平成17年3月版


5.事業を行っている人(不動産賃貸収入がある人)

事業の種類にも色々と有りますが、確定申告のでは不動産所得とそれ以外の二つに分けることが出来ます。というのも、事業所得がある方は確定申告書に決算書を添付しなければなりませんが、不動産所得用と一般の事業用に大別されているからです。

不動産所得とは、土地家屋建物、不動産の上に存する権利、船舶、航空機などの貸付から生ずる所得のことです。ここでは、もっとも一般的な土地家屋建物に的を絞って解説していきます。
不動産の貸付に際して受ける権利金や頭金、更新料、名義書換料も不動産所得になりますが、借地権などの設定により一時に受ける権利金や頭金などについては譲渡所得や事業所得の対象になるものがあります。

不動産賃貸収入がある人は、賃貸収入の源泉になる物件を所有しているはずです。まずは、当該物件の所在地、広さ、賃借人の名前等を確認してください。また、賃貸用建物を所有している方は、構造(鉄筋、鉄骨、石造、金属造、木造等)、附属設備(電気設備、給排水・衛生設備、冷暖房・ボイラー設備、昇降機設備、消火・排煙設備、自動ドア等)を確認し、耐用年数表で耐用年数を確認してください。

その上で、次のような表をエクセルなどで作成し、本年の賃貸収入(賃貸料と礼金・更新料などの合計額)と、預かっている保証金・敷金などの合計額を集計しておいてください。この表は、確定申告にそのまま添付することが出来ます。

貸家
貸地
の別
不動産の
所在地
賃借人の
住所・氏名
賃貸契約
期間
貸付
面積
本年
賃料
月額
本年
賃料
年額
本年
礼金
更新料
名義
書換料
保証金
敷金

賃貸をするにあたり、管理人を雇うなど、給料を支払っている場合は、次のような表を作成してください。

氏名(年齢) 従事
月数
給料賃金
賞   与
合計 源泉徴収
税額

         (歳)
  月       円
      円
      円       円
その他(   人分)   月       円
      円
      円       円
計(延べ月数)   月       円
      円
      円       円

建物などの賃貸用減価償却資産は次のような表で整理しておいてください。

減価償却
資産の
名称
面積
数量
取得
年月
取得
価額
償却の基礎
になる金額
償却
方法
耐用
年数
償却
本年の
償却
期間
本年の
償却費
割増
(特別)
償却費
本年の
償却
合計
貸付
割合
経費
算入額
未償却
残高
摘要
A B C D E F G H I J K L

上記のうち、「A」は、減価償却資産を購入したときの金額です。
「B」は、「C」が「定額法」のときは、A×0.9、「定率法」のときは前年度の未償却残高か初年度の場合はAになります。
「C」は「定額法」か「定率法」が選択できますが、選択にあたっては「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要がありますが、なにも提出をしなければ「定額法」になります。
「D」は、減価償却資産の耐用年数表の別表1機械及び装置以外の有形減価償却資産をみて、該当する年数を記入します。
「E」は、やはり、減価償却資産の耐用年数表の別表9減価償却資産の償却率表により、耐用年数に該当する償却率を記入します。
「F」は1年(12ヶ月)のうち何ヶ月を賃貸の用に供していたかを記入します。○/12のような分数の形になります。1月未満の端数は切り上げます。
「G」はB×E×Fという算式で求めた数値になります。小数点以下切捨てです。
「H」は税法上の割増償却を認められる方が使う欄です。一般には使用しません。
「I」は、「G」+「H」の金額が入ります。
「J」には、一つの建物で自宅部分と賃貸部分に分かれている場合、全面積のうち何パーセントを貸し付けているかを記入します。
「K」には「I」×「J」の金額が入ります。
「L」には、「A」からこれまでに償却してきた「I」の金額の合計額を差引いた残額を記入します。

借入金は、借入先、年度末時点の借入金残高、一年間での支払利子の額を次の表で把握してください。
また、借入金のうち、土地購入のために借り入れた金額は別に把握し、土地購入のための借入金利子の額も把握してください。
借入金の利子は原則として経費になりますが、減価償却資産の「J」同様、一つの建物で自宅部分と賃貸部分があり、借入金は一本の場合は、賃貸部分に対応する利子だけが経費になります。

支払相手先住所・氏名 期末現在借入金残高 本年中の借入金利子 利子のうち経費算入額

修繕をした場合には、次のような表にまとめておきます。
ただし、工事をした結果、賃貸用部件などの本体そのものの価値が上昇した場合には、工事にかかった金額は修繕費とはならず、減価償却資産の取得価額になります。風呂なしの物件に風呂をつけた等、明らかに価値が上昇したと思われる場合には、減価償却資産にするようご留意下さい。

支払先の住所・氏名 工事名・資材の品名 支払年月日
支払い金額
工事金額のうち
経費算入額

いわゆる叉貸しをして、賃貸収入を得ている場合には、もともとの所有者に地代や家賃を支払っているはずです。また、建物は所有しているが土地は借りているというケースでも、地代が発生するでしょう。このような場合は、次のような表にまとめておきます。

支払先の住所・氏名 賃借物件 本年中の賃借料
権利金
賃借料のうち
経費算入額


その他に、不動産貸付業を営むに際してかかった経費が有れば集計をしておきます。物件に損害保険料をかけているケースが多いので、忘れずに集計しましょう。

ここまで出来れば、あとは収支内訳書に記入をするだけです。収支内訳書は税務署の他、税理士会が行う無料相談会などでももらえますので、ご自分で用意してください。また、確定申告書は「B」の用紙になります。確定申告書に記入をする前に、生命保険会社からの生命保険料控除証明書や、支払った社会保険料の納付書の控えや、給与をもらっている人は給与の源泉徴収票を用意しておきましょう。

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