![]() EndNote日本語版活用講座(11) How to use EndNote Japanese Edition 初稿:2002年3月4日 目次に戻る新しい文献データの手入力新規文献のデータの入力では文献形式を選択すると、必要なフィールドだけが表示されるので入力の効率が上がる。 文献形式はあくまでもEndNoteが便宜的に分類したもので、これに従わなければならないと言うものではない。単行本でも著書と編書では分類が分かれているが、面倒ならばこれらを統合した文献形式を作成しても構わない。 ただし、米国のデータベースから文献を抽出したり、公開されている文献ライブラリを借用する場合はこの分類が適応されている可能性が高いので、基本的にはEndNoteのやり方に従った方がよいだろう。 これらのプリセットされた文献形式のフィールドは変更することが可能である。しかし、先にも述べたように他のユーザーとデータを共用することを考えるといじらない方がよい。後で述べるように、普段はほとんど使用することのないフィールドも用意されているので、これを使うことで、既存の文献形式を使っても、十分に付加情報を保存することが出来る。 しかし、どうしても既存の文献形式では処理できない場合は、ユーザーが自分独自の文献形式を作成することも出来る。 EndNote5の環境設定画面/文献形式ペインで「文献形式を変更する」ボタンを押して出てくる画面で、3つまでのカスタム文献形式が設定できる。フィールドに関しては6つのブランクが用意されているので、ほとんどどんなユーザーの要望にもかなうはずだ。 このカスタム定義の方法については「(20)日本語論文誌スタイルの作成」に詳しく説明しているので参照していただきい。 合わせて事前に、「(16)EndNote5のデータ構造」を読んでいただくと、各文献形式並びにフィールドの意味が理解してもらえるものと思う。 文献データの入力時のルール 全部を入力する必要はないが、後でいろいろな出力で使うことを考えると、入力時に分かっていることはなるべく詳しく入力する方がよい。面倒な作業であるが、これを怠ると後で後悔することになる。 各フィールドに入力するデータにはよけいな記号を入れていけない。 フォントの種類、字体、付加する記号などはすべて出力のスタイルで指定される。例えば、文献目録「山田太郎 「Xの研究」 1998年 日本Z学会誌 第32巻 16号」と表示したい場合でも、生の文献データの場合は、それぞれ、Author=山田太郎 Title=Xの研究、Year=1998年、Journal=日本Z学会誌、Volume=32、Issue=16、だけでよい。論文名のかぎかっこ、年号のイタリック、第xx巻などの追加文字は全てスタイルで指示すれば好きなように出力できる。 用語リストによるオートコンプリート入力機能 用語リストには開いているライブラリの著者名、論文誌名、キーワードが保存される。著者名に関しては、ライブラリでは第一著者しか表示されないが、すべての著者が記録される。 この用語リストはライブラリから自動的に作成される。 この用語リストは新規文献データの入力時に威力を発揮する。 著者欄、論文誌名欄、キーワード欄に入力する場合、オートコンプリート入力が可能になる。すなわち単語の一部を入力すると候補単語が表示され訳である。これにより大量のデータ入力の効率化が図られる。同じ分野では同じ著者や論文誌が繰り返されるからである。 しかし残念ながら、日本語データの場合はインライン入力が出来ないため、威力は半減する。しかし、例えば論文誌欄で「日本」だけを日本語入力欄に入力しリターンを押すと、「日本」で始まる論文誌名が選択できるようになる。有効に使いたい機能である。 各フィールドに入力するデータの注意 ◆Author/Editor(著者名/編集者名) まず、一行に1名を入力すること。リターンを押す。 姓名の順序だが、英語で入力する場合は、二つの方法がある。一つはファーストネーム、ラストネームの順であり、この場合は間に半角1文字分のスペースを入れる。 2つ目の方法はラストネームを先にし、カンマを付けてファーストネームを書く。一般に名簿や文献表示ではラストネームが先に表示される。 EndNoteはテキスト間のスペースとカンマでその書式がどちらかを自動判断する。 スタイル定義画面で、姓名の表示順を指定することが出来るので、ここでの入力はどちらでも構わない。 また、ファーストネームやミドルネームはイニシャルで省略してもよい。しかし、EndNoteは出力スタイル設定で自動的にイニシャル化する機能も持っているので、基礎データではなるべくフルネームで入力しておいた方がよい。 下記の図は出力スタイルで著者名の表示法を指定しているところだが、語順、イニシャル化が自動で行われることが分かるだろう。 日本語での入力もOKだが、次の注意が必要だ。 日本語では姓と名を分離して管理することは出来ない。英語のように「山田, 太郎」と入力した場合、EndNoteはカンマ以降はアルファベットが来ると認識する。従って、カンマ以降の2バイト文字は全て無視され、フォーマットすると「高山 ,」というように表示されてしまう。 「山田 太郎」のように姓名間にブランクを開けた場合はデータとしては認識されるが、暫定的引用が{山田 太郎, 1969 #7}となるためフォーマット時に規定の暫定引用とは認識されず、文献目録に作成されない。 日本名の場合は姓と名の間にスペースは入れないことを原則とすべきである。 著者名が多数である場合、EndNoteは出力スタイルの設定で、自動的に、ある数以上は、「et.al」「and others」もしくは日本語では「その他」と省略して表示させることが出来る。 しかし、文献データの入力時にあまり重要と思われない共同研究者名を全て入力するのは大変なので、各人の判断で必要な人だけを入力し、後は一行に「and others,」とか「その他」と入力してもよい。 英語の場合は必ずお尻にコンマを付ける必要がある。 著者が不明の文献の場合は、ブランクのままにすること。「Anonymous」(匿名)と記入すると出力スタイルによっては特別な扱いをする場合があるからである。但し、もしもその出版物の著者が「Anonymous」(匿名)と記されている場合は、そう記入しても構わない。それはそれが空くまでも正式な著者名と考えられるからである。 著者名が例えば会社名であるような場合はどうするか。会社名とその後にコンマを付ける。こうするとEndNoteはラストネームと認識する。 Apple Computer Inc., 日本語の会社名、団体名の場合は特別なきまりはない。英語名と異なりコンマを付ける必要はない。 経済企画庁 複雑な外国人名の記入法 シャルル・ド・ゴール、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ヘンリー・フォード3世などの名前を英語で記入する場合(日本語の場合はそのままでよい)は次のようにする。 de Gaulle, Charles von Karajan, Herbert Ford, Hery, III カンマが2つある場合は3番目の表示は尊称・呼称ととらえられる。 ソートを行うとき、これらのdeやvonは無視したいかもしれない。環境設定のソートの項で「deやvonは無視する」という設定が出来るようになっており、問題はない。 発音符号付きアルファベットの使用 EndNote5では日本語だけでなく、フランス人やドイツ人に多い発音記号付きのアルファベット(アクサングラーブやウムラウトなど)も入力できる。 これらは、文献画面、ライブラリ画面で正しく表示される他、ワープロ上での文献目録でも正しく表示される。 但し、ワープロがマルチ言語に対応している必要がある。 ◆Year(年) 4桁の年号を入力する。 ◆Title(タイトル) タイトルにはGeneric Title(一般的な文献名、論文名)、Secondary Title(副題)、Tertiary Title(副副題)とAlternate Title(代わりの題目)の4つのフィールドが用意されている。一般には始めのTitle(タイトル)が使われる。 タイトル欄ではリターンキーは入力してはいけない。非常に長い名前でも改行しないこと。副題がある場合は、別の欄に入力すること。英語名の場合、EndNoteは自動的に頭文字を大文字にするような機能があるが、通常は発表されているオリジナルと同じ大文字小文字を使うこと。 ◆Journal(論文誌名) 通常、それぞれの分野で読まれる論文誌、雑誌等の種類は限られているので、用語リストをうまく活用することで入力の効率化が図れる。 医学、化学、人文科学等の主要なアメリカの論文誌名についてはEndNoteに用語リストがついているので、それを読み込ませることが出来る。 EndNoteには「Alternate Journal」というフィールドがあるが、これは例えば、インターネットで文献を収集した場合、論文誌のフルネームと、短縮形が供給されるかも知れない。短縮形をAlternate Journalに入力しておけば、EndNOteは自動的にAlternate Journal欄のものも論文誌名として登録する。自動的にデータベースが整備されるため便利である。 ◆Short Title(短縮タイトル) 一般には必要ないが、投稿する論文誌によっては、文中引用で6文字で文献名を表示することを求めているものがある。このような場合にはここに論文名が識別できる単語を入力しておく。 論文誌の短縮名(省略形)はJournalの用語で指定し、ここはあくまでも論文名の短縮で使用する。 ◆Edition(刊) 単行本の場合の刊番号である。 英語の場合は「1st, 2nd, 3rd, 4th」と序詞を付けて入力する。通常はスタイルでこの後に「ed.」または「Edition」が付けられる。 日本語の場合は番号付きの刊以外に「再版」「改訂版」「増補版」などの使い方もあるので、ここでは「第1版」「第2版」などフル名称で入れるようにした方がよい。 ◆Page(ページ) 論文が掲載されているページを入力する。「124-136」とフルの範囲で入力しても、「124-36」と省略してもよい。EndNoteは文献目録を作成するとき、スタイルの指示にしたがい、フル範囲、短縮範囲、または開始ページのみの3種類に自動的に変換する。 ◆Date(日付) ここではその媒体の発行日を記録する。 しかし、これ以外に、自分の記録のためにこのデータベースを入力した日付なども記録しておきたい場合があるだろう。そのためのフィールドはEndNoteには用意されていないので、その場合はCustomフィールド、Labelフィールド、Noteフィールドのいずれかを使う。Noteフィールドは他のユーザーが使っている可能性があるので注意が必要だ。 日付だけのエントリーにすれば日付データとしてソートが可能になる。 EndNoteが認識できる日付データは「年/月/日」形式である。(「1998/07/04」、「2002/3/4」のように入力する。年数は4桁、月、日は1桁(0は不要)でよい。 但し、検索では日付として認識されない。 ◆Label(ラベル) ユーザーが適当に使うことが出来るフィールド。日本語著者をかな順でソートしたい場合は、ここを「よみがな」フィールドとして使う。 ◆Keyword(キーワード) データベースとして内容検索を行う場合には必要な情報となる。それぞれのキーワードはセミコロン(;)、バックスラッシュ、もしくはリターンで区切る。ここで入力された単語は自動的に用語リストのキーワードに記録される。 ◆Abstract(要約) 論文の要約を入力できるが、最大3200バイト(半角で3200字、日本語で1600字)である。これは400字詰め原稿用紙で4枚分であるから、これだけあれば要約としては十分だろう。 ◆メモ(Note) ここには、この文献に関する個人的なメモを入力するのがよい。文献の保存場所とか、文献で引用する部分を丸ごと保存してもよい。ここも3200バイトまでの容量が確保されている。 ◆URL その文献と関係のあるウェッブのアドレスを入力する。 http://www.02.246.ne.jp/~yingming/macclinic/index.html 正しい書式で入力されると青地になる。 インターネットに接続されている環境では、文献ウィンドウでここをクリックするとブラウザが開き、自動的にそのウェッブが開く。 この機能を使うと、リンク可能な関連文献ホームページを容易に作ることが出来る。この方法については後で述べる。 補足:文献ウィンドウのフィールド名の日本語化 日本語版でもこの部分は英語のままである。 各フィールドの意味については上記に述べたので、あえてフィールド名を日本語化しなくてもほとんどのユーザーは問題ないだろう。しかし、日本語の文献だけを扱うような場合、たまは英語の得意でない人にデータの入力だけを依頼する場合は、フィールド名を日本語に置き換えることが出来る。 環境設定画面の「文献形式」ペインを開く。「文献形式を編集する」ボタンを押す。文献形式の編集画面現れる。 変更した過疎にカーソルを置き、その部分を書き換える。 この例では英語の後ろに括弧を付けて日本語を入れている。これはソートや検索などの画面で表示されるフィールド名の大半が英語のままであるからである(単に私の怠慢なのだがお許し願いたい)。 但し、日本語版は通常はこの画面の日本語は文字化けする。そのため、注意深く入力する必要がある。 ここで日本語が文字化けしていても、文献ウィンドウでは正しく表示される。 「文献形式の編集」ウィンドウを文字化けせず表示するには、FontPatchin`を使わなければならない。 このテキストの全体ならびに一部を他のホームページへの転載、雑誌等への転載することを禁じます。 リンクは「MacClinic」のトップページへ張る場合は自由ですが、このページに直接リンクする場合は、事前に許可を得て下さい。 (C)2002 ハリー小野(Harry Ono) harryono@mac.com All right reserved |