はじめに
私は今から約30年前にシトロエン BX19 TRSを購入した。 生来車について特に興味を持っていた訳ではなく、自分の生活にも必ずしも必要ではないとも思っていた。都市に生活していて職住接近で日常の買い物にも便利であるため車が無くても事欠かない環境にあったとも云える。
一方車を持つことはその生活圏を大きくし都市生活を豊かに出来る一つの側面を持っている。その程度の理解しかなく車を研究してとのような車を選択する等の評価の出来るレベルではなかった。しかしこの考え方はシトロエンBXを購入して以来生活に欠かせない存在と思うように変わった。
購入してから興味本位に素人気分でシトロエンクラブに入会し、その機関紙に投稿するようにもなった。四半世紀以前当時の私のその気持ちを綴った文面が残っていたので、纏めてご紹介することにした。
建築家の林昌二氏は「邪魔だけど面白い自動車」と云われていることがよく分かった。(この文章は参考文献として巻末に掲載する)
シトロエンBXを中心としたマイカーライフ
目次
はじめに
2 目次
3 BX購入(1988年)以前のマイカーライフ
6 シトロエンBX購入の思い出
9 1999年BX廃車以後のマイカーライフ
11 日本シトロエンクラブ
12
会報寄稿文
シトロエンと私
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シトロエン礼賛2 我が家のアルミ弁当箱 BX
16
シトロエン礼賛3 自称「シトロエンの愛好家」
19 シトロエン礼賛4 「1994年東京モーターショー」見学記
23 シトロエン礼賛5 「ミニチュアの魅力」を求めて
30 シトロエン礼賛6 車は「なぜ小さいのが・・・」か
37 シトロエン礼賛7 「車のエンブレム《表象》」とは ?
46
参考資料
1 シトロエンBX 19 TRS
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2 エッセイ 邪魔だけど面白い自動車 林 昌ニ著
59
おわりに
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シトロエンBX購入の思い出
シトロエンBX 19 TRSには1988年7月より1999年7月まで11年間お世話になった。
このBXは当時のディーラーであった西武自動車の世田谷営業所から購入したものであり、今から30年以前のことであった。 それまではトヨタ自動車のハードトップで名の知れた2ドア車を愛用していた。1980年頃それまで住んでいた東急ドエル鷺沼スカイドエリングから離れ、鷺沼の両親の家で3世代住居の生活が始まった。当時息子は9歳、娘が7歳であったと記憶している。生活には特に車を必要とすることが無く主にレジャーを楽しんでいた。それまでのコロナハードトップの車で箱根のオーナーズクラブや伊豆の海岸、そして新しく建設された建物等を見学によく出掛けていた。 その内子供の成長及び両親も車に同乗することも多くなり、2ドアの車では乗り降りに不便となり、ファミリータイプの車が欲しくなった。フランス贔屓の家内が丁度街中を走っていたシトロエンを見てあれはどう?と云った。当時街ではホルクスワーゲンの兜虫と称するドイツ車を始めベンツ、ルノー、フィアット等の車が多かった。私は建築家の林昌ニ氏が兜虫を愛用され社内(日建設計工務)で企画したラリーに参加されているのを知っており、大変素敵な車であると思っていた。 そんな状況の中で家内の発言に興味を覚えフランスからの輸入車を調べていた最中、2CVなる兜虫に似た車もありとても気をそそられた。早速輸入車を扱っている西武自動車世田谷営業所(当時用賀にあった)を訪ねいろいろ話を聞いていると、シトロエンにはハイドロニューマティックサスペンションという特殊な機能を持った車種があることを知った。これはシトロエンにしか無いもので、乗り心地を良くするために油圧で車高を上げ道路から来る車台の振動を制御するという不思議なものであった。それがシトロエンが別称シティーキャットと呼ばれる由縁であることを知った。兎に角試乗させてもらいその効用の説明を受け体験して納得した次第である。 この機能をBX 19 TRSは備えており、ファミリーカーとして乗り心地そして荷持を沢山入れられるファーストバックでもあり車内も広く、即購入することに決まった。家内の思い付きがこのように発展し、我が家の車史に新しい頁を開かせてくれることとなった。
2017年3月 著者記
おわりに
私の人生の中で60年近くの歳月に亘り車にはお世話になった。日常生活で欠かせない必需品となったことになる。都市の中で生活すること、都市は時間と共にスプロールしていき生活の行動範囲も自然に大きくなっていくことになる。 都会に居住していると住職接近と云えども歩行距離の中で生活することは出来ない。家庭を持ち子供も出来るとそれぞれの要求も生まれ生活エリアも大きくなり自転車や車の必要性が生まれてくる。 我が家にとっても日常の買い物そして交際やレジャーに車のご利益を受けることも多く、特に病気になった時等は大変助かった。 一方車を持てば敷地の中に駐車スペースも必要となり、日常のメンテナンスや事故に対する心配等厄介なことも多く邪魔なものでもある。又費用も掛かる。しかし車を愛する人は我が子のように気を配り手入れをすることを楽しみにしているようである。 本当に車は厄介なものでもあり又重宝なものであるが、大変役に立ったことに感謝している。 最期に、多忙な時にも何時も進んで車に同乗し助手席でナビゲーターとして助けてくれ、またこのエッセイ集の校正およびワープロも全て協力してくれた妻敦子に感謝の気持ちを記したい。
以上
「マイカーライフ」反響
書簡1 河田様 お元気のご様子何よりと存じます。
昨日、御著書「マイカーライフ」が届きました。ありがとうございます。早速ざっとですが目を通しましたが、このような文章をよくまとめられたと感心いたしました。私も今現在5台目の車に乗っていますが、なかなかそのことでエッセイを書こうとは思っても居りませんでした。もっとも、2台目のミニには何か人には言えない誇らしいような気持になったことがありましたが、きっとそのようなことなんだと推察したりしています。 日建でのラリーのことも覚えております。林さんのワーゲンには信濃美術館の設計、現場にいつも浦和近辺の17号で拾ってもらって通っておりました。改めてゆっくり読まさせていただきます。 そらいろ展、みんなからやいやい言われて仕方なく出すことにしました。退職してから始めましたので2年少ししか描いていませんが、俳句と同じで人の評価が一番勉強になることを思い出し決心した次第です。絵のほうは全くわかりませんのでよろしくご指導ください。 取敢えず「マイカーライフ」の御礼まで。 (根橋宏次(学友) 2017.4.14)
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書簡2
お便り有難う。 お孫さんが加わって賑やかにお過ごしのこと羨ましく拝読させて頂きました。当方は年寄り二人で取敢えず元気に生活しています。 シトロエンの本は懐かしく拝見させて頂きました。今はプリウスに13年間乗って最近高齢者の運転が問題になっているので乗りつぶして終わりにするつもりですが
以前はシトロエンに3台ほど乗り続けていたので思い出しながら読ませて頂きました。6月の演奏会には二人で出かけるつもりですので、その際お会いできるのを楽しみにしています皆さんに宜しくお伝え下さい。
(河田正・幸子(親戚) 2017.4.17) |
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