はじめに
このコラムの冒頭で「日々の出来事」という項目で記述をしておこうと思ったことは、職業柄建築の設計という人の生活の器を造ることからきていると思う。人生において日常生活は疎かに出来ないことと思いつつ、仕事以外のことでどれだけの事を経験出来たかと思うと、甚だ自信の無いことに気づいてしまう。私は1992年(52歳)で大組織設計事務所を離れ自立して自分の事務所を設立したが、自分の時間を持てたのはそれからであったと記憶している。早や独立以降も四半世紀経過したので、その間に日常行ったり又心得ていたこと等、それにより気の付いた事を記述しておく気持ちになった。この内容は全く個人的で主観的な側面が強いものと思うが、エッセイ調に気の向くままに記述したものである。今考えて全体をみるとその内容はすべて住生活そのものに継がっていることに気付き、日常生活の大切さを改めて感じ入るようになった。今後もこの変わり無き日常を実の在るものにする様努力しなければならないことを学んだ次第である。
2018年 著 者
COLUMN・NOTE T ―― 日々の出来事・回想録 ――
目次
はじめに
11
第1集 日々の出来事
5
プロフィール
60 河田新一郎 略年譜 2018
63
後書きにかえて
65
日々の出来事 (52項目)
初めてのマンション生活 5 西暦2000年 我が家の年頭挨拶 結婚以来の写真での生活記録 妻敦子との終わり無き日常 喜寿を迎えた頃の毎日のタイムスケジュール
老後の家族共同生活の提案 12 孫達と共の生活で初めての新年 2017年元旦 孫と共に書き初め 鷺沼ふれあい広場 有馬の団栗
近所の生田緑地の散策 17 家の庭 和風庭の道祖神と台灯篭 井筒で造ったバーベキューの炉 庭のシンボルツリー
庭の小さな池 23 我家の鯉と睡蓮 我家の鉢の睡蓮 玄関先に置かれたシーサー 玄関のスツール雑感
土門 拳の作品を眺める 28 土門 拳の書 小川未明の詩 カープ鷺沼でのクリスマス 2016年孫とのクリスマス
孫と共のナイター観戦記 33 私の鯛の棒鮨(正月料理) カナダ土産 トーテムポールのミニチュア ギボウシを頂戴する パイプ愛好家としての私
思い出の額縁のヤタヤ 38 好きな片口 私のミニチュアフィギュア 銀座通りでの私の似顔絵 辰のミニチュア
フクロウのミニチュア収集 43 室内のモビール・ディスプレイ フランク・ロイド・ライト作の照明器具 風光明媚な冨士霊園 父威男27回忌・母正子33回忌の墓参り
武基雄先生ご夫妻を囲む会に出席 48 東京ステーションギャラリーでの隈研吾展を見て 第43回彩寿会展 2018が開催される 津田修氏彩寿会展来られる 2018年 銀座プロムナード展に出品
観音克平氏より自作のエッチングを頂戴する 53 私と船 「黄金律賛歌」を頂戴した返信 建築は芸術か 憲法改正をどのように考えるか
私の喜寿記念の記憶 58 交詢社紳士録に搭載
後書きにかえて
半世紀に亘る家庭での日常の生活を振り返ってみると、健康的な生活を送ることが一番大切なことが解る。それまで健康に恵まれた私は30歳代後半に自立神経の病気を患った。子供達がまだ幼少であったので家内に大変負担をかけることになった。夫婦が常に協力出来ることの大切さを痛感した次第である。病後40歳になる頃には仕事に復帰し次第に生活にもゆとりが出来た様に思っている。1992年52歳の時、私が設計事務所を開設してからは仕事の合間に好きな絵や木工作等をする時間もあった。日常生活も徐々に充実してきた。趣味にかかわらず日常での様々な行為は一人ではなかなか手に負えないことが多い。幸い家内が常にサポートする側に立ちまわってくれていた。一方子供達が大きく成長し結婚する頃には孫も出来家族も大勢になる。このような状況になると家族全員の気持ちが一つにならないと生活も維持できなくなる。家族がふくらみ行事も増えると日常生活も豊かになり、又それは大切な役目も持つことになる。日常生活を振り返ることは家族の健康で明るく積極的に相互協力を成し得た証となり、その意義は大切な意味を持つと思う。又このことは家族の有難さを教えられると共に次世代への継承でもあると思いたい。
2018年 著 者
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