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 著書『幸せを拒む病』

 このところ、自分が本当にしたいことを見つけたいとか、自己実現をしたいとか、本当の自分を知りたいという人たちが増えてきているようです。

幸せを拒む病

 アドラー心理学の解説書などが空前の売れ行きを見せているのは、そのひとつの現われなのでしょう。それは、自分の外側ではなく、内側に関心が向かっているということにほかなりません。そして、それこそが、自分を前向きに変え、幸福に近づく力になるわけです。

 ところが、既におわかりいただいたように、それを実行することはもちろん、自分が本当にしたいことを知るだけでも、大変に難しいものです。本書には、私の心理療法を進めるうえで最も有力な手がかりである「反応」という客観的指標を使って、それらを突き止める方法も詳しく解説しておきました。

「幸福否定」という心の動きが、意識にのぼらないにしても万人にあるらしいことに気づいてから、今年で既に三十年以上になることは、本文に書いておいたとおりです。最初は、自分で考えついたこととはいえ、その裏づけが乏しかったため、あまり確信がもてませんでした。

 それ以来、反応を手がかりにしながら、この着想をもとにした心理療法をずっと続けてきましたが、それと並行して、古今のさまざまな関連資料もできる限り渉猟してきました。

 それらを通じて得られた裏づけが積み重なるにつれ、幸福否定という心の動きが、意識に悟られることのないまま万人に内在しているという仮説が、私の中では次第に確固たるものに変わってきたのです。それとともに、反応は、無意識的な心の動きを知るうえで、非常に有力な方法であることも確認されたわけです。反応がこのように実用的に利用できるという事実は、これまで全く知られていませんでした。

 人間は、自分で経験しない限り、本当には理解できないものです。特に、幸福否定という考えかたは、通常の学習が成立しにくい領域にあるため、読んで知識を身につけるという従来的な方法はほとんど役立ちません。そのような事情から、本書に書かれているとおりの現象が起こることを、この中で提示している方法を使って、ぜひ確かめてみてください。この考えかたを納得する道は、それ以外にないと思います。

 そして、それが自分なりに少しでも確認されれば、これまでとは全く違った大きな世界が、目の前に開けてくるでしょう。

 本書は、一見すると絶望の書のように感じられるかもしれませんが、そうではありません。実際には幸福否定は、真の幸福に到達するためのプロセスと考えるべきであり、したがって、本書は、大きな希望をもたらすはずの書なのです。

 一般読者向けにわかりやすい説明を心がけましたが、それでは飽き足らない読者に向けて、関心をさらに広げていただくためのメッセージも、ところどころに織り込んでおきました。読書の醍醐味というものが、そのような点にもあると思うからです。(「おわりに」より)

 ここでは、冒頭の20ページほどを pdf ファイルの形でご覧いただけるようにしました。なお、目次は以下の通りです。

はじめに

第1章 身近な出来事に潜む幸福否定

第2章 本当の幸福を否定する心のしくみ

第3章 幸福否定≠ゥら見た異常行動や症状のしくみ

第4章 幸福を素直に受け入れるための方法──感情の演技

第5章 従来の人間観を覆す幸福否定理論

参考文献

おわりに

 本書は、幸福否定理論に関心をもってくださったフリー編集者とフォレスト出版の編集者のおかげで世に出たものです。1998年に出版した『懲りない・困らない症候群』の時から、私自身のDTPにより出版していたため、pdf ファイルがそのまま公開できたのですが、今回は、出版社側のDTPによる出版だったため、出版社から提供されたファイルがあるのみです。そのため、冒頭の20ページの公開にとどまりました。

著 者: 笠 原 敏 雄
出版社: フォレスト出版
予 価: 972円
体 裁: 新書版縦組み、並製本
総頁数: 288
発売日: 2016年6月8日


Copyright 2016 © by 笠原敏雄 | created on 5/26/16; last modified on 8/15/16