平成8年冬の税務情報

  1. 平成8年分の年末調整の注意事項について
  2. 給与所得者の扶養控除について再確認
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1.平成8年分の年末調整の注意事項について

早いもので本年も年の瀬が迫り、年末調整の時期となりました。 年末調整は給与の支払を受ける人の、毎月の給与や賞与から差し引かれてきた源泉徴収税の合計と 本来払わなければならない所得税の金額とを比較し、その差額を精算する、源泉徴収に依る所得税 の納税の総決算ということが出来ます。今回は本年度の年末調整の注意事項について見てみましょう。
はじめに、本年度の年末調整にあたり変更された点を見てみましょう。
第一に、平成8年度分所得税の特別減税が平成7年に引き続いて実施されることになり、給与所得者は、 原則として平成8年6月及び年末調整時の2回に分けて、納税額の15%相当額が主たる給与支払者のもとで 還付又は控除されることになります。限度額は5万円となっており、ちょっとしたクリスマスプレゼントといったところでしょうか。
なお、今回の特別減税は、減税割合(15%)、限度額(5万円)、事務手順など平成7年度分所得税の特別減税 と何ら変わるところはありません。ただし、最近の新聞によると来年度にはこの特別減税は行わないという 方向で検討がされているそうです。
さて、特別減税の実施方法ですが、次のようになります。 まず、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している給与所得者(いわゆる甲欄適用者)については、原則として、その給与の 支払者において次のように特別減税額の還付又は控除を行います。
イ.平成8年1月から6月までの間に支払った給与に対する源泉徴収税額の還付
・・・・・・源泉徴収税額の15%相当額(2万5千円を限度)を原則として6月に還付します。
ロ.平成8年分の給与に対する特別減税額の控除
・・・・・・年税額の15%相当額(5万円を限度)を年末調整の際に控除します。その際に前記イにより還付した税額を精算します。
今回の年末調整ではロを行うわけです。
次に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出している公的年金等の受給者については、原則として、 その公的年金の支払者が次のように源泉徴収税額の還付を行いますが、最終的な特別減税額の精算は受給者自らが確定申告により行うこととされています。
イ.平成8年1月から6月までの間に支払った公的年金等に対する源泉徴収税額の還付
・・・・・・源泉徴収税額の15%相当額(2万5千円を限度)を原則として1月から6月までの期間に属する最終の支給月に還付します。
ロ.平成8年7月から12月までの間に支払った公的年金等に対する源泉徴収税額の還付
・・・・・・源泉徴収税額の15%相当額(2万5千円を限度)を7月から12月までの期間に属する最終の支給月に還付します。
今回の年末調整ではロを行うわけです。
なお、他の所得については以下のような注意事項があります。
事業所得や不動産所得のある人など、確定申告を行う人は、平成8年に納付する予定納税額の減額又は確定申告により、特別減税の適用を受けることになります。
退職所得について源泉徴収された所得税額については、源泉徴収の段階で特別減税の適用はありませんので、確定申告により特別減税の適用を受けることになります。
預貯金や公社債の利子などの源泉分離(選択)課税の対象とされる所得に対する源泉徴収税額はこの特別減税の対象となりません。
第二に、宿日直料の非課税限度額が平成8年1月1日以後支給するものから、3400円(従来は3300円)に引き上げられました。
第三に、給与取得者が自己の住居の用に供する住宅等を取得するために勤務先から低利融資などによる経済的利益等を受けた場合の その経済的利益等については非課税とする課税の特例制度の適用期限が、平成10年12月31日まで延長されました。ただし、使用人である地位に基づいて 通常受ける経済的利益等の水準を著しく超える部分については、課税されます。
さあ、以上に注意して本年度の年末調整を正確に行ってください。

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2.給与所得者の扶養控除について再確認

年末調整にまつわる話をもう一つ。よく年末に生まれた子どもは親孝行だといいます。 これは、年初に生まれようが年末に生まれようが扶養家族として同じ一人としてみなされ、扶養控除が受けられるからです。 12月31日生まれだからといって365分の1人分しか扶養控除が受けられないということはありません。
又、出産後短時日で死亡してしまった幼児についても扶養控除をとることが出来ます。 しかし、この控除は課税上有り難いとはいえ、あまり嬉しいものとはいえませんね。
同じように、年明けに結婚をするならば年末に入籍を済ませてその分の配偶者控除を受けるということもできます (ただし配偶者の収入が配偶者控除を受けられる範囲内であること)。 その代わりこの場合は、今まで扶養家族として扱ってきた親御さんなどは扶養控除をとれないことになってしまいます。
では、扶養家族が減った場合はどうでしょうか。
年の中途において死亡(又は出国)した扶養家族は、(その扶養家族の所得金額が扶養控除を受けられる範囲内であれば)扶養控除の対象となります。 扶養家族か否かの判定は、死亡(又は出国)時の現況によります。
年の中途において離婚した場合は、配偶者控除は適用されなくなり課税所得金額は上がることになります。
しかし、離婚した相手が子どもを連れていって、自分がなお養育費を負担し、相手が申告上その子どもを扶養控除の対象にしていなければ その子どもは扶養控除の対象になります。
また、年の中途で今まで申告上扶養をしてくれていた方が亡くなり、その扶養家族が他の方に扶養されるようになった場合、その年において 亡くなった方の扶養親族等として申告をしていても、新たに扶養をすることになった方の扶養親族等として扶養控除をとることが出来ます。

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update 1996.11.27 S.Matsuzawa Accounting Office