきた、欧文の専門雑誌や専門書が数多く収蔵されています。それは、ひとつには、自分の研究のために必要な文献が、わが国にはほとんど存在しなかったため、自分の手元にすべて集めてしまおうと考えたためです。それはまた、他の研究者にも利用してもらえるように、誰もが利用できる国会図書館にいずれ寄贈するためでもありました。そして実際に、超常現象研究の分野に限って言えば、19世紀半ば以降、欧米で出版されてきた重要な著書や専門誌のほとんどを揃えることができました[註1]。

 そして、一昨年、予定通り、かなりの分量の蔵書を国会図書館に寄贈したのですが、実際に引き受けていただけたのは、当方の申し出の半数弱でした。定期刊行物が多かったため、それでも、段ボール箱で十数箱にはなりました(その前にも、やはり十数箱分の超常現象研究関係の古書と定期刊行物を、明治大学石川研究室に寄贈しています)。国会図書館には、第二弾としてまだ少しは寄贈できるもようですが、所蔵が義務づけられている新刊書の点数が激増していることもあり、あと数年で京都の分館も含めて満杯になってしまうほどスペースが逼迫しているため、当方の希望が全面的に叶えられるとはとうてい思えません。問題は、残った分をどうするかです。

 現在は、どの大学図書館や公立図書館も、外部からの寄贈図書を受け入れられる状況ではなくなっています。そのため、たとえば各大学や研究所で発行している紀要などは、どの図書館でも既に“門前払い”の扱いになっていると聞いていますし、一部の大学では、教授たちが研究費で購入した図書も、図書館には収蔵してもらえず、それぞれの研究室で自主管理することになっているとも聞いています。さらには、退官・退職する教授たちが、長年奉職した大学に蔵書を寄贈しようとしても、どの大学図書館にも、それを受け入れることのできる余地はほとんどないようです。

 そのような現状を遅まきながら知ったのは、10年ほど前、ある大学図書館に、前世紀初頭に刊行されたキリスト教関係の大判の稀覯書を寄贈しようとしたときのことでした。その稀覯書は、世界的に有名なものでもあるため、その大学なら必ず歓迎してくれるはずだと思い込んでいたわけです。ところが、私の予測に反して、まさに“けんもほろろ”の応対を受け、非常に驚かされたのでした。結局は何とか受け入れてもらえたのですが、寄贈がここまで難しいという現状を、このときに初めて思い知らされたわけです。

 それでも、事情がまだよく呑み込めなかった私は、ある公立図書館の館長を務めた経験のある知人にそのことを話して意見を求めました。そうすると、驚いたことに、今やそれがふつうの対応になっているという答えが返ってきたのでした。しばらく前から、どの公立図書館も、既に満杯の状態にあるため、寄贈を受け入れるどころではなく、そうした事情は国会図書館も同じはずだと言うのです。

 そうなると、私の予定が大幅に狂ってしまいます。当研究室の蔵書は、超常現象研究関係のもの以外にも、古くは18世紀にフランスで刊行された催眠関係の著書など、わが国の図書館に収蔵されていない稀覯書や定期刊行物が少なくありません。このまま、永久保存が可能な国公立図書館に受け入れてもらえないと、いくら国内には存在しない貴重な書物だと訴えたところで、これらは、自分が死ねば紙くず同然のものになってしまうわけです。これは、貴重な文化財の消失以外の何ものでもありません。

 そこで、その元館長の協力を得て、国会図書館の担当部門と連絡を取ったところ、幸いにも、私の希望を理解していただくことができました。そして、冒頭に記したように、希望の一端を叶えてもらうことができたわけです。しかし、寄贈希望のものをすべて受け入れてもらえるとばかり思っていただけに、少々落胆したことは否めません。とはいえ、同館のスペースが相当に逼迫しているという現実を考えると、かなりの分量の蔵書を引き受けてくださったことは、それだけでも非常にありがたいことなのでした。

 以上の事情から、このページを借りて、いわば当研究室の窮状を世間に訴えることにしました。当研究室の蔵書をお引き受けくださる、永久保存の可能な国公立や私立大学の図書館があれば、ぜひともお願いしたいと思っております。ただし、その場合でも、すぐに寄贈できるわけではなく、最も開かれている国会図書館にもう一度希望を出した後になりますことをご了承ください[註2]。それが叶えられなかった分と、それ以外のものとが寄贈の対象になるわけです。そのような事情ですので、もし関心を持っていただけるようなら、ぜひご連絡をいただきたいと思います。

141-0031 品川区西五反田 2-10-8-514
電話/ファックス: 03-3494-1904
心の研究室
笠原敏雄

[註1] この経過の一端については、「私の超常現象文献渉猟小史」に書かれていますので、ご参考までにご覧ください。

[註2] 蔵書のリストについては、心の研究室蔵書をご覧ください。これは、石川研究室と国会図書館に寄贈する前に作成されたものなので、半数ほどは既に手元にありません。ご希望でしたら、新しいリストを作成しますので、ご連絡ください。


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